中二な僕がささやかな祝福で生き延びる方法

うさみん

文字の大きさ
95 / 111

95,困惑

しおりを挟む
 何だか面倒な事態になりそうで、ソウタは内心歯噛みする。

「条件は何でしょうか?」

「まあ、焦らずに私の話を聞きたまえ。」

 思わず表情を難くしたソウタに、シャルダンは余裕の笑みを浮かべる。

「君の魔法の威力が弱い理由について、先ず説明しよう。当たり前の事だが、魔力を持っているだけでは魔法は使えない。魔法を使う為には、体内に魔法を行使する為の魔力を出力させる出口が必要だ。その出口は人其々で大きさも形も個人差がある。魔力もその純度によって個人差はあるのだが、基本は水溶液の様なもので純度は低く流動的で自在に形が変わる。だからどんな出口でも、量に違いがあれど魔法を発動させる事が可能だ。だが稀に純度が高過ぎて魔力が水溶液ではなく結晶になっている場合がある。そうすると、結晶に合った出口で無ければ魔力の出力が出来ずに魔法が使えない状態になってしまう。君の場合は結晶と水溶液が混在している状態で、しかも出口が小さいのだろう。だから魔法の威力も弱くなる。」

 そこで一旦言葉を切り、ソウタを見据える。

「君の出来うる対策としては体の中の出口そのものを変化させるか、もしくは魔力調整をして魔力の結晶を出口から出る様に変化させるかしかない。しかし、体の中の出口を変化させる事はまず不可能だから現実的ではない。残された道は魔力調整を会得する事だ。」

 ソウタはシャルダンの言葉を反芻する。

「魔力調整···。」

「その為には恐らく遥かに時間が掛かる。故に私の条件は、一緒に王都に行き、仮ではなく正式な弟子になって貰うことだ。」

 キッパリと告げるシャルダンに、ソウタは詰めていた息を吐いた。

「少し考えさせて下さい。」

 口ではそう言ったものの、悠長にシャルダンに付き合える程、そんなにのんびり出来る時間は多分無いのだ。

 其なりに情報を手に入れる事が出来たのでそろそろ潮時か···。

 決意の感情を隠し、ソウタはシャルダンを見上げる。

「考える前に、魔法附与はどんな物なのか一度見せては頂けませんか?」

 考えるまでもなくソウタはシャルダンの意を飲むしかないだろう。

 ソウタが魔法使いについて素人な故にシャルダンはそう考えた。

「そうだね···。見せるのは構わないが、準備が必要だ。食事の後にでも披露しよう。」

 シャルダンはソウタを食堂へと誘った。

しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。

MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。

バーンズ伯爵家の内政改革 ~10歳で目覚めた長男、前世知識で領地を最適化します

namisan
ファンタジー
バーンズ伯爵家の長男マイルズは、完璧な容姿と神童と噂される知性を持っていた。だが彼には、誰にも言えない秘密があった。――前世が日本の「医師」だったという記憶だ。 マイルズが10歳となった「洗礼式」の日。 その儀式の最中、領地で謎の疫病が発生したとの凶報が届く。 「呪いだ」「悪霊の仕業だ」と混乱する大人たち。 しかしマイルズだけは、元医師の知識から即座に「病」の正体と、放置すれば領地を崩壊させる「災害」であることを看破していた。 「父上、お待ちください。それは呪いではありませぬ。……対処法がわかります」 公衆衛生の確立を皮切りに、マイルズは領地に潜む様々な「病巣」――非効率な農業、停滞する経済、旧態依然としたインフラ――に気づいていく。 前世の知識を総動員し、10歳の少年が領地を豊かに変えていく。 これは、一人の転生貴族が挑む、本格・異世界領地改革(内政)ファンタジー。

転生したら領主の息子だったので快適な暮らしのために知識チートを実践しました

SOU 5月17日10作同時連載開始❗❗
ファンタジー
不摂生が祟ったのか浴槽で溺死したブラック企業務めの社畜は、ステップド騎士家の長男エルに転生する。 不便な異世界で生活環境を改善するためにエルは知恵を絞る。 14万文字執筆済み。2025年8月25日~9月30日まで毎日7:10、12:10の一日二回更新。

一家処刑?!まっぴらごめんですわ!!~悪役令嬢(予定)の娘といじわる(予定)な継母と馬鹿(現在進行形)な夫

むぎてん
ファンタジー
夫が隠し子のチェルシーを引き取った日。「お花畑のチェルシー」という前世で読んだ小説の中に転生していると気付いた妻マーサ。 この物語、主人公のチェルシーは悪役令嬢だ。 最後は華麗な「ざまあ」の末に一家全員の処刑で幕を閉じるバッドエンド‥‥‥なんて、まっぴら御免ですわ!絶対に阻止して幸せになって見せましょう!! 悪役令嬢(予定)の娘と、意地悪(予定)な継母と、馬鹿(現在進行形)な夫。3人の登場人物がそれぞれの愛の形、家族の形を確認し幸せになるお話です。

三歳で婚約破棄された貧乏伯爵家の三男坊そのショックで現世の記憶が蘇る

マメシバ
ファンタジー
貧乏伯爵家の三男坊のアラン令息 三歳で婚約破棄され そのショックで前世の記憶が蘇る 前世でも貧乏だったのなんの問題なし なによりも魔法の世界 ワクワクが止まらない三歳児の 波瀾万丈

唯一平民の悪役令嬢は吸血鬼な従者がお気に入りなのである。

彩世幻夜
ファンタジー
※ 2019年ファンタジー小説大賞 148 位! 読者の皆様、ありがとうございました! 裕福な商家の生まれながら身分は平民の悪役令嬢に転生したアンリが、ユニークスキル「クリエイト」を駆使してシナリオ改変に挑む、恋と冒険から始まる成り上がりの物語。 ※2019年10月23日 完結 新作 【あやかしたちのとまり木の日常】 連載開始しました

貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。

黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。 この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。

処理中です...