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②
…西領の領主が変わったのは今から10年前。その前までは領民が北領に逃げてくるほど住みづらかった。
西領は、青竜が棲むこの大陸の食を支える穀倉地帯が広がり他領が羨むほど自然に恵まれた王都に隣接した牧歌的で穏やかな土地だ。
…いや…牧歌的と言えば聞こえがいいかもしれないが…街が発展ていなかった。理由は簡単でドワーフが棲みつかなかった事だ。だからインフラも一体いつの時代の物だ?と思うほど古く整備されていなかった。…そう言う事に強いのがドワーフだ。
こちらの勝手に開発出来るわけじゃない。
地形や生息している野生動物、住んでいる種族によって色々事情があるんだ。
最大の敗因は…たぶん…エルフだ。エルフは開発を嫌うからな…仕方のない事だ。ドワーフは好奇心旺盛だから…牧歌的な所はあまり好まないんだ。
獣人は……根っこが馬鹿だから。真っ直ぐ進む事しか出来ないし苦しくても体力があるから限界まで耐えてしまうし…。人族は…欲深く頭が回る。
それらが…悪い方向に噛み合った。
王都に通じる街道だけが、どうにか通れる程度に整備されていた。
不便だからと言って手を出せる訳じゃない。
領と言えば垣根が低そうに聞こえるだろうが交流はあるがそれぞれが独立しているんだ。
友好協力はするが内政は不干渉が…基本だ。
…口を出すにはきっかけが必要だった。
10年前。私が仕事を覚え始めて15年、28の時に河守りの名を父から引き継いで2年目。いつものように日の出の頃に目覚めカーテンを開けて…異変に気がついた。
隣接する西領の湖の水位が高い過ぎる…このままだと湖が氾濫してしまう。水門を開けて下流に流さなければ甚大な被害が出る。
こちらは自然湖だが、あちらは増水した雪解け水を管理するための人工湖だから内包出来る水量に限界がある。
…継いだばかりの若造が!と言われるだろうかと迷ったが…あまり着る事のない三揃いを着て人口湖の水門の近くにある館に馬で向かった。
蜘蛛の巣の様な…鬱陶しい結界。
ひとつひとつは脆弱な結界だが…何重にもかけられていて……脂汗が滲む…なんだ?この不快さは…。
館は見えているのに前に進めない。…と言うか進みたくない。コレは…ちょっと私には荷が勝ちすぎているか?と諦めかけた時…私の様子を伺っている挙動不審な狼を見つけた。
もしかして西領の同業者か?と思い馬から降りて手を上げて声をかけてたら…縋り付いてきた…。
「…お前もか?お前の番もあの中にいるのか?
番が…帰って来ないんだ。
魔獣に襲われて死んだんだろうと言われた。
確かに…来ていた服の切れ端は …あった。
…血の匂いもした。でも…死んでいない。
俺とアイツは番紋で繋がっているんだ…アイツは生きている…。でも匂いがしないんだ。
…昨日…俺なんかに見えるはずのない精霊の幼な子が見えて…ここに導いてくれた。
だか何故だか入れない…近寄れない。」
「番の種族は?」
「…犬だ。」
犬は春と秋が発情期だ。狼が発情期の番の匂いがわからないって事は…異常事態だ。温存していた魔力を解放して結界を侵食する。前には進めないが…穴ぐらいは開けられる…はず…。どうにか侵食できたのは針の先ほどの穴……それでも …熊の私だからわかる…いくつもの歪な発情香。
……私には戦う術がない。
狼と共に急ぎ外砦に向かった。
門番に掛け合ったが「他領の事は対応出来ない」と言われて途方にくれた。そこに俺より10は若いだろう厳つい白熊が来て「雌の失踪届はこちらでも何件か報告を受けている。湖が氾濫したら近くの集落も被害を受ける。中央に掛け合って来るから待っていろ。」と。
…私達は …ただ待った。
暫くして外砦に高位の狼と虎と …何人かの兵士が来た。「侵入の言い訳は河川の維持管理に伴う協力要請だ。君にはついて来てもらう」と言われ手を掴まれたと思ったらって言われて湖畔の館の近くまで転移で飛んでいた。
…あの館での事は…今でも忘れられない。
…思い出したくない。
その事がきっかけで王弟殿下が西領を治める事になって北領と友好協力が強く結ばれ、インフラ整備を援助する為ドワーフが入って…河川の事ならわかるからと爺さんと父さんが西領の河守りの指導に入り…。
何を言いたいかって?…忙しかったと言いたかったんだ……ただの言い訳だ。
去年までは…問題なかったんだ…。
…春で。私もラヴィも発情期で…。
いや!あんな幼いラヴィに欲情なんてしないから!
そもそも私は…そう言う事をするのが面倒で…ずっと不全紋を刻んでいたんだ。更新の隙間で娼館に行って…ちゃんと勃つって…確認作業程度にヌいてた…。
自分は草食系の熊なのかな?思っていたんだ。
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