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第一章
9 決意 ト 忠誠 ~或る下女の手記~
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ガサッ!!
突然、足元で音と共に茂みが動く。
何かいる!何かいる?!
マズイマズイマズイマズイ!!
侵入者?不審者?危険な生き物?!
とにかく、この妖精のように愛くるしい存在は私が守る!!
咄嗟にお嬢様を庇うように前に出てしまう。
ただの平民が貴族のお嬢様の行く手を阻むなんて打首モノだ。
でもそんな事言ってられない。
いきなり攻撃されないとも限らないのだ。
しかし、お嬢様を庇った状態で固まっている間、何もおこらない。何も出て来ない。
あれ?何かいたと思ったんだけど·····
気のせいだったかな?
だとしたら、いきなりお嬢様のまえに立ち塞がるなんてとんでもない事をしてしまった。
そーーっと振り返り恐る恐るお嬢様の顔色を伺うと、お嬢様は怯えた視線を私に向けている。
「いま、なにかうごいた?」
「はい、そのように思われますが...」
あー、気のせいじゃなかったのね。
打首は免れたが、何も状況は変わってない。
驚いた事にお嬢様は怯えながらも何者かが潜んでいるであろう茂みに自ら歩を進めていく。
嘘でしょう?
そんなに震えるなら私に命令すればいいのに·····
「お嬢様!危のうございます!!」
「でも、なにかいるならみてみないと」
そうだけど、そうじゃない!
そりゃあ不審者の可能性があるのに放置して置く事はできないわ。
でも、だとしたら1番危険なのはお嬢様に決まってる。
幼くて力もない、公爵令嬢で誘拐されれば身代金なんていくらになるか解らない、天然の銀髪は魔力の塊みたいなものだし、見目も仕草も可愛いし、とにかく可愛い。
悪人、犯罪者にとっては値千金なんてもんじゃない。
命をかけてもお嬢様を欲しがる輩はいくらでもいるだろう。
どうする?どうなる?
お嬢様に何かあったら私は社会的にも精神的にも物理的にも死ぬ。
「では、私が確認いたします!
お嬢様はお下がりください!!」
「でも·····」
「お願いします。お嬢様に何かがあっては私も無事ではいられません!」
「あ」
お嬢様は何かに気付いたようで、素直に後ろにさがる。
まさかバレた?平民だって気付いちゃった?
侍女っぽく言ったつもりだったのにどこで失敗したのかしら。
と、とにかく今はやる事やらないと!
私はそっと茂みに近づいていく。
お嬢様との距離は充分。
これなら何かが飛んで来ても直接お嬢様に当たることはないだろう。
尤も、私自身はその限りではないので物凄く怖い。
ドっ、ドっ、ドっ、ドっ、、
心臓がうるさいな。
黙りなさいよ。
そんなに叫んだって意味ないのよ。
どんなに生きたいと懇願しても平民の命は軽いの。
まして、貴族の、あんなにも可愛らしいお嬢様を背中に置きながら逃げ出したいなんて、なんと浅ましい。
意を決して茂みを手で掻き分けて進んでいく。
···············うん、小動物。
返せよー!!
凄くカッコよく覚悟を決めたのにー。
私の一世一代の見せ場だったのよー。
あ、やっぱいいです。
返さないで、本当に怖かったの!
差し当たってお嬢様に確認していただき指示を仰ぐ。
お嬢様の判断は予想外の「連れ帰る」というものだった。
私も動物は好きよ?でも、この·····犬?犬よね。すっごい汚れてる。
もし動かなかったら、大きい綿ゴミにすら見えるくらい。
もし私が本職の侍女だったら「ゴミを持ち帰るんですか?」くらい思ってたんじゃないかな。
一応、本当に連れ帰るのが確認してしてみたけど、意思は変わらないみたい。
しかも「汚れてるなら洗えばいい」って·····
普通、王侯貴族の方々は一度夜会に着用されたドレスは二度と袖を通さないのが常識なほど、新しく美しいものを求めるのに。
刺さった。
今のお言葉は洗濯係の私の胸に強く刻まれた。
決めたわ!
私は、このお嬢様を全力で助ける。
私の忠誠はお嬢様に捧げる。
私に出来ることならなんでもしよう。
思えば、これが私の人生の転機だったのかもしれない。
突然、足元で音と共に茂みが動く。
何かいる!何かいる?!
マズイマズイマズイマズイ!!
侵入者?不審者?危険な生き物?!
とにかく、この妖精のように愛くるしい存在は私が守る!!
咄嗟にお嬢様を庇うように前に出てしまう。
ただの平民が貴族のお嬢様の行く手を阻むなんて打首モノだ。
でもそんな事言ってられない。
いきなり攻撃されないとも限らないのだ。
しかし、お嬢様を庇った状態で固まっている間、何もおこらない。何も出て来ない。
あれ?何かいたと思ったんだけど·····
気のせいだったかな?
だとしたら、いきなりお嬢様のまえに立ち塞がるなんてとんでもない事をしてしまった。
そーーっと振り返り恐る恐るお嬢様の顔色を伺うと、お嬢様は怯えた視線を私に向けている。
「いま、なにかうごいた?」
「はい、そのように思われますが...」
あー、気のせいじゃなかったのね。
打首は免れたが、何も状況は変わってない。
驚いた事にお嬢様は怯えながらも何者かが潜んでいるであろう茂みに自ら歩を進めていく。
嘘でしょう?
そんなに震えるなら私に命令すればいいのに·····
「お嬢様!危のうございます!!」
「でも、なにかいるならみてみないと」
そうだけど、そうじゃない!
そりゃあ不審者の可能性があるのに放置して置く事はできないわ。
でも、だとしたら1番危険なのはお嬢様に決まってる。
幼くて力もない、公爵令嬢で誘拐されれば身代金なんていくらになるか解らない、天然の銀髪は魔力の塊みたいなものだし、見目も仕草も可愛いし、とにかく可愛い。
悪人、犯罪者にとっては値千金なんてもんじゃない。
命をかけてもお嬢様を欲しがる輩はいくらでもいるだろう。
どうする?どうなる?
お嬢様に何かあったら私は社会的にも精神的にも物理的にも死ぬ。
「では、私が確認いたします!
お嬢様はお下がりください!!」
「でも·····」
「お願いします。お嬢様に何かがあっては私も無事ではいられません!」
「あ」
お嬢様は何かに気付いたようで、素直に後ろにさがる。
まさかバレた?平民だって気付いちゃった?
侍女っぽく言ったつもりだったのにどこで失敗したのかしら。
と、とにかく今はやる事やらないと!
私はそっと茂みに近づいていく。
お嬢様との距離は充分。
これなら何かが飛んで来ても直接お嬢様に当たることはないだろう。
尤も、私自身はその限りではないので物凄く怖い。
ドっ、ドっ、ドっ、ドっ、、
心臓がうるさいな。
黙りなさいよ。
そんなに叫んだって意味ないのよ。
どんなに生きたいと懇願しても平民の命は軽いの。
まして、貴族の、あんなにも可愛らしいお嬢様を背中に置きながら逃げ出したいなんて、なんと浅ましい。
意を決して茂みを手で掻き分けて進んでいく。
···············うん、小動物。
返せよー!!
凄くカッコよく覚悟を決めたのにー。
私の一世一代の見せ場だったのよー。
あ、やっぱいいです。
返さないで、本当に怖かったの!
差し当たってお嬢様に確認していただき指示を仰ぐ。
お嬢様の判断は予想外の「連れ帰る」というものだった。
私も動物は好きよ?でも、この·····犬?犬よね。すっごい汚れてる。
もし動かなかったら、大きい綿ゴミにすら見えるくらい。
もし私が本職の侍女だったら「ゴミを持ち帰るんですか?」くらい思ってたんじゃないかな。
一応、本当に連れ帰るのが確認してしてみたけど、意思は変わらないみたい。
しかも「汚れてるなら洗えばいい」って·····
普通、王侯貴族の方々は一度夜会に着用されたドレスは二度と袖を通さないのが常識なほど、新しく美しいものを求めるのに。
刺さった。
今のお言葉は洗濯係の私の胸に強く刻まれた。
決めたわ!
私は、このお嬢様を全力で助ける。
私の忠誠はお嬢様に捧げる。
私に出来ることならなんでもしよう。
思えば、これが私の人生の転機だったのかもしれない。
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