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第一章
19 神使 ト 転変 ~或る神使の転生~
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よし、そうと決まればチートだ!
だって異世界で魔王じゃん?
そこそこ強くないとカッコつかないじゃん
「え?そんなものありませんよ」
「ないんかい!」
「そんなスタートダッシュ専用の初心者ボーナスお付けします!みたいな権限持ってませんよ。そんな権限あったら自分で適当に人間減らしたりダンジョン作ったりしてますって。
だいたい、ちょっと行ってきてダンジョン設置するのにどうしてそんなモノ必要なんですか」
世知辛い。
「むしろ、ついさっきまで普通の会社員やってた有象無象の魂にダンジョン設置技能込みでファンタジー世界へお連れするんですから、それだけで充分チートじゃないですか」
うぐっ·····否定できない!
いや、でもお使いを任せる以上はお駄賃くれるもんだろ?
お釣は好きにしていいわよ。ってさ!
「お釣は好きに使っていいですよ」
「あああああああぁぁぁああ」
確かに一度死んでる俺にとっては魔王ライフはエンディング後のボーナスステージだ。
これ以上を望むのはさすがに期待しすぎか。
「そんな事より器をどうしましょうね?」
「器?」
「ホラ、キミの肉体は今いい感じにバラグシャじゃないですか。
あれを使い続けるのはムリがあるので修復するより新調した方が早いなーって」
やめろよ、生々しいよ!
あんな身体でもそれなりに愛着あるんだよ。
「じゃあ、アレ使います?
色々はみ出してますけど·····」
「新品でお願いします。」
「ですよね。
何か要望はありますか?」
「いや、普通でいいよ。
ちょっと小綺麗な見た目にしてくれたらありがたいけど」
「そのくらいならお易い御用ですよ。
男女共に好感度上がるように、キレイ系の見た目にしときますね。」
「ああ、適当に頼む。」
いいね、美形。
どうせ魔王やるんなら厳つい系のラスボスより、キレイ系のが迫力あるしな。
「あと、チートというには弱いですけど一度だけ神の奇跡を使えるようにしておきますね」
「いいのか?」
「作られたばかりの肉体はある程度育つまで脆弱ですから。到着してすぐに死んでもつまらないでしょう?
何かあった時に一発逆転の奇跡を使えるようにしときます。」
1回だけか。
よく考えて使わないとな·····
「じゃあ始めますね。」
その言葉と同時に色のない空間がいよいよ何もなくなる。
感覚的には眩しくて目を開けてられなくなるイメージだ。眼球、ないんだけど。
何を始めるのか知らんが神の御業みたいなことしてるんだろうな。
いい感じの身体お願いします!
「はい、おっけーです。」
おっ、サンキュー·····ってここどこだよ!!
風景を取り戻した空間は、色も匂いも戻っていた。
具体的には森の中に放置されてた。
「バイト先の世界ですよ。
その世界で人の力を世界に還元してください」
そんなあっさりと!!
「キミを送った時空の穴がもうすぐ閉じます。
そうしたら声も伝えられなくなります。頑張ってください!」
そんなざっくりと!!
「何とか生き延びて千年以内には1つくらいダンジョンを設置しといてくださいな。
キミの技能に鑑定も追加しておいたのでその世界のナビゲーションに活用してくださいね。」
そんなのんびりと!!
ん?
周囲が激変してて混乱したけど、俺自身もおかしくね?
声もちゃんと発声できてない気がするし·····
新しく作った肉体ってカッコいいんだよな?
森の中、水の匂いがする方へ歩くとそこにはキラキラと水面を輝かせる湖が広がっていた。
喉も潤したいところだがまずは·····と、波のない湖面を覗き込むと水面に映った俺が見つめ返すはずなのだが
ぬぁんじゃこりゃあああああ!!!
そこにいたのは1匹の仔犬だった。
品のある佇まい、知性ある金の瞳、純白の艶やかな毛並み。
確かに·····確かに美しいけどさぁ·····。
なんで四つ足なのおおおお!!??
「え?普通でいいって言ってたじゃないですか。
神使って普通、動物でしょ?」
そうなの?!知らないよ!
「虎や象に孔雀とかポピュラーですよ。
キミの文化圏では狐や狛犬が多いですかね?」
知らないよ!!!
「あ、もう声が切れます。
それじゃあお気をつけてー·····」
待ってええぇぇえ!!
·····返事がない。
ただの独り言のようだ。
やぁだあああああ
犬じゃん!
魔王って言うから!人型だと思ってたのに!!
そうして俺はしばらく途方に暮れた。
だって異世界で魔王じゃん?
そこそこ強くないとカッコつかないじゃん
「え?そんなものありませんよ」
「ないんかい!」
「そんなスタートダッシュ専用の初心者ボーナスお付けします!みたいな権限持ってませんよ。そんな権限あったら自分で適当に人間減らしたりダンジョン作ったりしてますって。
だいたい、ちょっと行ってきてダンジョン設置するのにどうしてそんなモノ必要なんですか」
世知辛い。
「むしろ、ついさっきまで普通の会社員やってた有象無象の魂にダンジョン設置技能込みでファンタジー世界へお連れするんですから、それだけで充分チートじゃないですか」
うぐっ·····否定できない!
いや、でもお使いを任せる以上はお駄賃くれるもんだろ?
お釣は好きにしていいわよ。ってさ!
「お釣は好きに使っていいですよ」
「あああああああぁぁぁああ」
確かに一度死んでる俺にとっては魔王ライフはエンディング後のボーナスステージだ。
これ以上を望むのはさすがに期待しすぎか。
「そんな事より器をどうしましょうね?」
「器?」
「ホラ、キミの肉体は今いい感じにバラグシャじゃないですか。
あれを使い続けるのはムリがあるので修復するより新調した方が早いなーって」
やめろよ、生々しいよ!
あんな身体でもそれなりに愛着あるんだよ。
「じゃあ、アレ使います?
色々はみ出してますけど·····」
「新品でお願いします。」
「ですよね。
何か要望はありますか?」
「いや、普通でいいよ。
ちょっと小綺麗な見た目にしてくれたらありがたいけど」
「そのくらいならお易い御用ですよ。
男女共に好感度上がるように、キレイ系の見た目にしときますね。」
「ああ、適当に頼む。」
いいね、美形。
どうせ魔王やるんなら厳つい系のラスボスより、キレイ系のが迫力あるしな。
「あと、チートというには弱いですけど一度だけ神の奇跡を使えるようにしておきますね」
「いいのか?」
「作られたばかりの肉体はある程度育つまで脆弱ですから。到着してすぐに死んでもつまらないでしょう?
何かあった時に一発逆転の奇跡を使えるようにしときます。」
1回だけか。
よく考えて使わないとな·····
「じゃあ始めますね。」
その言葉と同時に色のない空間がいよいよ何もなくなる。
感覚的には眩しくて目を開けてられなくなるイメージだ。眼球、ないんだけど。
何を始めるのか知らんが神の御業みたいなことしてるんだろうな。
いい感じの身体お願いします!
「はい、おっけーです。」
おっ、サンキュー·····ってここどこだよ!!
風景を取り戻した空間は、色も匂いも戻っていた。
具体的には森の中に放置されてた。
「バイト先の世界ですよ。
その世界で人の力を世界に還元してください」
そんなあっさりと!!
「キミを送った時空の穴がもうすぐ閉じます。
そうしたら声も伝えられなくなります。頑張ってください!」
そんなざっくりと!!
「何とか生き延びて千年以内には1つくらいダンジョンを設置しといてくださいな。
キミの技能に鑑定も追加しておいたのでその世界のナビゲーションに活用してくださいね。」
そんなのんびりと!!
ん?
周囲が激変してて混乱したけど、俺自身もおかしくね?
声もちゃんと発声できてない気がするし·····
新しく作った肉体ってカッコいいんだよな?
森の中、水の匂いがする方へ歩くとそこにはキラキラと水面を輝かせる湖が広がっていた。
喉も潤したいところだがまずは·····と、波のない湖面を覗き込むと水面に映った俺が見つめ返すはずなのだが
ぬぁんじゃこりゃあああああ!!!
そこにいたのは1匹の仔犬だった。
品のある佇まい、知性ある金の瞳、純白の艶やかな毛並み。
確かに·····確かに美しいけどさぁ·····。
なんで四つ足なのおおおお!!??
「え?普通でいいって言ってたじゃないですか。
神使って普通、動物でしょ?」
そうなの?!知らないよ!
「虎や象に孔雀とかポピュラーですよ。
キミの文化圏では狐や狛犬が多いですかね?」
知らないよ!!!
「あ、もう声が切れます。
それじゃあお気をつけてー·····」
待ってええぇぇえ!!
·····返事がない。
ただの独り言のようだ。
やぁだあああああ
犬じゃん!
魔王って言うから!人型だと思ってたのに!!
そうして俺はしばらく途方に暮れた。
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