転生令嬢は冒険したい~ダンジョン目指してるのになぜか婚約破棄~

四葉

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第一章

16 下女 ト 再会

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ジーナ先生の退室と入れ替わりにメイドが昼食を乗せたワゴンを持ってきてくれた。

食堂では食べきれない量の食事が並ぶのだけど、自室に運ばれたのは普通の量。

自室であろうと、食堂以外の場所での給仕はお弁当扱いになるからね。
ピクニックに持っていくようなサンドイッチや燻製肉などが並んでいる。

普通の量とは言ってみても4歳児には充分多い。
ご飯残すの苦手なんだよなー。

昼食は二人分だからワゴンも2台。
部屋のソファーの近くに置いてもらう。

「おかーさまにはおあいできる?」

「はい。奥様にお伺いしたところ、本日はお邸にいらっしゃると仰せでした。」

「わかった。さがっていーよ」

「では失礼します」

よし、お母様にもお会いできそうだ!と意気込みながら仔犬を箱から出してあげていたら部屋の扉から控えめなノックの音が聞こえてきた。

「だあれ?」

「あの、エリナリーゼです。
ハンカチをお返しに参りました。」

来た来た。

「どーぞ」

「·····失礼します」

リナは恐る恐る扉を空けて中に入ってくる。

昨日と違って服装が下働きの毛羽立ったワンピースを来ている。
髪型も昨日はアップで纏めてたのに、今日は紐で括っただけのあっさりした装いだ。

「リナだー。
なんできんちょーしてるの?きのうもきたよね?」

「昨日は侍女のお仕着せを着ておりましたので·····。
今日は下働きの服を着てますので、なんだか場違いのような気がして落ち着かないんです。」

そういうものかな?と一瞬首を捻ったけど、なるほど、確かに私もこの部屋に下働きの人がいるのは見た事ないから言われてみれば違和感あるかも。

「そっかー。そんなことより、このなかでどーぶつがたべられるものある?」

とりあえず、違和感とか無視してワゴンを指差す。
リナはすぐに察してくれたようで、「元気そうなら燻製肉はいかがですか?匂いが強いと嫌がるかもしれませんが」と答えてくれる。

私は言われた通りに厚切りのベーコンをナイフで切り分けて仔犬の目の前に置いてみる。
うん、朝と同じように少し匂いを嗅いですぐに食べた。
好き嫌いない子は好きだよ。

「リナ、ちょっとそこで待っててね。」

「はい、かしこまりました。」

リナをワゴン近くに立たせたまま、先に昼食をいただく。
サンドイッチとか手軽に食べれるから楽だなー。
ミルクは仔犬と分け合って、お腹いっぱいだからフルーツには手を付けずに終了。ごちそうさまでした。

その間、リナは黙って待っててくれる。

「おまたせ。そっちのはリナのぶんだから、くちにあうならたべて」

「はぇ??」

なんだその声。
食べてる間、待ってて貰うのは申し訳ないけど使用人と一緒に食事をする訳にもいかないしね。

「え、これ、私にですか?」

「そーよ?もうおひるたべちゃった??」

「いえ、それはまだですが·····」

「リナがきてくれるからとくべつによーいしてもらったの!おなかすくでしょ?」

言葉の端に「今日しか食べられないよ」と滲ませて進めてみる。

あれ?なんか、すごい潤んだ目で見てくる。
おいおい、プルプル震えだしたぞ。

「こんな·····こんな素晴らしい食事を·····私に·····」

食堂で出されるしっかりランチと違ってこっちは軽食だから驚くほど豪華な食事じゃないと思うんだけど。

そんなにお腹空いてたのかな。
うんうん、たーんとお食べ。


「ごはんたべたらおかーさまのところにいくの」

「あむあむ·····ふぁい!もぐ·····いってらっひゃいまへ·····んむ、ごっくん」

飲み込んでから喋りなよ。

「いっしょにいくのー!」

「ぶほっ!!·····んっく、私がですか?奥様のところに?!·····ムリですムリです!!」

「い・く・の!」

秘技、幼女のワガママ
この場合は貴族のワガママかな。

「えー、··········かしこまりました」

そんな分かりやすくしょんぼりしなくても。
わたしもお母様も取って食ったりしないって。
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