友達のために女装

女装小説家すみれ

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友達のために年上女性になる(1)

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アキヒコは中学からの親友だ。 

高校から別になったけど、なにかと連絡を取り合い、 気づいたら一番つきあいの長い友達になっていた。 
ただ僕たちは全く似ていないんだ。 
アキヒコはおっとりしていて、自分はせっかちで短気。 
僕は細かいことにこだわるけど、アキヒコはおおざっぱな感じだ。 

そんなアキヒコが今までに見せたことのない狼狽した声で電話をかけてきた。
原因は失恋、だった。 
最初は冗談だと思った。今まで僕が失恋でアキヒコに相談してきたからだ。
 
その度にアキヒコは僕をやさしく慰めてくれた。 
何が悪いとか、どうすべきとか、そういうことを言わず、 
ただ「ちょっと飯でもいくか?」
って一緒にいてくれた。 

そのアキヒコが死にそうな声で「俺、やばいかもしれない」って電話してきた。 
アキヒコの恋人は、年上の女性だった。すごく仕事のできる、キャリアウーマン系の女性だった。 
よくアキヒコは僕に「お前が女になったみたいだよ」って言ってた。 

僕はちょっと気持ち悪いと思う反面、実はちょっと嬉しかった。
 
でも、アキヒコに会うと、別人のようにげっそりと痩せていてことの重要性を知って胸が痛んだ。 
あの真面目なアキヒコが会社を一週間も休んでいるらしい。
これはかなりの重症だ。 
部屋も散らかっているし、洗濯も何もしてない。
あの几帳面できれいずきのアキヒコがだ。 

僕は掃除をし、洗濯をし、簡単なものだけどご飯を作ってあげた。 
アキヒコは「ありがとう・・・」と繰り返し言って、やっとご飯に口をつけた。 
帰ろうとすると、アキヒコが「お願いだから、今日泊まっていってくれ」と言った。 

「淋しいんだ。一人でいたら気が狂いそうなんだ・・」 

僕はアキヒコの悲しい、怯えた顔を見たら、僕なんかで力になれるならって泊まることにした。 
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