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No.014
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「ちょい待って。戦闘・軍事制服の専門店だ。ちょっと、いいか」
「おい、ここ女物だぞ」
かなり強い力で、肩を掴まれた。まあ、驚くのも無理はない。
「まぁ、別にいいんだけどさ。女装趣味があったのか」
「いや、そういうわけじゃない!」
「じゃあどういうわけだよ」
「そう責められても、別にいいだろ、こういうのは人それぞれだ!」
店内は等身大ディスプレイに服が表示され、色々な種類の服が、ずらっーと宙に浮いて並んでいた。「試着」をタッチすると、等身大ディスプレイに衣装を着たアバターが映る仕組みだった。
「宇宙戦艦の戦闘機パイロットの衣装があるぜ。じゃあ、試着を」
沢山あるな、色々迷うし、テンションあがるなぁ。決して、女装趣味ではない!
「楽しそうだな。でもなんで、女物なんだ?」
「ほら、俺、猫タイプだろ。女と間違える奴が多くてさ」
現にレインツリーも勘違いしていた。
「いっそのこと、見た目では判断つかないようにしてやろうと思ってな。ちょっとした遊び心だって、おもしろいだろ」
試着した自分がディスプレイに映り、悪くないどころか、よく似合っていた。
厚手の革風ジャケットに、短パンとブーツ。さすがに短パンだけでは精神的に恥ずかしかったので、腰からのロング・ローブも購入した。
財布の中身を気にせずに買い物ができた。嬉しさで頬が火照った。
「やっぱり女装趣味か」
「趣味じゃない! 俺を女キャラだと間違える奴の反応が面白いだけだ、バカみたいで」
言い切った後にレインツリーの存在に気が付いた。
「俺、バカにされてたんだ」
ヤッベ、口が滑った。ここで嫌われるわけには!
俯くレインツリーは、絶望的に落ち込んでいた。
「いやいや、それは違うって、お前なら、まだ、いいほうだって。俺が勘違いされてるとは思わなかったし、途中までは」
渇いた笑いで誤魔化すしかなく、墓穴を掘るとは、まさにこの状況かと、頭を掻いた。
にしても、からかうと意外に可愛らしい反応をしたので、新鮮だった。
ここで噴き出して笑ったら、頬を膨らめて怒ってくれないかなと、妄想が膨らんだので、ヴェインは慌てて思考を停止させた。
「そんなことよりさ、今からマイニングしに行くだろ?」
「今日は、まだ、眠くはないのか?」
レインツリーは勝気に笑みを作った。
「自営業を舐めんな。お前こそ、会社員じゃねえのかよ」
「明日は日曜だ。それに――、会社に雇われている身じゃないんでね」
意外じゃなかった。【マイニング】で食っていると言われても、レインツリーなら当然だろうなと納得できる。ヴェインが昼間店にいる間、レインツリーは何をしているんだろうかと、ふと脳裏を過った。
転送装置で【マイニング・ワールド】に飛んだ。視界の映像が水で滲むようにぼやけてから、再び明瞭に映し出された。徐々に明るくなる視界に、稼げる時は今しかないと、ヴェインは自分を叱咤した。
「凄いな。凄く綺麗な森だ」
「クリスタルの森だ。フィールドの中で、最も広く深いエリアと言われている。全マップがまだ開拓されてないとか、あるいは広がってるとか」
青白い光が視界を支配していた。巨大な樹木が内側から青白い光を発していた。
足元に広がる苔も踏み付ける度に光った。何の植物か分からないが、石化した植物が水晶のように透明感があり、導管が青く光っていた。
「作り物だけど、凄いな」
「景色も凄いけど、ここは、うじゃうじゃエイリアンに当たるフィールドでも有名だッ」
ヴェインがクリスタルの木に見入っていた時、レインツリーが突然、発砲した。
咄嗟だったようで、両手に一丁ずつ銃を持って、エイリアンに向かって発砲していた。
「いつの間に、しかもデカいッ」
二人で倒すレベルなのか、こいつ。
買ったばかりのサブ・マシンガンを構え、ディスプレイの弾丸マークをタッチしてからコッキングレバーを引いた。
「おりゃあああああ!」
とにかく、撃ちまくった。
エイリアンは奇声を発して、機械的な触手でヴェインとレインツリーを攻撃した。
間一髪で転げ避けた先に、クリスタルの木があった。
避けきれずにヴェインは背中を強打した。
動きを止められた隙を狙われ、鋭利な触手が飛んできた。
やられると悟った刹那、顔面に突き刺される直前で、触手が吹っ飛んだ。
「ヤバかったぜ。サンキュー、レインツリー」
本当に突き刺されるんじゃないかと思った。
バーチャライザー越しに息が上がる。
「気を付けろ、誤ってクリスタルに突き刺さったマイナーもいたからな、無駄にHPを減らす事態になる」
笑みを作るが、さすがのレインツリーも余裕がないようで、口端が引き攣っていた。
「ヴェイン、引きつけておけ。ライフルで、さっさと終わらせる」
「ぜひ、そうしてくれ。お前の相手は俺だ!」
レインツリーが一旦、後方に引き、ヴェインが前に出て撃ちまくった。
触手もヴェインを集中して攻撃してきた。
「おい、ここ女物だぞ」
かなり強い力で、肩を掴まれた。まあ、驚くのも無理はない。
「まぁ、別にいいんだけどさ。女装趣味があったのか」
「いや、そういうわけじゃない!」
「じゃあどういうわけだよ」
「そう責められても、別にいいだろ、こういうのは人それぞれだ!」
店内は等身大ディスプレイに服が表示され、色々な種類の服が、ずらっーと宙に浮いて並んでいた。「試着」をタッチすると、等身大ディスプレイに衣装を着たアバターが映る仕組みだった。
「宇宙戦艦の戦闘機パイロットの衣装があるぜ。じゃあ、試着を」
沢山あるな、色々迷うし、テンションあがるなぁ。決して、女装趣味ではない!
「楽しそうだな。でもなんで、女物なんだ?」
「ほら、俺、猫タイプだろ。女と間違える奴が多くてさ」
現にレインツリーも勘違いしていた。
「いっそのこと、見た目では判断つかないようにしてやろうと思ってな。ちょっとした遊び心だって、おもしろいだろ」
試着した自分がディスプレイに映り、悪くないどころか、よく似合っていた。
厚手の革風ジャケットに、短パンとブーツ。さすがに短パンだけでは精神的に恥ずかしかったので、腰からのロング・ローブも購入した。
財布の中身を気にせずに買い物ができた。嬉しさで頬が火照った。
「やっぱり女装趣味か」
「趣味じゃない! 俺を女キャラだと間違える奴の反応が面白いだけだ、バカみたいで」
言い切った後にレインツリーの存在に気が付いた。
「俺、バカにされてたんだ」
ヤッベ、口が滑った。ここで嫌われるわけには!
俯くレインツリーは、絶望的に落ち込んでいた。
「いやいや、それは違うって、お前なら、まだ、いいほうだって。俺が勘違いされてるとは思わなかったし、途中までは」
渇いた笑いで誤魔化すしかなく、墓穴を掘るとは、まさにこの状況かと、頭を掻いた。
にしても、からかうと意外に可愛らしい反応をしたので、新鮮だった。
ここで噴き出して笑ったら、頬を膨らめて怒ってくれないかなと、妄想が膨らんだので、ヴェインは慌てて思考を停止させた。
「そんなことよりさ、今からマイニングしに行くだろ?」
「今日は、まだ、眠くはないのか?」
レインツリーは勝気に笑みを作った。
「自営業を舐めんな。お前こそ、会社員じゃねえのかよ」
「明日は日曜だ。それに――、会社に雇われている身じゃないんでね」
意外じゃなかった。【マイニング】で食っていると言われても、レインツリーなら当然だろうなと納得できる。ヴェインが昼間店にいる間、レインツリーは何をしているんだろうかと、ふと脳裏を過った。
転送装置で【マイニング・ワールド】に飛んだ。視界の映像が水で滲むようにぼやけてから、再び明瞭に映し出された。徐々に明るくなる視界に、稼げる時は今しかないと、ヴェインは自分を叱咤した。
「凄いな。凄く綺麗な森だ」
「クリスタルの森だ。フィールドの中で、最も広く深いエリアと言われている。全マップがまだ開拓されてないとか、あるいは広がってるとか」
青白い光が視界を支配していた。巨大な樹木が内側から青白い光を発していた。
足元に広がる苔も踏み付ける度に光った。何の植物か分からないが、石化した植物が水晶のように透明感があり、導管が青く光っていた。
「作り物だけど、凄いな」
「景色も凄いけど、ここは、うじゃうじゃエイリアンに当たるフィールドでも有名だッ」
ヴェインがクリスタルの木に見入っていた時、レインツリーが突然、発砲した。
咄嗟だったようで、両手に一丁ずつ銃を持って、エイリアンに向かって発砲していた。
「いつの間に、しかもデカいッ」
二人で倒すレベルなのか、こいつ。
買ったばかりのサブ・マシンガンを構え、ディスプレイの弾丸マークをタッチしてからコッキングレバーを引いた。
「おりゃあああああ!」
とにかく、撃ちまくった。
エイリアンは奇声を発して、機械的な触手でヴェインとレインツリーを攻撃した。
間一髪で転げ避けた先に、クリスタルの木があった。
避けきれずにヴェインは背中を強打した。
動きを止められた隙を狙われ、鋭利な触手が飛んできた。
やられると悟った刹那、顔面に突き刺される直前で、触手が吹っ飛んだ。
「ヤバかったぜ。サンキュー、レインツリー」
本当に突き刺されるんじゃないかと思った。
バーチャライザー越しに息が上がる。
「気を付けろ、誤ってクリスタルに突き刺さったマイナーもいたからな、無駄にHPを減らす事態になる」
笑みを作るが、さすがのレインツリーも余裕がないようで、口端が引き攣っていた。
「ヴェイン、引きつけておけ。ライフルで、さっさと終わらせる」
「ぜひ、そうしてくれ。お前の相手は俺だ!」
レインツリーが一旦、後方に引き、ヴェインが前に出て撃ちまくった。
触手もヴェインを集中して攻撃してきた。
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