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第十六章
菊谷ヤエのドキドキ! 源の泉・探検ツアー(ポロリもあるよ)-02
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話が少し逸れているな、と気付いたクアンタが、話を戻す。
「例えば私や、お師匠の虚力をイルメールの傷口に直接注入したとしても、虚力自体は体細胞へ侵入出来ない為、既に浸蝕している部分の治癒は出来ない。
他の体細胞への浸蝕を抑える効果はあるだろうが、あくまで現状から悪化しない状態となる」
「でも、さっきは『不可能ではないが現実味に欠ける』って言ってたよね?」
「他に治療法がある為だ。傷口に直接虚力を注入する、いわゆる外部からの治療を試みる場合は効果がない。
考えられる治療方法としては、私かお師匠の虚力をイルメールの体内に多く移植し、貯蔵させ、イルメールの持つ精神高揚・細胞活性効果自体の性能を引き上げる事だ。これによって浸蝕現象への免疫力を高める他、体内の虚力が多くなることによって体細胞内へ侵入した固有能力を拡散させる可能性を高める、というわけだ」
二つ目は、先日までのクアンタを思い浮かべると、その虚力移植方法が分かりやすい。
虚力を他者から移植される場合、例えば愚母から直接虚力を奪う際にはキスをする事によって相手から虚力を吸い上げた。
他にもリンナから虚力を奪う際には、直接キス等によって大量の虚力を採取するとリンナの身体機能に影響を及ぼす可能性がある事から避けているが故に、首筋へのキスという少々効率の悪い方法を取らざるを得なくなっているものの、吸い上げる事を可能とする。
イルメールに虚力を差し出す場合は、この逆算処理を行う形となる。
以前、シドニアの微弱な虚力を吸い出した後に戻した際にも、こうした吸い出し処理と逆算処理を行った。
「じゃあ、クアンタちゃんかリンナちゃんがイル姉さまに虚力をあげれば、ひょっとしたら治るかもって」
「イヤだ」
ちなみに今の否定はクアンタから、物凄く早口で放たれた否定だった。
「えっと、それはクアンタちゃんがイル姉さまに虚力を上げるのが?」
「イヤだ」
「リンナちゃんがイル姉さまに虚力をあげるのも?」
「絶対にイヤだ」
「うーんと……イヤな理由を聞いても良い?」
「理由は三つだ」
「うん」
「一つは私がイルメールに虚力を移植する場合。移植する量にもよるが、この浸蝕を止める程の虚力量となると私からの移植は現実的ではない。先日までのように戦闘が出来ないほど虚力に困窮すると非常に厄介であるからこそ、拒否する」
「うん、まぁそれは分かる。二つ目は?」
「現状、お師匠の変身に関しては大量の虚力を消費する。その後に虚力増幅が行われていると言っても、一度に大量の虚力を失い、また還元される形であるからこそ、身体に影響を及ぼしている可能性は否定しきれない。故にこれ以上お師匠の身体へ負担をかける事は避けたい為、拒否する」
「うん、それも分かる。じゃあ三つめは?」
「私もイルメールに対して肉体接触による虚力移植をしたくないしお師匠にはもっとさせたくない」
「駄々っ子か!」
リンナがペシンとクアンタの頭を叩きつつ、しかし絶対に意見は変えないと言わんばかりに唇をム、とさせるので、カルファスもリンナもため息をつく。
「でも、そういう方法もあるって事なんだよね?」
「しかしあくまで仮説に過ぎないし、この方法でも解決するかは疑問が残る」
「そうなの?」
「元々人間の肉体に貯蔵できる虚力量には限りがあるからこそ、貯蔵量以上の虚力を移植した所で、時間経過で体外へと放出されてしまう。一人ひとりの虚力量がほとんど一定なのはその為だ。私やマリルリンデ、災いのような虚力を動力源や主食とする種の場合は別だが、人間は虚力そのものが生存に必要な種ではない。故に増やす手段が限られる、という事だ」
「つまり……イル姉さまに虚力を無理矢理移植したって、一時的にはそれを体内に貯蔵しても、その内に体外へ放出されちゃうって事?」
「肯定。だから『不可能ではないが現実味に欠ける』と発言をしたんだ」
「あーなるほどねぇ。クアンタちゃんが、リンナちゃんとイル姉さまのチュッチュが見たくないって意味じゃなかったんだね」
「勿論それは見たくない。それを見せられる位ならイルメールを殺すし、私もしたくない」
「クアンタ、一応人の命がかかってるんだよ!?」
「うーん、でもまぁそれでリンナちゃんやクアンタちゃんの現状が悪化しちゃうのはマズいねぇ」
クアンタの意見を受け取ったカルファスが納得した所で、イルメールの病室へと辿り着いた三人が、部屋のドアをコンコンとノック。
『開いてるぜー』
イルメールの声が聞こえたので、カルファスがスライドドアを開け、その中を見る。
――そこには、汗だくになりながら地面に手を付け、プルプルと震えながら腕立て伏せを行うアルハットの姿が。
「ふん……ぬぅううっ」
「アルハットあと三回だぞ! いいぞ良いぞ、上腕二頭筋と上腕三頭筋が震えあがって悦んでるッ! あと二回……あと一回……いやまだ終わらないぞ、限界の向こう側へ行くぜ! 追加であと五回だ!」
「イ……っ、イルメール姉さま……っ、も、もう私……限……限界……っ」
「と言いつつ二回こなしたな! じゃああと二回だ! 頑張れ頑張れ出来る出来るいけいけソコソコ――おっしオーケーッ!」
汗に塗れながら腕立て伏せを行って、今ペタンと病室の清潔な床に身体を倒したアルハットに「よくやった、良かったゾ!」と褒めたたえながら果糖水を渡したイルメール。
「おっすクアンタ、リンナ! オメェ等もトレーニングしてくか?」
「体調は良さそうだなイルメール」
「ぶっちゃけ腕が切断された以外でどこが悪くなってるのか全く分かんねぇ!」
顔を赤くして息を切らし、胸を上下に揺らしながら果糖水をガブガブと飲むアルハットに、リンナが近づく。
「アルハット、大丈夫?」
「り、リンナ……う、うん。大丈夫……」
アルハットは身体が熱くなったのか、着ていた王服の上着を脱いで、その肌着を晒した事によって、僅かだがその胸元が見える。
二十歳の、瑞々しくも張りのある肌、そして彼女の適度に育った胸元を見てリンナが「意外とあるぅ……っ」と若干顔を赤くしていたが、アルハットは気付かず、自分の二の腕を揉んだ。
「明日は筋肉痛です……」
「筋肉痛が翌日来るのは健康の証拠だ! しっかりと身体と筋肉の回復をさせた後に、同様のトレーニングを行って身体に負荷をかけていけよ! あと普段の食事に加えてタンパク質を多く摂る事!」
「はい……」
イルメールの病室に備えられていた身体を拭く為の布を用いて汗を拭ったアルハットが、どこかスッキリしたような面持ちでカルファスの所へ。
「カルファス姉さま、おはようございます」
「うん、おはよう……何してんのアルちゃん?」
「えっと……その、検診をしていたら、イル姉さまに『アルハット、オメェ贅肉付いたな』……と言われ……」
「……ダイエット?」
「……『ダイエットには適度な筋トレが一番』って」
恥ずかしそうに、しかし素直に答えるアルハットがどこか可愛らしかったのか、カルファスも軽く彼女の頭を撫でながら、しかしイルメールへと注意をする。
「イル姉さま、一応姉さまは重症患者なんだから、安静にしなきゃダメだよ?」
「だからオレは筋トレしてねェじゃンか。日課のトレーニングが出来なくてオレの筋肉が泣いてるぜ……」
なぁオレの筋肉たち! と自分の膨れ上がった筋肉に向けて話しかける姿はクアンタの生気が無い瞳を更にすん……と暗くさせるには十分なまでにどうでもいい姿である。
「ンで、オレが死ぬのは何とか回避出来そうなのか?」
クアンタが持ってきたフルーツセットにあった果実を乱雑に掴み、食らう彼女に、カルファスが先ほどクアンタとした会話を伝えた。
アルハットは興味深そうに聞いていたが、イルメールは途中から「コイツ等何言ってんだろ」みたいな表情であくびを浮かべていたし、理解はしていないだろう。
「端的に言っちゃえば『オレの筋肉が病状の進行を遅らせてるゼ!』って事か?」
「うん……まぁ、そう思ってればいいんじゃないかなぁ?」
「スゲェな、やっぱ筋肉は全てを解決するんだよ」
「イルメールはホントに前向きなのね……」
「お、ホレたかリンナ」
「そのポジティブさは見習う必要あるかなぁとは思うけども」
しかしそうしたポジティブさによって浸蝕を遅らせているという仮説がもし正しかったとしても、実際に浸蝕が行われていて、完全に止める事が出来ていないという事実に変わりはない。
どこかで対処を施さないといけないと考えつつ、アルハットが「そう言えば」と話を変えた。
「色々ゴタゴタしていて忘れていたのだけれど……クアンタ、ヤエさんから新型デバイスを渡されたのよね?」
「ああ。【エクステンデッド・ブースト】――私や、私の虚力に拡張機能を搭載させる事が出来るデバイスだ」
その左手首から、浮かび上がる様に出現する新型デバイスは、腕輪にマジカリング・デバイスをセットできるアタッチメントが搭載されている。
「クアンタの新型デバイスは、その愚母という災いの固有能力を拡散させる力があったのだとか」
「少々語弊はあるが、肯定だ。お師匠の虚力放出と原理は同じで、体外へ虚力を放出する事により相手の固有能力を弾いたが、あくまで一瞬動きを止める程度の効力しかない」
「それはクアンタの元々持っていた虚力や、愚母という災いから奪った虚力だけで成せたのかしら?」
「いや、このエクステンデッド・ブーストの持つ拡張機能故だ」
クアンタが放出を行った際の虚力消費量は全体から見れば数十分の一。だが、エクステンデッド・ブーストが虚力放出時にマナを投与する事によって少ない虚力量でも効果を増幅させる事が出来たのだと伝えると、アルハットとカルファスは「やっぱりコレか」と言わんばかりに頷いた。
「例えば私や、お師匠の虚力をイルメールの傷口に直接注入したとしても、虚力自体は体細胞へ侵入出来ない為、既に浸蝕している部分の治癒は出来ない。
他の体細胞への浸蝕を抑える効果はあるだろうが、あくまで現状から悪化しない状態となる」
「でも、さっきは『不可能ではないが現実味に欠ける』って言ってたよね?」
「他に治療法がある為だ。傷口に直接虚力を注入する、いわゆる外部からの治療を試みる場合は効果がない。
考えられる治療方法としては、私かお師匠の虚力をイルメールの体内に多く移植し、貯蔵させ、イルメールの持つ精神高揚・細胞活性効果自体の性能を引き上げる事だ。これによって浸蝕現象への免疫力を高める他、体内の虚力が多くなることによって体細胞内へ侵入した固有能力を拡散させる可能性を高める、というわけだ」
二つ目は、先日までのクアンタを思い浮かべると、その虚力移植方法が分かりやすい。
虚力を他者から移植される場合、例えば愚母から直接虚力を奪う際にはキスをする事によって相手から虚力を吸い上げた。
他にもリンナから虚力を奪う際には、直接キス等によって大量の虚力を採取するとリンナの身体機能に影響を及ぼす可能性がある事から避けているが故に、首筋へのキスという少々効率の悪い方法を取らざるを得なくなっているものの、吸い上げる事を可能とする。
イルメールに虚力を差し出す場合は、この逆算処理を行う形となる。
以前、シドニアの微弱な虚力を吸い出した後に戻した際にも、こうした吸い出し処理と逆算処理を行った。
「じゃあ、クアンタちゃんかリンナちゃんがイル姉さまに虚力をあげれば、ひょっとしたら治るかもって」
「イヤだ」
ちなみに今の否定はクアンタから、物凄く早口で放たれた否定だった。
「えっと、それはクアンタちゃんがイル姉さまに虚力を上げるのが?」
「イヤだ」
「リンナちゃんがイル姉さまに虚力をあげるのも?」
「絶対にイヤだ」
「うーんと……イヤな理由を聞いても良い?」
「理由は三つだ」
「うん」
「一つは私がイルメールに虚力を移植する場合。移植する量にもよるが、この浸蝕を止める程の虚力量となると私からの移植は現実的ではない。先日までのように戦闘が出来ないほど虚力に困窮すると非常に厄介であるからこそ、拒否する」
「うん、まぁそれは分かる。二つ目は?」
「現状、お師匠の変身に関しては大量の虚力を消費する。その後に虚力増幅が行われていると言っても、一度に大量の虚力を失い、また還元される形であるからこそ、身体に影響を及ぼしている可能性は否定しきれない。故にこれ以上お師匠の身体へ負担をかける事は避けたい為、拒否する」
「うん、それも分かる。じゃあ三つめは?」
「私もイルメールに対して肉体接触による虚力移植をしたくないしお師匠にはもっとさせたくない」
「駄々っ子か!」
リンナがペシンとクアンタの頭を叩きつつ、しかし絶対に意見は変えないと言わんばかりに唇をム、とさせるので、カルファスもリンナもため息をつく。
「でも、そういう方法もあるって事なんだよね?」
「しかしあくまで仮説に過ぎないし、この方法でも解決するかは疑問が残る」
「そうなの?」
「元々人間の肉体に貯蔵できる虚力量には限りがあるからこそ、貯蔵量以上の虚力を移植した所で、時間経過で体外へと放出されてしまう。一人ひとりの虚力量がほとんど一定なのはその為だ。私やマリルリンデ、災いのような虚力を動力源や主食とする種の場合は別だが、人間は虚力そのものが生存に必要な種ではない。故に増やす手段が限られる、という事だ」
「つまり……イル姉さまに虚力を無理矢理移植したって、一時的にはそれを体内に貯蔵しても、その内に体外へ放出されちゃうって事?」
「肯定。だから『不可能ではないが現実味に欠ける』と発言をしたんだ」
「あーなるほどねぇ。クアンタちゃんが、リンナちゃんとイル姉さまのチュッチュが見たくないって意味じゃなかったんだね」
「勿論それは見たくない。それを見せられる位ならイルメールを殺すし、私もしたくない」
「クアンタ、一応人の命がかかってるんだよ!?」
「うーん、でもまぁそれでリンナちゃんやクアンタちゃんの現状が悪化しちゃうのはマズいねぇ」
クアンタの意見を受け取ったカルファスが納得した所で、イルメールの病室へと辿り着いた三人が、部屋のドアをコンコンとノック。
『開いてるぜー』
イルメールの声が聞こえたので、カルファスがスライドドアを開け、その中を見る。
――そこには、汗だくになりながら地面に手を付け、プルプルと震えながら腕立て伏せを行うアルハットの姿が。
「ふん……ぬぅううっ」
「アルハットあと三回だぞ! いいぞ良いぞ、上腕二頭筋と上腕三頭筋が震えあがって悦んでるッ! あと二回……あと一回……いやまだ終わらないぞ、限界の向こう側へ行くぜ! 追加であと五回だ!」
「イ……っ、イルメール姉さま……っ、も、もう私……限……限界……っ」
「と言いつつ二回こなしたな! じゃああと二回だ! 頑張れ頑張れ出来る出来るいけいけソコソコ――おっしオーケーッ!」
汗に塗れながら腕立て伏せを行って、今ペタンと病室の清潔な床に身体を倒したアルハットに「よくやった、良かったゾ!」と褒めたたえながら果糖水を渡したイルメール。
「おっすクアンタ、リンナ! オメェ等もトレーニングしてくか?」
「体調は良さそうだなイルメール」
「ぶっちゃけ腕が切断された以外でどこが悪くなってるのか全く分かんねぇ!」
顔を赤くして息を切らし、胸を上下に揺らしながら果糖水をガブガブと飲むアルハットに、リンナが近づく。
「アルハット、大丈夫?」
「り、リンナ……う、うん。大丈夫……」
アルハットは身体が熱くなったのか、着ていた王服の上着を脱いで、その肌着を晒した事によって、僅かだがその胸元が見える。
二十歳の、瑞々しくも張りのある肌、そして彼女の適度に育った胸元を見てリンナが「意外とあるぅ……っ」と若干顔を赤くしていたが、アルハットは気付かず、自分の二の腕を揉んだ。
「明日は筋肉痛です……」
「筋肉痛が翌日来るのは健康の証拠だ! しっかりと身体と筋肉の回復をさせた後に、同様のトレーニングを行って身体に負荷をかけていけよ! あと普段の食事に加えてタンパク質を多く摂る事!」
「はい……」
イルメールの病室に備えられていた身体を拭く為の布を用いて汗を拭ったアルハットが、どこかスッキリしたような面持ちでカルファスの所へ。
「カルファス姉さま、おはようございます」
「うん、おはよう……何してんのアルちゃん?」
「えっと……その、検診をしていたら、イル姉さまに『アルハット、オメェ贅肉付いたな』……と言われ……」
「……ダイエット?」
「……『ダイエットには適度な筋トレが一番』って」
恥ずかしそうに、しかし素直に答えるアルハットがどこか可愛らしかったのか、カルファスも軽く彼女の頭を撫でながら、しかしイルメールへと注意をする。
「イル姉さま、一応姉さまは重症患者なんだから、安静にしなきゃダメだよ?」
「だからオレは筋トレしてねェじゃンか。日課のトレーニングが出来なくてオレの筋肉が泣いてるぜ……」
なぁオレの筋肉たち! と自分の膨れ上がった筋肉に向けて話しかける姿はクアンタの生気が無い瞳を更にすん……と暗くさせるには十分なまでにどうでもいい姿である。
「ンで、オレが死ぬのは何とか回避出来そうなのか?」
クアンタが持ってきたフルーツセットにあった果実を乱雑に掴み、食らう彼女に、カルファスが先ほどクアンタとした会話を伝えた。
アルハットは興味深そうに聞いていたが、イルメールは途中から「コイツ等何言ってんだろ」みたいな表情であくびを浮かべていたし、理解はしていないだろう。
「端的に言っちゃえば『オレの筋肉が病状の進行を遅らせてるゼ!』って事か?」
「うん……まぁ、そう思ってればいいんじゃないかなぁ?」
「スゲェな、やっぱ筋肉は全てを解決するんだよ」
「イルメールはホントに前向きなのね……」
「お、ホレたかリンナ」
「そのポジティブさは見習う必要あるかなぁとは思うけども」
しかしそうしたポジティブさによって浸蝕を遅らせているという仮説がもし正しかったとしても、実際に浸蝕が行われていて、完全に止める事が出来ていないという事実に変わりはない。
どこかで対処を施さないといけないと考えつつ、アルハットが「そう言えば」と話を変えた。
「色々ゴタゴタしていて忘れていたのだけれど……クアンタ、ヤエさんから新型デバイスを渡されたのよね?」
「ああ。【エクステンデッド・ブースト】――私や、私の虚力に拡張機能を搭載させる事が出来るデバイスだ」
その左手首から、浮かび上がる様に出現する新型デバイスは、腕輪にマジカリング・デバイスをセットできるアタッチメントが搭載されている。
「クアンタの新型デバイスは、その愚母という災いの固有能力を拡散させる力があったのだとか」
「少々語弊はあるが、肯定だ。お師匠の虚力放出と原理は同じで、体外へ虚力を放出する事により相手の固有能力を弾いたが、あくまで一瞬動きを止める程度の効力しかない」
「それはクアンタの元々持っていた虚力や、愚母という災いから奪った虚力だけで成せたのかしら?」
「いや、このエクステンデッド・ブーストの持つ拡張機能故だ」
クアンタが放出を行った際の虚力消費量は全体から見れば数十分の一。だが、エクステンデッド・ブーストが虚力放出時にマナを投与する事によって少ない虚力量でも効果を増幅させる事が出来たのだと伝えると、アルハットとカルファスは「やっぱりコレか」と言わんばかりに頷いた。
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