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王宮秘書官が「こちらを」と
アベルの手元に報告書が渡されると
一体何があったんだ?
そう思いながら報告書を見れば
「ジャラス王国の聖女 失踪」
と書いてあり
アベルは思わず資料を落としそうに
なる。
ま、待て聖女の失踪だと?
「神託」じゃないのか?
それで何故に西帝国で会議なんだ??
アベルは動揺してしまった。
秘書官が話し出した
「聖女が行方不明となり数日後から
ジャラス王国では止まない雨によって
……
現在も聖女ビオンヌが祈りを捧げ……
しかし川の氾濫が懸念され……
神への祈りが……
皆が避難を余儀なくされ……
聖女ディアターナを探し……」
秘書官の話が全く入って来ない。
アベルはどうしたものかと考える
いや、待て国境を越えたならば
西帝国に居る事はすぐにわかるだろう
「そして検問所からの報告では
ディアターナという女性が入国した
痕跡は無く……」
は?記録が無いだと!
いや、居るぞ!会ったぞ!
さっきまで一緒だったぞ!
どういう事なんだ?
はぁ…アベルは頭を抱えた。
聖女が西帝国に滞在している事を
報告するべきだろう。
早かれ遅かれすぐにわかるだろうからな。
しかし報告して聖女が国に返されるのを
黙って見ていろと?
知られたくない。帰りたくない。と
言っている人を無理やり?
罪人ならば仕方ないとしても
相手は本物の聖女だ。
無下に扱えば天罰が下るのは我々だ…
会議中アベルは1人悩んでいた。
会議室を出たところにアベル専属の
秘書官が来た
「例の報告です」
「わかった場所を変えよう」
アベルの執務室に入ると
「はぁ」と椅子に座った
「何があったのですか?」
秘書官は心配そうにアベルを見たが
アベルは
「先に報告を聞こう」と言った。
「はい。
あの女性はジャラス王国の
ディアターナ・ルシェ伯爵家の令嬢です。
10歳の頃 訪れた神殿で神の声を
聞いたそうです。
「我の子 そなたの力で国を護れ」
10歳の彼女は意味がわからず
傍にいた神官に意味を尋ねたところ
すぐに聖女の資質があるかテストを
受けたそうです。
テストがどういうものなのかは
わかりませんでした。
それからは伯爵家を出て神殿暮らしをし
神託を伝える役割を担っていたようです。
約2年程前に新しく聖女が誕生しました
え、、その聖女はビオンヌ・マーレイ
公爵令嬢で年齢はディアターナと同じ
18歳で社交界の華と呼ばれる
美人だと聞きました」
「……?で、ディアターナの失踪は」
「噂なのですが
国民ならず貴族や王族もビオンヌを
賛美しているようです。
行方不明になったのは
どうも婚約者であった
ルイーズ・ラッシュ伯爵家の子息から
縁談を白紙にされた事がきっかけでは
ないかと言われています」
「はぁ…失恋がきっかけで国を捨てた?
聖女たる者が…全く」
アベルは秘書官に聞いた。
「どうやらジャラス王国では
天災が続きディアターナを探して
いるようだな、陛下に報告をあげるか
それともディアターナとの話を
優先させるか…お前はどう思う」
「ジャラスで聖女探しですか…
筋で言えば陛下の判断ですね」
「そうだよな…
わかった父上に時間を作るよう
伝えてくれ」
「かしこまりました」
アベルは窓の外を見ながら
どうしたものかと息をはいた。
【ジャラス王国】
「一体どうなっているのですか
助けてください!」
「川が氾濫しそうだわ
ビオンヌ様、ディアターナ様お助けを」
「神の怒りに違いない!どうしてこんな事に」
「あぁ神よ我々を救ってください」
民たちはそれぞれが思う気持ちを
口に出しながら願い。祈った。
王宮では
陛下をはじめとした重鎮貴族が集まり
対応に追われていた。
「何故にこのような事が起こったのか
神託は無いのですか」
「神殿に向かいましょう
直接、聖女ディアターナに聞いた方が
早いと思います」
「まずは大神官とディアターナ聖女を
呼んではいかがでしょうか」
「待ってください。
聖女ディアターナは来てくれる
でしょうか、
聖女ビオンヌを呼びましょう」
陛下や王太子
そして皇后や王子殿下に王女殿下、、
ディアターナが国を出てしまった事を
知る役職たちは顔色を悪くした。
ディアターナが出て行った際
「大丈夫だ」「何事も問題無し」
「聖女ビオンヌがいる」と
ディアターナが国を出て行った事を
貴族たちには何も伝えていなかったからだ。
「まさか、、こんな事になるなんて…」
陛下がそう呟いた後で言った
「聖女ビオンヌをすぐに呼べ」
秘書官は引きつった顔をしながら
すぐにマーレイ公爵家に
騎士を向かわせた。
その頃 公爵家では
ビオンヌは母親とお茶をしながら
会議に出向いた父の帰りを待っていた。
「お父様も大変よね。
こんなに雨が続く中、出かけるなんて」
止まない雨はディアターナの
祈りが足りないからだと
ビオンヌは言って
ディアターナは能無しだと
文句を言う。
そして自分に聖女のつとめを押し付けてくる
皇太子殿下を「自分でやって欲しいわ」
と笑っていた。
続く
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