中二な僕がささやかな祝福で生き延びる方法

29,見付けた子供

　男は荷台を覗き込み、中の子供が目覚めた事に気付く。

「坊主気が付いたのか？何であんな所に居たんだ？親はどうした？」

　話し掛けても反応が悪い。

　何を言っているのか分かってないのか、声も出さない。

　黒髪で黒目は珍しい物ではないがこの年齢の子供が、日に焼けた様子がなく肌が白いのは珍しい、言葉が通じないのはかなり遠方の少数民族だろうか？

　山小屋の床下収納庫で見付けた時に全裸だったので、何処からか拐われて来た子供かもしれない、町についたら役所に届けを出した方が良さそうだ。

　あらぬ疑いを掛けられては堪らない。

「心配するな。悪いようにはしない。」

　怯えている様子は無いので、安心させるように頭を撫でる。

　少し驚いたようだが、安堵した表情になるとまた眠りに落ちてしまった。

　かなり気を張っていた様だ。

　少し可哀想になりもう一度頭を撫でると、御者台に戻り荷馬車を走らせる。

　小物ばかりだが、魔物に襲われる頻度が何時もより高い。

　早目に町に戻った方が良さそうだ。