NPCでもスローライフを送りたい~ギルドを追放された俺、NPCに転生したのでスローライフを目指したいと思います~

七瀬ねこ男

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序章:NPCとしての一週間

1:何という事でしょう、俺は《NPC》とやらに転生したらしいです。

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看板に『ギルド受付場』と書いてある建物の中。

窓口の若い女性。

机が並んでいる。

その机にある男が二人いた。

一人は推定20代の男性。もう一人は推定10代の男性が話し合っていた。



「はぁ…レン‥お前自分で何をしたのか分かっているのか‥?」

「分かって‥います」



俺は今、ギルドの任務を引き受けていたのに寝坊をしてしまい任務を放棄してしまった事をギルドマスターに叱られている。



「任務を放棄って‥お前それは俺たちのギルド『グランディルズ』の一人としてどうなんだ?」

「すみません‥‥」



完全に呆れられている。

まぁ当然っちゃ当然だ。自分から引き受けた任務を寝坊で放棄なんて周りから見ればふざけているようにしか見えない。



「もういい‥お前はギルドを追放する!」

「…!?」



俺はさすがに冗談だろうと思った。

いつものギルマスだったら「ミスは誰にでもある。次から気を付けよう!」と言って許してくれるのに、今日はなぜか許してくれなかった。

どうやら怒りの限界が来たらしい。

だが俺はその現実を認められなかった。



「嘘‥ですよね?」

「本当だ」

「そんなっ!俺、ギルドの収入が無くなったら生きていけないですよ!」

「そんなの知らねぇよ。

自己責任だ」

「そんな…」



俺は家に帰りショックのあまり自殺をした。

首に縄を吊るして。



痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い。



苦しい苦しい苦しい苦しい苦しい苦しい苦しい苦しい。



バカなのか、俺?なんでこんなことするんだよ‥

俺の《生きている》と言う感覚が無くなってきている。

変な感じだ。

何だか‥意識が…遠ざかって行って…

次の瞬間、レン・ランベルは死亡した。



 * * * * * * * * * * *



レンの目は開いた。

ん‥?

何だ‥これ?

脈?って言うのかな‥そう言うのが動いているって言う感覚がない。

体も動けない。

口も動けない。

ただ今できるのは考える事と見る事だけだ。



「あ、そこのNPCさん!」



一人の女性。見た感じ10代後半の年齢だ。

その女性が俺に近づいてきた。

俺の事をNPCと言いながら。



「あれ?このNPCさん反応ないなぁー」



N‥PC?俺はそんな名前じゃないぞ?



「あ!クルスさんじゃないですか!!」

「店主さん!久しぶりですね!!」



そこに店主と呼ばれる中年男性が来た。

店主‥ここは店なのか?



「店主さん、このNPCさん反応が無いんですよねぇー」

「あー、このNPCはついさっき売り始めたばかりのNPCなのであまり知識などが無いんですよねー」



売り始めたばかり?俺は売り物なのか!?



「私、このNPCさんとお喋りしたかったんだけどなー。

もしお喋りをして一緒に楽しく暮らせそうなら買うんだけど…」



待て、俺はまだ現状を理解できない。

理解できているのは俺が《NPC》と呼ばれているくらいだ。



「まぁこの時代NPCと暮らすのは当たり前みたいになって来ていますからね」

「でもお金持ちの人としかNPCさん達は暮らしていないような印象もありますよ」

「それも確かにありますよねー」

「‥‥‥‥‥よし、決めました!」

「どうしたんですか?」

「私は、このNPCさんを買って一緒に暮らします!」



店主は戸惑った。勿論俺も。



「正気ですか!?このNPCはまだ喋ることも体を動かすことも出来ていないんですよ!?」

「良いんです。ただこのNPCさんとはなんだか一緒に楽しく暮らせそうな気がするんです!」



と…とりあえず状況を整理しよう!

俺は自殺したはず‥だが目を開けると《NPC》と呼ばれ、体を動かすことも喋ることもできない状態だった。

そして俺は売り物として売り出されていた。

そこで10代後半の女性に買われた‥で良いんだよな?



うん。もう覚悟を決めよう。

あまり信じたくなかったんだけど‥こうなったらもう信じるしかないな‥‥

何と言うことでしょう、俺は《NPC》とやらに転生してしまったようです。
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