273 / 285
最終章
クアンタとリンナ-05
しおりを挟む
問題はイルメールの事だけではない。
次なる問題はフォーリナー対応時に領民が多く目撃した、大量のカルファス・ヴ・リ・レアルタという存在についてである。
国内情勢が安定しない中、人々は多く皇族への疑念が募る上で最初に目を付けた話題がこの件についてであり、後にカルファス本人が表舞台に立ち、自分がかつて【根源化】を推し進めていた事を公表した。
魔術が盛んであるカルファス領では彼女の在り方に興味を抱く者も続出したが、しかし魔術発展がそう顕著ではない他の四領……それも魔術の栄えていないシドニア領では「命に対する冒涜ではないか」という声が多く上がる事態となった。
後にカルファス当人は、公の場でこう残している。
「まぁ、正直受け入れられる事は無いですよね」
多くの批判に晒された張本人である筈なのに、彼女はあっけらかんとした態度でその批判を受け入れていた。
「そもそも魔術師の価値観が魔術師じゃ無い人に理解してもらえるなんて思っていませんし、ていうか理解されても困るっていうか、ねェ。あ、生徒の皆も広報の人もここ、笑う所ですよ?」
カルファスの行った【根源化の紛い物】は、言ってしまえば「命の大量生産」と言っても良い。
オリジナルの親機が時の流れに逆らった固定空間に残され、その親機が有する脳を計算機代わりに稼働させる事も「命の冒涜」という言葉に説得力を持たせているし、何よりその親機の命令を聞く事でしか稼働する事が出来ない子機の命、双方に対する冒涜とされる意見は、カルファスも同意である。
だが、そうしたカルファスを裁く法律も存在しないし、彼女に何の罪があるかと言われれば、領民もそれ以上は口を開けない。
領民に出来る事は、そうした「普通の人間」とは価値観の異なる彼女が、皇帝となるのを阻止しなければならないという考えだけであり、そしてその考えにも、カルファスは納得している。
「そもそも私は、元から皇帝なんてガラじゃないし、その辺は弟のシドニアちゃんに任せます。私は――私みたいな狂った価値観の魔術師がいなくなって、人の命を正しく扱える、正しい魔術師がこれから世に多く出ていく事を願っています」
フォーリナー侵攻事件後、二ヶ月ほどの休校期間が設けられたカルファス・ファルム魔術学院の復学式で、彼女はこう言葉を残している。
多くの生徒たち、そして参列希望を出した広報事業社の切るシャッターの前で、カルファスは多くの子機を引き連れて教壇に並び立ち、声を上げる。
「ここにいる生徒の皆は、忘れないで下さい。魔術は……ううん、力というのはどんなものであっても、使い方を間違えれば、こうして命に対する冒涜が、幾らでも出来てしまうものなの」
「命の冒涜だけじゃない。フォーリナーの侵攻みたいに、私たち魔術師が本気で世界を牛耳ろうと思えば、出来てしまう。けれど、それは絶対にしてはならない、人の在り方に対する冒涜」
「人は、一人ひとりが違う存在だからこそ、面白いの。時にそうした違いが争いを生む事も、混乱を招く事もあるけれど、でもそうした違いを恐れたらダメで、でも恐れすぎない事も、時には誤りとなってしまう。……難しいですよね」
「でも、隣り合う人と、手と手を繋いで……笑い合って、泣き合って、時には喧嘩をし合って……そうしている内に、何時か本当の意味で、分かり合える時が来る」
「そうして分かり合う事が出来る【何時か】は、遥か遠い、彼方にある【何時か】かもしれない。――でも、それを諦めちゃいけない」
多くの子供たちが、記者たちが、口を開く事が出来ぬ中で――カルファス達は皆、涙を流しながら、言葉を発するのである。
「『少年よ、大志を抱け』――とある地で私が学んできた、私が強く惹かれた言葉です。この言葉を、絶対に忘れないでくださいね」
この日を境に、カルファスは表舞台から姿を消した。
カルファス・ファルム魔術学院の学長も辞め、皇族としての名は残しつつも、もう国政に手を出すつもりは無いと残して。
一部の人間はそれを「批判に対する逃げである」と批判したけれど――多くの人間は、彼女がそうした「人智を越えた存在であるからこそ姿を消したのだ」と、理解している。
**
そんなカルファスが今いる場所は、地球の秋音市。
雪と言う冬化粧で彩られた地を見下ろす事が出来る立地、成瀬伊吹が拠点とする家の一室で、ホットキャラメルラテを飲みながら解析を行うのは――かつて、リンナが破壊した『神霊殺し』の刃である。
「偽りのゴルサを離れて、本当に良かったのかい?」
カルファスの部屋にと用意された部屋に、ノックも無しで入ってくる男性が一人。
成瀬伊吹は、カルファスの背後に立ちながら、そのふんわりと巻かれたカールの効いた髪の毛に「随分とイメチェンをしたものだ」とため息をつきながら、彼女の答えを待つ。
「何さ。イブキンを殺す方法を探せって言ったのそっちじゃん」
「別に、俺の殺し方を探るなんてのは、偽りのゴルサでも出来るだろう」
「ゴルサより地球の方が魔術……いや【魔技】って言った方がいいか。魔技が発達してるから、こっちの方が色々と良い検証出来そうだしねェ。それに子機はゴルサに残してるから問題も無いし」
魔技とは、地球における魔術の総称で、正式には【魔法技術】と呼ばれている。
そうした魔技師を管理する為に【アルカディア・オマダ】という組織も存在し、カルファスが調べた限りでも、カルファスより優秀な魔技師が、この地球には数多く存在している。
「特にこの秋音市にいる伊麻宮夏海ちゃんと、伊麻宮冬二君は面白いねェ。夏海ちゃんはこの秋音市にある【泉】の管理をしているし、冬二君は神秘の翡翠を体内に宿しながらも力に溺れる事無く、まともな男の子として成長してる。……あの子達、絶対に私より優れた魔技師になる」
「もうあの二人に興味を抱いたか。だが、アルカディア・オマダを敵に回すと面倒だ。極力魔技師にはちょっかいをかけないでくれよ」
「はいはい――っとォッ!」
神霊殺しの刃を掴んで持ち上げ、不意打ちと言わんばかりに伊吹の腹へ刺し込んだカルファスだったが――しかし、彼は痛みも何も感じていないと言わんばかりに刃を引き抜き、カルファスの机へと優しく置いた。
「それにはもう、神霊殺しの為に必要な神聖が込められていない。リンナの刀が折られると、内包されていた虚力が失われる事と一緒だね」
「でもさぁ、ガルラさんに作れたんなら、他の神霊にも作れないの? こういう兵器」
「難しいだろうな。そもそもガルラや俺、ヤエのA・B双方含め、地球にいるパラケルススは十数人程度しかいない。ガルラのように武器を作る事に特化した者も、思い当たる節は無いかな」
「ってなると、そっちは望み薄かなぁー。あーヤダヤダ。私このままだとずーっとイブキンと一緒に居なきゃいけないなんてね」
「別に一緒にいる必要は無いけれど」
「私こっちに戸籍無いんだから、イブキンが私の身の回りをお世話してくれなきゃ協力なんか無理だも~ん」
ニヒヒ、と笑うカルファスの表情に反して、伊吹は深く深くため息をつく。
「……君は面白い人選だったが、早速君に色々とお願いした事を、後悔しているよ」
「もう遅いよぉ? イブキンの身体調べ尽くして、神霊と人間を分離する方法をゴルサに持ち帰るって決めてるんだもん」
用意されていた八画面のPCモニターに電源を入れ、全てを表示する。
そこには、地球にある全ての特殊機関が持ち得る情報が、リアルタイムに流されている。
偽りのゴルサにも存在した、世界中で災いと戦うプリステスを管理する――【聖堂教会】
五百年前に地球へ現れた、異世界からの侵略者を滅ぼす為に設立された宗教団体――【聖邦協会】
専守防衛しか果たす事の出来ない日本という国を守る為に、日夜人知れず戦う事を余儀なくされ、中には民衆に存在を知られるわけにはいかない異端の処理を任される事もある暗部――【日本防衛省情報局第四班】
国家警察を語るアメリカが、日本防衛省と共に数多のテロリズムに対抗する為、世界中で活動する事を目的に設立された――【米国国防総省第八特務班・アーミー】
数多の魔技師を管理し、何時の日か【源】の存在を証明する為に設立された――【アルカディア・オマダ】
錬金術の公正なる使役を理念とし、神秘の打破と錬金術の発展を望む錬金術師の管理組織――【ホーエンハイム院】
それぞれの持つ情報は膨大だ。
中には一般市民が知り得ない【異端】と呼ばれる存在に関するデータも含まれている事が、より二者の興味を誘う。
災厄をもたらす存在【災い】
異世界から訪れた、人々を襲う異形の怪物【ヴァンパイア】
かつてヴァンパイアを駆逐し、食物連鎖の頂点に達した存在【エネミー】
パラケルススの一人、ドルイド・カルロスの作り上げた神造殺戮兵器【レックス】
――そして遠い外宇宙より来訪せんと企む、カルファスにとっても因縁の相手でもある、流体金属生命体【フォーリナー】
カルファスと伊吹は二人で、その流れゆくデータを見据え続ける。
「こうした異端や、異端と戦う存在が、何時か俺を殺せる方法を見つけ出してくれると?」
「さぁてね。でも普通に捜してるだけじゃ、いっぱい時間かかっちゃうじゃん。せっかくインターネットなんて高性能情報伝達ツールが発達しているんだから、それを使わないなんて勿体ないない」
「別に俺は急いでいるわけじゃないけれど?」
「イブキンじゃなくて、私が急いでんの。別にイブキンの事なんか一割も考えちゃいないもん」
「然様で」
やれやれ、と首を振った伊吹が部屋を出ていく。
そうして一人になったカルファスは――最後に、家族全員で撮った、スマホの写真を見据え、一筋の涙を流す。
「何時の日か……神霊と人間を分離する方法、見つけて帰るから……待っててね、イル姉さま」
遠い遠いゴルサの世界で、カルファスの言ういつの日かを、イルメールは信じて生き続ける事だろう。
神霊【パワー】という存在と別つ事で、また二人が共に笑い合う日が訪れる為に。
カルファスは、協力者である成瀬伊吹を殺す事を夢見て――日夜情報と戦い続ける事を決意するのである。
次なる問題はフォーリナー対応時に領民が多く目撃した、大量のカルファス・ヴ・リ・レアルタという存在についてである。
国内情勢が安定しない中、人々は多く皇族への疑念が募る上で最初に目を付けた話題がこの件についてであり、後にカルファス本人が表舞台に立ち、自分がかつて【根源化】を推し進めていた事を公表した。
魔術が盛んであるカルファス領では彼女の在り方に興味を抱く者も続出したが、しかし魔術発展がそう顕著ではない他の四領……それも魔術の栄えていないシドニア領では「命に対する冒涜ではないか」という声が多く上がる事態となった。
後にカルファス当人は、公の場でこう残している。
「まぁ、正直受け入れられる事は無いですよね」
多くの批判に晒された張本人である筈なのに、彼女はあっけらかんとした態度でその批判を受け入れていた。
「そもそも魔術師の価値観が魔術師じゃ無い人に理解してもらえるなんて思っていませんし、ていうか理解されても困るっていうか、ねェ。あ、生徒の皆も広報の人もここ、笑う所ですよ?」
カルファスの行った【根源化の紛い物】は、言ってしまえば「命の大量生産」と言っても良い。
オリジナルの親機が時の流れに逆らった固定空間に残され、その親機が有する脳を計算機代わりに稼働させる事も「命の冒涜」という言葉に説得力を持たせているし、何よりその親機の命令を聞く事でしか稼働する事が出来ない子機の命、双方に対する冒涜とされる意見は、カルファスも同意である。
だが、そうしたカルファスを裁く法律も存在しないし、彼女に何の罪があるかと言われれば、領民もそれ以上は口を開けない。
領民に出来る事は、そうした「普通の人間」とは価値観の異なる彼女が、皇帝となるのを阻止しなければならないという考えだけであり、そしてその考えにも、カルファスは納得している。
「そもそも私は、元から皇帝なんてガラじゃないし、その辺は弟のシドニアちゃんに任せます。私は――私みたいな狂った価値観の魔術師がいなくなって、人の命を正しく扱える、正しい魔術師がこれから世に多く出ていく事を願っています」
フォーリナー侵攻事件後、二ヶ月ほどの休校期間が設けられたカルファス・ファルム魔術学院の復学式で、彼女はこう言葉を残している。
多くの生徒たち、そして参列希望を出した広報事業社の切るシャッターの前で、カルファスは多くの子機を引き連れて教壇に並び立ち、声を上げる。
「ここにいる生徒の皆は、忘れないで下さい。魔術は……ううん、力というのはどんなものであっても、使い方を間違えれば、こうして命に対する冒涜が、幾らでも出来てしまうものなの」
「命の冒涜だけじゃない。フォーリナーの侵攻みたいに、私たち魔術師が本気で世界を牛耳ろうと思えば、出来てしまう。けれど、それは絶対にしてはならない、人の在り方に対する冒涜」
「人は、一人ひとりが違う存在だからこそ、面白いの。時にそうした違いが争いを生む事も、混乱を招く事もあるけれど、でもそうした違いを恐れたらダメで、でも恐れすぎない事も、時には誤りとなってしまう。……難しいですよね」
「でも、隣り合う人と、手と手を繋いで……笑い合って、泣き合って、時には喧嘩をし合って……そうしている内に、何時か本当の意味で、分かり合える時が来る」
「そうして分かり合う事が出来る【何時か】は、遥か遠い、彼方にある【何時か】かもしれない。――でも、それを諦めちゃいけない」
多くの子供たちが、記者たちが、口を開く事が出来ぬ中で――カルファス達は皆、涙を流しながら、言葉を発するのである。
「『少年よ、大志を抱け』――とある地で私が学んできた、私が強く惹かれた言葉です。この言葉を、絶対に忘れないでくださいね」
この日を境に、カルファスは表舞台から姿を消した。
カルファス・ファルム魔術学院の学長も辞め、皇族としての名は残しつつも、もう国政に手を出すつもりは無いと残して。
一部の人間はそれを「批判に対する逃げである」と批判したけれど――多くの人間は、彼女がそうした「人智を越えた存在であるからこそ姿を消したのだ」と、理解している。
**
そんなカルファスが今いる場所は、地球の秋音市。
雪と言う冬化粧で彩られた地を見下ろす事が出来る立地、成瀬伊吹が拠点とする家の一室で、ホットキャラメルラテを飲みながら解析を行うのは――かつて、リンナが破壊した『神霊殺し』の刃である。
「偽りのゴルサを離れて、本当に良かったのかい?」
カルファスの部屋にと用意された部屋に、ノックも無しで入ってくる男性が一人。
成瀬伊吹は、カルファスの背後に立ちながら、そのふんわりと巻かれたカールの効いた髪の毛に「随分とイメチェンをしたものだ」とため息をつきながら、彼女の答えを待つ。
「何さ。イブキンを殺す方法を探せって言ったのそっちじゃん」
「別に、俺の殺し方を探るなんてのは、偽りのゴルサでも出来るだろう」
「ゴルサより地球の方が魔術……いや【魔技】って言った方がいいか。魔技が発達してるから、こっちの方が色々と良い検証出来そうだしねェ。それに子機はゴルサに残してるから問題も無いし」
魔技とは、地球における魔術の総称で、正式には【魔法技術】と呼ばれている。
そうした魔技師を管理する為に【アルカディア・オマダ】という組織も存在し、カルファスが調べた限りでも、カルファスより優秀な魔技師が、この地球には数多く存在している。
「特にこの秋音市にいる伊麻宮夏海ちゃんと、伊麻宮冬二君は面白いねェ。夏海ちゃんはこの秋音市にある【泉】の管理をしているし、冬二君は神秘の翡翠を体内に宿しながらも力に溺れる事無く、まともな男の子として成長してる。……あの子達、絶対に私より優れた魔技師になる」
「もうあの二人に興味を抱いたか。だが、アルカディア・オマダを敵に回すと面倒だ。極力魔技師にはちょっかいをかけないでくれよ」
「はいはい――っとォッ!」
神霊殺しの刃を掴んで持ち上げ、不意打ちと言わんばかりに伊吹の腹へ刺し込んだカルファスだったが――しかし、彼は痛みも何も感じていないと言わんばかりに刃を引き抜き、カルファスの机へと優しく置いた。
「それにはもう、神霊殺しの為に必要な神聖が込められていない。リンナの刀が折られると、内包されていた虚力が失われる事と一緒だね」
「でもさぁ、ガルラさんに作れたんなら、他の神霊にも作れないの? こういう兵器」
「難しいだろうな。そもそもガルラや俺、ヤエのA・B双方含め、地球にいるパラケルススは十数人程度しかいない。ガルラのように武器を作る事に特化した者も、思い当たる節は無いかな」
「ってなると、そっちは望み薄かなぁー。あーヤダヤダ。私このままだとずーっとイブキンと一緒に居なきゃいけないなんてね」
「別に一緒にいる必要は無いけれど」
「私こっちに戸籍無いんだから、イブキンが私の身の回りをお世話してくれなきゃ協力なんか無理だも~ん」
ニヒヒ、と笑うカルファスの表情に反して、伊吹は深く深くため息をつく。
「……君は面白い人選だったが、早速君に色々とお願いした事を、後悔しているよ」
「もう遅いよぉ? イブキンの身体調べ尽くして、神霊と人間を分離する方法をゴルサに持ち帰るって決めてるんだもん」
用意されていた八画面のPCモニターに電源を入れ、全てを表示する。
そこには、地球にある全ての特殊機関が持ち得る情報が、リアルタイムに流されている。
偽りのゴルサにも存在した、世界中で災いと戦うプリステスを管理する――【聖堂教会】
五百年前に地球へ現れた、異世界からの侵略者を滅ぼす為に設立された宗教団体――【聖邦協会】
専守防衛しか果たす事の出来ない日本という国を守る為に、日夜人知れず戦う事を余儀なくされ、中には民衆に存在を知られるわけにはいかない異端の処理を任される事もある暗部――【日本防衛省情報局第四班】
国家警察を語るアメリカが、日本防衛省と共に数多のテロリズムに対抗する為、世界中で活動する事を目的に設立された――【米国国防総省第八特務班・アーミー】
数多の魔技師を管理し、何時の日か【源】の存在を証明する為に設立された――【アルカディア・オマダ】
錬金術の公正なる使役を理念とし、神秘の打破と錬金術の発展を望む錬金術師の管理組織――【ホーエンハイム院】
それぞれの持つ情報は膨大だ。
中には一般市民が知り得ない【異端】と呼ばれる存在に関するデータも含まれている事が、より二者の興味を誘う。
災厄をもたらす存在【災い】
異世界から訪れた、人々を襲う異形の怪物【ヴァンパイア】
かつてヴァンパイアを駆逐し、食物連鎖の頂点に達した存在【エネミー】
パラケルススの一人、ドルイド・カルロスの作り上げた神造殺戮兵器【レックス】
――そして遠い外宇宙より来訪せんと企む、カルファスにとっても因縁の相手でもある、流体金属生命体【フォーリナー】
カルファスと伊吹は二人で、その流れゆくデータを見据え続ける。
「こうした異端や、異端と戦う存在が、何時か俺を殺せる方法を見つけ出してくれると?」
「さぁてね。でも普通に捜してるだけじゃ、いっぱい時間かかっちゃうじゃん。せっかくインターネットなんて高性能情報伝達ツールが発達しているんだから、それを使わないなんて勿体ないない」
「別に俺は急いでいるわけじゃないけれど?」
「イブキンじゃなくて、私が急いでんの。別にイブキンの事なんか一割も考えちゃいないもん」
「然様で」
やれやれ、と首を振った伊吹が部屋を出ていく。
そうして一人になったカルファスは――最後に、家族全員で撮った、スマホの写真を見据え、一筋の涙を流す。
「何時の日か……神霊と人間を分離する方法、見つけて帰るから……待っててね、イル姉さま」
遠い遠いゴルサの世界で、カルファスの言ういつの日かを、イルメールは信じて生き続ける事だろう。
神霊【パワー】という存在と別つ事で、また二人が共に笑い合う日が訪れる為に。
カルファスは、協力者である成瀬伊吹を殺す事を夢見て――日夜情報と戦い続ける事を決意するのである。
0
あなたにおすすめの小説
異世界ニートを生贄に。
ハマハマ
ファンタジー
『勇者ファネルの寿命がそろそろやばい。あいつだけ人族だから当たり前だったんだが』
五英雄の一人、人族の勇者ファネルの寿命は尽きかけていた。
その代わりとして、地球という名の異世界から新たな『生贄』に選ばれた日本出身ニートの京野太郎。
その世界は七十年前、世界の希望・五英雄と、昏き世界から来た神との戦いの際、辛くも昏き世界から来た神を倒したが、世界の核を破壊され、1/4を残して崩壊。
残された1/4の世界を守るため、五英雄は結界を張り、結界を維持する為にそれぞれが結界の礎となった。
そして七十年後の今。
結界の新たな礎とされるべく連れて来られた日本のニート京野太郎。
そんな太郎のニート生活はどうなってしまう? というお話なんですが、主人公は五英雄の一人、真祖の吸血鬼ブラムの子だったりします。
「キヅイセ。」 ~気づいたら異世界にいた。おまけに目の前にはATMがあった。異世界転移、通算一万人目の冒険者~
あめの みかな
ファンタジー
秋月レンジ。高校2年生。
彼は気づいたら異世界にいた。
その世界は、彼が元いた世界とのゲート開通から100周年を迎え、彼は通算一万人目の冒険者だった。
科学ではなく魔法が発達した、もうひとつの地球を舞台に、秋月レンジとふたりの巫女ステラ・リヴァイアサンとピノア・カーバンクルの冒険が今始まる。
異世界転移物語
月夜
ファンタジー
このところ、日本各地で謎の地震が頻発していた。そんなある日、都内の大学に通う僕(田所健太)は、地震が起こったときのために、部屋で非常持出袋を整理していた。すると、突然、めまいに襲われ、次に気づいたときは、深い森の中に迷い込んでいたのだ……
あなたは異世界に行ったら何をします?~良いことしてポイント稼いで気ままに生きていこう~
深楽朱夜
ファンタジー
13人の神がいる異世界《アタラクシア》にこの世界を治癒する為の魔術、異界人召喚によって呼ばれた主人公
じゃ、この世界を治せばいいの?そうじゃない、この魔法そのものが治療なので後は好きに生きていって下さい
…この世界でも生きていける術は用意している
責任はとります、《アタラクシア》に来てくれてありがとう
という訳で異世界暮らし始めちゃいます?
※誤字 脱字 矛盾 作者承知の上です 寛容な心で読んで頂けると幸いです
※表紙イラストはAIイラスト自動作成で作っています
フィフティドールは笑いたい 〜謎の組織から支援を受けてるけど怪し過ぎるんですけど!?〜
狐隠リオ
ファンタジー
偉大なる魔女の守護者、それが騎士。
大勢の若者たちがその英雄譚に魅了され、その道へと歩み始めていた。
だけど俺、志季春護は騎士を目指しながらも他とは少し違かった。
大勢を護るために戦うのではなく、残された二人の家族を護るために剣を振るう。
妹の夏実と姉の冬華。二人を護るために春護は努力を続けていた。
だけど……二人とも失ってしまった。
死の淵を彷徨った俺は一人の少女と出会い、怪しげな彼女と契約を交わしたんだ。
契約によって得た新たな力を使い俺は進む。騎士の相棒である水花と共に。
好意的だけど底の知れないナニカの助力を受け、少年は強さを求める。
家族の仇を取るために、魔族を討滅するために。
異世界と地球がダンジョンで繋がった ー異世界転移者の私ー
黒木夏
ファンタジー
2040年の初春、突如として地球上の主要都市に謎のダンジョンが出現した。
その特異性は明らかで、人口密集地を中心に出現し、未開の地には一切現れないという法則性を帯びていた。
人々は恐怖に震えつつも、未知なる存在に対する好奇心を抑えきれなかった。
異世界転移した最強の主人公のほのぼのライフ
『召喚ニートの異世界草原記』
KAORUwithAI
ファンタジー
ゲーム三昧の毎日を送る元ニート、佐々木二郎。
ある夜、三度目のゲームオーバーで眠りに落ちた彼が目を覚ますと、そこは見たこともない広大な草原だった。
剣と魔法が当たり前に存在する世界。だが二郎には、そのどちらの才能もない。
――代わりに与えられていたのは、**「自分が見た・聞いた・触れたことのあるものなら“召喚”できる」**という不思議な能力だった。
面倒なことはしたくない、楽をして生きたい。
そんな彼が、偶然出会ったのは――痩せた辺境・アセトン村でひとり生きる少女、レン。
「逃げて!」と叫ぶ彼女を前に、逃げようとした二郎の足は動かなかった。
昔の記憶が疼く。いじめられていたあの日、助けを求める自分を誰も救ってくれなかったあの光景。
……だから、今度は俺が――。
現代の知恵と召喚の力を武器に、ただの元ニートが異世界を駆け抜ける。
少女との出会いが、二郎を“召喚者”へと変えていく。
引きこもりの俺が、異世界で誰かを救う物語が始まる。
※こんな物も召喚して欲しいなって
言うのがあればリクエストして下さい。
出せるか分かりませんがやってみます。
大学生活を謳歌しようとしたら、女神の勝手で異世界に転送させられたので、復讐したいと思います
町島航太
ファンタジー
2022年2月20日。日本に住む善良な青年である泉幸助は大学合格と同時期に末期癌だという事が判明し、短い人生に幕を下ろした。死後、愛の女神アモーラに見初められた幸助は魔族と人間が争っている魔法の世界へと転生させられる事になる。命令が嫌いな幸助は使命そっちのけで魔法の世界を生きていたが、ひょんな事から自分の死因である末期癌はアモーラによるものであり、魔族討伐はアモーラの私情だという事が判明。自ら手を下すのは面倒だからという理由で夢のキャンパスライフを失った幸助はアモーラへの復讐を誓うのだった。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる