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Chapter1 Guns and mirrors
10 脱出
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僕はもう一度ドローンで上空に上がり建物の位置を確認した。入り口横の駐車場にSUVが止まっている。あれを使ってここから抜け出そう。
それからもう一度事務所に戻った。それからトランプを手にした。実はこのゲームではトランプは特殊な意味を持つ。トランプを持つものは対象相手にトランプゲームを仕掛けることができる。ゲーム内容は簡単で、3枚の手札から一枚を場に出してより大きい数字を出した方が勝ちという単純なものだ。同じ数字ならスペード>ハート>ダイヤ>クラブの順に勝利が決まる。勝負は三回戦で1枚ずつカードを切っていく。先に2勝した方が勝ちとなる。トランプゲームに勝った者は相手の体を乗っ取ったり、アイテムを奪ったりすることができる。
僕はトランプカードの封を切り、鬼面をゲームに誘った。ゲームは匿名性で行われるため、だれがプレイしているかは分からない。鬼面はゲームに乗ってきた。このゲームを断る者はほとんどいない。カードはランダムに3枚配られるが、必ずどちらのプレイヤーも勝つ見込みがあるように手札が配布される。
配られるのは実物の神のカードである。プレイヤーはゲームの指示に従って順番に目の前にカードをオープンする。
1枚目のカードが選ばれた。同時にオープンする。鬼面は手札で一番大きなカードを出してきた。ハートのキングだ。僕は手持ちのカードで一番小さい手札を出した。スペードのエースだ。これで相手の1勝。
2枚目のカードで勝負が決まる。鬼面は次に手持ちのカードから小さい方の数字を選んできた。ダイヤの3だ。僕は通常であれば手持ちで一番大きな数字を出すところだが、ここは僕も小さい方の数字を選択した。クラブの6だ。これで1勝1敗。3枚目は残りの手札を自動でオープンする。僕はダイヤのジャック、鬼面はスペードの10だ。これで勝負は僕の勝ちだ。なぜ僕が2枚目に弱いカードを選ぶことができたのか。鬼面の後ろでキラリと光がミラーに反射した。まだ運営にはバレていない。
勝利者権限だ。鬼面に命じるのは無線でアナウンスすること。僕は事務所を抜け出して駐車場へと移動した。SUVに乗り込むと、アナウンスを待った。
「侵入者だ。全員持ち場を離れて侵入者を排除しろ」鬼面のアナウンスとともに、広場に集まっていた者たちが散開した。今がチャンスだ。僕はSUVを広場の前につけて貼り付けの二人を解放した。牧田を十字架から降ろすとそのままぐったりともたれかかってきた。「大丈夫か、しっかりしろ!」彼女は少し腕にぎゅっと力を入れて返事したように見えた。そのまま彼女を抱きかかえてSUVの座席に載せた。橅本に火炎瓶を渡すと、僕に向かって全力で投げつけるように指示をした。橅本は戸惑いながらも意を決して火炎瓶を手にした。「どうなっても知らないぞ!」、橅本の投げた火炎瓶は僕の体にセットしたミラーをすり抜けて違うミラーから放出された。ミラー間で物質移動ができるのだ。突如、オイルタンクから同時に3箇所、大きな火炎が空に昇った。僕がセットしておいたミラーから火炎瓶が放り出されたのだ。油田は炎と煙に包まれてさながら地獄の光景だ。これで現場はパニックだ。みんなは侵入者探しと消火でてんやわんやである。僕らは炎の中をSUVですり抜けて油田を後にした。
砂漠の中をSUVで疾走している。このまま走っていれば今回はゲームセットとなるだろう。後ろで何回か大きな爆発音がした。火力が強すぎたのだろうか、何かに引火して爆発したのかもしれない。そこまでする気はなかったのだが…
牧田は安心したのかスヤスヤと寝息を立てて休んでいる。後で橅本から話を聞くと、彼女も僕が待ってるからと油田に誘われたらしい。そこを捕らえられてしまったわけだ。僕がバスごと炎上した話を聞かされて気を失ってしまったらしい。「奴ら牧田さんに君を殺した話をして大声で笑っていたぞ、あいつら一体何なんだ!あんな恐ろしい連中だと聞いてないぞ」、橅本は少し動揺したような怒りのこもった口調で話していた。確かに、残酷なことをする連中だ。
しばらくして運営からゲームの終了が宣告された。今回は炎により大勢がリタイアとなったらしい。やはり火力が強すぎたようだ。ゲーム終了とともに橅本に懸賞金がついた。懸賞金の写真はどこで撮られたのだろう、彼らしくない肩を落とした表情をしている。写真には新しい称号が付与されていた。Most fire operator、 最悪の火刑人という意味だ。これまでで最も多くの者を火で殺害した者に送られる称号らしい。懸賞金は30ポイント上がっていた。彼の出世が心配だ。
それからもう一度事務所に戻った。それからトランプを手にした。実はこのゲームではトランプは特殊な意味を持つ。トランプを持つものは対象相手にトランプゲームを仕掛けることができる。ゲーム内容は簡単で、3枚の手札から一枚を場に出してより大きい数字を出した方が勝ちという単純なものだ。同じ数字ならスペード>ハート>ダイヤ>クラブの順に勝利が決まる。勝負は三回戦で1枚ずつカードを切っていく。先に2勝した方が勝ちとなる。トランプゲームに勝った者は相手の体を乗っ取ったり、アイテムを奪ったりすることができる。
僕はトランプカードの封を切り、鬼面をゲームに誘った。ゲームは匿名性で行われるため、だれがプレイしているかは分からない。鬼面はゲームに乗ってきた。このゲームを断る者はほとんどいない。カードはランダムに3枚配られるが、必ずどちらのプレイヤーも勝つ見込みがあるように手札が配布される。
配られるのは実物の神のカードである。プレイヤーはゲームの指示に従って順番に目の前にカードをオープンする。
1枚目のカードが選ばれた。同時にオープンする。鬼面は手札で一番大きなカードを出してきた。ハートのキングだ。僕は手持ちのカードで一番小さい手札を出した。スペードのエースだ。これで相手の1勝。
2枚目のカードで勝負が決まる。鬼面は次に手持ちのカードから小さい方の数字を選んできた。ダイヤの3だ。僕は通常であれば手持ちで一番大きな数字を出すところだが、ここは僕も小さい方の数字を選択した。クラブの6だ。これで1勝1敗。3枚目は残りの手札を自動でオープンする。僕はダイヤのジャック、鬼面はスペードの10だ。これで勝負は僕の勝ちだ。なぜ僕が2枚目に弱いカードを選ぶことができたのか。鬼面の後ろでキラリと光がミラーに反射した。まだ運営にはバレていない。
勝利者権限だ。鬼面に命じるのは無線でアナウンスすること。僕は事務所を抜け出して駐車場へと移動した。SUVに乗り込むと、アナウンスを待った。
「侵入者だ。全員持ち場を離れて侵入者を排除しろ」鬼面のアナウンスとともに、広場に集まっていた者たちが散開した。今がチャンスだ。僕はSUVを広場の前につけて貼り付けの二人を解放した。牧田を十字架から降ろすとそのままぐったりともたれかかってきた。「大丈夫か、しっかりしろ!」彼女は少し腕にぎゅっと力を入れて返事したように見えた。そのまま彼女を抱きかかえてSUVの座席に載せた。橅本に火炎瓶を渡すと、僕に向かって全力で投げつけるように指示をした。橅本は戸惑いながらも意を決して火炎瓶を手にした。「どうなっても知らないぞ!」、橅本の投げた火炎瓶は僕の体にセットしたミラーをすり抜けて違うミラーから放出された。ミラー間で物質移動ができるのだ。突如、オイルタンクから同時に3箇所、大きな火炎が空に昇った。僕がセットしておいたミラーから火炎瓶が放り出されたのだ。油田は炎と煙に包まれてさながら地獄の光景だ。これで現場はパニックだ。みんなは侵入者探しと消火でてんやわんやである。僕らは炎の中をSUVですり抜けて油田を後にした。
砂漠の中をSUVで疾走している。このまま走っていれば今回はゲームセットとなるだろう。後ろで何回か大きな爆発音がした。火力が強すぎたのだろうか、何かに引火して爆発したのかもしれない。そこまでする気はなかったのだが…
牧田は安心したのかスヤスヤと寝息を立てて休んでいる。後で橅本から話を聞くと、彼女も僕が待ってるからと油田に誘われたらしい。そこを捕らえられてしまったわけだ。僕がバスごと炎上した話を聞かされて気を失ってしまったらしい。「奴ら牧田さんに君を殺した話をして大声で笑っていたぞ、あいつら一体何なんだ!あんな恐ろしい連中だと聞いてないぞ」、橅本は少し動揺したような怒りのこもった口調で話していた。確かに、残酷なことをする連中だ。
しばらくして運営からゲームの終了が宣告された。今回は炎により大勢がリタイアとなったらしい。やはり火力が強すぎたようだ。ゲーム終了とともに橅本に懸賞金がついた。懸賞金の写真はどこで撮られたのだろう、彼らしくない肩を落とした表情をしている。写真には新しい称号が付与されていた。Most fire operator、 最悪の火刑人という意味だ。これまでで最も多くの者を火で殺害した者に送られる称号らしい。懸賞金は30ポイント上がっていた。彼の出世が心配だ。
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