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第六章
円卓会議(ちゃぶ台)-03
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「その為、今後は刀の有用性を調べると共に、その供給元となるリンナの護衛が必要と判断します。伝承を鵜呑みにするわけではないが、しかし状況から判断するに、無視できない要因ではあるだろうとね」
「そこは吾輩も同意見じゃが、カルファスやアルハットは、魔術師や錬金術師として意見はあるか?」
二者共に、首を横に。異論はないと言う事だ。
「結構。――そして本事態に際し、我々皇族五人、そして各領土による協力は今後も不可欠と考える。
イルメールと私は、皇国軍や警兵隊との連携を強め、災い討伐に関する指揮系統の正式制定。
カルファスとアルハットには、魔術師や錬金術師としての視点から、今後の災い対策案の提示を。
さらにアメリアと私が、市民への情報操作及び混乱回避対策案を提示していく。
このような形で各領主、各領土同士による連携、及び協力をしていく事によって、一丸となり災いへ対処する事を提案するが、如何かな?」
「気にくわねェ」
ムクリと、今までちゃぶ台の上に顔を乗せて気絶していたイルメールが起き上がり、頭を押さえた。
「姉上、何時からお目覚めで?」
「あー……その協力がどうの、ってトコからだけどよォ、そもそもオレら、協力する必要あンのか? って事よ。
災いなんざ大した力も持ってねェ、そのマリルリンデとかいう奴も詳しく知らねェがブッ飛ばしゃいい話だろォが。
ていうか、オレが、オレより弱いオメェらと協力しなきゃならねェ理由もねェだろ?」
ギロリと、冷たく鋭い視線をシドニアに向けるイルメールに、シドニアも同様の視線を返す。
「本当に愚かな姉だ。貴女の言っていた脳筋という言葉は、まさしく貴女に相応しい」
「ハッ、褒め言葉だね! つーか筋肉も無くてゴルタナなんつー軟弱な外装に頼る事しか出来ねェ奴らに何が出来るッつーんだよ」
「では貴女に一つ、お伝えしなければならない事が」
「ンだよ」
「あそこにいる刀匠・リンナは、貴女に勝利しました。貴女の意見に従うならば、貴女は彼女の命令を聞く必要があるかと思われますが」
え、と。
リンナが目を見開きながら口にした瞬間。
イルメールが、リンナの姿を見据え、自分の頭に触れ、その場にいる全員へ、視線を向ける。
「……オレ、あのガキに負けたの?」
「いやその勝ったって言っても後ろから不意打ちでぶん殴ってしまっただけで道具の勝利っていうかなんていうかその誠にごめんなさいなんですけど」
手と首を横にブンブンと振りながら否定しつつ先ほどの事を謝るリンナ。謝る気が無いとしたが、しかし皇族、しかも危ない戦闘狂に目を付けられたくないという思いからかそう否定を口にしていく。
プルプルと震えながら、首を垂れたイルメール。怒っているのかと怯えるリンナだが、しかしイルメールは立ち上がり、リンナの眼前へジャンプし、座り込む。
「リンナっつったな!?」
「ひゃいっ!?」
危険を察知。
急ぎ、刀を手に取ったクアンタがイルメールの肩に手をやるが、しかし裏拳一発で台所まで殴り飛ばされたクアンタ。
「クアンタァ――ッ!?」
「リンナ」
「ひゃ、ひゃい……そ、その……っ」
「オレとお前で子供を作ろう」
「ゑ」
イルメールは自分の胸を隠すビキニ、履いていたズボンを脱ぎ捨てると、そのまま全裸になり、リンナの体を抱きしめる。
「にゃ、にゃにをぉう!?」
「最強のオレと、オレを倒した最強のお前がツガイになって、子供を作りゃ、最強の子が生まれるだろ?
アメリア、お前ン所で開発してる女同士で子供作る技術で、オレとリンナの子を作るぞ。こーいう時の為にオメェらと同盟組んで、オメェを次期皇帝に推してンだからな」
「構いはせんが、情事に及ぶ必要ないんじゃがのぉ……」
リンナの服を脱がしにかかるイルメールを何とか止めようとしたサーニスだが、サーニスも今イルメールの振るった拳を鳩尾に食らい、縁側と庭を超えて正面の森林にまで吹っ飛ばされる。
「サーニスさん――っ!? ちょ、脱がさないでください、マジで、アタシ処女なんですってば!? こんな乱暴な初めてイヤーッ!!」
「大丈夫だ、オレも初めてだ、それに女同士だろ? そんな痛くもねェだろうし痒くもねぇだろ!?」
「痒くはあるかもしれんぞ、気をつけい」
「アメリア様冷静に言ってないで止めて下さいませんか!?」
「姉上、その辺で止めておいた方が賢明かもですね。――彼女が本気を出します」
今、台所に吹き飛ばされていたクアンタが、僅かに表情を歪めながら、手に握っていた刀を、投げ放つ。
刀はまるでジェット噴射のような速度で投擲され、真っすぐにイルメールに向けて飛んでいく。
その刀を寸での所で避ける事に成功したイルメールだが、いつの間にか魔法少女への変身を果たしていたクアンタが、リンナの体を彼女から引き剥がすと同時に、イルメールの顎を掌底で殴打。
リンナを抱く事しか考えていなかったが故に避けれなかったイルメールが庭へと叩き出され、急いで起き上がろうとするも、しかし追撃が。
起き上がろうとした瞬間を狙った、腰の入った拳の一振り。
それがイルメールの鼻を殴打し、僅かに骨が折れる感覚を覚える。
「っ、――テメェッ、何しやがるッ!?」
「誰に許しを得て、私のお師匠に手を出しているッ!!」
普段のクアンタらしからぬ絶叫と、剣幕。
それにリンナも、アメリアも、シドニアまでもが驚き、今森林地帯から戻ろうとしていたサーニスさえも、驚き、口をポカンと開けていた。
「テメェのだァ!? 生意気言ってんじゃねェぞクアンタッ! テメェ程度が、このオレに勝った女を抱けると思ってンじゃねェぞ!?」
「生意気は貴様だ、イルメール・ヴ・ラ・レアルタッ!!
お師匠は私のお師匠であり、貴様の女ではないっ!! 私から奪おうとするならば――」
「ならば、何だ!?」
「殺す」
「そこは吾輩も同意見じゃが、カルファスやアルハットは、魔術師や錬金術師として意見はあるか?」
二者共に、首を横に。異論はないと言う事だ。
「結構。――そして本事態に際し、我々皇族五人、そして各領土による協力は今後も不可欠と考える。
イルメールと私は、皇国軍や警兵隊との連携を強め、災い討伐に関する指揮系統の正式制定。
カルファスとアルハットには、魔術師や錬金術師としての視点から、今後の災い対策案の提示を。
さらにアメリアと私が、市民への情報操作及び混乱回避対策案を提示していく。
このような形で各領主、各領土同士による連携、及び協力をしていく事によって、一丸となり災いへ対処する事を提案するが、如何かな?」
「気にくわねェ」
ムクリと、今までちゃぶ台の上に顔を乗せて気絶していたイルメールが起き上がり、頭を押さえた。
「姉上、何時からお目覚めで?」
「あー……その協力がどうの、ってトコからだけどよォ、そもそもオレら、協力する必要あンのか? って事よ。
災いなんざ大した力も持ってねェ、そのマリルリンデとかいう奴も詳しく知らねェがブッ飛ばしゃいい話だろォが。
ていうか、オレが、オレより弱いオメェらと協力しなきゃならねェ理由もねェだろ?」
ギロリと、冷たく鋭い視線をシドニアに向けるイルメールに、シドニアも同様の視線を返す。
「本当に愚かな姉だ。貴女の言っていた脳筋という言葉は、まさしく貴女に相応しい」
「ハッ、褒め言葉だね! つーか筋肉も無くてゴルタナなんつー軟弱な外装に頼る事しか出来ねェ奴らに何が出来るッつーんだよ」
「では貴女に一つ、お伝えしなければならない事が」
「ンだよ」
「あそこにいる刀匠・リンナは、貴女に勝利しました。貴女の意見に従うならば、貴女は彼女の命令を聞く必要があるかと思われますが」
え、と。
リンナが目を見開きながら口にした瞬間。
イルメールが、リンナの姿を見据え、自分の頭に触れ、その場にいる全員へ、視線を向ける。
「……オレ、あのガキに負けたの?」
「いやその勝ったって言っても後ろから不意打ちでぶん殴ってしまっただけで道具の勝利っていうかなんていうかその誠にごめんなさいなんですけど」
手と首を横にブンブンと振りながら否定しつつ先ほどの事を謝るリンナ。謝る気が無いとしたが、しかし皇族、しかも危ない戦闘狂に目を付けられたくないという思いからかそう否定を口にしていく。
プルプルと震えながら、首を垂れたイルメール。怒っているのかと怯えるリンナだが、しかしイルメールは立ち上がり、リンナの眼前へジャンプし、座り込む。
「リンナっつったな!?」
「ひゃいっ!?」
危険を察知。
急ぎ、刀を手に取ったクアンタがイルメールの肩に手をやるが、しかし裏拳一発で台所まで殴り飛ばされたクアンタ。
「クアンタァ――ッ!?」
「リンナ」
「ひゃ、ひゃい……そ、その……っ」
「オレとお前で子供を作ろう」
「ゑ」
イルメールは自分の胸を隠すビキニ、履いていたズボンを脱ぎ捨てると、そのまま全裸になり、リンナの体を抱きしめる。
「にゃ、にゃにをぉう!?」
「最強のオレと、オレを倒した最強のお前がツガイになって、子供を作りゃ、最強の子が生まれるだろ?
アメリア、お前ン所で開発してる女同士で子供作る技術で、オレとリンナの子を作るぞ。こーいう時の為にオメェらと同盟組んで、オメェを次期皇帝に推してンだからな」
「構いはせんが、情事に及ぶ必要ないんじゃがのぉ……」
リンナの服を脱がしにかかるイルメールを何とか止めようとしたサーニスだが、サーニスも今イルメールの振るった拳を鳩尾に食らい、縁側と庭を超えて正面の森林にまで吹っ飛ばされる。
「サーニスさん――っ!? ちょ、脱がさないでください、マジで、アタシ処女なんですってば!? こんな乱暴な初めてイヤーッ!!」
「大丈夫だ、オレも初めてだ、それに女同士だろ? そんな痛くもねェだろうし痒くもねぇだろ!?」
「痒くはあるかもしれんぞ、気をつけい」
「アメリア様冷静に言ってないで止めて下さいませんか!?」
「姉上、その辺で止めておいた方が賢明かもですね。――彼女が本気を出します」
今、台所に吹き飛ばされていたクアンタが、僅かに表情を歪めながら、手に握っていた刀を、投げ放つ。
刀はまるでジェット噴射のような速度で投擲され、真っすぐにイルメールに向けて飛んでいく。
その刀を寸での所で避ける事に成功したイルメールだが、いつの間にか魔法少女への変身を果たしていたクアンタが、リンナの体を彼女から引き剥がすと同時に、イルメールの顎を掌底で殴打。
リンナを抱く事しか考えていなかったが故に避けれなかったイルメールが庭へと叩き出され、急いで起き上がろうとするも、しかし追撃が。
起き上がろうとした瞬間を狙った、腰の入った拳の一振り。
それがイルメールの鼻を殴打し、僅かに骨が折れる感覚を覚える。
「っ、――テメェッ、何しやがるッ!?」
「誰に許しを得て、私のお師匠に手を出しているッ!!」
普段のクアンタらしからぬ絶叫と、剣幕。
それにリンナも、アメリアも、シドニアまでもが驚き、今森林地帯から戻ろうとしていたサーニスさえも、驚き、口をポカンと開けていた。
「テメェのだァ!? 生意気言ってんじゃねェぞクアンタッ! テメェ程度が、このオレに勝った女を抱けると思ってンじゃねェぞ!?」
「生意気は貴様だ、イルメール・ヴ・ラ・レアルタッ!!
お師匠は私のお師匠であり、貴様の女ではないっ!! 私から奪おうとするならば――」
「ならば、何だ!?」
「殺す」
応援ありがとうございます!
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