今更何の御用でしょうか?私を捨てたのは貴方ですよ?[完]

風龍佳乃

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その時だ、
数人の男女の声が聞こえてきて
ナタリナは咄嗟に木の影にかくれた。

「おい、部屋には連れ込むなよ」
「そうだぞ、
    見つかったら停学だからなー」

「大丈夫だよ」

「じゃ、俺たちは行くからな」

誰かが階段を上がって行った。

まだ階段下には誰か居る様で、
ナタリナは出るタイミングを逃して
しまった。

「ねぇー、
    いつお父様に会ってくれるのよー
    早く会わせろってうるさいのよね
    婚約者はどうなったのよー」

女性の甘えた様な声が聞こえてきた。

「もう少しの辛抱さ、
    ずっと無視しているんだから
    向こうから白紙にするさ」

「それまで待たないといけないの?
    もう、、あなたって悪い男ね」

「仕方ないだろ、相手は公爵なんだ
    こっちから白紙になんて出来ない
    もう少し待てよ。
    存分に愛してやるから…」

急に静かになり、ナタリナは
木の影からチラリと様子を伺うと
2人は抱き合い口付けの真っ最中だ。

ナタリナは見てはいけない。と
咄嗟に隠れだが…

あれ?あの人…ライ?婚約白紙、、
相手は公爵家……

嘘!ライが?ライ…ライ…
頭の中が真っ白になっていく
ナタリナは2人の前に飛び出した。

ナタリナに気がついたのは女性の方だ
「キャッ!」
男を引き離したと同時に男の顔が
こちらを向いた。

ライ…やっぱり…そうなのね。

声に出したい。でも、、出せない。
動けない。なんで…なんで…

男が1歩近づいた…

嫌だ。来ないで…

「リー。何でここに…違う、、
    違うんだ…えっと、、、、」

男はさらに近づいてくる。

ナタリナの中から抑えていた感情が
溢れ出した

「何が違うのよ!ふざけないでよ!
    その女と一緒になりたいのよね。
    だったらそうしなさいよ!!
    あんたみたいな浮気男は願い下げ
    お望み通り、破棄してやるわ!!」

涙が溢れ出した  もう、どうでもいい
許さない!

「ごめん!違うんだ、聞いて」

ライナスがナタリナに近づいて手を
伸ばした瞬間
ライナスの頬を渾身の力で叩いた。

「もう、二度と私の前に現れないで!!」

ナタリナは走り出していた。

痛い、、手が…心が…
苦しい、、息が…心が…

必死に走った…無我夢中に
ひたすら走った…どうでもいい

私は今、どこに向かっているの?
誰か…教えてよ

意識が飛びそうなぐらいに走り
辿り着いたのは見慣れた屋敷だ。

門番も驚きナタリナを見ている。

するとそこに執事のベンが
慌てて来た

「お嬢様、、、、大丈夫でしょうか?」

ベンはナタリナを支えた。

「お客様が…いらして…」

ベンに支えられながら何とか屋敷に
入った途端
バーン!
客間から飛び出して来たのはライナスだ

何?何で居るのよ…

ふらつきながらライナスを睨み上げる

「リー!ごめん!!
    あいつは友達っていうか、
    本気じゃない!つい、、
    許してください」

ライナスは深く頭を下げている。が
ナタリナは怒りが込み上げてきた。

息が上がり苦しい、、だけど…
「ふざけないで!無視しておけば
    婚約を白紙に出来るのよね!」

使用人達も何事かと足を止めて
見ている。

ライナスがナタリナに近づき
手を伸ばしたが…

「止めてー!! あの女を抱いた
    汚らわしい手で私に触れないでよ!」
    
その言葉にライナスだけではなく
使用人達も驚き固まっている。

怒りなのか、悲しみなのか
ナタリナの身体はガタガタと震えだして
意識を手放した。

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