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87,必要とするもの

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 魔法附与の仕方は至ってシンプルなものだった。

『附与したい物体に魔力を馴染ませ、魔法を附与する。』

 ただそれだけだ。

 正直アバウト過ぎるだろう!?といくら読み返してみても、それだけしか説明らしい説明が無い。

 物体に魔力を馴染ませる方法も『物体の波長を読み取り魔力を波長になぞらえて合わせていくのが基本です。』としか書かれていない···。

 なんだそれ?

 物体の波長ってなんだ?

 フィーリングで合わせていけとでもいうのか?

 附与に関しても『魔法を附与』としか書かれていない。

 それ以外のページは魔法附与の有用性や魔法附与された一品の賛辞等が飾り付けられた言葉で延々と綴られているだけだった。

 不親切だ···。

 こんな説明で分かる人はいるのか?

 著者のシャルダンという人は何を考えてこんな本を作ったのだろうか?

 仕方無く、自分なりの解釈で試す事を決める。

 後は魔法附与する為に必要不可欠な物についてだ。

 [材料]

 附与させる物体・魔石・魔力

 (1)物体に魔石を同化させ、少しずつ魔力を馴染ませる。

 (2)魔力が馴染んだら、同化させた魔石に魔法を附与する。

 (3)定着するまで魔力を注ぎ、魔力が入らなく成れば附与終了です。

 (4)大きな魔石や稀少な魔石程、附与出来る魔法の数や容量が増えますが、魔力の消費量が二乗されますのでご注意下さい。

 まるでなんだか雑な料理のレシピの様な感じだ。

 どちらにしても材料の魔石が無い。

 魔石は魔物から取り出すか、店で購入するかしか入手方法が無い。

 少し前に食材用に狩った魔物の魔石は、宿代に成り代わった。

 店で購入出来る程、お金を所持している訳では無い。

 どうするかは後で考えよう。

 本を閉じて、別の本を読んでみようと立ち上がった所で、不意に声が掛かった。

「魔法附与に興味があるのかい?」

 顔を上げると、そこには人混みで呟きをこぼしていた、フードを被った人物が立っていた。
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