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第一章・憑依
11・馬上の楽しみ
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久しぶりにサウラに会ってショックを受けたからなのか、その夜熱を出した。もしかしてサウラの事はただのきっかけで、ずっと無理をしていたのかも知れない。弟の身体に憑依して、ロディアの分まで精一杯生きたいと願い、頑張り過ぎていたのかも知れないな…
自分では気付いていなかったけど、その事で物凄く疲弊していたのかも。
幸い三日ほどで熱は下がり、少しずつ通常の生活に戻れた。サウラと会ってから様子が可怪しくなった私を心配したデビットは、自分が誘ったせいで?と責任を感じてしまったようだった…学校に行ったらまずは、その誤解を解かなきゃ!
およそ一週間ぶりの学園行きに、朝からワクワクする。熱が下がってからも過剰に心配する両親から、外出はもちろんのこと、人と会うのも禁止されて…
私が憑依する前のロディアの様子から考えれば、仕方が無いんだけどね。
少し時間が早いかな?って思ったけれど、いつものように途中から歩く。早朝の空気はまだヒンヤリとしているけれど、空気が澄んでいて気持ちいい…
逸る気持ちでいつもよりも早く家を出て、そのおかげで道は混んでおらず、通り過ぎる馬車もほぼいない。それでいつもより悠々と歩いていると、やがて馬車が近付いて来る音が聞こえてきた。
大きくて立派な馬車が通り過ぎ、どこの家の馬車だろう?って思う。あの大きさだと侯爵家か公爵か…そんなところかな?そしてその後を、馬車ではなく馬の蹄の音が響いて…うん?
その軽快な馬の蹄の音が段々と弱まり私の直ぐ後ろで止まった。それに何だろう?と振り返ると、そこには見慣れた人懐っこい笑顔を浮かべる赤毛の人物が!
「ドビアス先生でしたか。おはようございます!」
馬に乗ったドビアス・ロウが現れて、私は嬉しくなって微笑む。ドビアスはヒョイと軽快な動きで馬を降り、馬の首の辺りを撫でて落ち着かせている。それから…
「おはようロディア、体調が悪かったそうだね?だから暫く会えなかったから心配していたよ。元気そうで良かった!」
相変わらずの眩しい笑顔で、そう心配してくれるドビアス先生に癒やされながら、心配かけてすみませんでした…と謝る。
「ところでドビアス先生はどうしてここに。護衛ですか?」
そう言ってキョロキョロと見回すけど、誰も続いてはいない。あっ、さっきの馬車か!
「先程の大きな馬車ですよね?第一王子のルーカス殿下が乗ってらしたのですね」
思わずそう聞いてしまったけど、秘密だったのかな?と口を手で押さえる。それにドビアスは、大丈夫だよ?って笑う。
「そうそう、ルーカス殿下だ。お忍びなんかじゃなく学園に通う目的だから言っても大丈夫。ルーカス殿下とはお会いしたかい?王族とは思えないほど気さくなお方だよ」
──ええっ、気さくな…お方なの?
それから弟のノア殿下を思い浮かべて、あの人の兄がそうだとはとても思えないと感じる。ルーカス殿下とはまだ会った事がないけれど、意外にも気さくな人柄なんだ!それに今日の護衛は第一騎士団なのかと安心する。
「ええっと…もう殿下は先に進んでしまいましたよ?急がなくても良いのですか」
それに気付いて慌ててそう言ったけど、私のせいだと思うと心配になる。それにドビアスは特に慌てた様子もなく、その後驚くべき事を言って…
「ロディア、馬に乗っていかないか?学園まではもう少し先だし、今なら誰も見ていないから…どうだろう?」
──ええーっ!馬に?
馬に乗るのは初めてではないが、二人乗りは初めてだ。うん?ロディアは初めてなのかな…それになんだか恥ずかしいんだけど!
ドビアスはちょっとだけ強引に乗るように言い、支えて貰いながら何とか跨った。そして私の後ろには、ドビアス先生がぴったりと身体が沿う形になる。背中越しにドビアスの逞しい胸板を感じて、私はドキドキする…意識し過ぎだろうか?
「さあ出発するよ?短い距離だけど楽しんで!ハハッ」
身体をすっぽりと抱えられたような体勢で、楽しむどころではないが、久しぶりに馬に乗って気持ちがいい。高い所からの景色はまた格別で、いつもよりも違って見えて新鮮だ。
「フフッ、気持ちいいですね!朝から馬で学園に向かうなんて、私が初めてじゃないでしょうか?」
ドビアス先生は、私を楽しませる天才じゃないか?って思う。デビットとも一緒だと楽しいけど、また違った楽しさがある。それに歳上なので安心出来るというか……私、何考えてるんだろ?
そう戸惑いながらも楽しく話しているとあっという間に学園に着く。そして速度を落として正面玄関の前で止まると、先程の殿下が乗られていた馬車も到着していた。咄嗟に、こんな馬上から殿下に会ってしまったら不敬では?と緊張したけど、もう殿下は校舎にお入りになっているとのこと。それにホッとする。
ドビアスはその事実を分かっていたのか至って平常心で、先生ってホントは只者じゃないんじゃない?と思ってしまう。
それからドビアスは颯爽と馬を降り、どうやって降りる?とモタモタしている私を抱き留めてくれる。
「先生、とっても楽しかったです!ありがとうございました。また馬に乗せて下さいね?」
「今度、一緒に遠乗りに行かないか?剣術も大切だけど、こういった楽しみも重要だぞ?」
そんなドビアスらしい提案に、楽しみにしてますね!と笑いながら答える。それから校舎に入ろうとすると、ふと誰かの気配に気付いて…
「朝からいいご身分だな」
──えっ、誰?
自分では気付いていなかったけど、その事で物凄く疲弊していたのかも。
幸い三日ほどで熱は下がり、少しずつ通常の生活に戻れた。サウラと会ってから様子が可怪しくなった私を心配したデビットは、自分が誘ったせいで?と責任を感じてしまったようだった…学校に行ったらまずは、その誤解を解かなきゃ!
およそ一週間ぶりの学園行きに、朝からワクワクする。熱が下がってからも過剰に心配する両親から、外出はもちろんのこと、人と会うのも禁止されて…
私が憑依する前のロディアの様子から考えれば、仕方が無いんだけどね。
少し時間が早いかな?って思ったけれど、いつものように途中から歩く。早朝の空気はまだヒンヤリとしているけれど、空気が澄んでいて気持ちいい…
逸る気持ちでいつもよりも早く家を出て、そのおかげで道は混んでおらず、通り過ぎる馬車もほぼいない。それでいつもより悠々と歩いていると、やがて馬車が近付いて来る音が聞こえてきた。
大きくて立派な馬車が通り過ぎ、どこの家の馬車だろう?って思う。あの大きさだと侯爵家か公爵か…そんなところかな?そしてその後を、馬車ではなく馬の蹄の音が響いて…うん?
その軽快な馬の蹄の音が段々と弱まり私の直ぐ後ろで止まった。それに何だろう?と振り返ると、そこには見慣れた人懐っこい笑顔を浮かべる赤毛の人物が!
「ドビアス先生でしたか。おはようございます!」
馬に乗ったドビアス・ロウが現れて、私は嬉しくなって微笑む。ドビアスはヒョイと軽快な動きで馬を降り、馬の首の辺りを撫でて落ち着かせている。それから…
「おはようロディア、体調が悪かったそうだね?だから暫く会えなかったから心配していたよ。元気そうで良かった!」
相変わらずの眩しい笑顔で、そう心配してくれるドビアス先生に癒やされながら、心配かけてすみませんでした…と謝る。
「ところでドビアス先生はどうしてここに。護衛ですか?」
そう言ってキョロキョロと見回すけど、誰も続いてはいない。あっ、さっきの馬車か!
「先程の大きな馬車ですよね?第一王子のルーカス殿下が乗ってらしたのですね」
思わずそう聞いてしまったけど、秘密だったのかな?と口を手で押さえる。それにドビアスは、大丈夫だよ?って笑う。
「そうそう、ルーカス殿下だ。お忍びなんかじゃなく学園に通う目的だから言っても大丈夫。ルーカス殿下とはお会いしたかい?王族とは思えないほど気さくなお方だよ」
──ええっ、気さくな…お方なの?
それから弟のノア殿下を思い浮かべて、あの人の兄がそうだとはとても思えないと感じる。ルーカス殿下とはまだ会った事がないけれど、意外にも気さくな人柄なんだ!それに今日の護衛は第一騎士団なのかと安心する。
「ええっと…もう殿下は先に進んでしまいましたよ?急がなくても良いのですか」
それに気付いて慌ててそう言ったけど、私のせいだと思うと心配になる。それにドビアスは特に慌てた様子もなく、その後驚くべき事を言って…
「ロディア、馬に乗っていかないか?学園まではもう少し先だし、今なら誰も見ていないから…どうだろう?」
──ええーっ!馬に?
馬に乗るのは初めてではないが、二人乗りは初めてだ。うん?ロディアは初めてなのかな…それになんだか恥ずかしいんだけど!
ドビアスはちょっとだけ強引に乗るように言い、支えて貰いながら何とか跨った。そして私の後ろには、ドビアス先生がぴったりと身体が沿う形になる。背中越しにドビアスの逞しい胸板を感じて、私はドキドキする…意識し過ぎだろうか?
「さあ出発するよ?短い距離だけど楽しんで!ハハッ」
身体をすっぽりと抱えられたような体勢で、楽しむどころではないが、久しぶりに馬に乗って気持ちがいい。高い所からの景色はまた格別で、いつもよりも違って見えて新鮮だ。
「フフッ、気持ちいいですね!朝から馬で学園に向かうなんて、私が初めてじゃないでしょうか?」
ドビアス先生は、私を楽しませる天才じゃないか?って思う。デビットとも一緒だと楽しいけど、また違った楽しさがある。それに歳上なので安心出来るというか……私、何考えてるんだろ?
そう戸惑いながらも楽しく話しているとあっという間に学園に着く。そして速度を落として正面玄関の前で止まると、先程の殿下が乗られていた馬車も到着していた。咄嗟に、こんな馬上から殿下に会ってしまったら不敬では?と緊張したけど、もう殿下は校舎にお入りになっているとのこと。それにホッとする。
ドビアスはその事実を分かっていたのか至って平常心で、先生ってホントは只者じゃないんじゃない?と思ってしまう。
それからドビアスは颯爽と馬を降り、どうやって降りる?とモタモタしている私を抱き留めてくれる。
「先生、とっても楽しかったです!ありがとうございました。また馬に乗せて下さいね?」
「今度、一緒に遠乗りに行かないか?剣術も大切だけど、こういった楽しみも重要だぞ?」
そんなドビアスらしい提案に、楽しみにしてますね!と笑いながら答える。それから校舎に入ろうとすると、ふと誰かの気配に気付いて…
「朝からいいご身分だな」
──えっ、誰?
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