【完結】あなたの妻(Ω)辞めます!

MEIKO

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第ニ章・幸せな結婚?

22・突然のヒート

 「涌井さん、結婚式では装花とブーケ作っていただいてありがとうございました!」
 
 再び涌井さんの所に取材で訪れた私は、まずは…と笑顔でお礼を言った。
 
 「いえ、こちらこそありがとう。涼さん綺麗だったでしょうね。」
 ホントは見たかったんですけどね…と涌井さんが呟く。

 「えーっ!恥ずかしいですよ。友人には上手く化けてるって評判でした!」と笑い合った。

 良かった…いつもの涌井さんだ。

 涌井さんは私が尊敬している一人だ。
 だから本当はこれからも取材させて欲しい。
 だけど…直哉さんに心配をかける訳にいかないから。

 今日が最後だ!今後はお会いするのも少なくなるだろうな?って思って精一杯取材しようと心に決める。


 「今日はありがとうございました。急で申し訳ありませんが、今回を最後に担当を変わらせていただきます。後任の者は優秀な編集者ですので、涌井さんも気に入っていただけると…」

 ──涌井…さん…?

 涌井さんが凄く悲しい顔をしている。担当変わるの…嫌?

 「涼さんごめんなさい。ちょっとショックで。ずっと涼さんに取材していただいてたので寂しくて…」とうつむいた。

 そんな涌井さんの顔を見てしまうと…罪悪感が。

 涌井さんは暫く動かなかったが、それから思い直したように上を向き…

 「俺、涼さんがずっと好きでした。取材を初めて受けた二年前から…ずっと!ホント今更なんですが。だからこの前、伏木さんの結婚相手として来た涼さんを見てショックであんな事に…。もっと早く言えば良かったですね。」と笑顔を見せた。

 そして、幸せになってくださいと言って…


 それには何故か涙が出てきた。
 こんな素晴らしい人が?私の事好きでいてくれた?そんなふうに思ったら、やっぱり嬉しい。

 私と涌井さんは泣き笑いになりながらも、お互いの活躍を祈りながら握手を交わした。


 最後に本音でお話し出来て良かった…と思いながら、失礼させていただきますと出て行こうとした瞬間。

 ──ハァッ…フゥッ。熱い!

 まだまだ先だと思っていたけどヒート!?なんで今…
 でも抑制剤飲んでいるから、きっとまだ大事には至らないはず…直ぐに家に帰れば大丈夫だ!

 ちょっとだけ我慢して帰ろう!そう思って振り返ると。
 涌井さんが驚いた表情をしている。

 「り、涼さん?なんで…ヒート。涼さんのヒートの匂いが俺に?何故匂いがするんですか!もしや直哉伏木さんとはつがいになっていないのか…?」

 ──ハッとする!

 そう…結婚しても番になんてなってないから…。でもどうしよう?何て言ったら…

 涌井さんは正面から私の肩をがっしりとつか見据みすえる。

 ──痛い!か、肩が…

 
 「番にはなっていないんです。ならないんです…」

 それに涌井さんは驚愕きょうがくの表情を浮かべて目を見開く。

 「何故だ?なんで…。涼さんが、涼さんと番にならないって言うのか?」

 肩をぎゅっと掴んだまま、私をじっと見ている。それに思わず目を背けてしまう…

 そして何かを悟ったように穏やかになり、肩掴んですみません…と手を離す。

 それから涌井さんは、「そんな状態の涼さんをこのまま電車で帰せません。俺に家まで送らせて下さい。」と真剣な顔で言う。

 確かに…不安だ。このまま電車で帰るってなると。
 でも、私を好きだって言う人に送って貰うなんて!いくら何でもマズい気がする…

「涼さん大丈夫ですよ。俺、強い抑制剤飲んでいますから。ほら!何ともないですよね?涼さんの匂い感じても大丈夫ですから。家の前まで送って、直ぐに帰りますよ。」

 涌井さんはそう言ってくれて。迷うなぁ…迷うけど、正直送って貰えると安心かもしれない。意地を張って電車で帰って、そこで大変な事になる可能性だってあるし…

 かなり迷ったが、ではお願いします…涌井さんの車に乗り込んだ。
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