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数日が過ぎて
皇太子ガーディルの婚約が
正式に発表された
貴族たちの勢力が一気に動いた。
公爵家を推していた者たちは
顔色を伺いながら侯爵に近づく。
ディアターナは
その光景を目の当たりにして
恐ろしさを感じていた。
ジャラス王国
雨が止み復興に目処が立たつ頃
王太子はビオンヌの取り調べを
国王に申し出ていた。
にわかに信じられない。というか
信じたくない国王は公爵家との
摩擦や貴族たちの反発を危惧して
答えを出せずにいた。
「父上、
私に王位をお譲りください」
「な、なんと !
お前……本気なのか!」
「もちろん本気ですよ。
唯一の聖女が国を捨てる程に我が国は
緩んでいます。
その結果、王家を支えるはずの公爵家が
薬物に手を出し偽りの聖女を語るなど
前代未聞なのです。
私はこの国を正しき形に導き
建て直したいのです」
「……」
「偽聖女を崇め
本物の聖女を手放してしまった罪。
それと重鎮たちを欺いた罪。
国王として罪を償うならば
潔く退位するべきです」
しばらく沈黙が続き国王は頭を抱えた。
「そうだな、、
もしお前の意見に反対してお前を避けても
きっと新たな反発が起きるだろうな…
わかった…だがもう少し待ってくれ
近く退位しよう」
王太子は国王に頭を下げると
部屋から出て行った。
そして国王の退位と新国王の誕生が
伝えられると民は喜びにわいた。
復興を優先する為に華やかな即位
パーティやパレードは行われなかったが
街は露店が並び新国王を歓迎した。
新国王に呼び出された
公爵一家は浮かれていた。
「あぁビオンヌよ
皇太子殿下が国王になり
すぐに呼び出しとは、、
さすが我が娘だ…王族の一員となり
立派な皇后となりなさい」
「やだ、お父様ったら…
皇后になっても私はこの家の娘ですよ」
「そうだな、そうだとも ビオンヌよ
お前は我が家の自慢の娘だよ」
「「あはははは 」」
しかし現実は違った。
謁見の間ではマーレイ公爵一家を
囲むように騎士たちが並んでいる。
一体これは何だ?とマーレイ公爵は
横目で騎士をチラリと見渡し
夫人は圧に耐えられず足が震えていた。
椅子に座った国王は冷たい視線を
ビオンヌに向けている。
まさか……ね。
瓶の事がバレたのかしら?
いや、そんなはず無いわ!
「ビオンヌ嬢、そなたの祈りが届き
雨が止み大災害にならなかった事
感謝する」
え?っ、、感謝…
あ、そうなのね…よ、よかったわ
「と、とんでもございません
聖女として当然の事でございます」
「そうか、
しかしだな、、大神官に聞くところ
聖女認定を受けていないようだな。
新たに認定証を発行するべく
貴女にはこれからここで
聖女の力を見せてもらいたい」
焦るビオンヌをよそに大神官が
水晶をゆっくりと運んできた。
? ! ちょ、ちょっと嘘でしょう
今ここで?
「大神官に聞けば手をかざし
祈るだけで水晶が光るというではないか
簡単だ。すぐに終わるだろう」
ビオンヌは呼吸を忘れる程に
目を見開いた
あ、、あ、、どうしよう…
そうだ !
「陛下!本日は体調が優れない為
祈りが届かないかもしれません」
「ほう、体調が優れないのか、、
しかしディアターナは体調に関係なく
毎日 祈りを捧げていたと聞く」
うっ…
「私とディアターナ様は
タイプが違うというか
役割も違いますしですねぇ
その…何と申し上げたら良いのか
わかりませんが…」
「手をかざすだけの事が難しいとはな。
まぁ良い。で聖女ビオンヌよ
これが何かわかるかな」
! ! 無くしてしまった小瓶を
陛下が ビオンヌに見せた。
「さ、聖女よ
ここからは嘘を許さない
神に仕える者として誓え
嘘や偽りを発言した場合は
反逆として拘束するぞ
この小瓶を知っているか」
ビオンヌは固まり立ち尽くした。
何で陛下が…無くした瓶を…
ビオンヌに嫌な汗が滲み出していた。
大神官と入れ替わるように入って来たのは
研究室の所長バーベルだ。
ビオンヌが嘘をついた時に備えて
資料という「証拠」を用意していた。
「この小瓶はビオンヌ嬢のドレスポケット
から落ちた物を私が拾った。
ビオンヌ嬢、貴女の物で間違えないかな?
もし貴女の物であれば返したいのだが」
どうする?
今 返してもらえばバレないのかしら?
でも、、もし陛下が調べていたら?
待って、返してもらってすぐに
飲んでしまえば薬が効くはずだわ、、
焦ったビオンヌは飛びかかる勢いで
前に出た。
それを見たマーレイ公爵は
一体何があったのかと驚き
ビオンヌの腕を掴んだ。
「おい、何をしているんだ!」
ビオンヌは目をギロリと見開き
父親を見ると
「離して!あの薬が必要なのよぉー」
と叫んだ
陛下が騎士に合図を送った瞬間
ビオンヌの周りを騎士が囲んだ。
「ビオンヌ嬢
これは貴女の物で間違いないんだな」
「あっ、、い、いえっ、、その…」
「言っただろう
私は貴女のドレスポケットから
飛び出た「コレ」を拾ったと」
「うっ…」
マーレイ公爵は戸惑っていた
「ビオンヌ、あれは何だ?
きちんと言いなさい。
お前の物なのか?」
「……終わっ…た」
ビオンヌが小さく言いながら
膝から崩れ落ちると
騎士はビオンヌを拘束した。
「ま、待ってください一体何ですか
陛下!説明を求めます」
「ビオンヌ嬢を取り調べ室に!
マーレイ公爵そして夫人にも
話を聞きたい」
夫人は震えながら泣き崩れ
公爵は呆然と立ち尽くした。
続く
皇太子ガーディルの婚約が
正式に発表された
貴族たちの勢力が一気に動いた。
公爵家を推していた者たちは
顔色を伺いながら侯爵に近づく。
ディアターナは
その光景を目の当たりにして
恐ろしさを感じていた。
ジャラス王国
雨が止み復興に目処が立たつ頃
王太子はビオンヌの取り調べを
国王に申し出ていた。
にわかに信じられない。というか
信じたくない国王は公爵家との
摩擦や貴族たちの反発を危惧して
答えを出せずにいた。
「父上、
私に王位をお譲りください」
「な、なんと !
お前……本気なのか!」
「もちろん本気ですよ。
唯一の聖女が国を捨てる程に我が国は
緩んでいます。
その結果、王家を支えるはずの公爵家が
薬物に手を出し偽りの聖女を語るなど
前代未聞なのです。
私はこの国を正しき形に導き
建て直したいのです」
「……」
「偽聖女を崇め
本物の聖女を手放してしまった罪。
それと重鎮たちを欺いた罪。
国王として罪を償うならば
潔く退位するべきです」
しばらく沈黙が続き国王は頭を抱えた。
「そうだな、、
もしお前の意見に反対してお前を避けても
きっと新たな反発が起きるだろうな…
わかった…だがもう少し待ってくれ
近く退位しよう」
王太子は国王に頭を下げると
部屋から出て行った。
そして国王の退位と新国王の誕生が
伝えられると民は喜びにわいた。
復興を優先する為に華やかな即位
パーティやパレードは行われなかったが
街は露店が並び新国王を歓迎した。
新国王に呼び出された
公爵一家は浮かれていた。
「あぁビオンヌよ
皇太子殿下が国王になり
すぐに呼び出しとは、、
さすが我が娘だ…王族の一員となり
立派な皇后となりなさい」
「やだ、お父様ったら…
皇后になっても私はこの家の娘ですよ」
「そうだな、そうだとも ビオンヌよ
お前は我が家の自慢の娘だよ」
「「あはははは 」」
しかし現実は違った。
謁見の間ではマーレイ公爵一家を
囲むように騎士たちが並んでいる。
一体これは何だ?とマーレイ公爵は
横目で騎士をチラリと見渡し
夫人は圧に耐えられず足が震えていた。
椅子に座った国王は冷たい視線を
ビオンヌに向けている。
まさか……ね。
瓶の事がバレたのかしら?
いや、そんなはず無いわ!
「ビオンヌ嬢、そなたの祈りが届き
雨が止み大災害にならなかった事
感謝する」
え?っ、、感謝…
あ、そうなのね…よ、よかったわ
「と、とんでもございません
聖女として当然の事でございます」
「そうか、
しかしだな、、大神官に聞くところ
聖女認定を受けていないようだな。
新たに認定証を発行するべく
貴女にはこれからここで
聖女の力を見せてもらいたい」
焦るビオンヌをよそに大神官が
水晶をゆっくりと運んできた。
? ! ちょ、ちょっと嘘でしょう
今ここで?
「大神官に聞けば手をかざし
祈るだけで水晶が光るというではないか
簡単だ。すぐに終わるだろう」
ビオンヌは呼吸を忘れる程に
目を見開いた
あ、、あ、、どうしよう…
そうだ !
「陛下!本日は体調が優れない為
祈りが届かないかもしれません」
「ほう、体調が優れないのか、、
しかしディアターナは体調に関係なく
毎日 祈りを捧げていたと聞く」
うっ…
「私とディアターナ様は
タイプが違うというか
役割も違いますしですねぇ
その…何と申し上げたら良いのか
わかりませんが…」
「手をかざすだけの事が難しいとはな。
まぁ良い。で聖女ビオンヌよ
これが何かわかるかな」
! ! 無くしてしまった小瓶を
陛下が ビオンヌに見せた。
「さ、聖女よ
ここからは嘘を許さない
神に仕える者として誓え
嘘や偽りを発言した場合は
反逆として拘束するぞ
この小瓶を知っているか」
ビオンヌは固まり立ち尽くした。
何で陛下が…無くした瓶を…
ビオンヌに嫌な汗が滲み出していた。
大神官と入れ替わるように入って来たのは
研究室の所長バーベルだ。
ビオンヌが嘘をついた時に備えて
資料という「証拠」を用意していた。
「この小瓶はビオンヌ嬢のドレスポケット
から落ちた物を私が拾った。
ビオンヌ嬢、貴女の物で間違えないかな?
もし貴女の物であれば返したいのだが」
どうする?
今 返してもらえばバレないのかしら?
でも、、もし陛下が調べていたら?
待って、返してもらってすぐに
飲んでしまえば薬が効くはずだわ、、
焦ったビオンヌは飛びかかる勢いで
前に出た。
それを見たマーレイ公爵は
一体何があったのかと驚き
ビオンヌの腕を掴んだ。
「おい、何をしているんだ!」
ビオンヌは目をギロリと見開き
父親を見ると
「離して!あの薬が必要なのよぉー」
と叫んだ
陛下が騎士に合図を送った瞬間
ビオンヌの周りを騎士が囲んだ。
「ビオンヌ嬢
これは貴女の物で間違いないんだな」
「あっ、、い、いえっ、、その…」
「言っただろう
私は貴女のドレスポケットから
飛び出た「コレ」を拾ったと」
「うっ…」
マーレイ公爵は戸惑っていた
「ビオンヌ、あれは何だ?
きちんと言いなさい。
お前の物なのか?」
「……終わっ…た」
ビオンヌが小さく言いながら
膝から崩れ落ちると
騎士はビオンヌを拘束した。
「ま、待ってください一体何ですか
陛下!説明を求めます」
「ビオンヌ嬢を取り調べ室に!
マーレイ公爵そして夫人にも
話を聞きたい」
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続く
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