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第二十五章
侵略-07
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フォーリナー本体に取り込まれ、その内部リソースとして貯蔵されていた虚力を少しずつ本体に取り込まれていくクアンタは、僅かに残る思考を動かして、何故フォーリナーがここまで【愛】という概念を恐れるのか、それを考え続けていた。
(……フォーリナーには、感情が無い。故に、愛と言う概念を恐れる理由は無い筈だ)
だがおかしな話だ。
フォーリナーに感情が無いと言うのは理解できるが、ならば何故【感情】を司るエネルギーである虚力という存在が、フォーリナーの形作る為に不可欠であるのか。
『気付いたか、クアンタ』
声が聞こえた。その声が誰から放たれているのか、何故今、フォーリナーに取り込まれている筈のクアンタの意識に響くのか、その確たる証明は出来ないが、その口調と感覚から、それが菊谷ヤエ(B)からの声であると察した。
『フォーリナーには感情など本来ない。虚力を必要とするのは、フォーリナーにとっての矛盾だ』
(……矛盾?)
『元々フォーリナーという存在がどうして生まれたか、それは私たちにとっても定かじゃない。だが根源化を果たすという点においては、例えばカルファスの様に、魔術的な側面を以て叶える事も、錬金術的な側面を以て叶える事も出来た筈だ』
であるのに何故、虚力が必要だったのか。
それは【根源化】という進化の到達点に至ったフォーリナーだからこそ、求める概念だったのだろう。
『フォーリナーは根源化を果たして全なる存在となった。故に感情など本来必要は無い。だが、感情が無いだけの生命体が、次なる進化に求めるモノ――それもまた、感情なんだ』
例えば有機生命体が自身の【罪】とも言える、感情から生み出される争いを忌み嫌い、根源化を果たそうとするように。
根源化を果たした【全なる存在】が、進化の伴い様がない統一された思考や無感情という在り方から脱却を果たす為に、感情を求めた。
『いいかクアンタ。フォーリナーは確かに【根源化】を果たした。だが、フォーリナーによる根源化は、言ってしまえば不完全なんだ』
(そんな事は無い。フォーリナーは事実、全ての生態系を超越した存在だ)
『いいや違う。そもそもフォーリナーが本当に根源化を果たしたのならば、次なる進化を求める必要は無い。技術を求めて星々を渡り、侵略し、虚力を必要とする筈もない』
根源化とは、そもそも統一された一つの存在となる事を指している。
故に根源化を果たした後は進化の道を閉ざし、閉塞した中で個の意思が介在しない、終わりを遂げた存在になる事を意味する。
言葉を選ばずに表現するのならば、生命を統一する事による大規模集団自殺のようなものだ。
……かつて、人類という存在の悪性に絶望したカルファスが求めた根源化のように。
だが、フォーリナーはそうではなかった。
根源化を果たし、それでも尚――統一された一つの思考は、次なる進化を求めるという【願い】を抱いたのだ。
『次なる進化を求める――それは間違いなく【願い】であり、願いは【感情】から生み出される概念だ。そうして願いという概念を叶えようと存在する流体金属を形作る為には、虚力が必要だった』
故にフォーリナーは虚力を求めるのだ。
感情を必要ないと切り捨て、根源化を果たしたにも拘わらず――彼らは個を終わらせる事を、死を恐れ、次なる進化を求めてしまった。
『事実、お前とマリルリンデは、個としての自我を理解すると共に、次なる進化を求め、そして自分を強く表現できる感情を手にした。マリルリンデは【怒り】という感情を抱き、お前は【恐れ】という感情を抱くようになった』
だが感情を抱けるようになるというのは、フォーリナーにとっては【進化】とも【退化】とも解釈できる概念である。
『今、フォーリナーは迷っている。クアンタやマリルリンデによって手にする事が出来た、感情のデータを取り込み、感情を有した生命体として、根源化を果たした生命からの脱却を果たすか、それとも感情を不必要として、永遠なる孤独者となり得る……本当の根源化を果たすかを』
クアンタが未だに、僅かだけれど自我を有する事が出来る事もそれが理由である。
今この偽りのゴルサへと訪れている第二十三中隊は、機能こそ大本と同等のモノを有しているが、しかし大本との通信は遮断されている状況である。
クアンタやマリルリンデが手にし、情報として蓄積された感情を、もし大本へ共有する事を第二十三中隊が承認すれば、フォーリナーは根源化から脱した存在となるし。
感情を不必要だと判断すれば、クアンタは内部から意思を剥奪され、完全にフォーリナーの先兵として作り直される事となる。
『クアンタ、お前はどうしたい?』
問いかけるヤエの言葉は――どこか重々しく感じられた。
『正直に言おう。私は、お前と言う存在がどんな結論を下そうと、否定するつもりはない。それは、お前の生き方だ。……私には選ぶ事の出来ない、お前自身の生き方だからな。それを、否定できる筈も無い』
クアンタは、そうした彼女の言葉を聞いて――それでも尚、悩み続ける。
『こうして早めのご到着となってしまったが、来たる筈だった未来で、お前がどんな結末を歩んでいても対処できるように、私はこれから動く予定だった』
あくまでクアンタは、フォーリナーに対するカウンターの一つとして用意された存在だ。
かつてマリルリンデがそうであったように、もし彼女がどんな結末を望み、どんな願いを以て行動したとしても、どうとでも対処出来るように幾十もの手段を講じるのが、ヤエの役割である。
『その中には勿論、お前がゴルサの人類を見限り、フォーリナーとして生きる結末を想定したモノもあるし、マリルリンデがそうしたように、フォーリナーがどうではなく、お前自身が人類に憎しみを抱く事も、想定はしていた』
未来を観測する能力を持ち得るヤエも、実際に未来へ至る道筋で何が起こるかを完全には理解し得ないし、元々クアンタが「責任感が強く臆病な性格になる」と未来を観測しても、例えば責任感の現れからクアンタが狂ってしまう事も、十分に考えられた。
『それでもお前は、リンナさんと共に、この世界の人類を、人類の抱く感情や願いを守る、魔法少女でありたいと願ってくれた。……私は、それが嬉しかったよ』
クアンタは知らないが――ヤエ(B)は、ヤエ(A)が一時の願望を叶える為に作られた人格であり、彼女は役割に沿う形でしか、自分なりの意志で行動をする事が出来ない。
だけど――否、だからこそヤエ(B)は、神霊【コスモス】とは違い、善性よりも悪性が蔓延る世界で、自分らしく生きる生命という存在を、好いたのだ。
『餓鬼にも、豪鬼にも言ったがな――お前は、自分なりに生きる意味を見つけろ』
(……生きる、意味?)
『ああ。人間は皆、そうして生きている。そして私は、お前ならば……お前がこれまで積み重ねて来たモノがあれば、お前はフォーリナーなんて狭い括りから脱し、一人の人間として生きる事が出来る器だと信じている』
もう、ヤエが語れることは無いけれど、最後に一つだけ――マジカリング・デバイスを通して語られる通信を切る前に、一言だけ、彼女は言葉を残すのだ。
『クアンタ。お前はもしフォーリナーから脱したら――この異世界・ゴルサで、どんな生活を歩みたい?』
ヤエは、答えを聞かずに、通信を切った。
きっと、今のクアンタに問うても、答えられないと、知っているから。
そしてヤエの言葉が聞こえなくなった事で、クアンタは自分と共に取り込まれたマジカリング・デバイスと――リンナの打った打刀【リュウセイ】を握り、呟くのである。
(私は……私は……)
答えは、出ない。
**
クアンタを取り込んだフォーリナー第二十三中隊は、作戦の変更を行った。
第二十三中隊が駐留するリュート山脈を中心に地表の侵略を行い人類を淘汰した後に、地表から星の中枢までを侵蝕する作戦計画を、まずは脅威性の高い人類種の選別を行い、選別した存在の排除へ変更したのだ。
排除対象は以下の四人。
シドニア・ヴ・レ・レアルタ。
カルファス・ヴ・リ・レアルタ。
アルハット・ヴ・ロ・レアルタ。
サーニス・ブリティッシュ。
さらに、その周辺に在する人類を無差別的に攻撃するように設定する事で、同時に使役できる子機を増やす事も念頭に入れた作戦となった。
リュート山脈上空でフォーリナー迎撃を行うカルファスは、同時迎撃が可能な七体を越え、二十三体にも及ぶフォーリナーの先兵による攻撃を受け、既に三基のカルファスが自爆を余儀なくされており、現在四基目のカルファスも、フォーリナーの浸食されぬように動く事がやっとな状況であった。
「っ、!」
今、カルファスは砕け散るフォーリナーを蹴りつけて視界を開かせると同時に、三機のフォーリナーが降下しながら迫ってきている光景を捉えた。
「あーもうッ! アメちゃん助けに行ってる私はホントに何してんのよ……ッ!」
フォーリナーも当初はカルファスを取り込む事を優先して考えていたようだが、途中から取り込む事ではなく排除する事を念頭に入れたようで、その身を人型から戦闘機形態へと変化させ、高加速性能を以てカルファスへと迫りくる。
戦闘機形態の流体金属より放たれる、ミサイル型の物体は、おおよそ今のカルファスでは避け切る事等出来ない。
「回避が出来ないなら――ッ!」
カルファスは懐から取り出した宝石を砕きつつ、それをミサイルの飛来方向へ放り投げ、その上で起爆。
フレア状になった宝石が迫るミサイルを破壊しつつ、宝石と共に取り出した、キューブ状の外装システム――ゴルタナを強く握り締めた。
「ゴルタナ、起動――ッ!」
キューブ形状から溶けるように形を崩し、カルファスの身体を覆う、第三世代型ゴルタナ。カルファスは機動性こそ上がっていないものの、侵蝕能力の無いミサイルを撃ち込まれても死なぬ防御力に加えて自前の魔術強化を施し、ミサイル爆撃を全て受けながらもやり過ごす。
「ゴルタナの情報を持っていかれるかもしれないのは、あんまり好ましくないんだけど……ッ!」
爆撃により上がった煙から抜け出すように駆け出したカルファスと、爆撃を受けたにも関わらず生き残るカルファスに脅威度判定を更新したか、より高速に空を駆け始めるフォーリナー。
このままでは囮としての役割を果たすどころか、むしろカルファスやゴルタナの情報を取り込まれる事によって、状況が圧倒的に不利となる可能性の方が大きい。
「シドちゃん達は大丈夫かな……っ」
そう言葉にしつつ、自身の身体を急旋回させたカルファス。
――瞬間、カルファスは通信設備を用いた、彼女の声を聴いた。
(……フォーリナーには、感情が無い。故に、愛と言う概念を恐れる理由は無い筈だ)
だがおかしな話だ。
フォーリナーに感情が無いと言うのは理解できるが、ならば何故【感情】を司るエネルギーである虚力という存在が、フォーリナーの形作る為に不可欠であるのか。
『気付いたか、クアンタ』
声が聞こえた。その声が誰から放たれているのか、何故今、フォーリナーに取り込まれている筈のクアンタの意識に響くのか、その確たる証明は出来ないが、その口調と感覚から、それが菊谷ヤエ(B)からの声であると察した。
『フォーリナーには感情など本来ない。虚力を必要とするのは、フォーリナーにとっての矛盾だ』
(……矛盾?)
『元々フォーリナーという存在がどうして生まれたか、それは私たちにとっても定かじゃない。だが根源化を果たすという点においては、例えばカルファスの様に、魔術的な側面を以て叶える事も、錬金術的な側面を以て叶える事も出来た筈だ』
であるのに何故、虚力が必要だったのか。
それは【根源化】という進化の到達点に至ったフォーリナーだからこそ、求める概念だったのだろう。
『フォーリナーは根源化を果たして全なる存在となった。故に感情など本来必要は無い。だが、感情が無いだけの生命体が、次なる進化に求めるモノ――それもまた、感情なんだ』
例えば有機生命体が自身の【罪】とも言える、感情から生み出される争いを忌み嫌い、根源化を果たそうとするように。
根源化を果たした【全なる存在】が、進化の伴い様がない統一された思考や無感情という在り方から脱却を果たす為に、感情を求めた。
『いいかクアンタ。フォーリナーは確かに【根源化】を果たした。だが、フォーリナーによる根源化は、言ってしまえば不完全なんだ』
(そんな事は無い。フォーリナーは事実、全ての生態系を超越した存在だ)
『いいや違う。そもそもフォーリナーが本当に根源化を果たしたのならば、次なる進化を求める必要は無い。技術を求めて星々を渡り、侵略し、虚力を必要とする筈もない』
根源化とは、そもそも統一された一つの存在となる事を指している。
故に根源化を果たした後は進化の道を閉ざし、閉塞した中で個の意思が介在しない、終わりを遂げた存在になる事を意味する。
言葉を選ばずに表現するのならば、生命を統一する事による大規模集団自殺のようなものだ。
……かつて、人類という存在の悪性に絶望したカルファスが求めた根源化のように。
だが、フォーリナーはそうではなかった。
根源化を果たし、それでも尚――統一された一つの思考は、次なる進化を求めるという【願い】を抱いたのだ。
『次なる進化を求める――それは間違いなく【願い】であり、願いは【感情】から生み出される概念だ。そうして願いという概念を叶えようと存在する流体金属を形作る為には、虚力が必要だった』
故にフォーリナーは虚力を求めるのだ。
感情を必要ないと切り捨て、根源化を果たしたにも拘わらず――彼らは個を終わらせる事を、死を恐れ、次なる進化を求めてしまった。
『事実、お前とマリルリンデは、個としての自我を理解すると共に、次なる進化を求め、そして自分を強く表現できる感情を手にした。マリルリンデは【怒り】という感情を抱き、お前は【恐れ】という感情を抱くようになった』
だが感情を抱けるようになるというのは、フォーリナーにとっては【進化】とも【退化】とも解釈できる概念である。
『今、フォーリナーは迷っている。クアンタやマリルリンデによって手にする事が出来た、感情のデータを取り込み、感情を有した生命体として、根源化を果たした生命からの脱却を果たすか、それとも感情を不必要として、永遠なる孤独者となり得る……本当の根源化を果たすかを』
クアンタが未だに、僅かだけれど自我を有する事が出来る事もそれが理由である。
今この偽りのゴルサへと訪れている第二十三中隊は、機能こそ大本と同等のモノを有しているが、しかし大本との通信は遮断されている状況である。
クアンタやマリルリンデが手にし、情報として蓄積された感情を、もし大本へ共有する事を第二十三中隊が承認すれば、フォーリナーは根源化から脱した存在となるし。
感情を不必要だと判断すれば、クアンタは内部から意思を剥奪され、完全にフォーリナーの先兵として作り直される事となる。
『クアンタ、お前はどうしたい?』
問いかけるヤエの言葉は――どこか重々しく感じられた。
『正直に言おう。私は、お前と言う存在がどんな結論を下そうと、否定するつもりはない。それは、お前の生き方だ。……私には選ぶ事の出来ない、お前自身の生き方だからな。それを、否定できる筈も無い』
クアンタは、そうした彼女の言葉を聞いて――それでも尚、悩み続ける。
『こうして早めのご到着となってしまったが、来たる筈だった未来で、お前がどんな結末を歩んでいても対処できるように、私はこれから動く予定だった』
あくまでクアンタは、フォーリナーに対するカウンターの一つとして用意された存在だ。
かつてマリルリンデがそうであったように、もし彼女がどんな結末を望み、どんな願いを以て行動したとしても、どうとでも対処出来るように幾十もの手段を講じるのが、ヤエの役割である。
『その中には勿論、お前がゴルサの人類を見限り、フォーリナーとして生きる結末を想定したモノもあるし、マリルリンデがそうしたように、フォーリナーがどうではなく、お前自身が人類に憎しみを抱く事も、想定はしていた』
未来を観測する能力を持ち得るヤエも、実際に未来へ至る道筋で何が起こるかを完全には理解し得ないし、元々クアンタが「責任感が強く臆病な性格になる」と未来を観測しても、例えば責任感の現れからクアンタが狂ってしまう事も、十分に考えられた。
『それでもお前は、リンナさんと共に、この世界の人類を、人類の抱く感情や願いを守る、魔法少女でありたいと願ってくれた。……私は、それが嬉しかったよ』
クアンタは知らないが――ヤエ(B)は、ヤエ(A)が一時の願望を叶える為に作られた人格であり、彼女は役割に沿う形でしか、自分なりの意志で行動をする事が出来ない。
だけど――否、だからこそヤエ(B)は、神霊【コスモス】とは違い、善性よりも悪性が蔓延る世界で、自分らしく生きる生命という存在を、好いたのだ。
『餓鬼にも、豪鬼にも言ったがな――お前は、自分なりに生きる意味を見つけろ』
(……生きる、意味?)
『ああ。人間は皆、そうして生きている。そして私は、お前ならば……お前がこれまで積み重ねて来たモノがあれば、お前はフォーリナーなんて狭い括りから脱し、一人の人間として生きる事が出来る器だと信じている』
もう、ヤエが語れることは無いけれど、最後に一つだけ――マジカリング・デバイスを通して語られる通信を切る前に、一言だけ、彼女は言葉を残すのだ。
『クアンタ。お前はもしフォーリナーから脱したら――この異世界・ゴルサで、どんな生活を歩みたい?』
ヤエは、答えを聞かずに、通信を切った。
きっと、今のクアンタに問うても、答えられないと、知っているから。
そしてヤエの言葉が聞こえなくなった事で、クアンタは自分と共に取り込まれたマジカリング・デバイスと――リンナの打った打刀【リュウセイ】を握り、呟くのである。
(私は……私は……)
答えは、出ない。
**
クアンタを取り込んだフォーリナー第二十三中隊は、作戦の変更を行った。
第二十三中隊が駐留するリュート山脈を中心に地表の侵略を行い人類を淘汰した後に、地表から星の中枢までを侵蝕する作戦計画を、まずは脅威性の高い人類種の選別を行い、選別した存在の排除へ変更したのだ。
排除対象は以下の四人。
シドニア・ヴ・レ・レアルタ。
カルファス・ヴ・リ・レアルタ。
アルハット・ヴ・ロ・レアルタ。
サーニス・ブリティッシュ。
さらに、その周辺に在する人類を無差別的に攻撃するように設定する事で、同時に使役できる子機を増やす事も念頭に入れた作戦となった。
リュート山脈上空でフォーリナー迎撃を行うカルファスは、同時迎撃が可能な七体を越え、二十三体にも及ぶフォーリナーの先兵による攻撃を受け、既に三基のカルファスが自爆を余儀なくされており、現在四基目のカルファスも、フォーリナーの浸食されぬように動く事がやっとな状況であった。
「っ、!」
今、カルファスは砕け散るフォーリナーを蹴りつけて視界を開かせると同時に、三機のフォーリナーが降下しながら迫ってきている光景を捉えた。
「あーもうッ! アメちゃん助けに行ってる私はホントに何してんのよ……ッ!」
フォーリナーも当初はカルファスを取り込む事を優先して考えていたようだが、途中から取り込む事ではなく排除する事を念頭に入れたようで、その身を人型から戦闘機形態へと変化させ、高加速性能を以てカルファスへと迫りくる。
戦闘機形態の流体金属より放たれる、ミサイル型の物体は、おおよそ今のカルファスでは避け切る事等出来ない。
「回避が出来ないなら――ッ!」
カルファスは懐から取り出した宝石を砕きつつ、それをミサイルの飛来方向へ放り投げ、その上で起爆。
フレア状になった宝石が迫るミサイルを破壊しつつ、宝石と共に取り出した、キューブ状の外装システム――ゴルタナを強く握り締めた。
「ゴルタナ、起動――ッ!」
キューブ形状から溶けるように形を崩し、カルファスの身体を覆う、第三世代型ゴルタナ。カルファスは機動性こそ上がっていないものの、侵蝕能力の無いミサイルを撃ち込まれても死なぬ防御力に加えて自前の魔術強化を施し、ミサイル爆撃を全て受けながらもやり過ごす。
「ゴルタナの情報を持っていかれるかもしれないのは、あんまり好ましくないんだけど……ッ!」
爆撃により上がった煙から抜け出すように駆け出したカルファスと、爆撃を受けたにも関わらず生き残るカルファスに脅威度判定を更新したか、より高速に空を駆け始めるフォーリナー。
このままでは囮としての役割を果たすどころか、むしろカルファスやゴルタナの情報を取り込まれる事によって、状況が圧倒的に不利となる可能性の方が大きい。
「シドちゃん達は大丈夫かな……っ」
そう言葉にしつつ、自身の身体を急旋回させたカルファス。
――瞬間、カルファスは通信設備を用いた、彼女の声を聴いた。
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