【完結】あなたの妻(Ω)辞めます!

MEIKO

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第ニ章・幸せな結婚?

21・困惑

 何故キスをされたのか分からない…
 
 誓いのキス、気になってた?

 私が口にしてくれたらいいのに…って思ったこと知ってて?

 何だか分からけど、それでもちょっと嬉しかった。
 
 ほんの一歩だけ進んだような気がしたから…

 

 仕事の引き継ぎで忙しい直哉さんは、式の2日後にはもう出勤していた。
 私も今日から出勤する事に決めた。

 伏木涼として──。

 
 「東雲さん、こちらの写真で大丈夫ですか?」

 結婚前にあんな事があったけど、涌井さんには引き続き取材の担当をさせていただいている。
 誰が悪い訳でもないしね…

 流石に披露宴での装花は素晴らしくて、招待された人は感嘆の声を上げた。
 独創的かつ会場の雰囲気にも合わせて仕上げるその技は、誰もが出来るものではない…才能だ。

 改めて涌井さんの才能に感動して、これからも取材をお願いしたいと思った。
 それを編集長に伝えたらちょっと渋い顔をした。…何でだろうか?

 「涼、もう何パターンか用意しろ!色調を変えて…な!」

 そう言われて、違う事考えてる場合じゃない!って慌てて動き出した。



 「ただいまー。」

 「あっ、直哉さん。おかえりなさい!」

 直哉さんは真っ直ぐにソファに座っている私のところに来て…

 「んっ、ふぁ…ッ。」
 
 ──キスをする。

 あれから何故か、キスだけは解禁で…

 一体どういうつもり?って思うけど。

 「直哉さん、ご飯は?こんな時間だし軽めに食べますか?」

 「ありがとう。助かる!」


 目の前の直哉さんに作った食事を出しながら考える…きちんと聞いた方がいいのかな?

 ありがとうって笑顔で言うこの人に、もう少しだけ近づいてもいいですか?って。
 
 ホントにそう聞けたら…いいんだけどね。


 

 「今日ちょっと帰り遅くなるかも知れません。この前お会いした涌井さんの所に取材に行くので…」
 
 そう言った瞬間、かつて一度だけ感じた事がある…あの独特の空気に襲われる。

 ──うっ…余りの圧に顔をしかめる私。
 だけど次の瞬間それがサッと治まっていく。

 「涼…!」
 
 ふらついて立っていられない私を、直哉さんが抱きかかえる。

 「大丈夫か?すまない!感情のコントロールが出来なくて…」
 そしてハァハァと息を荒げる私を心配そうに見つめる。

 やがて呼吸が落ち着き大丈夫だと伝えて、直哉さんを見ると何故か厳しい顔をしている。

 どうしたんだろう…?

 「涌井さんには近づかないでくれ!ダメだ…あの人は。」

 その言葉にすっかり困惑してしまった…だけどこれだけ真剣に言うのだから、何か理由があるのかも知れないと思い直す。

 「今回だけ…今回だけにします。今後は誰か違う人にお願いする事にしますから。今日だけ…ダメですか?」と不安気ふあんげに聞いてみる。

 直哉さんは大きく溜息ためいきをつき、しばらく考えてから…今回だけですから!と強く言った。

 あまりの剣幕に凄く驚いたな…直哉さん、どうしてあんな事を?
 それにあの耐え難い空気は…
 
 涌井さんの時と、今回も感じたあのアルファフェロモンは、怒りの感情が混じってる?
 だったらあの時の涌井さんも?どうして怒ったのだろうか…

 考えてもオメガの私には分からない。
 やはり直哉さんの言うことを聞いて今回限りにしよう…と心に決めて職場に向かった。

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