地女に恋した俺は夢を見ていた

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第17話

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 俺はギョプの謎を解明する為トンさんに相談する事にした。

 役所の帰りに工事現場に向かう。


「あ、いた。トンさん、少しいいですか?」

「おー!アニ今日はなんで休んだんだよ」

「その事で相談なんですけど」

 トンさんは作業の片付けを済ませ、俺と人気のない場所に移動して話しをする事に。

「実は俺今日役所に行ってきたんです」

「それがなんだ?」

「行ったというか、今日から働く事にしたんです」

「はぁ?お前こっちの仕事はどうすんだよ」

 当たり前の反応だ。

「それどころじゃないんで。俺どうも腑に落ちない事があって潜入捜査ですよ」

「潜入捜査って、そんな事しても意味ねーだろうよ」

「それが早速気になる情報を手に入れたんですよ!」

「なんだ?」

「実は少子化対策はスイッチだけじゃなくて地下と地上の男女を出会わせる事も極秘で行われていたらしいんですよ!」

「それって俺らが地上に来た本当の理由って事か?」

「地上の国民は地下の存在を知りません。でも役所の一部の人間が噂してたらしくてそれが本当なら納得ですよね」

「確かにな」

「今は試験中らしいんですけどね。だから公にはなってないんだと思います」

「それで?お前はこれを言いに来たのか?」

「あ、そうだ。忘れるところでした。もし少子化対策の為の出会いならギョプはどこに消えたんですかね」

「そう言えばそうだな。まあ地上のどっかにいるんじゃねぇのか?」

「俺にはそうは思えないんですよね。結婚した途端消えますかね?」

「ギョプの事はどうだっていいんだよ。ギョプが結婚出来てなんで俺が出会えねぇのかが気に食わねぇ」

「奥さんがいるじゃないですか」

「俺なら少子化に大いに貢献出来るのによ」

 本当に人の話を聞かない人だ。
 これから出会う女性は気の毒だな。

「てかお前役所に潜入捜査してるんならギョプが今どこに住んでるのかぐらい分かるんじゃねぇのか?」

「確かにそうですね!明日行って見てみます!」

「じゃあしばらくこっちには来ねぇって事か」

「そうなりますね」

「まあ気が済むまで調べろ」

「はい。じゃあ何か分かったら報告しますね」

 トンさんと話しているうちに外はすっかり暗くなっていた。

 カエさんは今何してるんだろう。

 俺はアパートに帰りシャワーを浴びる。

 そして入念に歯磨きを済ませ、一息つき机の上に投げていたスイッチを手に取ると、ゆっくりボタンを押した。

 カチッ。

 今日はどこから現れるのかとドキドキしながら待っていた。

 ガタンと音がしたのは風呂の方からだ。しかし中々出てくる気配がない。

 気のせいかと思いながらも確認しようと風呂のドアを開ける。

「カエさんいるんですかー?」

 そう言いながら開けると、そこには一糸纏わぬ姿のカエさんが両手で上と下の大事な部分を隠しながら赤面していた。

 俺は目の前のカエさんの姿に釘付けになっていた。

「す、すみません。何か着る物を貸してもらえますか‥‥」

 カエさんの言葉にハッとし、急いで部屋にあった俺のTシャツを渡した。

「これをどうぞ」

「ありがとうございます。あの‥‥着るので向こう向いてもらってもいいですか‥‥」

「あ、はい!」

 カエさん、あんなにグラマラスだったとは。本当に完璧な人だ。

 俺は不思議と芸術品を見た感覚に陥っていた。興奮しなかったと言えば嘘になるが、それよりも目が浄化された気分だ。

 そんな事を考えていると風呂からカエさんが出てきた。

「スイッチ、押してくれたんですね」

「あ、会いたくなったもので」

「嬉しいです」

 まだ少し頬が赤いが、さっきよりはマシだ。

「あのぅ、変な事聞くんですけど。なんで、その‥‥服を着てなかったんですか?」

「驚きましたよね?話さないといけないとは思ってたんですが、これからお話しますね」

「あ、じゃあ適当に座っちゃって下さい」

「はい」

 俺は何も考えずにその辺にあった服を貸した為、カエさんは今裸にTシャツというなんとも想像するだけで‥‥な格好だ。

 そんな格好で大胆にも俺の横にピッタリくっつくように座ってきた。

 高鳴る鼓動を落ち着かせようとトンさんの事を考える俺であった。
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