これは愛か、それともただの刷り込みか

栗鼠

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イヴァンside 教えない

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ちょっと待て。

小型の猫は1日に16時間は寝るんだ。
子供の頃は20時間くらい寝る。…この子がこんなに早く人化した理由がわかった気がした。

勘弁してくれ爺さん…焦っていたんだろうが追い立てすぎだ…これから甘やかしててやろう。

…体温が低いな、そっと抱き寄せるとぺたりと身体を寄せてきた…。
これは…離せない……どうやって囲おうか。

あっと言う間に4日が経って一旦帰ると言ったら俯いて…もう来ない?と聞いて来た。

「休みの日には来れるよ。」
…俺に執着しろ。
「それだけ?」
「もっと来ない?」
「帰ったら嫌だ。」
…俺を欲しがれ。

「イヴァンの家は遠い?」
凄く近い、なんなら見えてる。でも教えない。

俺、発情期なの。何もしないで過ごせる訳がない。せめてワンシーズンは一緒にいたい。他の雄の匂いが全くしないんだよ?出来ればワンシーズンと言わず番いたい。

「俺と一緒に暮らすなら俺の番になるか?それなら暮らせるよ?」
「なる。」
…もう少し考えて返事をしろよ…悪い大人になった気分だ。

「…番はずっと一緒にいるって事。2人だけどひとつになるんだ。」
「なる。」
…即答かよ。騙したいわけじゃないんだよ。

「ひとりは嫌。」
1人は嫌か…今はそれでいいよ。

一旦自分の部屋に戻った。俺は内砦の内側の東の『白の盾』と言われる熊が隊長の討伐隊に所属している。
中央から西は『黒の盾』こちらも隊長は熊だ、東側と西側それぞれに軍住宅があり、そこに住んでいる。

収納空間に部屋の荷物を全部突っ込んで、
その足で事務所に行き軍住宅からの退居と新しい住居の届けと番申請をして、そのまま夜警に入る。
いつものように森から湧き出た魔獣を討伐する。

早朝、仕事を終えてひと通りの事を済ませてニーチェのいる家に転移した。

爺さんに作らせたバングルと陣。
爺さんは安全を確保したつもりだろうが…使い方は俺次第。

承認制認識阻害。声も姿も認識出来ない。
承認制固有結界。触る事が出来ない。
承認制結界陣。入る事も出る事も出来ない。

それら全てに俺の承認が必要だと言う事。
転移陣は多重結界の中にある。
ノックして返事は待たずに中に入った。

あ?

部屋の中が妙に寒かった…上がり端に座って編み上げの靴紐を解く。…背中に衝撃。

「ただいま?」
「ん!」

絡まる様に俺の膝の上に座ってきた…ひとりは嫌か?

「ん!」

首元の匂いを鼻を擦り付けるみたいに嗅いでくる…。
靴を脱いでニーチェを抱き上げて家に上がりソファーに座った。

…やたら眠そうだな?

後頭部を掴んで上を向かせる。
啄むように口づけて舌で歯列をなぞりノックする。

少し開いた口に舌をねじ込んで舌を吸い取り絡めとる。
唾液を混ぜ合わせ飲み込ませる。呼吸の仕方がわからなくて、はふはふしてのが…たまらない。

「な  に  ?」
「ん?ただいまの挨拶だ。」…嘘です。

キッチンのストーブに薪を入れて火をつけ買ってきた飯を食べて抱えて寝た。
…抑制剤飲んでるから。

昼過ぎに起きてリビングに俺の荷物を広げると、どれもこれも俺の匂いがすると嬉しそうだ。

現実味がなくて飯事みたいだが、今はそれでいい。




…話してない事がある。

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