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本編1 -/3
しおりを挟む2学期も半ば、秋晴れの某日。
町立山川小学校6年2組に変化がありました。
転校生が来たのです。
ポニテが可愛いキュートな女の子です。
福田先生が言いました。
「今日からクラスメイトとなる堀秀美さんです。お父様のお仕事の都合で隣町の学校からから転校してきました。みんな仲良く親切にしてあげて下さい。では堀さん、自己紹介をしてください」
「堀秀美と申します。先生からお話があったとおり、父の仕事の都合で6年生のこの時期に転校となりました」
「9月生まれのO型です。体育が得意ですが、お勉強は普通です。絵が悲劇的に下手くそです」
「不安もありますが、受験はしないのでクラスのお仕事も頑張りたいです。色々教えてください。よろしくお願いします」
秀美さんは朗らかに挨拶をしました。
(ざわざわざわ…)
クラスの、特に男子のあいだでざわめきが起きました。
(けっこうな美人さんだな…ざわざわざわ)
クラスの人気者、森雅史君にとって秀美さんはド・ストライクです。ぽあんとして秀美さんを眺めていました。
(素敵な人だなあ…仲良くなりたいなあ…)
「ええと、席はどこにしようかな…」
福田先生が教室内を見まわしました。
「先生!、僕の隣が空いてます!」
間髪を入れず雅史君が手を挙げました
「そうだな…、じゃあ雅史君の隣に座ってもらおう」
先生の言葉に雅史君は心の中で小躍りしました。
「森雅史君ね、よろしくね。仲良くしてください」
「は、はい…秀美ちゃん。今日は放課後、学校内を案内するね」
「ありがとう、雅史君」
いよいよ待ちに待った放課後です。
「秀美ちゃん、あっちが理科実験室でここが音楽室だよ」
「雅史君、実はね、私、オンチなの…」
「僕も…」
「あっちが図書室でここが売店。学校指定のものとかはここで買えるよ」
「へー、充実してるのね。前の学校にはなかったなあ」
「ここが体育館。古いけど結構広いよ」
「今、中に入れるの?」
「もちろんだよ、さ、行こう」
「お、秀美ちゃん、ボールさばきがキマッてる!」
「でしょう、私、バスケは得意なの」
「ここがプール。でも今年は営業終了。先週まで泳げてたんだけどね。流石に寒くなってきた…」
「広くて素敵なプールね、泳げないの残念だなあ…私、水着も持ってきたのに」
秀美さんの水着姿を妄想して発情する雅史君。鼻血が出てきました。
「やだあ、雅史君…、エッチなこと考えてたんじゃないの?」
図星です。
「そ、そんなこと、ないよっ」
「ここが下駄箱。ウチのクラスはここの一画ね。でも最下段しか開いてないな…」
「私は全然平気よ」
うっかり秀美ちゃんの純白なパンツを覗き見てしまった雅史君、またも鼻血です。
ちょっと呆れる秀美さん。雅史君のポイント、ちょっとダウンです。
「秀美ちゃんのお家って、ぼくと同じ門岡団地の方向だよね?」
「そうなの…、だけど歩いて20分もかかるのよ。遠いよね」
「実はね、近道があるんだ。通学路じゃないけど。12分で着くよ。走れば10分以内だよ」
「え?、雅史君、ほんと?、ぜひ教えて!」
「OK、じゃあ駆けっこして行こう」
「いいわよ、私はいつもリレーの選手だったから、速いよ」
「僕だっていつもリレーのアンカーさ、負けないよ」
スポーツに関しては負けず嫌いの二人です。
「よーい」 「どん!」
駆けっこ勝負が始まりました。
「雅史君、走り方が本格的でちゃんとしてるね。強敵かも」
「うん、バイト先の先輩が陸上の中距離選手で、教えてもらったんだ」
「え?雅史君、小学生なのにバイト?…」
「うん、ウチは母子家庭で貧乏だから、土日は朝刊の配達をしてるんだ。ママを少しでも楽にさせてあげたいからね」
「雅史君、偉い…。ウチも父子家庭で貧乏だから、そのバイト、私もやりたいな」
「その新聞販売店は僕のおじさんが経営してるところなんだ。今度聞いてみるね」
「ありがとう、雅史君」
鼻血で降下した雅士君のポイントは、急速に回復し始めました。
「ここから通学路を離れて、左の農道に入るんだ」
「なあるほど」
「で、この初めの十字路を右ね」
「大きいほうの道に出るのね、OK」
「雅史君て親切で優しい…」
「そ、そんなことは…、秀美ちゃんが素敵だから…♡」
「うふ…♡」
「で、左前に見えるあそこの公園をつっきると、団地地区に直通するんだ」
「そっか。確かに通学路より全然直線的に行けるね」
「あれ…?雅史君、公園は立入禁止になってるよ」
「大丈夫、今は工事をやってなくて誰もいないから、怒られる心配はないよ」
「公園にIN!、秀美ちゃん、200メートル先の松の間をゴールにしよう!」
「OK、雅史君、真剣勝負よ」
「僕は負けないぞ、ラストスパート!」
「私も負けない!」
ごーーーーーーーーーーる!!
「同着か…」
「同着ね…」
「ぜいぜい…秀美ちゃん速い…。僕、駆けっこで勝てなかったのは初めてだ…」
「ぜいぜい…、雅史君も速いよ…。私も初めて駆けっこで負けるかと思った…」
「秀美ちゃん、麦茶を飲まない?」
「え、いいの?、ありがとう雅史君。用意がいいのね」
「ママが毎朝、仕事前に作って持たせてくれるんだ」
不気味な白いワゴン車が公園の入り口前に止まりました。
「秀美ちゃん…って、前の学校でもモテたよね…彼氏とかいたりするの?…」
雅史君がいちばん聞きたいことでした。
「まだ私、6年生だよ…彼氏なんているわけないじゃん…雅士君は彼女がいるの?」
「い、いないよ…」
車からガラの悪い若い男達が出てきました。
「ボス、立入禁止の看板を無視する不届きな女がいますぜ」
「女?…、どれどれ…、ランドセル…小坊じゃねえかよ、馬鹿…」
「ひ、秀美ちゃん…、ぼ、僕が彼氏じゃダメ?、僕、秀美ちゃんが大好きです…」
雅史君は勇気を振り絞り、人生初の告白をしました。
「え?…、私なんかでよければ…、いいわよ、雅史君」
望外のOK。
舞い上がる雅史君。
「やったあああああ!、初めての彼女が秀美ちゃんだなんて!」
「うふふ…私も嬉しい。雅史君みたいに優しくて逞しい男子が彼氏って…」
相思相愛の初恋成就の予感です。
「なんだか空模様が怪しくなってきたわ、帰りましょう」
「そ、そうだね」
「雅史君、この近道は凄く便利だけど、なんだか寂しい感じの道ね」
「う、うん…。先生からはこの道は通らないようにって言われてるんだ」
「みたところ6年生くらいっすかね…」
「たまにはガキンチョも悪くねえか…6年なら生理くらいは来てるやろ」
「そうっすよ、ボス。俺、たまらんす…」
怪しげな会話を繰り広げる男達…
「やっぱり工事中だから通っちゃいけないのかしら…」
「それもあるけど、不審者がよく出没するんだって。だから特に女子は、一人では通らないほうがいいって」
「不審者、怖いね…でもこれからは二人一緒だから大丈夫ね、雅史君♡」
「そうだね秀美ちゃん、これからは一緒に登下校しようね♡」
しかし、この二人の甘い心のトキメキは、長くは続きませんでした…
「不審者って俺達のことかい!」
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