【完結】聖女の私を処刑できると思いました?ふふ、残念でした♪

鈴菜

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愛しい貴方

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お互いに気持ちを伝え合った私たちは、しばらくの間穏やかな時間を共に過ごしていました。
シズに後ろから抱きしめらられていると、今まで知ることの無かった充足感と多幸感に満たされます。

でも、名残惜しいけれどそんな時間も一時中断。
私はシズにどうして私の執事を辞め、いまさら子爵家に帰る選択を取ったのか訊かねばなりません。
私に原因があるのであれば、シズのためなら直すこともそんなには嫌じゃないですしね。

「違います。リュミエラお嬢様には何の落ち度もございません。私が愚かだっただけなのです。」

シズの語った内容は以下の通り。
以前妹のローデリカが訪ねて来た後、シズは私の実家を訪問し私の過去を両親から聞いたそうです。
シズはその時初めて私に懐疑心を抱いたと言います。

ええ、言われてみればそうよね。
全てを知る私にとってはあれは奇跡とも呼ぶべき転生だったけれど、何も知らない人は何者かが乗っ取ったと考えるでしょうし、それを聞いたシズが私を疑っても何もおかしなことは無いわ。

納得できる話だったのだけど、シズには私を疑うこと自体が耐えられない苦痛だったみたいね。
それからは私に悟られないように避け始め、裏では私から逃げることの罪悪感に苦しんだそうです。

葛藤の日々を送る中、シズはある男に出会いました。
なぜか男に逆らうことができず、悩み事を洗いざらい話してしまったと語るシズの顔は真剣でした。

私以外でシズに言うことを無理矢理聞かせられる人間など帝国には1人しか心当たりがありません。
シズがあの男を知らないはずは無いので、自分の姿を認識させない魔法を使っていたのでしょう。
理由は…私、いえ聖女への執着ですかね。

さらにシズはその男から1つの計画を提案され、何の疑いも持てず従ってしまったと語ります。
執事を辞め子爵家に戻ったのも、あの場で私を冷たく切り捨てたのも全てはあの男のせいだった訳です。

再びシズは泣き出してしまいました。
今度の喜びや安堵ではなく、私への申し訳ないという気持ちで流す涙は少し冷たいです。
そんなシズの頭を撫でる私の感情はあの男への怒りが半分。もう半分は私の不甲斐なさでシズを追い詰めてしまったことへの後悔と反省です。

私もシズに自分の正体を包み隠さず伝えます。
それでシズの気持ちが変わったとしても仕方がない、また私に魂から惚れさせようと考えながら。
まあ、結果は杞憂でしたけれど。

「凄い…!お嬢様は本当に凄いお方です!」

あのね、シズ。
これでも私なりに覚悟を決めて話したのよ?
荒唐無稽な話だと信じてもらえない可能性も考えていたし、貴方の慕ってきたリュミエラと私が違うことで幻滅される可能性も考えていたのに。
まさかそんなキラキラした目で見てくるなんて…

「なぜですか?私は貴方が聖女リュミエラだから慕うわけではありません。幻滅するどころかこれまで以上に貴方のことが好きになりました。」

そう言えるのは、シズが強いからよ。
私が逆の立場になった場合、シズと同じことを言える自信は正直あやしいわ。
少なくともシズのように即断できません。

これまでだって好きだったのに、もっとシズのことを好きになってしまったじゃない。

「強いて困ることがあるとすれば、リュミエラお嬢様とカトレアナお嬢様のどちらで呼ぶべきかですね。」

リュミエラカトレアナも同じ『私』と受け入れ愛してくれる貴方が本当に愛おしくて。

「そうね。じゃあ今後はリーラと呼んでちょうだい。あと、お嬢様を付けるのは無しでね。」

だからちょっと困らせたくなるくらい許してね♪
ふふっ、赤くなった顔も好きよ愛しい貴方。
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