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第五章
皇族、集結-02
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ソレ――クアンタと名付けられた彼女の言葉を遮りながら、ヤエは近くにあった椅子を二個用意し、一個を率先して自分が座り、もう一つに指さして「座れ」と命じた。
それに従う理由は無いが、従わぬ理由もないので、椅子に腰かける。
「じゃあクアンタ。お前にいくつか教えなきゃならん事がある」
クアンタは返事をしない。するという考えがそもそもない。彼女には人間のやり取りを理解する理由が一つも存在しない。
「まずだ、私はこの地球における神さまだ。神さまはわかるか?」
「宗教信仰の対象であり、崇拝・畏怖されるものと認識」
「そんなものでいい。地球にはいっぱい神さまがいて、私はその内の一人だ。だから私は人間じゃないと思ってくれていい。元人間だけどな。
んでだ、私たちはお前らフォーリナーの侵攻を可能な限り穏便に済ませたい。この意味が理解できるか?」
「我々の侵略による統治ではなく、地球人類と我々との友好による和平を結びたいと仮定できる」
「いや、違う違う。人間はお前らみたいな外宇宙生命体の存在が確認されたらパニックさ。だから侵攻を辞めて帰って欲しいだけだ。私は秩序を司る神さまだから、秩序の乱れる要因となるお前らを許容できないのさ」
「拒否。地球人類は我々フォーリナーを受け入れ、全の一化を果たすべきである」
「【根源化】、ね。確かに全が一にまとまれば、それによって争いも何もかもなくなる。お前らからしたら地球人類ってのは歪な存在だろうな」
「肯定。故に地球人類は我々フォーリナーを受け入れ、全の一化を果たすべきである」
「だがな、地球人類……いや、このただっ広い数多の銀河には、そうした有機生命が個々に感情を抱き、生存を果たしている。
生存自体を目的とする者もいれば、生存そのものはあくまで結果であり、生存している間に発生した物事に対する欲求を持つ者もいる。地球人は大抵後者さ。
故に個々同士折り合いがつかず、争う事もある。そうした争いもまた、生存している間に発生した物事であり、広義に解釈すれば人間がそれを求めているんだ。全の一化を許容できる人類がそう多くいるとは思えんな」
「常に死と言う概念に苛まれる生命と言う存在は、不合理かつ不適切である。死の概念から切り離された一なる存在と進化する根源化こそ、生命という存在が至るべき結果だ」
「あー、分かった分かった。相容れないってのはな。まぁ、地球へ割くリソース分程度ならアルタネイティブで何とか出来るだろ。そっちは放っておこう」
彼女の言葉が理解できずにいたクアンタだったが、しかし次に彼女が起こした行動も、さらに理解が出来ずにいた。
ヤエは、その手に通信端末を持っていた。それはクアンタが知る限りではスマートフォンと呼ばれる、この地球で発展したパーソナルコンピュータの一種と見受けられる。
「じゃあコレの稼働テストでもして貰おうかな。ほら、持って持って」
通信端末を半ば強引に手渡されたクアンタだったが、彼女はそれに触れた瞬間に、先ほど体内に取り込んだUSBメモリよりも膨大な情報の濁流に襲われた。
グワンと身体を揺らしながら、しかしすぐに姿勢を正して「何だコレは」と問う。
「魔法少女変身補助システム、マジカリング・デバイスだ。コレが詳しく何かとか、使い方は触れただけで分かっただろう?」
「肯定、有機生命の肉体通しにおける戦闘行為の際に使用する戦闘用デバイスと認識。しかし、何故私にコレを」
「テストだ。変身してみろ」
クアンタは、ヤエの言葉に頷きながら、マジカリング・デバイスの先端部ボタンを押した。
画面に表示させる〈Magicaring Device MODE〉の表示。さらにはデバイスの音声出力スピーカーから機械音性が流れ出る。
〈Devicer・ON〉
「変身」
〈HENSHIN〉
右手で持ったデバイスを空へ向けて放り投げると同時に変身と唱え、落ちてきたデバイスの画面に左手の人差し指を突き出し、触れる。
瞬間、それまで着込んでいた黒のジャージではなく、赤を基本色とした衣服が着込まれた。スカートも同時に展開され、所々にレースとフリルの点在する衣装へと変化した事を確認。
変身を終えたクアンタが、その場で身体を軽く動かしながら、頭を前に傾け、頷く。
「身体機能二百五十パーセント上昇を確認」
「その位かぁ、やっぱ未完成品かなぁコレ。まぁ色々と付加機能付け加える事出来るから、応用力重視って感じだな」
フムフム、とクアンタの全身を観察し終えたヤエの「変身解除していいぞ」という声に頷き、変身を解除。
再び光が放たれ、変身を解除させると先ほどまで着込んでいたジャージに戻り、空から落ちてきたデバイスをキャッチする。
「ちょい失礼」
「あ」
クアンタからマジカリング・デバイスを奪った瞬間、強く彼女の胸元にデバイスを押し込むようにしたヤエ。
彼女の動作に合わせて、チャポンと沈んでいくように、デバイスが彼女の体内へ。
「埋め込んだから、出したい時は出力をイメージしろ。埋め込んでいるだけで人間の身体能力を百パーセント上昇させるから、それだけでも結構な戦闘力を有せるだろう」
「疑問。我々フォーリナーは身体を自由に変換させ、如何な戦闘能力を自身に付与することも可能である。何故こうした戦闘用デバイスを私に埋め込む必要があるのか」
「あー、そういうの、あんまり使うのやめとけ? 人間とかは自分と違う感じの輩を見ると警戒するものだし、そもそも法律やルールに縛られる存在だ。お前はあくまで先遣隊として派遣された監視要員だろう? そんなお前が好き勝手暴れたら、侵略の妨げになる。覚えておけ」
「――なるほど、理解。助言に感謝する」
「うんうん、感謝したまえ。……てなわけで」
ヤエが指を鳴らした瞬間。
クアンタの視界情報がゼロになった。
「あっちでも元気に暮らせよ。たまに様子見に行ってやる」
声だけが聞こえたが、しかし返事はしなかった。
それに従う理由は無いが、従わぬ理由もないので、椅子に腰かける。
「じゃあクアンタ。お前にいくつか教えなきゃならん事がある」
クアンタは返事をしない。するという考えがそもそもない。彼女には人間のやり取りを理解する理由が一つも存在しない。
「まずだ、私はこの地球における神さまだ。神さまはわかるか?」
「宗教信仰の対象であり、崇拝・畏怖されるものと認識」
「そんなものでいい。地球にはいっぱい神さまがいて、私はその内の一人だ。だから私は人間じゃないと思ってくれていい。元人間だけどな。
んでだ、私たちはお前らフォーリナーの侵攻を可能な限り穏便に済ませたい。この意味が理解できるか?」
「我々の侵略による統治ではなく、地球人類と我々との友好による和平を結びたいと仮定できる」
「いや、違う違う。人間はお前らみたいな外宇宙生命体の存在が確認されたらパニックさ。だから侵攻を辞めて帰って欲しいだけだ。私は秩序を司る神さまだから、秩序の乱れる要因となるお前らを許容できないのさ」
「拒否。地球人類は我々フォーリナーを受け入れ、全の一化を果たすべきである」
「【根源化】、ね。確かに全が一にまとまれば、それによって争いも何もかもなくなる。お前らからしたら地球人類ってのは歪な存在だろうな」
「肯定。故に地球人類は我々フォーリナーを受け入れ、全の一化を果たすべきである」
「だがな、地球人類……いや、このただっ広い数多の銀河には、そうした有機生命が個々に感情を抱き、生存を果たしている。
生存自体を目的とする者もいれば、生存そのものはあくまで結果であり、生存している間に発生した物事に対する欲求を持つ者もいる。地球人は大抵後者さ。
故に個々同士折り合いがつかず、争う事もある。そうした争いもまた、生存している間に発生した物事であり、広義に解釈すれば人間がそれを求めているんだ。全の一化を許容できる人類がそう多くいるとは思えんな」
「常に死と言う概念に苛まれる生命と言う存在は、不合理かつ不適切である。死の概念から切り離された一なる存在と進化する根源化こそ、生命という存在が至るべき結果だ」
「あー、分かった分かった。相容れないってのはな。まぁ、地球へ割くリソース分程度ならアルタネイティブで何とか出来るだろ。そっちは放っておこう」
彼女の言葉が理解できずにいたクアンタだったが、しかし次に彼女が起こした行動も、さらに理解が出来ずにいた。
ヤエは、その手に通信端末を持っていた。それはクアンタが知る限りではスマートフォンと呼ばれる、この地球で発展したパーソナルコンピュータの一種と見受けられる。
「じゃあコレの稼働テストでもして貰おうかな。ほら、持って持って」
通信端末を半ば強引に手渡されたクアンタだったが、彼女はそれに触れた瞬間に、先ほど体内に取り込んだUSBメモリよりも膨大な情報の濁流に襲われた。
グワンと身体を揺らしながら、しかしすぐに姿勢を正して「何だコレは」と問う。
「魔法少女変身補助システム、マジカリング・デバイスだ。コレが詳しく何かとか、使い方は触れただけで分かっただろう?」
「肯定、有機生命の肉体通しにおける戦闘行為の際に使用する戦闘用デバイスと認識。しかし、何故私にコレを」
「テストだ。変身してみろ」
クアンタは、ヤエの言葉に頷きながら、マジカリング・デバイスの先端部ボタンを押した。
画面に表示させる〈Magicaring Device MODE〉の表示。さらにはデバイスの音声出力スピーカーから機械音性が流れ出る。
〈Devicer・ON〉
「変身」
〈HENSHIN〉
右手で持ったデバイスを空へ向けて放り投げると同時に変身と唱え、落ちてきたデバイスの画面に左手の人差し指を突き出し、触れる。
瞬間、それまで着込んでいた黒のジャージではなく、赤を基本色とした衣服が着込まれた。スカートも同時に展開され、所々にレースとフリルの点在する衣装へと変化した事を確認。
変身を終えたクアンタが、その場で身体を軽く動かしながら、頭を前に傾け、頷く。
「身体機能二百五十パーセント上昇を確認」
「その位かぁ、やっぱ未完成品かなぁコレ。まぁ色々と付加機能付け加える事出来るから、応用力重視って感じだな」
フムフム、とクアンタの全身を観察し終えたヤエの「変身解除していいぞ」という声に頷き、変身を解除。
再び光が放たれ、変身を解除させると先ほどまで着込んでいたジャージに戻り、空から落ちてきたデバイスをキャッチする。
「ちょい失礼」
「あ」
クアンタからマジカリング・デバイスを奪った瞬間、強く彼女の胸元にデバイスを押し込むようにしたヤエ。
彼女の動作に合わせて、チャポンと沈んでいくように、デバイスが彼女の体内へ。
「埋め込んだから、出したい時は出力をイメージしろ。埋め込んでいるだけで人間の身体能力を百パーセント上昇させるから、それだけでも結構な戦闘力を有せるだろう」
「疑問。我々フォーリナーは身体を自由に変換させ、如何な戦闘能力を自身に付与することも可能である。何故こうした戦闘用デバイスを私に埋め込む必要があるのか」
「あー、そういうの、あんまり使うのやめとけ? 人間とかは自分と違う感じの輩を見ると警戒するものだし、そもそも法律やルールに縛られる存在だ。お前はあくまで先遣隊として派遣された監視要員だろう? そんなお前が好き勝手暴れたら、侵略の妨げになる。覚えておけ」
「――なるほど、理解。助言に感謝する」
「うんうん、感謝したまえ。……てなわけで」
ヤエが指を鳴らした瞬間。
クアンタの視界情報がゼロになった。
「あっちでも元気に暮らせよ。たまに様子見に行ってやる」
声だけが聞こえたが、しかし返事はしなかった。
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