存在感のない聖女が姿を消した後 [完]

風龍佳乃

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ディアターナが姿を消して6日目
ようやく神官が手紙を見つけた。

「た、大変ですーー!」

神殿は大騒ぎになり
慌ててディアターナを探し始めた。

「陛下に伝えるか。
いや待て!もう少し探してからだ」

「この手紙はいつ書かれたのですか?
既に国を出てしまったのでは……」

大神官を筆頭に神官たちは
互いを責めあった

「何故、すぐに気がつかなかったのだ」

「専属は何をしていたんだ」

「神託だなんて、、一体何があったんだ」

神殿で会議が行われて
すぐに国王陛下に報告が上がった。

「何?ディアターナが消えたと。
神託か…ならば仕方あるまいな
大丈夫だ我が国には聖女ビオンヌが
いるではないか」

国王陛下が呑気な事を言っている時
既に「聖女を蔑ろにした報い」が
近づいていた。


その頃
ディアターナは森を見つけ
日用品と食料を買いカバンに詰めた。

街の人が石碑があると言ってたから
とりあえずそこに行こうかな。

ディアターナは出発した。

途中までは道が整い歩きやすかったが
森というだけあって少しずつ
緑が増えベンチや街灯が減ってきた。

「うーん疲れたなぁ
この辺りで野宿するかなぁー」

少し広くなった場所に腰をおろして
パンを食べると急に睡魔に襲われて
しまった。
ディアターナはその場でウトウトと
眠ってしまった。

パカ、パカ、パカ……

馬が近づいていたが爆睡していた
ディアターナは気がついていなかった。

「誰かいます」

「こんなところに…女か?」

「そうみたいです」

2人の騎士はディアターナを見つけ
困惑している

「どうしますか」

「起こすしかないだろう」

騎士の1人がディアターナに
声をかけた

「お嬢さん、起きて
こんなところで寝てたら危ないよ」

「ん、ん、もう少しだけぇー」
むにゃむにゃぐぅー

「お、おい、起きろって!」

「えっ」

ディアターナは驚いて起き上がった

「この場所は夜間に入っては
いけないところですよ
あなたは何をしているんですか」

「……」

「はぁ、名前は?」

「……えっと、、わかりません」

「?! ふざけているのか
女だからと言って我々を、」

「あ!ごめんなさい
ただ石碑を探していただけなんです
そうしたら疲れちゃって、
えっとすぐに動きます」

ディアターナは慌てて食料をカバンに
詰めた

「待ちなさい」

若い騎士の先輩だと思われる騎士が
ディアターナを止めた。

「君はどこから来たんだ
ここから石碑まで1日はかかるぞ」

「?? 1日ですか」

「「はぁ…」」

2人が同時にため息をついてから
若い騎士が言った

「どうしますかね」

先輩騎士は考えた後ディアターナに言った

「この辺りは野生動物が出るし
たまに君のような旅人を狙った
強盗も出る。今夜は出張所に来てもらう」

「出張所ですか?
私は尋問されて拷問されるのですか?
嫌です」

「つっ……
君の安全確保をするのに
なんで尋問と拷問なんだ」

「そうなんですか?」

「当たり前だろう
出張所は見回りをする騎士が休むところだ」

「そうでしたか…失礼しました」

ディアターナは若い騎士の馬に
乗らせてもらうと
出張所へと向かった。

「団長」

「なんだ」

「森の歩道で若い女が寝ていたので
保護したのですが訳ありみたいです」

団長は若い騎士の隣に立っていた
女を見て「仕方ない」と
声をかけた。

「君は旅人か?」

「まぁ今はそんな感じです」

「今はか…こちらに来てもらおう」

少し怖い雰囲気を持った団長と呼ばれる
男に恐る恐るついて行くと
隣接する小屋に入った。

「で、あの場で何をしていたんだ」

「えっと寝ていました」

ディアターナの返答にイラッとした
団長は

「そうでは無い。
何が目的であの場に居たのかを聞いている」

「あ、はい。
石碑を見てみたいと思い来ました」

「石碑?1人であの時間にか」

「はい。すぐに到着できると思ったので」

「はぁ、、名前は」

「ディアターナ・ルシェです」

団長は聞いた事がある名前だと思った

「国は」

「言いたくありません」

「何故だ」

「面倒だからです」

国から逃げて来たのか…そう思った

「身分証明書はあるのか」

「えっと、これなら」

ディアターナは「聖女の証」を出した

団長はすぐにわかった

これは…
ジャラス王国が発行した聖女の身分証明書

ジャラスか…
確か最近聖女が誕生したと聞いたが
この人物なのか?
何故「面倒だから国は言わない」なのか…
確かに訳ありだな。そう思った。

団長は自分の側近を呼びつけると
「ジャラスのディアターナ・ルシェを
調べてくれ報告は私に頼む」と指示した

「さて君は聖女様なのか…何故ここに」

「ですから石碑を見たくて来たのです」

「なるほど、で何故に出生国を隠した?」

「面倒くさいって言いましたよね」

「もう1度聞く何故面倒くさいんだ」

「……」

「黙りか、まぁ聖女だとしても
話が通じないとなればスパイとして
尋問すれば良いだけだからな」

「スパイ?石碑を見に来たらスパイ?」

「聖女という身分を利用して
我が西帝国に入り込んだ可能性もある。
君が話さないならば話したくなるように
するのも我々の仕事だからな」

「ちょっと、、狂ってるわ」

「我々から見れば君の方が狂っている」

「……わかったわよ。話すけど
今は帰りたくないの。
だからジャラスには知らせないで」

「それは我々が決める事だ」

「神託よ、、
ジャラスにはもう1人聖女が居るから
大丈夫なのよ
神託で西に向かえって……
だからここに来た。それだけよ」

「神託か、本当かな?
ジャラスに知られたくないって
どういう事かな」

「うーん、、家出みたいなやつよ
色々とあって、嫌になった時
神託を受けたから…その…つまり…
まぁ逃げてきたのよ」

「は?」

「「……」」

団長の隣にいた秘書官も書記官も
固まった。

聖女が神託を受けて国から逃げて来た??

団長は秘書官を見て合図を送った
(すぐに調べろ)と。


続く

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