37 / 48
section 3
No.035
しおりを挟む
ヴェインと共に行動していた頃からギルドは結成していたが、別れて以降は、ギルド・メンバーの数も、その頃とは倍に膨れ上がっていた。
人数が増えればオフィサーの数も必然的に増え、いつまでもギャシュリーばかりに統率させるわけにもいかなかった。最近は、レインツリーが自ら表に立って仕切るようになっていた。
中々表に出ない王様は、ギルド内では象徴的な存在になっていたが、表に出たことで、いよいよ来たかと、思わぬ行動がメンバーたちの士気を高めてくれた。
今夜は、ギルドのホームにオフィサーたちが集められていた。マイニングを行う際は、ギルドをパーティ編成する。集められたのは、そのパーティ・リーダーたちだ。
パーティが稼いだ報酬はギルド全体に均等分配されるが、ギルド・マスターとサブ・マスターには、報酬のパーセンテージで設定できる権利がある。
マスター権限のおかげで、レインツリーは自らマイニングを行わなくても、自動的に報酬が手に入っていた。
だが、武器調達やオフィサーたちの情報収集に報酬を支払っているので、手取りはかなり削られる。その分、オフィサーたちも、力を入れて協力してくれていた。
「今回、皆を集めたのは、【BDO】に関する新情報だ。それに伴い、これからの作戦を話しておこうと思う。だがその前に、このギルドから抜けたい者は抜けてくれ。この先、後戻りはできない」
一瞬だけざわついた後、皆の顔が真剣になった。そりゃそうだ、【BDO】にやられたらどうなるかは、全員が知っている。
腹を決めた皆と目が合った時点で、話を始めた。
「皆が知っての通り、【BDO】は今なお数を増やし続けている。駆逐するためには、俺たちのギルドが動くしかない。ギャシュリーに作らせた、武器に仕込む『耐エイリアン・キラー』でエイリアンを消滅させる」
皆が気になる単語は、同じだった。いぶか訝しげな顔を揃えて「消滅」と呟きが重なった。
質問が飛んでくる前に、レインツリーは続きを口にした。
「『耐エイリアン・キラー』はエイリアンを自爆させるウィルスだ。自爆は、マイニングとは認められない。つまり、暗号通貨の【取引】はマイニングされず、宙に浮くことになる。そもそも元は【BDO】を作り出した犯人が元凶だ。ウィルスの存在と、現実世界でマイナーが植物状態になっていく事実を公にせず、情報統制されている世間に、現実を突きつける」
オフィサーたちが一気にざわめいた。
窓際にいたギャシュリーも着流しの裾に手を突っ込みながら、眦をきつくした。心なしか、目元に笑みが浮かんでいるように見えた。
これからレインツリーが言おうとしている科白を楽しみにしているような目付きだった。それもそうかもしれない、犯人を誘き出す餌となる内容は決まっていた。
レインツリーは唇を舐めてから続けた。
「だが、それだけでは世間の的には、ならないだろう。先に言うと、【BDO】を作った犯人は、ユード維持管理局、開発権限者だ」
間欠泉が湧き上るように、うわあと、どよめきがホーム内に轟いた。
ざわざわと言葉が交わされる中で一人だけ、顔面から血の気が引いたような面を張り付けていた。
「最も【マイニング・ワールド】に近い人間が全ての実行犯だと、ユグド動画を通じて、全世界に公表させる。もちろん顔を出してもらう。君たちは『耐エイリアン・キラー』でエイリアンに攻撃しろ。その間に、動画を流す。俺たちの仲間の仇を取る時だ」
最後の科白にレインツリーの気持ちは込められてはいない。仲間たちを決起させるために作った科白だ。
作りものでも、覇気の入ったレインツリーの言葉に、皆が感化された。
オフィサーたちは解散したが、一人だけ憤った形相で佇んでいた。
「ちょっと待て。開発権限者に全てを擦り付けて、そんな動画を流せば、そいつはこれから一生、日の目を見れなくなるんだぞ」
サンダーシープの発言に、レインツリーは思わず頬がにやけた。
熱くなった身体を豪雨が打ちつけるような、気持ち良さを感じた。虹でも出てくれば、こいつの胸ぐらを掴んでやりたいぐらい、爽快なのだが。
「罪もないマイナーが消えるより、犯罪者のお友達のほうが大事か。それもそうだろうな。なんせ共謀者なんだからな。さしずめ、お前が主犯格で、天才肌の開発権限者が実行犯だろうな。良かったな、言うことを何でも聞いてくれる友人がいて」
「お前ーー」
腸を煮え繰り返したような、歯と歯の間から漏らした声だった。
「なら、俺を使って動画を流せ、あいつを巻き込むな――」
「そういうわけにはいかない。友人を巻き込んだのは、お前だ」
間髪入れずに、レインツリーは言葉を返した。
図星を突かれたのか、サンダーシープは感情を失いかけた顔をした。
期待以上のあからさまな反応に、レインツリーの全身に鳥肌が立った。その直後、無性に高笑いしたくなった。
「三日間の猶予をやる。お友達の正体は、掴んでる。お友達を助けたければ、三日以内に俺の元に連れてこい。場所は『未来都市』なら、どこでもいい。連れて来さえすれば、動画の顔出しの件はなかったことにしてやる」
レインツリーとサンダーシープはお互いを見つめ合ったまま、しばらくその場に留まっていた。
「初めから俺の正体を知っていて、ギルドに誘ったんだろ」
「そこまで読んでおいて自ら入ったなら、こうなる事態を予想できなかったのか? それとも演技か?」
天井から床まで一枚の窓に寄り掛かって腕を組んだレインツリーは、外の紫紺色の夕景に、目を細めた。遠くに見える街に、明かりが灯り始めた。
いつまでも口端を吊り上げる仕草にも飽きた。
「何か仕掛けてくるかとは思ったが、こう来るとはな」
ふと鼻で嘲笑したサンダーシープは、部屋を出ようとした。
「三日以内だ。要求さえ呑んでくれれば、お前たちに危害は加えない。逃げれば、工藤直也の名と顔が全世界に知れ渡ることになる。諏訪翔も同様だ、なぁ、サンダーシープ」
口元にはなんの力も入れず、細い眼光をサンダーシープに当てた。
「神にでもなったつもりか、乙原怜。こっちだって丸腰じゃない。お前の父親の正体だって知ってる。把握済みだろうが、これでも俺は、金融庁の人間だ。乙原財務副大臣の子息が「耐暗号通貨」のギルドを作っていたなんて、父親も誇らしいんじゃないか?」
サンダーシープは陰険に微笑むと、歩みを再開した。
その時、ぶちりと蟀谷辺りで音がした。次の刹那、レインツリーは床を蹴って、サンダーシープの目の前に飛び込んだ。
翼が発生させた突風で、お互いの髪が激しく靡いた。
「それが俺の弱みか。まぁ、それもいいが、俺とって失うものは何もない。世界中に知らしめたいならやればいい。その瞬間、工藤もお前も道連れだ。この場で、お前たちの名前を出さなかっただけ、ありがたく思え」
何か言い返さなければ気が済まなかった。悟られぬよう、苛立ちだけは押し殺して、平静を保った。無表情のままのサンダーシープに余裕を見せられたみたいで、さらに腹立たしい。
レインツリーを避けて、サンダーシープは部屋から出て行った。
全てを見ていたギャシュリーが突然、鼻で笑った。
「なんで笑う」
「ごめん。でもさぁ、また珍しく、君が熱くなってたからさ。今度は、友情とかじゃなくて、羨ましさ? 仲を引き裂いてやる、みたいな感じに見えたよ」
言いながら、まだ鼻で笑っていた。何でも見透かしたような態度が、気に入らないったらありゃしない。昔はここまで露骨ではなかった気がする。
「勝手に分析するな。大人しく便利屋になってくれれば、それでいい。あいつらの関係には、何の興味もないし、微塵の羨ましさもない」
デッキに出られる窓を全開にして、外に出た。
紫紺色の夕景に照らされ、差し迫る暗闇を背に、ラッシュ・アワーが恋しくなる。
「その科白、気持ちとは真逆を口走ってるって、気付かない?」
「いい加減にしろッ」
横目で睨みつつ、怒鳴り返した。
完全に弄ばれている。ギルド・マスターとしてギャシュリーを使う立場だが、その主従関係でさえも、ギャシュリーにとっては弄ぶ道具になっているようだ。
「それはさておき。金融庁、財務省、総務省は暗号通貨誕生時し、世界通貨と認められてからもしばらくは、通貨とは認めない風潮が漂っていたからね。怜の父親も嫌いだろ? 暗号通貨」
暗号通貨が普及して数十年経った今でも、暗号通貨を毛嫌いする人種がいる。そんな人種が自分の親にも該当しているので、サンダーシープの言葉が更に忌々しく感じた。
後からデッキに出てきたギャシュリーが急に何の話をするのかと思いきや、サンダーシップが放った皮肉を指摘しているようだ。
飲みの席で、色々と父親の愚痴を聞いていれば、おのずと理解できる皮肉だ。
息子には話さない、寧ろ、事務的な連絡事項を除くと、会話という会話さえもなかった。正宗がうちに来るようになるまでは。
父親に関しては好きも嫌いもない。ここまで何不自由なく育ててくれた親だ、ただ息子の人生を干渉されたくはないし、レールを敷かれるつもりもない。
「父親の暗号通貨嫌いのためにギルドを結成するわけがないだろ。バカバカしい。あいつの威張りは、ただの痩せ我慢だ。絶対に工藤を連れてくる」
親の言いなりになる時は、生き残る手段が、それしかなくなった時だ。
「だといいけどな」
欄干に肘を突いたギャシュリーの頭の上には既に星が瞬いていた。
人数が増えればオフィサーの数も必然的に増え、いつまでもギャシュリーばかりに統率させるわけにもいかなかった。最近は、レインツリーが自ら表に立って仕切るようになっていた。
中々表に出ない王様は、ギルド内では象徴的な存在になっていたが、表に出たことで、いよいよ来たかと、思わぬ行動がメンバーたちの士気を高めてくれた。
今夜は、ギルドのホームにオフィサーたちが集められていた。マイニングを行う際は、ギルドをパーティ編成する。集められたのは、そのパーティ・リーダーたちだ。
パーティが稼いだ報酬はギルド全体に均等分配されるが、ギルド・マスターとサブ・マスターには、報酬のパーセンテージで設定できる権利がある。
マスター権限のおかげで、レインツリーは自らマイニングを行わなくても、自動的に報酬が手に入っていた。
だが、武器調達やオフィサーたちの情報収集に報酬を支払っているので、手取りはかなり削られる。その分、オフィサーたちも、力を入れて協力してくれていた。
「今回、皆を集めたのは、【BDO】に関する新情報だ。それに伴い、これからの作戦を話しておこうと思う。だがその前に、このギルドから抜けたい者は抜けてくれ。この先、後戻りはできない」
一瞬だけざわついた後、皆の顔が真剣になった。そりゃそうだ、【BDO】にやられたらどうなるかは、全員が知っている。
腹を決めた皆と目が合った時点で、話を始めた。
「皆が知っての通り、【BDO】は今なお数を増やし続けている。駆逐するためには、俺たちのギルドが動くしかない。ギャシュリーに作らせた、武器に仕込む『耐エイリアン・キラー』でエイリアンを消滅させる」
皆が気になる単語は、同じだった。いぶか訝しげな顔を揃えて「消滅」と呟きが重なった。
質問が飛んでくる前に、レインツリーは続きを口にした。
「『耐エイリアン・キラー』はエイリアンを自爆させるウィルスだ。自爆は、マイニングとは認められない。つまり、暗号通貨の【取引】はマイニングされず、宙に浮くことになる。そもそも元は【BDO】を作り出した犯人が元凶だ。ウィルスの存在と、現実世界でマイナーが植物状態になっていく事実を公にせず、情報統制されている世間に、現実を突きつける」
オフィサーたちが一気にざわめいた。
窓際にいたギャシュリーも着流しの裾に手を突っ込みながら、眦をきつくした。心なしか、目元に笑みが浮かんでいるように見えた。
これからレインツリーが言おうとしている科白を楽しみにしているような目付きだった。それもそうかもしれない、犯人を誘き出す餌となる内容は決まっていた。
レインツリーは唇を舐めてから続けた。
「だが、それだけでは世間の的には、ならないだろう。先に言うと、【BDO】を作った犯人は、ユード維持管理局、開発権限者だ」
間欠泉が湧き上るように、うわあと、どよめきがホーム内に轟いた。
ざわざわと言葉が交わされる中で一人だけ、顔面から血の気が引いたような面を張り付けていた。
「最も【マイニング・ワールド】に近い人間が全ての実行犯だと、ユグド動画を通じて、全世界に公表させる。もちろん顔を出してもらう。君たちは『耐エイリアン・キラー』でエイリアンに攻撃しろ。その間に、動画を流す。俺たちの仲間の仇を取る時だ」
最後の科白にレインツリーの気持ちは込められてはいない。仲間たちを決起させるために作った科白だ。
作りものでも、覇気の入ったレインツリーの言葉に、皆が感化された。
オフィサーたちは解散したが、一人だけ憤った形相で佇んでいた。
「ちょっと待て。開発権限者に全てを擦り付けて、そんな動画を流せば、そいつはこれから一生、日の目を見れなくなるんだぞ」
サンダーシープの発言に、レインツリーは思わず頬がにやけた。
熱くなった身体を豪雨が打ちつけるような、気持ち良さを感じた。虹でも出てくれば、こいつの胸ぐらを掴んでやりたいぐらい、爽快なのだが。
「罪もないマイナーが消えるより、犯罪者のお友達のほうが大事か。それもそうだろうな。なんせ共謀者なんだからな。さしずめ、お前が主犯格で、天才肌の開発権限者が実行犯だろうな。良かったな、言うことを何でも聞いてくれる友人がいて」
「お前ーー」
腸を煮え繰り返したような、歯と歯の間から漏らした声だった。
「なら、俺を使って動画を流せ、あいつを巻き込むな――」
「そういうわけにはいかない。友人を巻き込んだのは、お前だ」
間髪入れずに、レインツリーは言葉を返した。
図星を突かれたのか、サンダーシープは感情を失いかけた顔をした。
期待以上のあからさまな反応に、レインツリーの全身に鳥肌が立った。その直後、無性に高笑いしたくなった。
「三日間の猶予をやる。お友達の正体は、掴んでる。お友達を助けたければ、三日以内に俺の元に連れてこい。場所は『未来都市』なら、どこでもいい。連れて来さえすれば、動画の顔出しの件はなかったことにしてやる」
レインツリーとサンダーシープはお互いを見つめ合ったまま、しばらくその場に留まっていた。
「初めから俺の正体を知っていて、ギルドに誘ったんだろ」
「そこまで読んでおいて自ら入ったなら、こうなる事態を予想できなかったのか? それとも演技か?」
天井から床まで一枚の窓に寄り掛かって腕を組んだレインツリーは、外の紫紺色の夕景に、目を細めた。遠くに見える街に、明かりが灯り始めた。
いつまでも口端を吊り上げる仕草にも飽きた。
「何か仕掛けてくるかとは思ったが、こう来るとはな」
ふと鼻で嘲笑したサンダーシープは、部屋を出ようとした。
「三日以内だ。要求さえ呑んでくれれば、お前たちに危害は加えない。逃げれば、工藤直也の名と顔が全世界に知れ渡ることになる。諏訪翔も同様だ、なぁ、サンダーシープ」
口元にはなんの力も入れず、細い眼光をサンダーシープに当てた。
「神にでもなったつもりか、乙原怜。こっちだって丸腰じゃない。お前の父親の正体だって知ってる。把握済みだろうが、これでも俺は、金融庁の人間だ。乙原財務副大臣の子息が「耐暗号通貨」のギルドを作っていたなんて、父親も誇らしいんじゃないか?」
サンダーシープは陰険に微笑むと、歩みを再開した。
その時、ぶちりと蟀谷辺りで音がした。次の刹那、レインツリーは床を蹴って、サンダーシープの目の前に飛び込んだ。
翼が発生させた突風で、お互いの髪が激しく靡いた。
「それが俺の弱みか。まぁ、それもいいが、俺とって失うものは何もない。世界中に知らしめたいならやればいい。その瞬間、工藤もお前も道連れだ。この場で、お前たちの名前を出さなかっただけ、ありがたく思え」
何か言い返さなければ気が済まなかった。悟られぬよう、苛立ちだけは押し殺して、平静を保った。無表情のままのサンダーシープに余裕を見せられたみたいで、さらに腹立たしい。
レインツリーを避けて、サンダーシープは部屋から出て行った。
全てを見ていたギャシュリーが突然、鼻で笑った。
「なんで笑う」
「ごめん。でもさぁ、また珍しく、君が熱くなってたからさ。今度は、友情とかじゃなくて、羨ましさ? 仲を引き裂いてやる、みたいな感じに見えたよ」
言いながら、まだ鼻で笑っていた。何でも見透かしたような態度が、気に入らないったらありゃしない。昔はここまで露骨ではなかった気がする。
「勝手に分析するな。大人しく便利屋になってくれれば、それでいい。あいつらの関係には、何の興味もないし、微塵の羨ましさもない」
デッキに出られる窓を全開にして、外に出た。
紫紺色の夕景に照らされ、差し迫る暗闇を背に、ラッシュ・アワーが恋しくなる。
「その科白、気持ちとは真逆を口走ってるって、気付かない?」
「いい加減にしろッ」
横目で睨みつつ、怒鳴り返した。
完全に弄ばれている。ギルド・マスターとしてギャシュリーを使う立場だが、その主従関係でさえも、ギャシュリーにとっては弄ぶ道具になっているようだ。
「それはさておき。金融庁、財務省、総務省は暗号通貨誕生時し、世界通貨と認められてからもしばらくは、通貨とは認めない風潮が漂っていたからね。怜の父親も嫌いだろ? 暗号通貨」
暗号通貨が普及して数十年経った今でも、暗号通貨を毛嫌いする人種がいる。そんな人種が自分の親にも該当しているので、サンダーシープの言葉が更に忌々しく感じた。
後からデッキに出てきたギャシュリーが急に何の話をするのかと思いきや、サンダーシップが放った皮肉を指摘しているようだ。
飲みの席で、色々と父親の愚痴を聞いていれば、おのずと理解できる皮肉だ。
息子には話さない、寧ろ、事務的な連絡事項を除くと、会話という会話さえもなかった。正宗がうちに来るようになるまでは。
父親に関しては好きも嫌いもない。ここまで何不自由なく育ててくれた親だ、ただ息子の人生を干渉されたくはないし、レールを敷かれるつもりもない。
「父親の暗号通貨嫌いのためにギルドを結成するわけがないだろ。バカバカしい。あいつの威張りは、ただの痩せ我慢だ。絶対に工藤を連れてくる」
親の言いなりになる時は、生き残る手段が、それしかなくなった時だ。
「だといいけどな」
欄干に肘を突いたギャシュリーの頭の上には既に星が瞬いていた。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。
黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。
この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。
私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。
MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。
人質5歳の生存戦略! ―悪役王子はなんとか死ぬ気で生き延びたい!冤罪処刑はほんとムリぃ!―
ほしみ
ファンタジー
「え! ぼく、死ぬの!?」
前世、15歳で人生を終えたぼく。
目が覚めたら異世界の、5歳の王子様!
けど、人質として大国に送られた危ない身分。
そして、夢で思い出してしまった最悪な事実。
「ぼく、このお話知ってる!!」
生まれ変わった先は、小説の中の悪役王子様!?
このままだと、10年後に無実の罪であっさり処刑されちゃう!!
「むりむりむりむり、ぜったいにムリ!!」
生き延びるには、なんとか好感度を稼ぐしかない。
とにかく周りに気を使いまくって!
王子様たちは全力尊重!
侍女さんたちには迷惑かけない!
ひたすら頑張れ、ぼく!
――猶予は後10年。
原作のお話は知ってる――でも、5歳の頭と体じゃうまくいかない!
お菓子に惑わされて、勘違いで空回りして、毎回ドタバタのアタフタのアワアワ。
それでも、ぼくは諦めない。
だって、絶対の絶対に死にたくないからっ!
原作とはちょっと違う王子様たち、なんかびっくりな王様。
健気に奮闘する(ポンコツ)王子と、見守る人たち。
どうにか生き延びたい5才の、ほのぼのコミカル可愛いふわふわ物語。
(全年齢/ほのぼの/男性キャラ中心/嫌なキャラなし/1エピソード完結型/ほぼ毎日更新中)
200万年後 軽トラで未来にやってきた勇者たち
半道海豚
SF
本稿は、生きていくために、文明の痕跡さえない200万年後の未来に旅立ったヒトたちの奮闘を描いています。
最近は温暖化による環境の悪化が話題になっています。温暖化が進行すれば、多くの生物種が絶滅するでしょう。実際、新生代第四紀完新世(現在の地質年代)は生物の大量絶滅の真っ最中だとされています。生物の大量絶滅は地球史上何度も起きていますが、特に大規模なものが“ビッグファイブ”と呼ばれています。5番目が皆さんよくご存じの恐竜絶滅です。そして、現在が6番目で絶賛進行中。しかも理由はヒトの存在。それも産業革命以後とかではなく、何万年も前から。
本稿は、2015年に書き始めましたが、温暖化よりはスーパープルームのほうが衝撃的だろうと考えて北米でのマントル噴出を破局的環境破壊の惹起としました。
第1章と第2章は未来での生き残りをかけた挑戦、第3章以降は競争排除則(ガウゼの法則)がテーマに加わります。第6章以降は大量絶滅は収束したのかがテーマになっています。
どうぞ、お楽しみください。
裏切られ続けた負け犬。25年前に戻ったので人生をやり直す。当然、裏切られた礼はするけどね
竹井ゴールド
ファンタジー
冒険者ギルドの雑用として働く隻腕義足の中年、カーターは裏切られ続ける人生を送っていた。
元々は食堂の息子という人並みの平民だったが、
王族の継承争いに巻き込まれてアドの街の毒茸流布騒動でコックの父親が毒茸の味見で死に。
代わって雇った料理人が裏切って金を持ち逃げ。
父親の親友が融資を持ち掛けるも平然と裏切って借金の返済の為に母親と妹を娼館へと売り。
カーターが冒険者として金を稼ぐも、後輩がカーターの幼馴染に横恋慕してスタンピードの最中に裏切ってカーターは片腕と片足を損失。カーターを持ち上げていたギルマスも裏切り、幼馴染も去って後輩とくっつく。
その後は負け犬人生で冒険者ギルドの雑用として細々と暮らしていたのだが。
ある日、人ならざる存在が話しかけてきた。
「この世界は滅びに進んでいる。是正しなければならない。手を貸すように」
そして気付けは25年前の15歳にカーターは戻っており、二回目の人生をやり直すのだった。
もちろん、裏切ってくれた連中への返礼と共に。
王子を身籠りました
青の雀
恋愛
婚約者である王太子から、毒を盛って殺そうとした冤罪をかけられ収監されるが、その時すでに王太子の子供を身籠っていたセレンティー。
王太子に黙って、出産するも子供の容姿が王家特有の金髪金眼だった。
再び、王太子が毒を盛られ、死にかけた時、我が子と対面するが…というお話。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる