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23話 何かいる
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「防具を作りましょう」
「家作った後だからもうなんでも作れる気がするよ」
「DIY極めましたね(笑)」
日課となったルンとのトレーニングの後、スライムで防具を作ろうという流れになった。
腹当てなど防御品を色々作っていると、いつの間にかカンナがスライムの椅子に座ってリンゴを食べている。
「おや、カンナさんお久しぶりです」
「ルンちゃんおひさー」
何だか元気がないように見える
「大丈夫ですか?(笑)」
「最近、不景気なのよねー」
町は領主の命令で、税が追加徴収になったらしい。そのせいで踊り子としての稼ぎも減ってしまったとのこと。
「踊り子やめて副業の方で生きて行こうかしら」
「副業?」
「まあね。でも安定しないのよねー」
安定しない副業......娼婦的なやつかな
「身体は大事にした方がいいですよ?」
「......違うわよ。失礼な男ね」
「違うんですか?」
「あれは趣味よ」
「趣味ならセーフですね(笑)」
セーフなの!?
「淫蕩って大罪の1つじゃなかった?」
「私は止めませんよ(笑)」
「ふむ。この世界は娯楽が少ないからな。性欲抜いたら食べ物くらいしか楽しみがない」
「タマキの言う通り退屈なんだもの。仕方ないじゃない」
この世界の娯楽は音楽や舞台ぐらいしかないらしく、興味がない人にとっては退屈で仕方ないのだろう。
「最近は何してても退屈なのよねー。何か面白いことないかしら」
「何かってなんですか?」
「んー? 世界征服とか?」
「特に予定はないですねー」
「あら残念」
暇つぶしが世界征服とか迷惑にも程がある。
「刺激的な生活はここにはないですけど、もし良ければここに住みますか? 固定費はかかりませんよ(笑)」
「うーん......そうね。新しい生活をすれば退屈も凌げるかもしれないわ。しばらくお世話になろうかしら」
✳︎ ✳︎ ✳︎
その日の夜
「さすがに狭くない?」
このままでは1人洞窟暮らしがスタートしてしまう。
「なんとかなりますよ。それに人が多い方が楽しいですよ(笑)」
「現になんとかなってないんだけど......」
この手狭な家に5人で暮らすのは厳しそうだ。どう寝ても重なってしまう。
寝場所を増やそうにも、この家は床と壁ががっちりくっついているので、これ以上床を広げるのは不可能だ。
「とりあえず、俺が端で寝るから......申し訳ないけどじゃんけんか何かで負けた人が隣で寝て」
「ヤスさんが選んでくれてもいいんですよ?(笑)」
「そういう後に引きそうなこと言わないで......」
「ふむ。私は別にヤスが隣でも構わんぞ」
「私も良いわよ♥」
「私はどうでもいいです」
「ヤスさん! モテモテですよ! 良かったですね(笑)」
「......眼中にないだけでは?」
全く男として見られていないようだ。拒否られるより地味に傷つく。
ジャンケーン。
ぽん
「私が隣になりました(笑)」
大丈夫だろうか......
✳︎ ✳︎ ✳︎
わしわし
「あのさエール......」
わしわし
「何ですかー?(笑)」
わしわし
「......何で俺は頭撫でられてるんだ?」
わしわし
「そこに頭があるからです(笑)」
わしわし
「嫌なら止めましょうか?(笑)」
「......嫌じゃないです」
「素直ないい子ですねー。よーしよしよし(笑)」
夜も更け、周りが寝静まった頃。
緊張して眠れなくなっていたヤスの頭をエールの手が包んでいた。
きゅ
エールの胸が視界に広がり、頭を抱かれたことに気づく。
初めは緊張して何も感じられなかったが、次第にエールの香りや体温がわかるようになった。
緊張が解けていくのを感じる。
「ふふっ、もうお眠ですかね(笑)」
「......んまだ」
まだ寝たくない。寝たくないが......
「......」
「おやすみなさい(笑)」
✳︎ ✳︎ ✳︎
「......さーん。ヤスさーん(笑)」
「......っ」
「朝ですよー(笑)」
昨夜のことを思い出す......これが毎日続くのでは身が持たない。
「......何とかして寝床を増やさなければ」
決意を胸に起き上がる。
「昨日はよく寝れましたか?(笑)」
「うっ」
「ふふっ、顔が赤いですよ?(笑)」
「あら? 何かあったの?」
「カンナさんおはようございます(笑)」
「ご飯作るの手伝う?」
「もう出来てるので、先に座っててください(笑)」
✳︎ ✳︎ ✳︎
朝食後
「ルン。飯食ったら2段ベッド作るから手伝ってくれ」
「別にベットじゃなくてもいいんじゃないですか?」
「確かに」
早速作業に取り掛かる。
「こんなの3分かかりませんよ」
薄い板を作り、家の壁にスライムで接着した。
「簡単だったな」
「もうDIY極めてますからね(笑)」
「家作った後だからもうなんでも作れる気がするよ」
「DIY極めましたね(笑)」
日課となったルンとのトレーニングの後、スライムで防具を作ろうという流れになった。
腹当てなど防御品を色々作っていると、いつの間にかカンナがスライムの椅子に座ってリンゴを食べている。
「おや、カンナさんお久しぶりです」
「ルンちゃんおひさー」
何だか元気がないように見える
「大丈夫ですか?(笑)」
「最近、不景気なのよねー」
町は領主の命令で、税が追加徴収になったらしい。そのせいで踊り子としての稼ぎも減ってしまったとのこと。
「踊り子やめて副業の方で生きて行こうかしら」
「副業?」
「まあね。でも安定しないのよねー」
安定しない副業......娼婦的なやつかな
「身体は大事にした方がいいですよ?」
「......違うわよ。失礼な男ね」
「違うんですか?」
「あれは趣味よ」
「趣味ならセーフですね(笑)」
セーフなの!?
「淫蕩って大罪の1つじゃなかった?」
「私は止めませんよ(笑)」
「ふむ。この世界は娯楽が少ないからな。性欲抜いたら食べ物くらいしか楽しみがない」
「タマキの言う通り退屈なんだもの。仕方ないじゃない」
この世界の娯楽は音楽や舞台ぐらいしかないらしく、興味がない人にとっては退屈で仕方ないのだろう。
「最近は何してても退屈なのよねー。何か面白いことないかしら」
「何かってなんですか?」
「んー? 世界征服とか?」
「特に予定はないですねー」
「あら残念」
暇つぶしが世界征服とか迷惑にも程がある。
「刺激的な生活はここにはないですけど、もし良ければここに住みますか? 固定費はかかりませんよ(笑)」
「うーん......そうね。新しい生活をすれば退屈も凌げるかもしれないわ。しばらくお世話になろうかしら」
✳︎ ✳︎ ✳︎
その日の夜
「さすがに狭くない?」
このままでは1人洞窟暮らしがスタートしてしまう。
「なんとかなりますよ。それに人が多い方が楽しいですよ(笑)」
「現になんとかなってないんだけど......」
この手狭な家に5人で暮らすのは厳しそうだ。どう寝ても重なってしまう。
寝場所を増やそうにも、この家は床と壁ががっちりくっついているので、これ以上床を広げるのは不可能だ。
「とりあえず、俺が端で寝るから......申し訳ないけどじゃんけんか何かで負けた人が隣で寝て」
「ヤスさんが選んでくれてもいいんですよ?(笑)」
「そういう後に引きそうなこと言わないで......」
「ふむ。私は別にヤスが隣でも構わんぞ」
「私も良いわよ♥」
「私はどうでもいいです」
「ヤスさん! モテモテですよ! 良かったですね(笑)」
「......眼中にないだけでは?」
全く男として見られていないようだ。拒否られるより地味に傷つく。
ジャンケーン。
ぽん
「私が隣になりました(笑)」
大丈夫だろうか......
✳︎ ✳︎ ✳︎
わしわし
「あのさエール......」
わしわし
「何ですかー?(笑)」
わしわし
「......何で俺は頭撫でられてるんだ?」
わしわし
「そこに頭があるからです(笑)」
わしわし
「嫌なら止めましょうか?(笑)」
「......嫌じゃないです」
「素直ないい子ですねー。よーしよしよし(笑)」
夜も更け、周りが寝静まった頃。
緊張して眠れなくなっていたヤスの頭をエールの手が包んでいた。
きゅ
エールの胸が視界に広がり、頭を抱かれたことに気づく。
初めは緊張して何も感じられなかったが、次第にエールの香りや体温がわかるようになった。
緊張が解けていくのを感じる。
「ふふっ、もうお眠ですかね(笑)」
「......んまだ」
まだ寝たくない。寝たくないが......
「......」
「おやすみなさい(笑)」
✳︎ ✳︎ ✳︎
「......さーん。ヤスさーん(笑)」
「......っ」
「朝ですよー(笑)」
昨夜のことを思い出す......これが毎日続くのでは身が持たない。
「......何とかして寝床を増やさなければ」
決意を胸に起き上がる。
「昨日はよく寝れましたか?(笑)」
「うっ」
「ふふっ、顔が赤いですよ?(笑)」
「あら? 何かあったの?」
「カンナさんおはようございます(笑)」
「ご飯作るの手伝う?」
「もう出来てるので、先に座っててください(笑)」
✳︎ ✳︎ ✳︎
朝食後
「ルン。飯食ったら2段ベッド作るから手伝ってくれ」
「別にベットじゃなくてもいいんじゃないですか?」
「確かに」
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