存在感のない聖女が姿を消した後 [完]

風龍佳乃

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また別のところでは
ビオンヌと公爵一家の処遇が早々に
決まった。

公爵家は解体されて伯爵まで降格し
ビオンヌの魅了薬を入手した夫人は
牢にて懲役100年。
そして主犯であるビオンヌは
牢にて懲役300年の刑がくだされた。

だが製造、販売に関して夫人が
口を割る事はなかった。

国はビオンヌは重い病を発症し
床に伏せたと国民に発表したが
貴族たちには公爵家による
違法薬物の入手。使用により
ビオンヌの聖女称号の剥奪
処刑は既に行われた。と伝えられた



【西帝国】

ビオンヌの処刑という驚きの知らせに
ディアターナは心を痛めていた。

ビオンヌが居るからジャラスは大丈夫!
そう思っていたのに違法薬物ですって?
魅力薬…
処刑になるのも仕方ない。

なぜ
そこまでして聖女になりたかったのか…

ディアターナには聖女として過ごした
時間は決して楽しい人生では
なかった。

ビオンヌに聞きたくても もう居ない人…

ディアターナはジャラスに残る
両親である伯爵に初めて手紙を書いた。

「いかがお過ごしでしょうか。
ディアターナは西帝国にて
大聖女という立場になり
祈りを捧げる毎日を過ごして
おります。
ジャラスでの天災
そして聖女ビオンヌ
に対しとても心を痛めております。
これからも西帝国にて
皆さまの幸を祈っております」

数日後
ルシェ伯爵からの返信には「至急」
と書かれていてディアターナは
何事かと急いで手紙の封を切った。


「ディアターナ!
お前の居場所がわからずに
便りを出せなかったんだ
お前が突然ジャラスから姿を消した為に
新国王は聖女支援金を止めたのだよ!
西帝国の圧力に負けて聖女である
お前の籍を勝手に渡したのだ!
なんたる酷い国王だ!
良いかよく聞け
今すぐにジャラスに戻り国王に伝えろ
ディアターナはジャラスの人間で
ルシェ伯爵家の娘だとな!
支援金が来なくなったせいで
我が家は今までのような生活が
出来なくなってしまったのだぞ!
すぐに戻れ!わかったな」

ディアターナは父親からの手紙を読み
ため息をついた。

ふぅ…王太子殿下 あっ、今は国王か
まともな人ね
うんうん彼が国王ならジャラスは
大丈夫よね。

ディアターナは父親からの手紙を
ゴミ箱に棄てた…

圧力か…
そうよね、皇后様の姪になったんだもの
私が知らないところで何かしら取り引きが
あったんだろうなぁー

ディアターナは漠然とそう思った。


それからのディアターナは
週に3回程 大聖堂に出向き
神託の確認をして
他の日は森を散策したり
ガーデニングを始めて野菜作りを
しながら過ごしていた。
採れたて新鮮野菜
「大聖女のジュース」は
飛ぶように売れて
「治療ジュース」とも呼ばれる程に
なっていた。

充実した毎日を過ごしていたが
ディアターナに再び人生の転機が
迫っていたのだった。

「最近マークを見ないわね」

ディアターナは護衛騎士たちを見ながら
呟いた。

手紙を渡したかったし
話もしたかったのに、、休暇なのかな?
休みの日は教えてくれていたのに…

ディアターナは思い切って
友人2号でもある騎士のエリナに
声をかけた

「お疲れ様、最近マーク卿を見ないけど
何かあったの?」

エリナは
「マーク卿ですか?
1ヶ月の休みを取っているはずです」

「え、1ヶ月も?」

ディアターナはマークから何も聞かされて
いなかった。

1ヶ月も休むならば
どうして教えてくれなかったのかな?
数ヶ月前には休み申請を出してたはずよね

「急なの?」

ディアターナの問にエリナは言った

「いえ、だいぶ前に申請しております」

「あ、そうなのね。
大事じゃなければいいのよ」

エリナは少し考えディアターナに聞いた

「友人として話を聞きますか?
それとも聖女様として知りたいですか?」

ディアターナはエリナの質問に困ったが
「友人として知りたい」と答えた。

「では友人として…
大聖女様の専任騎士になりましたから
求婚が増えたんですよ。
マークはずっと逃げてたようですけど
逃げられなくなったんでは
ないですかね」

「逃げられない?」

「お見合いですよ。
まぁマークはいい奴ですから
父親の命令を受け入れたんだと思います」

……マークがお見合い
あぁ、、そうよねマークがお見合いね。

「私にもチラホラと、、
まぁ男性程は人気はありませんけど」

そう言いながら笑うエリナを見ながら
ディアターナはドクリ!と脈打つ
心臓に手を当てた。

誤魔化さなきゃ…
バレたら終わる私たちの関係…
マークを邪魔しないって言ったのは
私の方なのに…

「へぇ、エリナも大変ね。
なんか複雑だわ みんな結婚するのかぁ
まぁおめでたい事だけどね」

バレちゃいけない。
悟られたら…悟られたら…

「ディア?大丈夫ですか」

「え?大丈夫よ
なんかね嬉しさと寂しさ?みたいな…」

ディアターナは笑顔を作った

「ディア様、騎士が結婚したとしても
私たちはずっと一緒です。
騎士としてお護りしますから」

「そ、そうよね
エリナありがとう」

ディアターナは誤魔化しながら
部屋に入りソファーに腰をおろすと
侍女たちを部屋から出した。

割り切った関係…
それを提案したのは私よ
なのになんで苦しいの?
いつかは「さよなら」だって
わかっていたじゃない!

バカだ。私はバカだ…
いつから?わからない、、けど…

行き場のない想いに
気づいてしまった……

ディアターナはキツく目を閉じた




続く

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