【完結】聖女の私を処刑できると思いました?ふふ、残念でした♪

鈴菜

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厄介オタク

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時間帯は日も暮れ始めた夕暮れ時。
私は今シズと一緒に帝国の王城に来ています。
目的はただ1つ。シズに余計なことを吹き込んだ男に仕返しをするためです。

此処に来るまでに何度か邪魔が入りましたが、相手をするのも面倒なので間髪入れず眠らせておきました。
早くても明日の朝までぐっすりです。

やがて私たちは王城の最奥に到着します。
すなわち帝国の皇帝が鎮座する部屋。
あれだけ王城内に居た戦士が此処には誰も居ないのは私たちとの対談を望んでいるからでしょうね。

なら、そのお誘いに乗ってあげましょう。
シズに扉を開けてもらい、目的の男と対面しました。

「久しいな聖女リュミエラ。その様子を見るに君からそこの執事を引き離すのは失敗したようだ。」

「ええ、お久しぶりです皇帝陛下。むしろ私とシズの仲は苦難を乗り越え一層深まりましたわ。」

帝国の最高権力者である皇帝。
ここで言う権力はもちろん目に見える権力もそうですが、皇帝特権と呼ばれる魔法も指します。
言ってしまえば、皇帝である限り帝国に暮らす民への絶対命令権を持つというのが皇帝特権です。
シズにもこの皇帝特権を使われました。

「それで、どうしてこの様なお戯れをなさったのかを尋ねてもよろしくて?私が帝国に叛意を持つ結果となり、国を滅ぼす可能性は考えなかったのですか?」

実際、そうする可能性は十分ありました。
シズが私の元に帰って来なかった場合。
危険な魔女として討伐対象にされた場合。
そうでなくとも、帝国で今後生きていくメリットより今回の件に対する怒りが上回った場合。
私は容赦なく帝国の敵となります。

まあ実際はシズも帰って来ました。
それに子爵家の屋敷を破壊した件について隠蔽工作がされているようで、誰も噂していませんでした。
思えば、ここに来るまで邪魔してきた者たちにも特別敵意らしいものは感じませんでしたね。

「それは困るな。敵意も叛意も向けるなら私に向けて欲しい。そうでなくては意味がない。」

皇帝はおもむろに玉座から立ち上がると、手に持っていた1枚の人物画を広げて見せます。
あれは…カトレアナの絵ですかね。

「私はな、聖女リュミエラ。先代の帝国の聖女だった聖女カトレアナの大ファンなのだよ。」

そこからは、カトレアナに心酔しきった彼の熱苦しい熱弁がしばらく繰り広げられました。

曰く、彼はカトレアナが自分の愚兄たちを断罪した時の苛烈さに心を奪われたそうです。
そして、当時神童と呼ばれていたとはいえまだ子どもだった皇子はカトレアナの本性をその苛烈さであると思い込んでしまったようです。

転生する前とはいえ自分自身のことなので確たる自信を持って否定させていただきますね。
カトレアナが激怒し、苛烈と評される程の行いをしたのは間違いなくその時だけ。
ほんの一側面だけ見て決めつけないで欲しいです。

「祖国の王子や教会に復讐しようとしている時の君は敬愛するカトレアナ様に近しいものを感じたが…」

待ってくださいな。
敬愛する?カトレアナ
このお方、自身の地位を理解されていないの?

早めに身体を捨てる選択をして正解でしたよ、私。
カトレアナとして生きているまま、この厄介男からの一方的な想いをぶつけられるのは心底ごめんですわ。



結局、皇帝が私からシズを引き離そうとしたのは私がシズを失えば間違いなく怒りを覚えるはず。
そうなれば、かつてのカトレアナの様に自分へ報復して来るに違いないので、あの苛烈さを身をもって味わえる予定だったとか言う意味不明な理由でした。

取り敢えず腹立たしいので、2発だけ本気のビンタを食らわせてあげましたわ。
1発は今回の件で迷惑を被ったリュミエラの分。
もう1発は厄介男に勝手な妄想をされたカトレアナの分。

微妙に満足そうだったのも苛つきましたが。




※お知らせ

次回で最終回にしようと思います。
最後までお付き合いいただければ嬉しいです。

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