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第一章
12 熱意 ト 愛着 ~或る下女の手記~
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お嬢様は犬を保護された。
お嬢様はお茶会の会場に戻られると華麗に奥様の元へ参じ、お見事な挨拶と共に退場の許可を得て迅速に自室へと向かわれる。
私、付いてっていいのかしら?
いやでも見た目雑巾な犬をお嬢様に持たせるわけにはいかないよね。私が運ばないと。
成り行きで付き従ってるけど、お嬢様は当たり前みたいに先行してるし·····。
私の不安と困惑でぐるぐるしてると、唐突に名前を聞かれてしまった。
唐突でもないのかな?当たり前の展開かも。
あああ、どうしよう。
私、侍女じゃないんですぅ、平民なんですよぅ·····
もう誤魔化せないよね。
「汚れたものは洗えばいい」と仰り、しがない私の仕事を認めてくださったお嬢様に嘘など付けない!
正直に言おう。聞かれたことに全部答えよう。
「どうしてへーみんのあなたがじじょのふりしてたの?」
「本当に申し訳ございません!!」
謝ってすむ問題ではないけれど、謝らずにはいられない。
私を侍女だと思っていたのでしょう?
騙されていたと知ったら嫌われてしまうかしら。
「きいただけ。おこってないよ?」
え?怒ってないの?
いやいや、怒っていいんだよ。
解雇されてもしかたないのよ。
恐縮しながらも、私がお茶会に入り込んだ経緯を説明する。
意外にもお嬢様は「ふーん」と特に感想もないかのように話を聞いてくださる。
何も思わないのかしら。
平民に対する忌避感とか、謀られた憤りとか全くないの?とか色々と不思議だったけど、お嬢様の自室へお邪魔して全部瓦解した、というか納得した。
よりにもよってお嬢様はこのボロ雑巾のような仔犬に最高級品のストールやスカーフでベッドを作り始めたのだ!
なんと言うか、色んな事に頓着しない方なのかな。
使用人が平民かどうかなんて、この方には些細なことなのかもしれない。
いやっ、ちょっ、それっ、絹蜘蛛の糸のストール!
そっちは虹彩綿の織物!
お嬢様は気にならないようだが、私は気になる。
それに、それらは確かに貴族に相応しく見た目も肌触りも最高だが、吸水性や保温性には乏しい。
どんなに拭いても汚れは落ちないし、弱った犬は小刻みに震えている。
早めに体温を上げてやらないと可哀想だ。
私はお嬢様に進言し、布類の確保を申し出る。
お嬢様は快諾の上に、ハンカチを貸してくださるというお気遣いまで見せてくれた。
正直、いくら侍女のお仕着せを着ているとは言え、下働きが邸内を歩き回るのちょっと怖かったから心強い。
少々お暇をいただき、まずは厨房。
旦那様方のお食事を作るキレイに磨きあげられた輝く厨房ではなく、その横に併設された使用人用の大量の食事を作るための食材庫を兼ねた広い厨房へ入っていく。
野菜、穀物で溢れたそこから大きな麻袋に入ったオートミールを紙袋に少々分け入れ、ミルクと水のビンを1本ずつ失敬する。
丁度いいサイズのバスケットを見繕って皿も一緒に詰め込んだら次はリネン室だ。
洗濯したシーツや布巾を運ぶ仕事もしている私にはリネン室は通い慣れた場所だ。
整然と並ぶ布類の中から大きめのタオルを選んで腕に抱えると、リネン室の隅に転がる洗濯用具の中から小さな手桶を引っ掴んでその場を後にした。
お部屋に戻るとお嬢様は献身的に仔犬を拭いている。
だからそのストール使っちゃダメですって!!
ああああ、艶やかな光沢が泥だらけに...
私はまずは犬を洗おうと湯を沸かす。
水で満たした手桶を両手で掴んで魔法を発動させる。
「『ヒート』」
なんか、すごい、キラキラした目で見られてる。
そうだよね、こんな小さいお年じゃ魔法なんて使う事はもちろん、目にする機会もなかったよね。
ああ、恐らく初めてであろう魔法がこんなに脆弱なもので心が痛む。
濃い髪色を持って生まれた私は魔法の才能には恵まれなかった。
どのくらいかと言うと、平均的な魔力の持ち主なら普通にできる小さな炎を指先に灯すことすらできなかった。
日常生活において魔法で火が付けられないって結構不便なのよ。
だから、どうにか火を起こしたくて指先じゃなくて薪に直接火を付けようとしてみた。
その結果、残念な事に火は付かず、ただ薪がほんのり温かくなるだけだった。
その当時は軽い絶望感があったけど、使ってみたら案外便利だった。
井戸水で湯浴み、寝る前にはホットミルク、お料理はホカホカ。
才能がないからこそ生まれた便利魔法!ドヤ!
綺麗にした仔犬は驚くほど美しくなった。
まさかお嬢様はこの美しさに気付いて保護したのかしら。なんて慧眼。
体を温めたら動けるようになったようで自力でミルクを舐めている。
自分で動けて生きる意思があるなら、一先ず安心でしょう。
一息ついて仔犬の様子をお嬢様に伝えると、お嬢様にお礼を言われてしまった。
え、待って待って!泣きそう!!
私、解雇されても仕方ない事をしたのに信じられない。
それどころかお嬢様は平民の下働きの私を「エリナリーゼさん」と呼んだ。
『さん』?『さん』??!
何食べて生きてきたらこんな神聖な生き物が出来上がるの?まるで繊細な芸術品が呼吸しているような存在だわ。
ああ、いけない。お借りしてたハンカチをお返ししなくては。
「それとお嬢様、お借りしていたハンカチです。お気遣い、ありがとうございました」
「ううん、もってて。
そのかわり、あしたもきてほしいの。·····だめ?」
明日も?
そうね、いくら小さいとは言えお一人で動物の面倒を見るのは手間でしょうね。
でも困ったな。明日も朝からお仕事だ。
仕事を抜ける訳にはいかないから、お昼休憩を利用するしかない。
お昼抜きとか気にならないわ。
だって明日もお嬢様にお目にかかれるんだもの。
私はしっかりと約束して退室する。
犬を洗った泥混じりの湯は外に捨てて、桶とタオルは明日の仕事の時にそっと片付けておこう。
あの汚れたストールはどうするんだろう。
お嬢様の部屋の物を泥棒する訳にもいかないし...まあいいか。
お嬢様はお茶会の会場に戻られると華麗に奥様の元へ参じ、お見事な挨拶と共に退場の許可を得て迅速に自室へと向かわれる。
私、付いてっていいのかしら?
いやでも見た目雑巾な犬をお嬢様に持たせるわけにはいかないよね。私が運ばないと。
成り行きで付き従ってるけど、お嬢様は当たり前みたいに先行してるし·····。
私の不安と困惑でぐるぐるしてると、唐突に名前を聞かれてしまった。
唐突でもないのかな?当たり前の展開かも。
あああ、どうしよう。
私、侍女じゃないんですぅ、平民なんですよぅ·····
もう誤魔化せないよね。
「汚れたものは洗えばいい」と仰り、しがない私の仕事を認めてくださったお嬢様に嘘など付けない!
正直に言おう。聞かれたことに全部答えよう。
「どうしてへーみんのあなたがじじょのふりしてたの?」
「本当に申し訳ございません!!」
謝ってすむ問題ではないけれど、謝らずにはいられない。
私を侍女だと思っていたのでしょう?
騙されていたと知ったら嫌われてしまうかしら。
「きいただけ。おこってないよ?」
え?怒ってないの?
いやいや、怒っていいんだよ。
解雇されてもしかたないのよ。
恐縮しながらも、私がお茶会に入り込んだ経緯を説明する。
意外にもお嬢様は「ふーん」と特に感想もないかのように話を聞いてくださる。
何も思わないのかしら。
平民に対する忌避感とか、謀られた憤りとか全くないの?とか色々と不思議だったけど、お嬢様の自室へお邪魔して全部瓦解した、というか納得した。
よりにもよってお嬢様はこのボロ雑巾のような仔犬に最高級品のストールやスカーフでベッドを作り始めたのだ!
なんと言うか、色んな事に頓着しない方なのかな。
使用人が平民かどうかなんて、この方には些細なことなのかもしれない。
いやっ、ちょっ、それっ、絹蜘蛛の糸のストール!
そっちは虹彩綿の織物!
お嬢様は気にならないようだが、私は気になる。
それに、それらは確かに貴族に相応しく見た目も肌触りも最高だが、吸水性や保温性には乏しい。
どんなに拭いても汚れは落ちないし、弱った犬は小刻みに震えている。
早めに体温を上げてやらないと可哀想だ。
私はお嬢様に進言し、布類の確保を申し出る。
お嬢様は快諾の上に、ハンカチを貸してくださるというお気遣いまで見せてくれた。
正直、いくら侍女のお仕着せを着ているとは言え、下働きが邸内を歩き回るのちょっと怖かったから心強い。
少々お暇をいただき、まずは厨房。
旦那様方のお食事を作るキレイに磨きあげられた輝く厨房ではなく、その横に併設された使用人用の大量の食事を作るための食材庫を兼ねた広い厨房へ入っていく。
野菜、穀物で溢れたそこから大きな麻袋に入ったオートミールを紙袋に少々分け入れ、ミルクと水のビンを1本ずつ失敬する。
丁度いいサイズのバスケットを見繕って皿も一緒に詰め込んだら次はリネン室だ。
洗濯したシーツや布巾を運ぶ仕事もしている私にはリネン室は通い慣れた場所だ。
整然と並ぶ布類の中から大きめのタオルを選んで腕に抱えると、リネン室の隅に転がる洗濯用具の中から小さな手桶を引っ掴んでその場を後にした。
お部屋に戻るとお嬢様は献身的に仔犬を拭いている。
だからそのストール使っちゃダメですって!!
ああああ、艶やかな光沢が泥だらけに...
私はまずは犬を洗おうと湯を沸かす。
水で満たした手桶を両手で掴んで魔法を発動させる。
「『ヒート』」
なんか、すごい、キラキラした目で見られてる。
そうだよね、こんな小さいお年じゃ魔法なんて使う事はもちろん、目にする機会もなかったよね。
ああ、恐らく初めてであろう魔法がこんなに脆弱なもので心が痛む。
濃い髪色を持って生まれた私は魔法の才能には恵まれなかった。
どのくらいかと言うと、平均的な魔力の持ち主なら普通にできる小さな炎を指先に灯すことすらできなかった。
日常生活において魔法で火が付けられないって結構不便なのよ。
だから、どうにか火を起こしたくて指先じゃなくて薪に直接火を付けようとしてみた。
その結果、残念な事に火は付かず、ただ薪がほんのり温かくなるだけだった。
その当時は軽い絶望感があったけど、使ってみたら案外便利だった。
井戸水で湯浴み、寝る前にはホットミルク、お料理はホカホカ。
才能がないからこそ生まれた便利魔法!ドヤ!
綺麗にした仔犬は驚くほど美しくなった。
まさかお嬢様はこの美しさに気付いて保護したのかしら。なんて慧眼。
体を温めたら動けるようになったようで自力でミルクを舐めている。
自分で動けて生きる意思があるなら、一先ず安心でしょう。
一息ついて仔犬の様子をお嬢様に伝えると、お嬢様にお礼を言われてしまった。
え、待って待って!泣きそう!!
私、解雇されても仕方ない事をしたのに信じられない。
それどころかお嬢様は平民の下働きの私を「エリナリーゼさん」と呼んだ。
『さん』?『さん』??!
何食べて生きてきたらこんな神聖な生き物が出来上がるの?まるで繊細な芸術品が呼吸しているような存在だわ。
ああ、いけない。お借りしてたハンカチをお返ししなくては。
「それとお嬢様、お借りしていたハンカチです。お気遣い、ありがとうございました」
「ううん、もってて。
そのかわり、あしたもきてほしいの。·····だめ?」
明日も?
そうね、いくら小さいとは言えお一人で動物の面倒を見るのは手間でしょうね。
でも困ったな。明日も朝からお仕事だ。
仕事を抜ける訳にはいかないから、お昼休憩を利用するしかない。
お昼抜きとか気にならないわ。
だって明日もお嬢様にお目にかかれるんだもの。
私はしっかりと約束して退室する。
犬を洗った泥混じりの湯は外に捨てて、桶とタオルは明日の仕事の時にそっと片付けておこう。
あの汚れたストールはどうするんだろう。
お嬢様の部屋の物を泥棒する訳にもいかないし...まあいいか。
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