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第18話
しおりを挟むカエさんは少しため息をついて話し始めた。
「まだこのスイッチの本当の機能を伝えていませんでしたね」
「本当の機能?」
「はい。このスイッチ、押したら問答無用でその押した人の近くにワープするんです」
「まあワープしてるんだろうなとは思ってましたけど」
「今日なんかはたまたま私入浴中だったんですよ。だから服も着てなくて」
「そうゆう事だったんですね」
「だからスイッチを渡す相手は慎重に選ばないとダメなんです」
「そりゃ外なんかで押したら大変な事になりますもんね」
「はい、なるべく部屋で押してもらうようにしてもらえたら‥‥」
このスイッチを渡す相手は慎重に選ぶ‥‥自分の見る目も問われるわけか。
そして俺はこのスイッチを絶対無くしてはならないと言うプレッシャーが重くのしかかったと同時に街中で押さなくて本当に良かったとホッとした。
しかし、国はそこまでして少子化対策をしたいとは女性をなんだと思ってるんだ。
俺は更に胸糞が悪くなった。
「あのぅ、アニさん?」
「はい?」
「もしかして言わなかった事怒ってますか?」
「怒ってなんかいないですよ。でもそうゆう大事な事は最初から言って下さいね、今日はとても驚きましたから」
「本当にごめんなさい」
「謝らなくてもいいですよ、それより問答無用でワープって酷いですね」
「そうですよね。でもアニさんにならいつでも会えるだけで私嬉しいですから」
そう言いながら頬を染めるカエさんは、俺のTシャツを見に纏い、それも中は裸だ。そんな格好で俺の隣に座っている。
俺は理性を保ちながら一線を超えないように頑張っていた。
何故なら何が起こるか分からない不安と、一線を超えてしまうとカエさんともう会えないのではないか、俺はただのステップに使われているのではないかという疑念が拭えなかったからだ。
そう、このスイッチの役割が初体験を済ませる事なら、その後の事は未知だ。
「カエさん、服を取りに帰りますか?」
「え?今からですか?」
「はい、その格好では落ち着かないでしょうし」
「気にしないで下さい。私は平気ですから」
「俺ちゃんとした服持ってなくてすみませんね」
「大丈夫ですよ。アニさんを感じられて嬉しいです」
そう言いながらカエさんは腕を組んできた。
「カ、カエさん?近いですよ‥‥」
「嫌ですか?」
上目遣いで俺を見つめるカエさんの姿と、腕に感じる柔らかい物のせいで俺は鼓動が速くなっていた。
「い、嫌なわけないじゃないですか!」
「そうですよね、なんだか私ドキドキしてるみたいです。聞こえますか?」
「ん?」
俺がそう言った瞬間カエさんは膝立ちをし、自分の胸を俺の耳に当ててきた。
「な!何やってるんですか?」
そう言いながらも俺の頭を抱きしめるようにしているカエさんの胸の間で、目の前にある膨らみに思いっきりかぶりつきたいと不覚にも思ってしまった。
「これで聞こえますか?」
「は、はい。すごく」
「‥‥まだ、ダメですか」
ダメだ。カエさんの誘惑に負けてしまいそうだ。それに、食べて下さいと言わんばかりに自分の胸を俺の口元に近づけてくるカエさん。
まだ気付かれていないだろうが、俺の俺は今大変な事になっている。分からないようにあぐらをかいている膝を少し立てている。
離れて欲しい気持ちと離れるとバレるし、この最高な状況を止めて欲しくない気持ちとで俺の頭の中はパニックになっていた。
一体どうしたら‥‥。
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