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第九章
兵器足りえるもの-06
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「オメェ、銃口が見えてねぇのか……?」
『何言ってんのかわかんないけど――名乗るよ。
My name is 島根のどか! ナイストゥミティトゥーっ!』
リントヴルムの背筋を通る、何やらゾワゾワとした殺気。
それは、このシマネノドカと名乗る少女から発せられるものだ。
「おいおいおい、何だってんだぁ、こりゃあ」
ノドカ機が、レーザーサーベルを二対構え、接近する。
それを避け、銃弾を放ち、手を伸ばし、弾かれ――そんな戦いをしている内に、リントヴルムは口から溢れ出る涎が止まらなかった。
「お前もしかしなくてもAD学園のガキだよなぁ!? キャハッ、たまんねぇよなぁ、たまんねぇよッ!!」
リントヴルムがダガーナイフを持ち、レーザーサーベルを持つ秋風と接触する。
レーザーサーベルの柄部分をダガーナイフで切り落とすと、ノドカ機は即座に右脚部を五号機の腹部へ突き付け、蹴る。
十メートルほど蹴とばされる五号機だが、しかしリントヴルムは笑う。
そして――対するノドカも、また笑う。
「オリヒメの次位にゃぁ、お前がハニィだぜっ!!」
『これが実戦、これが戦場、ホントADって――愉しいッ!!』
戦場を駆ける二機のADがそれぞれの愉悦を感じている時。
ヴィスナーは事前に予測されていなかった秋風の襲来に、苛立ちを隠せずにいた。
(何よこれ、こんなの事前計画に無かったじゃん。やっぱあのシューイチってばあてになんない。
やっぱアタシに必要な人はお父様だけ。お父様、シューイチにレイスを預けて、どこに)
突如、未だ海上からプロスパーまで滑空を行っている一機の秋風が、その背部に背負う115㎜滑腔砲を構え、放ってきた。
確か事前にシューイチより貰っていたデータに、都合四機分設計されたフルフレームタイプのプラスデータを搭載した機体だ。
しかし、残る三機は簡単に持ち場を離れる事の出来ない自衛隊所属だ。残る一機は、AD学園に所属する成績優秀生徒と聞いている。
『学生ぃ……?』
ヴィスナーも実年齢は十五歳だ。日本の年齢では高校に通っていてもおかしくはない。
だが、自分のように戦場で育ったわけでもない奴が偉そうに――と、今ようやくプロスパー港へと辿り着いたフルフレームへと、腰部のレールガンを装填、放つ。
電磁砲は速い初速によって瞬時にフルフレームへと跳んでいくが、しかしフルフレームは機体を僅かに逸らす事でそれを避け、二発の電磁砲は海上へと着弾した。
続いて、115㎜の二発目が襲来。元々着弾させるには距離があるので、これを難なく回避する事に成功したが――
そこで、同じ方向からだが、違う機体から、もう一射。
プロスパー港へと帰島しようとするスタウトの甲板から、一機の秋風が狙い打った滑腔砲だ。
しかし距離は未だに五キロ以上離れている筈だ。
だが、間違いなく弾頭は、ヴィスナーの駆る二号機への着弾コース!
寸での所で回避が間に合ったが、もう一秒放たれていた事に気付いていなければ、堕とされていたのはこちらだ。
そして、その弾頭に驚いている暇もなく、フルフレームが接近する。
『貴方は英語か中京語は話せますか?』
『戦場で口開くなんて、良いご身分じゃない、糞豚が』
英語か中京語がお好みの様なので、英語で返してやる。
フルフレームに搭載された四川は、刃に熱を通したヒートサーベル状態となる。ただのダガーナイフで受けるわけにはいかないので、上段で振り切られた一振りを避けた後、右脚部の回し蹴りで応戦したヴィスナー。
『我々は日本防衛省情報局第四班六課所属だ。貴君らの行為は明らかな侵略行為である。速やかに撤収、もしくは降伏なさい』
『だから、戦場で口開くなんて――いいご身分だっつってんのよ、糞豚野郎ォおおっ!!』
冷却を終えたレールガンを放つ。避けられるが、それは計算付くだ。
――しかし、当たると思っていなかった弾は、後に飛来した残る一機の秋風に着弾した事を、ヴィスナーは知らない。
**
「島根、久世先輩、神崎……村上ぃ!?」
リントヴルムと思わしき機体と交戦を開始した島根機、もう一機と交戦を開始した久世先輩のフルフレーム、スタウトより援護射撃を続ける神崎機の続々登場に驚いていたオレが、次に驚いたのは明らかにアイツを狙ってないにも関わらず腹部近くに着弾した村上機にだよ!?
「ちょ、無事か村上!」
『いー、っつ、無事無事!』
呑気な声が聞こえた。どうやら上手く電子系統は外れていたようで、ゆっくりと降下してきた村上の駆る秋風。
今回海上と空戦が主になるだろうとして高機動パックを選択していたらしく、彼は港に秋風を放置、消火班がそれに近づいた。
「ホントに大丈夫かお前!」
「あ、うん。相変わらずの強運でばっちし!」
いや逆。あれ明らかにお前狙ってなかったのにお前に当たったの。
「……ダディ、やっぱりオレ達が」
『だから邪魔だ。そこにいるか避難しろ』
聞く耳持たず、といった所だが、このままではオレの友達が危険になる。ただ従っているだけではダメだと、反論を口にする。
「ダディは雷神プロジェクトの事を何にも分かっていない! 確かに敵を落とす事に向いている機体ではないけれど、何かを守る事が出来る機体だ!」
『何かを守る? おこがましい事を言うな。それは誰かの為に誰かを殺せる者が口にしていい言葉だ』
「そんな世界にしたくなかった、親父の作った機体だ。ダディにだってバカには――!」
『――その父親がレイスの親玉だとしても、お前はそう言えるのか?』
『何言ってんのかわかんないけど――名乗るよ。
My name is 島根のどか! ナイストゥミティトゥーっ!』
リントヴルムの背筋を通る、何やらゾワゾワとした殺気。
それは、このシマネノドカと名乗る少女から発せられるものだ。
「おいおいおい、何だってんだぁ、こりゃあ」
ノドカ機が、レーザーサーベルを二対構え、接近する。
それを避け、銃弾を放ち、手を伸ばし、弾かれ――そんな戦いをしている内に、リントヴルムは口から溢れ出る涎が止まらなかった。
「お前もしかしなくてもAD学園のガキだよなぁ!? キャハッ、たまんねぇよなぁ、たまんねぇよッ!!」
リントヴルムがダガーナイフを持ち、レーザーサーベルを持つ秋風と接触する。
レーザーサーベルの柄部分をダガーナイフで切り落とすと、ノドカ機は即座に右脚部を五号機の腹部へ突き付け、蹴る。
十メートルほど蹴とばされる五号機だが、しかしリントヴルムは笑う。
そして――対するノドカも、また笑う。
「オリヒメの次位にゃぁ、お前がハニィだぜっ!!」
『これが実戦、これが戦場、ホントADって――愉しいッ!!』
戦場を駆ける二機のADがそれぞれの愉悦を感じている時。
ヴィスナーは事前に予測されていなかった秋風の襲来に、苛立ちを隠せずにいた。
(何よこれ、こんなの事前計画に無かったじゃん。やっぱあのシューイチってばあてになんない。
やっぱアタシに必要な人はお父様だけ。お父様、シューイチにレイスを預けて、どこに)
突如、未だ海上からプロスパーまで滑空を行っている一機の秋風が、その背部に背負う115㎜滑腔砲を構え、放ってきた。
確か事前にシューイチより貰っていたデータに、都合四機分設計されたフルフレームタイプのプラスデータを搭載した機体だ。
しかし、残る三機は簡単に持ち場を離れる事の出来ない自衛隊所属だ。残る一機は、AD学園に所属する成績優秀生徒と聞いている。
『学生ぃ……?』
ヴィスナーも実年齢は十五歳だ。日本の年齢では高校に通っていてもおかしくはない。
だが、自分のように戦場で育ったわけでもない奴が偉そうに――と、今ようやくプロスパー港へと辿り着いたフルフレームへと、腰部のレールガンを装填、放つ。
電磁砲は速い初速によって瞬時にフルフレームへと跳んでいくが、しかしフルフレームは機体を僅かに逸らす事でそれを避け、二発の電磁砲は海上へと着弾した。
続いて、115㎜の二発目が襲来。元々着弾させるには距離があるので、これを難なく回避する事に成功したが――
そこで、同じ方向からだが、違う機体から、もう一射。
プロスパー港へと帰島しようとするスタウトの甲板から、一機の秋風が狙い打った滑腔砲だ。
しかし距離は未だに五キロ以上離れている筈だ。
だが、間違いなく弾頭は、ヴィスナーの駆る二号機への着弾コース!
寸での所で回避が間に合ったが、もう一秒放たれていた事に気付いていなければ、堕とされていたのはこちらだ。
そして、その弾頭に驚いている暇もなく、フルフレームが接近する。
『貴方は英語か中京語は話せますか?』
『戦場で口開くなんて、良いご身分じゃない、糞豚が』
英語か中京語がお好みの様なので、英語で返してやる。
フルフレームに搭載された四川は、刃に熱を通したヒートサーベル状態となる。ただのダガーナイフで受けるわけにはいかないので、上段で振り切られた一振りを避けた後、右脚部の回し蹴りで応戦したヴィスナー。
『我々は日本防衛省情報局第四班六課所属だ。貴君らの行為は明らかな侵略行為である。速やかに撤収、もしくは降伏なさい』
『だから、戦場で口開くなんて――いいご身分だっつってんのよ、糞豚野郎ォおおっ!!』
冷却を終えたレールガンを放つ。避けられるが、それは計算付くだ。
――しかし、当たると思っていなかった弾は、後に飛来した残る一機の秋風に着弾した事を、ヴィスナーは知らない。
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「島根、久世先輩、神崎……村上ぃ!?」
リントヴルムと思わしき機体と交戦を開始した島根機、もう一機と交戦を開始した久世先輩のフルフレーム、スタウトより援護射撃を続ける神崎機の続々登場に驚いていたオレが、次に驚いたのは明らかにアイツを狙ってないにも関わらず腹部近くに着弾した村上機にだよ!?
「ちょ、無事か村上!」
『いー、っつ、無事無事!』
呑気な声が聞こえた。どうやら上手く電子系統は外れていたようで、ゆっくりと降下してきた村上の駆る秋風。
今回海上と空戦が主になるだろうとして高機動パックを選択していたらしく、彼は港に秋風を放置、消火班がそれに近づいた。
「ホントに大丈夫かお前!」
「あ、うん。相変わらずの強運でばっちし!」
いや逆。あれ明らかにお前狙ってなかったのにお前に当たったの。
「……ダディ、やっぱりオレ達が」
『だから邪魔だ。そこにいるか避難しろ』
聞く耳持たず、といった所だが、このままではオレの友達が危険になる。ただ従っているだけではダメだと、反論を口にする。
「ダディは雷神プロジェクトの事を何にも分かっていない! 確かに敵を落とす事に向いている機体ではないけれど、何かを守る事が出来る機体だ!」
『何かを守る? おこがましい事を言うな。それは誰かの為に誰かを殺せる者が口にしていい言葉だ』
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