【完結】聖女の私を処刑できると思いました?ふふ、残念でした♪

鈴菜

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異邦人

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その方と出会った時も、私は教会に魔法人形を置いて外へ出かけていました。
その日は王子が教会に訪問してくる予定が入っていて朝から憂鬱だったのを覚えています。

「あの、すみません。少しお話いいですか?」

そんな事情があって、当時はリッタと名乗った例の方に出会った最初の時点では好意すら抱きました。
可愛らしい声で話しかけられ、実際に姿を見てみると妹ほどではなくとも可愛い方だったので。

「教会までの道をお聞きしたいのですが、よろしいでしょうか?」

「ええ、構いませんよ。ご案内します。」

子リスのような可愛らしい容姿に礼儀正しい話し方が相乗効果を生み、一段と愛らしさを演出してました。
私が美人系だから可愛い系の子好きなのよね。

「教会まではどういったご用件で?」

「聖女様を一目見てみたいのです。将来私の主人などがお世話になるかもしれないので。」

本当に、嬉しくなることを言ってくれました。
それが本当なら手を叩くほど喜ぶほどに。
お世話になる、という言い方が良かったのよね。
治療に来る人の大半が、対価を支払っているのだから聖女が仕事をするのは当然、といった態度なのよ。

「聖女といえば、第一王子アダム殿下とご婚約されているそうですね。ご存知ですか?」

「ええ。聖女様のように優れた力を持つ方であれば、王族の婚約者に相応しいですよね。」

そんなとりとめのない雑談をしながら、私はリッタと名乗る彼女を連れて行きました。
教会とは真逆にある、暗い森の方へ。
森の入り口に着いた頃になって、ようやく彼女も教会に案内されていないことに気付きました。

「ねえ。本当にこっちに教会があるのですか?」


さあ、種明かしの時間です。

「いいえ、元よりその気はございませんでした。」

そう、道を尋ねられた時からずっと。
昔の私は用心深くてね。
今ほど自分の魔法に驕っていなかったから、どんな人と接する時でも注意深く観察していたの。
結果、彼女は普通の人では無かった。

「他国からの間者といったところでしょうか?王子が今日教会を訪れるのを知っていて、聖女ともども暗殺する予定だったのでは?」

「…どうしてそう思ったのです?」

そう尋ねてきた彼女はリッタという愛らしい印象の女性の仮面を捨てていました。
声はトーンが下がり、目付きも鋭い。
今でも感心しているのよ。あんな子がリッタみたいな可愛い子を演じられるなんて凄いわ。

「最初は疑っていたくらいですけどね。今後は覚えておいて。この国の王族は誰もが認める不良債権で、公の場以外では、王族に嫁ぐのは憐れまれるのよ。」

彼女の住む国は違うのでしょうね。
私なんて教会の女性陣に泣かれたのよ?
おいたわしや聖女様、なんて。

「ええ、ありがとう。覚えておくわ。それで、他国の間者と思った人間とこんな人目のつかない場所に来るなんて、口封じに殺されると思わないの?」

そう口にして彼女は何処から取り出したのか、短刀を構えました。殺意ばりばりで。

「あら、大丈夫ですよ。私強いので。」


結果は私の圧勝です。
短刀を持って私のもとに走り寄って来る前に捕縛魔法で動きを封じ、一方的に攻撃しましたから。
あれが人生で初めて人を半殺しにした時です。

そしてこの日は私が親友を得た日でもあります。
半殺しにした後、魔法で治癒し、私が聖女本人であることを教えたのよね。そうしたら

「誰ですか…聖女は癒しの魔法しか使えない、などと虚偽の報告をしたのは…」

などと虚な目で呟いていました。
それからお互い隠す身分も明かした私たちは年が近く苦労している女性どうし仲良くなれたのです。
今でも大切な親友ですよ。

そうよね、フレンダ♪
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