12 / 108
第一章・思ってもみない結婚
12・好き
しおりを挟む
部屋で一人考える。結婚していいんだろうか?私…
確かに、父の元恋人であった伏木さんに直接会ったら懐かしくて、温かくて心地よい気持ちになった。
結局、この気持ちはどう説明したら良いのか分からないけど、父親を思うような…そんな感じなんだろうと思う。
だから伏木さんが喜ぶことは素直に嬉しい。
でも偽装で…そんなの意味ないんじゃないか?
そのまま偽装だと気付かずに亡くなるかもしれない。
──だけど…
こうやってもう知り合ってしまったから、亡くなる事など考えたくもないし、病気が治る見込みがあるのなら治療して欲しい。
元気になられたら嬉しいけど、そうなったらずっと騙す羽目になる…
耐えられるんだろうか?私は。
そんな事を延々と考えてしまっているけど、所詮一人で考えたって埒が明かない。
──直哉さんと話してみよう。
あれから連絡を取り合い、話しがあるからと会う約束をするのだが、仕事が忙しい直哉さんは、申し訳ないがマンションに来て貰えないか?と言った。
ちょっとだけドキドキしてしまうが、自意識過剰だと思われるのも何なので、そうさせて貰う事にした。
「涼さん、わざわざ来ていただいてすいません。父がああなってしまったので、急遽FUSHIKIの本社で働く事になったんです。その引き継ぎやなんかで今凄く忙しくて…」
ドアを開けるなりそう言って恐縮していた。
「全然大丈夫です。私は担当雑誌の締切も過ぎてますし、忙しくないので。」と笑顔で全然問題ない事を伝えた。
さあどうぞ!と言うのでお邪魔すると、流石最上階!リビングからの眺めは最高だ。
でも高過ぎてこそばゆい感覚になるよね?
そんな様子の私を見てちょっと笑って 「こちらに座って下さい。コーヒーでいいですか?今淹れますね。」と出してくれる。
こちらはお手伝いさんとか居ないんだな?ご飯とかどうしてるんだろう…外食かな?
まあ、余計な事は聞かないでおこう。
「私の方もごめんなさい。忙しくしてらっしゃる事を知らなかったので。無理に時間を作っていただいたんじゃないですか?」と心配なって聞いてみる。
「今日はもう落ち着いたので大丈夫ですよ。それでどういった話しですか?」
ここは意を決して自分の正直な気持ちを話した。
今後どうするつもりなのかも含めて話しておきたかったのだ。
「涼さんのお気持ちは良く分かりました。そう思われるのも無理ありません…。でも涼さん自身はどう思ってますか?俺と結婚したいなんて、全く思えないですかね?」と真剣な顔で聞いてくる。
結婚したいなんて…思えなくは…ない──。
頭の中で警鐘が鳴る…この人を好きになってはダメだ!
本気になんてなってはいけない。
この人は一体、私にどうしろって言うのか?
こんな経験の全くないオメガの私を…
自分の事、全然わかってないの?
そんな真剣な態度やドキッとする笑顔、人を蔑んだかと思うと涙ぐんだり…そんな自分の素の姿を人に見せといて、好きにならない…って何故思うんだろうか?
──く、苦しい…
未だかつて味わった事のないそんな苦しい感情をどうして良いのか全くわからない…
そして、まさか自分の言葉で私がこんなに動揺するとは思っていなかったのだろう。直哉さんは即座に謝ってくる。
「涼さん!どうかしましたか?だ、大丈夫ですか?俺、何か失礼な事、言ってしまったんでしょうか…」と言って駆け寄り、私を落ち着かせようとしたのだろうか、肩をぎゅっと抱いてくる。
──私はもう覚悟した。
こんな事でさえも嬉しいと思ってしまうとは…
確かに、父の元恋人であった伏木さんに直接会ったら懐かしくて、温かくて心地よい気持ちになった。
結局、この気持ちはどう説明したら良いのか分からないけど、父親を思うような…そんな感じなんだろうと思う。
だから伏木さんが喜ぶことは素直に嬉しい。
でも偽装で…そんなの意味ないんじゃないか?
そのまま偽装だと気付かずに亡くなるかもしれない。
──だけど…
こうやってもう知り合ってしまったから、亡くなる事など考えたくもないし、病気が治る見込みがあるのなら治療して欲しい。
元気になられたら嬉しいけど、そうなったらずっと騙す羽目になる…
耐えられるんだろうか?私は。
そんな事を延々と考えてしまっているけど、所詮一人で考えたって埒が明かない。
──直哉さんと話してみよう。
あれから連絡を取り合い、話しがあるからと会う約束をするのだが、仕事が忙しい直哉さんは、申し訳ないがマンションに来て貰えないか?と言った。
ちょっとだけドキドキしてしまうが、自意識過剰だと思われるのも何なので、そうさせて貰う事にした。
「涼さん、わざわざ来ていただいてすいません。父がああなってしまったので、急遽FUSHIKIの本社で働く事になったんです。その引き継ぎやなんかで今凄く忙しくて…」
ドアを開けるなりそう言って恐縮していた。
「全然大丈夫です。私は担当雑誌の締切も過ぎてますし、忙しくないので。」と笑顔で全然問題ない事を伝えた。
さあどうぞ!と言うのでお邪魔すると、流石最上階!リビングからの眺めは最高だ。
でも高過ぎてこそばゆい感覚になるよね?
そんな様子の私を見てちょっと笑って 「こちらに座って下さい。コーヒーでいいですか?今淹れますね。」と出してくれる。
こちらはお手伝いさんとか居ないんだな?ご飯とかどうしてるんだろう…外食かな?
まあ、余計な事は聞かないでおこう。
「私の方もごめんなさい。忙しくしてらっしゃる事を知らなかったので。無理に時間を作っていただいたんじゃないですか?」と心配なって聞いてみる。
「今日はもう落ち着いたので大丈夫ですよ。それでどういった話しですか?」
ここは意を決して自分の正直な気持ちを話した。
今後どうするつもりなのかも含めて話しておきたかったのだ。
「涼さんのお気持ちは良く分かりました。そう思われるのも無理ありません…。でも涼さん自身はどう思ってますか?俺と結婚したいなんて、全く思えないですかね?」と真剣な顔で聞いてくる。
結婚したいなんて…思えなくは…ない──。
頭の中で警鐘が鳴る…この人を好きになってはダメだ!
本気になんてなってはいけない。
この人は一体、私にどうしろって言うのか?
こんな経験の全くないオメガの私を…
自分の事、全然わかってないの?
そんな真剣な態度やドキッとする笑顔、人を蔑んだかと思うと涙ぐんだり…そんな自分の素の姿を人に見せといて、好きにならない…って何故思うんだろうか?
──く、苦しい…
未だかつて味わった事のないそんな苦しい感情をどうして良いのか全くわからない…
そして、まさか自分の言葉で私がこんなに動揺するとは思っていなかったのだろう。直哉さんは即座に謝ってくる。
「涼さん!どうかしましたか?だ、大丈夫ですか?俺、何か失礼な事、言ってしまったんでしょうか…」と言って駆け寄り、私を落ち着かせようとしたのだろうか、肩をぎゅっと抱いてくる。
──私はもう覚悟した。
こんな事でさえも嬉しいと思ってしまうとは…
103
あなたにおすすめの小説
【完結】愛されたかった僕の人生
Kanade
BL
✯オメガバース
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
お見合いから一年半の交際を経て、結婚(番婚)をして3年。
今日も《夫》は帰らない。
《夫》には僕以外の『番』がいる。
ねぇ、どうしてなの?
一目惚れだって言ったじゃない。
愛してるって言ってくれたじゃないか。
ねぇ、僕はもう要らないの…?
独りで過ごす『発情期』は辛いよ…。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
✻本作品(オリジナル)の結末をif(運命の番)ルートに入れ替えて、他サイトでの投稿を始めました。タイトルは「一度目の結婚で愛も希望も失くした僕が、移住先で運命と出逢い、二度目の結婚で愛されるまで」に変えてます。
オリジナルの本編結末は完全なハッピーエンドとはいえないかもしれませんが、「一度目の〜…」は琳が幸せな結婚をするハッピーエンド一択です。
結婚初夜に相手が舌打ちして寝室出て行こうとした
紫
BL
十数年間続いた王国と帝国の戦争の終結と和平の形として、元敵国の皇帝と結婚することになったカイル。
実家にはもう帰ってくるなと言われるし、結婚相手は心底嫌そうに舌打ちしてくるし、マジ最悪ってところから始まる話。
オメガバースでオメガの立場が低い世界
こんなあらすじとタイトルですが、主人公が可哀そうって感じは全然ないです
強くたくましくメンタルがオリハルコンな主人公です
主人公は耐える我慢する許す許容するということがあんまり出来ない人間です
倫理観もちょっと薄いです
というか、他人の事を自分と同じ人間だと思ってない部分があります
※この主人公は受けです
売れ残りオメガの従僕なる日々
灰鷹
BL
王弟騎士α(23才)× 地方貴族庶子Ω(18才)
※ 第12回BL大賞では、たくさんの応援をありがとうございました!
ユリウスが暮らすシャマラーン帝国では、平民のオメガは18才になると、宮廷で開かれる選定の儀に参加することが義務付けられている。王族の妾となるオメガを選ぶためのその儀式に参加し、誰にも選ばれずに売れ残ったユリウスは、国王陛下から「第3王弟に謀反の疑いがあるため、身辺を探るように」という密命を受け、オメガ嫌いと噂される第3王弟ラインハルトの従僕になった。
無口で無愛想な彼の優しい一面を知り、任務とは裏腹にラインハルトに惹かれていくユリウスであったが、働き始めて3カ月が過ぎたところで第3王弟殿下が辺境伯令嬢の婿養子になるという噂を聞き、従僕も解雇される。
殿下に婚約終了と言われたので城を出ようとしたら、何かおかしいんですが!?
krm
BL
「俺達の婚約は今日で終わりにする」
突然の婚約終了宣言。心がぐしゃぐしゃになった僕は、荷物を抱えて城を出る決意をした。
なのに、何故か殿下が追いかけてきて――いやいやいや、どういうこと!?
全力すれ違いラブコメファンタジーBL!
支部の企画投稿用に書いたショートショートです。前後編二話完結です。
虚ろな檻と翡翠の魔石
篠雨
BL
「本来の寿命まで、悪役の身体に入ってやり過ごしてよ」
不慮の事故で死んだ僕は、いい加減な神様の身勝手な都合により、異世界の悪役・レリルの器へ転生させられてしまう。
待っていたのは、一生を塔で過ごし、魔力を搾取され続ける孤独な日々。だが、僕を管理する強面の辺境伯・ヨハンが運んでくる薪や食事、そして不器用な優しさが、凍てついた僕の心を次第に溶かしていく。
しかし、穏やかな時間は長くは続かない。魔力を捧げるたびに脳内に流れ込む本物のレリルの記憶と領地を襲う未曾有の魔物の群れ。
「僕が、この場所と彼を守る方法はこれしかない」
記憶に翻弄され頭は混乱する中、魔石化するという残酷な決断を下そうとするが――。
-----------------------------------------
0時,6時,12時,18時に2話ずつ更新
やっと退場できるはずだったβの悪役令息。ワンナイトしたらΩになりました。
毒島醜女
BL
目が覚めると、妻であるヒロインを虐げた挙句に彼女の運命の番である皇帝に断罪される最低最低なモラハラDV常習犯の悪役夫、イライ・ロザリンドに転生した。
そんな最期は絶対に避けたいイライはヒーローとヒロインの仲を結ばせつつ、ヒロインと円満に別れる為に策を練った。
彼の努力は実り、主人公たちは結ばれ、イライはお役御免となった。
「これでやっと安心して退場できる」
これまでの自分の努力を労うように酒場で飲んでいたイライは、いい薫りを漂わせる男と意気投合し、彼と一夜を共にしてしまう。
目が覚めると罪悪感に襲われ、すぐさま宿を去っていく。
「これじゃあ原作のイライと変わらないじゃん!」
その後体調不良を訴え、医師に診てもらうととんでもない事を言われたのだった。
「あなた……Ωになっていますよ」
「へ?」
そしてワンナイトをした男がまさかの国の英雄で、まさかまさか求愛し公開プロポーズまでして来て――
オメガバースの世界で運命に導かれる、強引な俺様α×頑張り屋な元悪役令息の元βのΩのラブストーリー。
愛された側妃と、愛されなかった正妃
編端みどり
恋愛
隣国から嫁いだ正妃は、夫に全く相手にされない。
夫が愛しているのは、美人で妖艶な側妃だけ。
連れて来た使用人はいつの間にか入れ替えられ、味方がいなくなり、全てを諦めていた正妃は、ある日側妃に子が産まれたと知った。自分の子として育てろと無茶振りをした国王と違い、産まれたばかりの赤ん坊は可愛らしかった。
正妃は、子育てを通じて強く逞しくなり、夫を切り捨てると決めた。
※カクヨムさんにも掲載中
※ 『※』があるところは、血の流れるシーンがあります
※センシティブな表現があります。血縁を重視している世界観のためです。このような考え方を肯定するものではありません。不快な表現があればご指摘下さい。
もう一度君に会えたなら、愛してると言わせてくれるだろうか
まんまる
BL
王太子であるテオバルトは、婚約者の公爵家三男のリアンを蔑ろにして、男爵令嬢のミランジュと常に行動を共にしている。
そんな時、ミランジュがリアンの差し金で酷い目にあったと泣きついて来た。
テオバルトはリアンの弁解も聞かず、一方的に責めてしまう。
そしてその日の夜、テオバルトの元に訃報が届く。
大人になりきれない王太子テオバルト×無口で一途な公爵家三男リアン
ハッピーエンドかどうかは読んでからのお楽しみという事で。
テオバルドとリアンの息子の第一王子のお話を《もう一度君に会えたなら~2》として上げました。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる