【完結】あなたの妻(Ω)辞めます!

MEIKO

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第一章・思ってもみない結婚

12・好き

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 部屋で一人考える。結婚していいんだろうか?私…

 確かに、父の元恋人であった伏木さんに直接会ったら懐かしくて、温かくて心地よい気持ちになった。
 結局、この気持ちはどう説明したら良いのか分からないけど、父親を思うような…そんな感じなんだろうと思う。

 だから伏木さんが喜ぶことは素直に嬉しい。
 でも偽装で…そんなの意味ないんじゃないか?
 そのまま偽装だと気付かずに亡くなるかもしれない。

 ──だけど…
 
 こうやってもう知り合ってしまったから、亡くなる事など考えたくもないし、病気が治る見込みがあるのなら治療して欲しい。

 元気になられたら嬉しいけど、そうなったらずっとだます羽目になる…

 耐えられるんだろうか?私は。

 そんな事を延々と考えてしまっているけど、所詮一人で考えたってらちかない。

 ──直哉さんと話してみよう。

 あれから連絡を取り合い、話しがあるからと会う約束をするのだが、仕事が忙しい直哉さんは、申し訳ないがマンションに来て貰えないか?と言った。

 ちょっとだけドキドキしてしまうが、自意識過剰だと思われるのも何なので、そうさせて貰う事にした。

 「涼さん、わざわざ来ていただいてすいません。父がああなってしまったので、急遽きゅうきょFUSHIKIの本社で働く事になったんです。その引き継ぎやなんかで今凄く忙しくて…」
 ドアを開けるなりそう言って恐縮していた。

 「全然大丈夫です。私は担当雑誌の締切も過ぎてますし、忙しくないので。」と笑顔で全然問題ない事を伝えた。
 
 さあどうぞ!と言うのでお邪魔すると、流石最上階!リビングからの眺めは最高だ。
 でも高過ぎてこそばゆい感覚になるよね?

 そんな様子の私を見てちょっと笑って 「こちらに座って下さい。コーヒーでいいですか?今淹れますね。」と出してくれる。

 こちらはお手伝いさんとか居ないんだな?ご飯とかどうしてるんだろう…外食かな?
 まあ、余計な事は聞かないでおこう。

 「私の方もごめんなさい。忙しくしてらっしゃる事を知らなかったので。無理に時間を作っていただいたんじゃないですか?」と心配なって聞いてみる。

 「今日はもう落ち着いたので大丈夫ですよ。それでどういった話しですか?」

 ここは意を決して自分の正直な気持ちを話した。
 今後どうするつもりなのかも含めて話しておきたかったのだ。

 「涼さんのお気持ちは良く分かりました。そう思われるのも無理ありません…。でも涼さん自身はどう思ってますか?俺と結婚したいなんて、全く思えないですかね?」と真剣な顔で聞いてくる。

 結婚したいなんて…思えなくは…ない──。
 
 頭の中で警鐘けいしょうる…この人を好きになってはダメだ!
 本気になんてなってはいけない。

 この人は一体、私にどうしろって言うのか?
 こんな経験の全くないオメガの私を…
 
 自分の事、全然わかってないの?
 そんな真剣な態度やドキッとする笑顔、人をさげすんだかと思うと涙ぐんだり…そんな自分のの姿を人に見せといて、好きにならない…って何故思うんだろうか?

 ──く、苦しい…
 
 いまだかつて味わった事のないそんな苦しい感情をどうして良いのか全くわからない…

 そして、まさか自分の言葉で私がこんなに動揺するとは思っていなかったのだろう。直哉さんは即座に謝ってくる。
 
 「涼さん!どうかしましたか?だ、大丈夫ですか?俺、何か失礼な事、言ってしまったんでしょうか…」と言って駆け寄り、私を落ち着かせようとしたのだろうか、肩をぎゅっと抱いてくる。

 ──私はもう覚悟した。
 こんな事でさえも嬉しいと思ってしまうとは…
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