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第五章
皇族、集結-07
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適度に休憩を挟みつつ、アメリア領首都・ファーフェから馬車で移動を開始して半日。
シドニア領首都・ミルガスの外れ、リンナ刀匠鍛冶場へと近付き、見慣れた景色にリンナがパッと表情を明るくさせた。
「ようやく帰ってきたーっ!」
「長旅だったからな。アメリアも疲れていないか?」
「主らと話しながらじゃっらからのぉ、そほど疲れは感じておらんぞ。――向こうの馬車ではシドニアがぐったりと寝ていそうじゃがな」
移動は行きの途中と同じく、アメリア、リンナ、クアンタの女性組を乗せた馬車と、シドニア、サーニスの男性組を乗せた馬車の二組に別れた。
特にこれと言った理由は無いのだが、一応護衛の関係上、シドニアとアメリアは別々の方が好ましいだろうという判断と、加えてアメリアとサーニスは仲がよろしくないという現状がある故、こうした形となったのだ。
「アメリア領も新鮮で楽しかったですけど、やっぱアタシはこっちの方が性に合ってんのかもしれないなぁ……あ! アメリア様がダメってわけじゃないんですけどね!?」
「気にするでないぞリンナ。そうした民草の意見も今後の参考になる故な、今回の招集会議が終わったら吾輩も軽くシドニア領を視察し、何か活かせる所がないかを探ろうと思う!」
とは言え、民主主義を騙る独裁政治を行うシドニア領と、共産主義思想のアメリア領ではそもそも正反対の政策・経済を基盤としている事から、そう視察に意味があるとは思えないのだが、と考えるクアンタを放って、今リンナ刀工鍛冶場の広々とした庭に、二台の馬車が到着。
「いやぁ、我が家に帰ってきただけだってのに、なんかすごい解放感だわね!」
「活き活きとしているなお師匠」
「そりゃ、馬車の中で縮こまってるよりは自宅の方がイキイキできるってもんでしょ!」
今、シドニアとサーニスが馬車を降り、自宅へと向かってくる光景が見えたので、クアンタが「迎え入れる準備をした方がいいのでは」と伝えると、リンナも「そうね!」と無い胸を張る。
「あんま大したおもてなしは出来ないけど、皇族の方々が五人も、しかもアタシの刀が必要になるかもしれない状況だもんね、準備しなきゃ!」
笑みを浮かべながら小走りで自宅へと向かおうとするリンナの姿を微笑ましく見据えていたが。
クアンタはそこで、風を切るような音を感知し、リンナの手を握り、彼女を守る様に抱き寄せた。
「え」
ちゅどーん、と音を奏でながら。
今、空から何かがリンナの自宅へと勢いよく墜ちてきた。
バキバキと家を構築する木材の折れていく音、そして何かが墜ちた結果、ドンドンと倒壊していく自宅の姿を見据えてあんぐりと大きく開いた口を開き、倒壊した自宅と、クアンタと、アメリア、そして今まさに何事だと駆け寄ってくるシドニアとサーニスと、視線を移していく。
「あ……、あ……っ、ああ……!?」
開いた口が塞がらないとはこの事か、と分かるほどに、発音どころか発声もままならぬリンナの無事を確認した所で、シドニアとサーニスが剣とレイピアを構えたまま、リンナを守る様に立ちふさがる。
「……サーニス、私には悪い予感がする……っ!」
「同感です。これは非常に悪い予感がします。もう予感じゃなくて事実なのでしょうが、自分はその事実を受け止めたくありません」
「な、なななな、なぁあああ? ななああ?」
「お師匠、気を確かに持つんだ」
口という漢字をそのまま表現したまま戻せぬリンナの肩を揺すりながら、彼女を正気に戻そうとするクアンタの行動もむなしく、彼女は背中から倒れ、気を失った。
一日ぶりに家へ帰ってきたタイミングで家が爆撃されて壊されましたとなれば、そうもなるかもしれない。
「いー、つつ。着地点ミスっちまったな。ここどこだぁ?」
倒壊した家から出てきた、一人の女性と思わしき人物。
その者が女性かどうかを一瞥しただけで判断できなかった要因は、整った綺麗な顔と反しすぎている、あまりに女性らしからぬ屈強な肉体が理由である。
はち切れんばかりの筋肉がボコッと盛り上がった全身、僅かに膨れ上がる乳房を見てようやく女性だと分かるほどに、肥大化した大胸筋を覆う布地、そしてパンパンに膨れ上がって、今まさに履いているズボンを破り割いてしまいそうな程の大腿四頭筋と大腿二頭筋、下腿三頭筋。
もう、その顔と乳房以外は、女性であるという特徴が掴めない程の、筋肉。
しかし、顔立ちは非常に端正だ。
シドニアやアメリアと同じく輝かしい金髪を耳元まで伸ばしたベリーショート、そして鋭い目付き、整った目・鼻・口などの作りは、二者に似ているとも感じられる。
「――おおぅ、シドニアにアメリア、それにサーニスもいるじゃねぇか」
その声も、鍛えられた発声器官から発せられた声だからか、非常に透き通って綺麗な女性の声。
声を聴くたびに、シドニアとサーニスはダクダクと汗を流しつつ、その手になんとゴルタナまで取り出した。
「シドニア、サーニス、奴は一体何者だ」
小声で問いかけるクアンタが、腰に備えた打刀・カネツグに触れるも、シドニアが「ヘンシンしろ」と早口で忠告した。
「何を」
「いいから、マホーショージョにヘンシンしろ」
「シドニア様に従えクアンタ! でなければ本当に」
殺されるぞ、と忠告しようとしたサーニスの首元を、何かが横切った。
彼の卓越した反射神経によって僅かに首を傾、要因で避ける事が出来たものの、今彼の首元を横切った何かが、背後にあった馬車の荷台に衝突、積んであったアメリアの用意した資料や書物、そして馬も空を舞わせる。
「……ノンキにお話するたぁ、余裕だなぁオイ」
女が何かを投擲したのだ。そしてその何かというのは、恐らく倒壊したリンナの自宅を形作ってた木材であり、今一度乱雑に掴んだそれを、投擲。
避けたクアンタ、サーニス、シドニアの横を高速で通り過ぎ、今地面へと墜ちた馬の眼前に突き刺さって、馬が「ぶもう……」と鳴きながらブルブルと震え、縮こまった。
その筋肉が織りなす圧倒的なパゥワーに、クアンタですらゾクリと恐怖を感じ、シドニアとサーニスの言う通り、マジカリング・デバイスを取り出し、変身を開始。
「変身……っ」
〈HENSHIN〉
放出された光に包まれたクアンタが、残心の魔法少女・クアンタへと変身を完了させる。
そしてシドニアとサーニスも続いてゴルタナを空へと放りながら『ゴルタナ起動』と声を重ね、唱えた。
サーニスの全身を包む黒一色の展開装甲、そしてシドニアの両腕両足を包む金の展開装甲を見据え、女性はニヤリと笑いながら、家宅の残骸に埋もれていた巨大な剣を、片手でヒョイと持ち上げ、肥大した右の僧帽筋で柄を支える。
巨大な剣の全長はおおよそ二メートル三十センチ以上、その重量はクアンタが視界情報から観察するだけでも、数百キログラムはあるだろうと目せる程だが、彼女はそれを難無く持ち上げ、今も涼しい顔でクアンタたちへ殺気を送り続けている。
「いいから教えろ、あの女は何者だ」
クアンタの声にも、若干の焦りすら見られる。シドニアとサーニスは相手との距離や状況を鑑みつつ、決して警戒を薄れさせる事無く、説明を開始する。
「――あの方はイルメール領を統治なされている、レアルタ皇国第一皇女、イルメール・ヴ・ラ・レアルタ様だ」
シドニア領首都・ミルガスの外れ、リンナ刀匠鍛冶場へと近付き、見慣れた景色にリンナがパッと表情を明るくさせた。
「ようやく帰ってきたーっ!」
「長旅だったからな。アメリアも疲れていないか?」
「主らと話しながらじゃっらからのぉ、そほど疲れは感じておらんぞ。――向こうの馬車ではシドニアがぐったりと寝ていそうじゃがな」
移動は行きの途中と同じく、アメリア、リンナ、クアンタの女性組を乗せた馬車と、シドニア、サーニスの男性組を乗せた馬車の二組に別れた。
特にこれと言った理由は無いのだが、一応護衛の関係上、シドニアとアメリアは別々の方が好ましいだろうという判断と、加えてアメリアとサーニスは仲がよろしくないという現状がある故、こうした形となったのだ。
「アメリア領も新鮮で楽しかったですけど、やっぱアタシはこっちの方が性に合ってんのかもしれないなぁ……あ! アメリア様がダメってわけじゃないんですけどね!?」
「気にするでないぞリンナ。そうした民草の意見も今後の参考になる故な、今回の招集会議が終わったら吾輩も軽くシドニア領を視察し、何か活かせる所がないかを探ろうと思う!」
とは言え、民主主義を騙る独裁政治を行うシドニア領と、共産主義思想のアメリア領ではそもそも正反対の政策・経済を基盤としている事から、そう視察に意味があるとは思えないのだが、と考えるクアンタを放って、今リンナ刀工鍛冶場の広々とした庭に、二台の馬車が到着。
「いやぁ、我が家に帰ってきただけだってのに、なんかすごい解放感だわね!」
「活き活きとしているなお師匠」
「そりゃ、馬車の中で縮こまってるよりは自宅の方がイキイキできるってもんでしょ!」
今、シドニアとサーニスが馬車を降り、自宅へと向かってくる光景が見えたので、クアンタが「迎え入れる準備をした方がいいのでは」と伝えると、リンナも「そうね!」と無い胸を張る。
「あんま大したおもてなしは出来ないけど、皇族の方々が五人も、しかもアタシの刀が必要になるかもしれない状況だもんね、準備しなきゃ!」
笑みを浮かべながら小走りで自宅へと向かおうとするリンナの姿を微笑ましく見据えていたが。
クアンタはそこで、風を切るような音を感知し、リンナの手を握り、彼女を守る様に抱き寄せた。
「え」
ちゅどーん、と音を奏でながら。
今、空から何かがリンナの自宅へと勢いよく墜ちてきた。
バキバキと家を構築する木材の折れていく音、そして何かが墜ちた結果、ドンドンと倒壊していく自宅の姿を見据えてあんぐりと大きく開いた口を開き、倒壊した自宅と、クアンタと、アメリア、そして今まさに何事だと駆け寄ってくるシドニアとサーニスと、視線を移していく。
「あ……、あ……っ、ああ……!?」
開いた口が塞がらないとはこの事か、と分かるほどに、発音どころか発声もままならぬリンナの無事を確認した所で、シドニアとサーニスが剣とレイピアを構えたまま、リンナを守る様に立ちふさがる。
「……サーニス、私には悪い予感がする……っ!」
「同感です。これは非常に悪い予感がします。もう予感じゃなくて事実なのでしょうが、自分はその事実を受け止めたくありません」
「な、なななな、なぁあああ? ななああ?」
「お師匠、気を確かに持つんだ」
口という漢字をそのまま表現したまま戻せぬリンナの肩を揺すりながら、彼女を正気に戻そうとするクアンタの行動もむなしく、彼女は背中から倒れ、気を失った。
一日ぶりに家へ帰ってきたタイミングで家が爆撃されて壊されましたとなれば、そうもなるかもしれない。
「いー、つつ。着地点ミスっちまったな。ここどこだぁ?」
倒壊した家から出てきた、一人の女性と思わしき人物。
その者が女性かどうかを一瞥しただけで判断できなかった要因は、整った綺麗な顔と反しすぎている、あまりに女性らしからぬ屈強な肉体が理由である。
はち切れんばかりの筋肉がボコッと盛り上がった全身、僅かに膨れ上がる乳房を見てようやく女性だと分かるほどに、肥大化した大胸筋を覆う布地、そしてパンパンに膨れ上がって、今まさに履いているズボンを破り割いてしまいそうな程の大腿四頭筋と大腿二頭筋、下腿三頭筋。
もう、その顔と乳房以外は、女性であるという特徴が掴めない程の、筋肉。
しかし、顔立ちは非常に端正だ。
シドニアやアメリアと同じく輝かしい金髪を耳元まで伸ばしたベリーショート、そして鋭い目付き、整った目・鼻・口などの作りは、二者に似ているとも感じられる。
「――おおぅ、シドニアにアメリア、それにサーニスもいるじゃねぇか」
その声も、鍛えられた発声器官から発せられた声だからか、非常に透き通って綺麗な女性の声。
声を聴くたびに、シドニアとサーニスはダクダクと汗を流しつつ、その手になんとゴルタナまで取り出した。
「シドニア、サーニス、奴は一体何者だ」
小声で問いかけるクアンタが、腰に備えた打刀・カネツグに触れるも、シドニアが「ヘンシンしろ」と早口で忠告した。
「何を」
「いいから、マホーショージョにヘンシンしろ」
「シドニア様に従えクアンタ! でなければ本当に」
殺されるぞ、と忠告しようとしたサーニスの首元を、何かが横切った。
彼の卓越した反射神経によって僅かに首を傾、要因で避ける事が出来たものの、今彼の首元を横切った何かが、背後にあった馬車の荷台に衝突、積んであったアメリアの用意した資料や書物、そして馬も空を舞わせる。
「……ノンキにお話するたぁ、余裕だなぁオイ」
女が何かを投擲したのだ。そしてその何かというのは、恐らく倒壊したリンナの自宅を形作ってた木材であり、今一度乱雑に掴んだそれを、投擲。
避けたクアンタ、サーニス、シドニアの横を高速で通り過ぎ、今地面へと墜ちた馬の眼前に突き刺さって、馬が「ぶもう……」と鳴きながらブルブルと震え、縮こまった。
その筋肉が織りなす圧倒的なパゥワーに、クアンタですらゾクリと恐怖を感じ、シドニアとサーニスの言う通り、マジカリング・デバイスを取り出し、変身を開始。
「変身……っ」
〈HENSHIN〉
放出された光に包まれたクアンタが、残心の魔法少女・クアンタへと変身を完了させる。
そしてシドニアとサーニスも続いてゴルタナを空へと放りながら『ゴルタナ起動』と声を重ね、唱えた。
サーニスの全身を包む黒一色の展開装甲、そしてシドニアの両腕両足を包む金の展開装甲を見据え、女性はニヤリと笑いながら、家宅の残骸に埋もれていた巨大な剣を、片手でヒョイと持ち上げ、肥大した右の僧帽筋で柄を支える。
巨大な剣の全長はおおよそ二メートル三十センチ以上、その重量はクアンタが視界情報から観察するだけでも、数百キログラムはあるだろうと目せる程だが、彼女はそれを難無く持ち上げ、今も涼しい顔でクアンタたちへ殺気を送り続けている。
「いいから教えろ、あの女は何者だ」
クアンタの声にも、若干の焦りすら見られる。シドニアとサーニスは相手との距離や状況を鑑みつつ、決して警戒を薄れさせる事無く、説明を開始する。
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