わかったわ、私が代役になればいいのね?[完]

風龍佳乃

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公開処刑日の前日の朝

広場には処刑場が設置され
人々が不安な表情で見つめている
そしてその中にラウルの姿があった

もし馬車が到着して扉が開いたら
リディーを捕まえて走るんだ。
手足のロープを切る?
リディーが走れなかったら
抱きかかえて走るしかないな。
馬を用意しないといけないけど
人は避けないとダメだから…な
明日の朝はどのくらいの人が集まるの
だろう…
ラウルは頭の中で必死に行動を
イメージしていた。

その頃

装飾のない地味な馬車がゆっくりと
王宮に到着し騎士達が壁をつくり
車椅子が進んだ

応接室にテリウスが待っている

コンコン

「ただ今
ブェールス侯爵
リディアーナ・ブェールス侯爵令嬢が
到着しました」

「わかった」

テリウスは会えなかったリディアーナ
との久しぶりの再会に緊張していた

リディアーナは侯爵に車椅子を
押されながらゆっくりと応接室を
目指した

リディアーナは久しぶりに来た王宮に
懐かしさを噛み締めながら進んだ

「到着しました」

車椅子に乗ったリディアーナを見た
テリウスはゆっくりと近づいた

「テリウス皇太子殿下に
ご挨拶申し上げます。
本日はお招き頂きました事
大変嬉しく思います。
このような姿で申し訳ございません」

あぁ……リディアーナだ。

「構わない」

テリウスが侯爵に代わり車椅子を押した

「殿下、、この度は色々とありがとう
ございました」

「色々と頑張ってくれたのは
リディー嬢だよ」

「……そうですね」

陛下の計らいで侯爵一家はこの日
宮に泊まる事になっている

「殿下、私は後ほどお話しをさせて
頂きたいと思います
どうか娘とお過ごし頂けたらと思います」

「わかった。
では しばらくリディアーナ嬢をお借りします」

「はい、では後ほど」

侯爵はテリウスに挨拶を終えた後
陛下との待ち合わせ場所に向かった。


「ふぅ、何から話したら良いものか…
体調はどうなんだい」

「おかげさまでとても良くなりました
殿下は大丈夫ですか」

「あぁ問題ない」

「よかったです。事件を聞いた時は
本当に驚きました。それに、、
どうして毒だとわかったのですか」

「色々とあったが、、
リディー嬢のおかげかな」

「まぁリディーですか?
まだ会った事は無いのですが
あの方の声はとても暖かくて
聞いていると心が優しくなれる気が
していました」

「君とは違うタイプだけれども
中々と面白い妹だよ」

「そうでしたか…
殿下、、私は今 このような身体で
体力も十分ではありません。
もし…もしも殿下があの方を妹を
望むならば」

「待て
はぁ、、私も以前とは違うんだ
君だけでは無いだろう
お互いに色々と乗り越えた立場だ
私の気持ちは変わらないよ
君を妃に迎えたい。
それでも君が不安ならば爵位を
王位継承権を破棄してコルシーに
譲ろう」

「え、お待ちください
今までの努力を放棄してはいけません
私は殿下の努力と苦労をわかっている
つもりです」

「……そうか
そう言ってくれるならば
答えは決まっているよね」

「本当に本当に私で良いのでしょうか」

「はい。か いいえ。だけだ」

「……は、はい」

テリウスはリディアーナを優しく
抱きしめた

「ありがとうリー。ずっと側に居てくれ」

「待っていてくれてありがとうテリー」

2人はゆっくり唇を重ねた。


リディーの部屋にはカルロスが居た

「思ったよりも元気そうでよかった」

「うん、心労をかけてしまって
ごめんなさい」

「本当にダメかと思ったけど
リディーから聞きたかった。
そんな事をするはずがないとね」

「しないわよ!
なんで私が殿下を刺すのよ
ありえないわ」

「はははっ、そうだよな
リディーに会えば わかるのに
あの時は不安で仕方がなかった」

「兄様、私ね
この一件が終わったら伯爵家に戻りたいの」

「え?」

「テリウス殿下には話してあるの
応援してくれるって」

「嘘だろ?父上は知ってるのかい」

「まだ言ってないけれど
色々と頑張ったんだから許してよ」

「はぁ、、そんな事を聞かされるなんて
思わなかったよ
この件は両家できちんと話しあおう」

ブェールス家の人達にとって
長い1日が始まった。


『シルワット公爵邸』

公爵夫婦は1人娘のミリアナを心配していたが
ようやく時がきたか。と
早めの夕食をとっていた。

「全く、陛下も人が悪い
身の安全とはいえヤツは牢にいるの
だから娘に会うくらいはいいはずだ」

公爵が言えば夫人も続く

「本当ですわ。
でもようやくここまできたのね。
テリウス殿下がモタモタしているから
可愛いあの子が苦労したのよ。
もっと早く決めてくだされば
良かったのに」

「はぁ、明日は見たくもないヤツらを
見送りしないとならんからなぁ」

「そうですわね。
あ、ドレスの確認をしないと。
明日は朝が早いですからね」

「そうだな。
しかし忙しくなるな」

「何がですの?」

「一件が終わったら すぐに婚約式
その後は婚姻式だ。お前も早めに
ドレスを用意しておきなさい」

「そうね。仕立て屋を予約しないと
いけませんね」



公爵夫婦は食事を終えると早めに
眠りについた。

まだ暗くうっすらと朝日を感じる時間
シルワット公爵邸を監視していた
騎士が合図を送ると

荷馬車が門についた。
そして騎士達が正門と裏門
使用人が使う勝手口に集まった。

準備は整った

「ピィー」 合図の笛が鳴り響いた



つづく
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