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前編
しおりを挟む麦畑の中の一軒家、隣の家は…まぁ見えるな?って感じの離れ具合。…母ちゃんの笑顔が最優先される家。
茶虎の父ちゃんとミケ猫の母ちゃん、兄ちゃんとお兄がいる。
俺はキジトラ虎で…ちょっと…小さめ。
兄ちゃんは父ちゃんそっくりな茶虎で大きくて強くて格好いい。
お兄はいつも父ちゃんのスリングの中に入ってる。
…焦茶の兎で…小ちゃくて…凄ぇ可愛いくて…いい匂い。
俺が獣人化して10日くらいたった冬の夜。
…お兄が寝た後に俺達は父ちゃんに外に連れ出された。
「……お前らの欲しいものはわかってる。このまま砦の外で生きていくなら…魔獣を倒せる雄になれ。番を子供達を守る力を手に入れろ。…1人では無理でも2人で協力するならできる。」
俺は兄ちゃんの顔を見た。
…兄ちゃん……お兄の事が好きなの?
「欲しいものは自分で手に入れるんだ。何もしないでモダモダしてたら横から奪われるぞ。」
兄ちゃんの喉がごくりとなった。
「囲いたいなら。奪われたくないなら。きちんと学校に学びに行け。夜間の討伐隊に入って2人で2匹…3匹狩れる様になったら帰って来い。…匂いのつけ方は教えてやる。」
父ちゃんが俺の方を見て「兎は俺が守っておいてやるから心配は要らない」って。
玄関扉に寄りかかった母ちゃんが呆れた顔してこっちを見てる。
「…胎持ちは…選ぶ権利もないのかい?」
「…あ゛? …ちゃんと好きだろ?匂いつけて何が悪い?腹見せて転がって擦り寄ってるし、耳立ててプクプク声出してるじゃねえか。お兄も、そろそろ獣体から獣人体になる。兎は用心しすぎくらいで丁度いいんだよ。…気に入らなかったら孕まねぇだけだ、そしたら諦めるしかない。惚れられる雄になればいい…出来るだろ?」
母ちゃんが溜め息をついた…父ちゃんの勝ちだな?
「まぁ。アタシは家族が笑ってたらそれでいいよ。上手く行くといいね?美味い飯は作れる様にしといてやるよ。」
母ちゃんも応援してくれてる!
次の春に兄ちゃんと俺は魔術を学びに中央区の学校に通った。冬の間に父ちゃんと母ちゃんに教わったけど原理原則をひとつずつ学んだら魔術の精度が上がった。
夏にお兄が…獣人体になった。
ふきゅふきゅ鼻を鳴らしながら声を出す練習をしてて…息漏れする小さな声が …可愛い!
春のはじめに兄ちゃんと俺は人化して、内砦の外の訓練場で剣術と体術の基礎を教えてもらった。
その後討伐見習いとして内側の演習場に行った。
……それらは全部昼間で。夜行性の俺達にはキツかった。…兄ちゃんがいたから頑張れた。
…父ちゃんが転移で回収してくれるから、どうにか家に帰る事が出来て、毎日体力も魔力もギリギリまで使ってクタクタになった。
母ちゃんの飯を勢いで詰め込んで…
俺がお兄を抱き込んで…兄ちゃんが俺達を抱きしめてくれて…安心する。強くて柔らかくて優しい匂い。
「なんで2人はそうやっていつも、ふっつくの?」
「え?くっつきたいから。」
「ひっついてたいから。」
「……もう…狭いよ。」
他の匂いなんて …いらない。
お兄も本気で抵抗なんてしてない。
「…お兄は今日何した?」
「今日は鳥のスープ作った。美味しいかった?」
「え?あれ、母ちゃんじゃないの?」
「凄い褒め言葉。ありがとう。嬉しい。」
お兄の……小さな溜息。
お兄は …なかなか人化しないのを凄く悩んでる。
俺は…その理由を知ってる。
……父ちゃんが…止めてる。
『倫理なんぞクソ喰らえ。きちんと自分の心がわかるまではコイツはこのままでいい。…兎なんだぞ?番が見つかってないのに人化したっていい事なんてない。コイツは…幸せにならないと駄目なんだ。…かっ攫われて紋なんぞ刻まれたら逃げられない。』
って母ちゃんと話してるのを聞いた事がある。
…お兄は父ちゃんと母ちゃんの子じゃない。
………たぶん……俺も。
「……身体大丈夫?」
「心配かけてごめんね?」
「このままでもかわいいよ?」
「うん。かわいい。」
「ええええ?そお?」
「人化したら心配で目が離せない。」
兄ちゃんの腕に力が入って「離せない」って…。
「2人は明日も早いんだからさっさと風呂に入りな。」って母ちゃんに言われだけど……もう寝たい。
…兄ちゃんに頭撫でられるの…気持ちいい…。
小型の魔獣を1匹倒せる様になって昼間の討伐見習いから夜間の討伐見習いになれて軍住宅に兄ちゃんと2人で住んだ。兄ちゃんが17で俺が15。
1週間に1度2、3時間だけ実家に帰る生活が続いた。
俺達が家を出た半年後に…お兄が人化して …ヤバ可愛いぃ。
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