聖女になる道を選んだので 自分で幸せを見つけますね[完]

風龍佳乃

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サーシャは慌てて皇太子殿下とラースを
呼び出した

「2人も気がついたと思うけれど
リディア様は全く喜んでいなかったわ
というか関心すらもたなかったの
何故だかわかるかしら」

ラースは額に手を当てると

「何がいけなかったのかわからない」

と言った

「そうねリディア様はサプライズで
用意した飾りにも目を向けなかったわ
それでね……
ほらリディア様は前回の結婚で
侯爵の言われるままの状態だったのよ
今回もリディア様の気持ちを無視して
しまって私達が勝手に進めたでしょ?
だからリディア様は以前と同じ状況
だったのよ」

「はぁ、そういう事か」

「本来ならリディア様本人の希望を
取り入れながらやるべきだったのよ
失敗したわ
きっと彼女は傷ついたはず
ううん違う、閉じた傷をまた開いて
しまったんだと思うの」

「「……」」

「どうしたらいいかしら」

「はぁ、俺は専属護衛から外されて
リディアの許可が無いと近寄れない
プライベートでも手紙の返事も
来ないし会えていない」

「私もお茶の誘いをしても
体調が悪いと断られてしまって…」

「俺が悪いんだな、形は違えど
ハワードと一緒だなんて…
蔑ろにするつもりでは無かったんだ」

3人は深いため息をついた


婚約式からリディアはクラウスに
自分で作った日程を渡し

早朝の祈りを終えると朝食も取らず
馬車に乗り込み街の教会を回り
夕方に帰り報告を終えると軽食を取り
湯浴みも早く済ませてベッドに入った

ついてまわる神官や護衛達から
心配の声が上がっていたが
リディアが彼らの声を聞く事は無かった

ラースは「護衛騎士を休ませる」として無理やり休みを入れた
神官達もリディアが休みを取ってくれる
と思っていたが
その日 リディアは1人姿を消した

リディアの姿が消えた事で神殿は
騒ぎになり騎士達はリディア捜索を
始めた

サーシャはリディアに謝る機会が欲しい
と 女神に問いた

「全くリディアは困ったわね
でもねぇ 今回の件はラースが悪いわよ
彼女をわかっていないじゃない?
自己満足で彼女を蔑ろにしたもの…
サーシャ、彼女は今ね自分と
向き合っているわ」

「どこでしょうか?教えて頂けませんか」

「んー、、彼がリディアと向き合っていく
ならば教えるけれど…難しいかもね
彼女にはもう少し1人の時間が必要なの
わかってあげて」

女神様にそう言われてしまったら
サーシャにもどうにも出来ない

サーシャはラースに隠さずに伝えた

ラースは今まで女性はめんどくさい
生き物で できるだけ関わりたく無かった
パーティの日
リディアを見た瞬間から目を離せなかった。 
何故か気になる 何故か考えてしまう
彼女が結婚すると知った時
初めて苦しいという感情を覚えた
彼女が幸せとは言えない結婚生活を
送っていると聞いた時
奪ってしまいたくなってしまった
彼女の葬儀でハワードを見た時
斬りたくなった

何故だろう…彼女は俺を狂わすのか?

ラースは悩んでいた。

「ラース卿、いいわ 悩まないで
リディア様には相応しい人を紹介するわ私サーシャが責任もってリディア様を
幸せに導くから」

ま、待ってくれ…
リディアを他の男と一緒にさせる?
駄目だ。駄目だ…

「俺は恋も愛も知らなかった
だから自分の気持ちを押し付けてしまったリディアは悪くない」

「ねぇ、それを私に言わないで
リディア様に伝えたら?手遅れに
なる前にね」

サーシャはラースに微笑んだ

ラースは馬に飛び乗ると勢いよく
走り出した
時は夕方…もうすぐ日が落ちる
急がないと

ラースが無意識に向かったのは
リディアにプロポーズした丘だった

全力疾走するラースは
そこにリディアが居る。と確信していた

丘の上に人影が見えた

「リディア !!」

リディアは声に振り返った

息を切らし泣きそうなラースが
馬から飛び降りてリディアの元に
走って来た

「リディア !! ごめん、ごめん!!」

リディアを抱きしめたラースから
ドクンドクンと激しい鼓動が響いた

リディアは黙ってラースの鼓動を
聞いていた

しばらくして2人は丘の上から
王都の夜景を見ていた

「俺が悪いんだ、、恥ずかしいんだが
女性を好きになり愛を感じたのは
リディアだけなんだ…
思いが先走り君をわかっていると
いいながら、わかっていなかった
君を傷つけるつもりなんて無かった
けれど結果として傷つけてしまった
リディア許して欲しい
結婚式も新居も一緒に決めよう
そう、色々と相談しながら
話していこう…俺は君じゃなきゃ嫌だ
君が他の人を選ぶのも嫌だ
俺の我儘だけど伝えておきたかった」

「何も知らされずに ただただ従って
サインして…すごく悲しかった
私の婚約式なのにね……
また?またなの?って 悲しかったの」

「ごめん。もう秘密も無しにするよ
実は俺が忙しくしていたのは
マスラン侯爵家がリディアに対して
不当な扱いをしていただろう
使用人や執事まで取り調べをしていた
そしてリディアが聖女になった途端
侯爵家の嫁だと主張したから
不敬罪でマスランを裁判にかけて
有罪にしたんだ」

「え?えーっ」

「それで以前にソードマスターとして
欲しい物を陛下に聞かれて侯爵の
爵位を願い出たんだ
それで侯爵の爵位をもらった」

「マスランの?」

「いや、さすがに無理だったが
マスランと同じ侯爵でソードマスター
と聖女。どっちが身分が高いと思う?
もうあの人達には何も出来ないさ」

そうだったのね…

「ようやく話してくれたわね。
秘密も嘘も全部駄目よ!
今度 私が泣いたらソードマスターでも
風で隣国に飛ばしてやるんだから」

「ふっ」

「何で笑うのよ本気よ!」

「可愛いいから」

「つっ……」

「誓うよ 秘密も無しだ」

「うん」

2人はしばらく夜景を見ていた
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