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第三章・予期せぬ計略
31・愛しい我が子
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このスサの離宮で目覚めてから四日ほどが過ぎた。
それから出来るだけ情報を引き出そうと、悟られぬように注意しながら少しずつ聞き出していた。そして、その中の一つの情報┉それに私は衝撃を受ける。
──王妃が私を殺そうとしていた。その事実をどう捉えたらいいのだろうか┉。
確かに私がこの国に来て、ガルド王に嫁ぎ初夜を終えて直ぐに体調を崩した。
その時まだ十六だった私は、きっと抱かれる行為を経験したからなのだと思っていた。
まだ完全に大人になりきれていない身体で嫁ぎ、あの偉大な王の相手を務めないといけない重圧と恐怖。
そして、その行為自体も長時間に及び、性も根も尽き果ててそのようになったのだと┉。
マッケランが言うように、確か一月は寝込んでいたように思う。
その後、体調が回復しても王は姿も見せずお渡りもなくて、行為後すぐ体調を崩すなど、王に対して失礼だったのかと落ち込んで┉。
──それが王妃のせい┉だったのか?恐らく、毒を盛られたということなのだろう。
だけど、他国からやってきた半性身の男に、そこまでやるなど意味がわからない!
そしてマッケランもあれから姿を見せず、ガルド王などあの宿屋から見ていない。
変わりの見張りが扉の前にずっと立っていて、自由に動けるのはこの部屋の中だけ┉。
「この窓からも抜け出せそうにないな┉」
目の前の窓からは湖らしきものの水面が見える。
穏やかな風がその水面を揺らしていて、手を伸ばせばその冷たい水に触れられそうに思える。
が、窓という窓には格子が嵌められていて、とてもじゃないけれど出られそうにない。
「誰かを閉じ込めようとか、そのような目的で造られたのではなさそうだけれども。次にマッケランが来たら、見張り付きで良いから湖が近くで見たいと言ってみようか┉」
このような湖を見ていると子供達を思い出す。
辺境領にも、いくつかの湖があり短い夏にはそこで泳いだりしていた┉。
エリオットがお兄ちゃんらしくサッと入って行くのに比べて、オスカーは怖々で。あの怖がりのオスカーが今、どのような目に合っているのか┉?
「ふっ┉ぁ。うう┉。」
そんな事を思ったら、もう涙が止まらなくなる。
マクシミリアンとエリオット、そしてオスカーと私┉あの日に還りたい!
それからぼんやりと飽きずに窓から景色を眺めていると、突然扉が開く。
そこから現れた者に、ハッと息を呑む。
「オ、オスカー!!」
一瞬我が目を疑った┉あの愛し子が!?
開いた扉の先から、見慣れぬ服を着たオスカーが、元気にこちらへ駆けてくる。
「かあさまーっ!」
余りの事に放心して、ふらふらと立ち上がる私を目掛けて飛び付いてくるオスカー。そして、ぎゅっと抱き合った。
オスカーの顔をよく見たくて、桃色の頬を手のひらで挟む。
それから綺麗な赤い瞳を覗き込むと、私の泣き顔が朧げに映っていた。┉ああ!
「オスカー!私の宝物!!二度と会えなかったら、母様は死んでしまうところだったよ?」
我が子をしっかりと抱き締めて、二度と離すものか!と誓う。
「オスカー?どこか┉痛いところはないか?怪我などしていないだろうか┉?」
私は心配で、オスカーの頭や足、背など擦って身体の無事を確かめた。
「かあさま、そんなにさわったら┉いたいよ!だけど┉かあさまも、いたいの?」
止め処無く涙を流し続ける私を見て、オスカーが心配している。
これではいけないと思い、オスカーの頬にそっと口付けをしてから精一杯微笑んだ。
オスカーは、嬉しそうに微笑む私を見て安心したようだった。
それから何か物音がしたような気がして、オスカーが入って来た扉の方を見る。
そこには、オスカーと同じ赤い目をしたガルド王が立っていて、私達二人をじっと見つめていた。
それから出来るだけ情報を引き出そうと、悟られぬように注意しながら少しずつ聞き出していた。そして、その中の一つの情報┉それに私は衝撃を受ける。
──王妃が私を殺そうとしていた。その事実をどう捉えたらいいのだろうか┉。
確かに私がこの国に来て、ガルド王に嫁ぎ初夜を終えて直ぐに体調を崩した。
その時まだ十六だった私は、きっと抱かれる行為を経験したからなのだと思っていた。
まだ完全に大人になりきれていない身体で嫁ぎ、あの偉大な王の相手を務めないといけない重圧と恐怖。
そして、その行為自体も長時間に及び、性も根も尽き果ててそのようになったのだと┉。
マッケランが言うように、確か一月は寝込んでいたように思う。
その後、体調が回復しても王は姿も見せずお渡りもなくて、行為後すぐ体調を崩すなど、王に対して失礼だったのかと落ち込んで┉。
──それが王妃のせい┉だったのか?恐らく、毒を盛られたということなのだろう。
だけど、他国からやってきた半性身の男に、そこまでやるなど意味がわからない!
そしてマッケランもあれから姿を見せず、ガルド王などあの宿屋から見ていない。
変わりの見張りが扉の前にずっと立っていて、自由に動けるのはこの部屋の中だけ┉。
「この窓からも抜け出せそうにないな┉」
目の前の窓からは湖らしきものの水面が見える。
穏やかな風がその水面を揺らしていて、手を伸ばせばその冷たい水に触れられそうに思える。
が、窓という窓には格子が嵌められていて、とてもじゃないけれど出られそうにない。
「誰かを閉じ込めようとか、そのような目的で造られたのではなさそうだけれども。次にマッケランが来たら、見張り付きで良いから湖が近くで見たいと言ってみようか┉」
このような湖を見ていると子供達を思い出す。
辺境領にも、いくつかの湖があり短い夏にはそこで泳いだりしていた┉。
エリオットがお兄ちゃんらしくサッと入って行くのに比べて、オスカーは怖々で。あの怖がりのオスカーが今、どのような目に合っているのか┉?
「ふっ┉ぁ。うう┉。」
そんな事を思ったら、もう涙が止まらなくなる。
マクシミリアンとエリオット、そしてオスカーと私┉あの日に還りたい!
それからぼんやりと飽きずに窓から景色を眺めていると、突然扉が開く。
そこから現れた者に、ハッと息を呑む。
「オ、オスカー!!」
一瞬我が目を疑った┉あの愛し子が!?
開いた扉の先から、見慣れぬ服を着たオスカーが、元気にこちらへ駆けてくる。
「かあさまーっ!」
余りの事に放心して、ふらふらと立ち上がる私を目掛けて飛び付いてくるオスカー。そして、ぎゅっと抱き合った。
オスカーの顔をよく見たくて、桃色の頬を手のひらで挟む。
それから綺麗な赤い瞳を覗き込むと、私の泣き顔が朧げに映っていた。┉ああ!
「オスカー!私の宝物!!二度と会えなかったら、母様は死んでしまうところだったよ?」
我が子をしっかりと抱き締めて、二度と離すものか!と誓う。
「オスカー?どこか┉痛いところはないか?怪我などしていないだろうか┉?」
私は心配で、オスカーの頭や足、背など擦って身体の無事を確かめた。
「かあさま、そんなにさわったら┉いたいよ!だけど┉かあさまも、いたいの?」
止め処無く涙を流し続ける私を見て、オスカーが心配している。
これではいけないと思い、オスカーの頬にそっと口付けをしてから精一杯微笑んだ。
オスカーは、嬉しそうに微笑む私を見て安心したようだった。
それから何か物音がしたような気がして、オスカーが入って来た扉の方を見る。
そこには、オスカーと同じ赤い目をしたガルド王が立っていて、私達二人をじっと見つめていた。
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