【完結】私が一人で死んだ夜。だからあなたを、捨てることにしますね?

MEIKO

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第四章・予期せぬ告白

26・最期の言葉(※少々暴力的な表現あり)

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 瀕死のロリーはゴボッと血を吐いて、だけど薄ら目は開いている状態。頭からの出血と、それから手足の擦り傷。着ていた服は衝突された衝撃の為か、ズタズタになっている。そして足首は骨折しているらしく、有り得ない方向に曲がっていて…

 ──ああ、どうしよう!意識はあるの?

 「誰か!早く医者を呼んで下さい。それに警備兵も!」

 イーゴリがそう声を掛け、周りにいた人達が焦りながら駆けて行く。そしてロリーを跳ね飛ばした馬を懸命に抑える人達。その中にはスチワートもいて、イーゴリも駆け付けようとしている。
 その場は騒然とし、慌ただしく動き回る人達の中で、私だけがロリーの側にいる。そして…

 「気を確かに、ロリー!直ぐにお医者様が来るからね?大丈夫…大丈夫だから!」

 懸命にそう伝えて、医者はまだなのかと焦りが募る。すると通りの向こう側から白衣を着た人物が、こちらへと走って来るのが見える。

 「お医者様よ、ロリー!きっと元気になるからね?もう少しの我慢だから」

 相変わらず目は開いているけど、朦朧としている表情のロリー。意識があるのかないのかも判断出来ない…

 「先生、早くこちらに!」

 そう叫びながらロリーの手を上からそっと触れる。怪我をしているかも知れないから、ぎゅっと握れないのがもどかしい!だけど少しでも安心して欲しいから。すると…

 「ゴボッ…わ、私が…間違、ってたわ。あの…子を信じる…んじゃなかった。私…が言いたかった、の…は、ノート…ン、伯爵…様が、ご、存じなこ…と。だけど、あの子…シン、シアを信用…しないで!悪魔…よ、あ…の子は」

 ──シンシアが悪魔…ですって?

 どういうことなの?それに言いたかったことはお父様が知ってるって。確かに私だけが知らない…って言っていたから、お父様とお兄様はご存知のことなんだと思ってはいたけど。それだけじゃないってこと?

 「そ、れに…伯爵…さ、まは騙され…て、いる。エ、リカの…ゴブッ!」

 何とかそう伝えて、大量の血を吐くロリー。流石の私も恐ろしくて、咄嗟に後ずさる。その時医者が駆け付けてくれたけど、ロリーはもうぐったりとしていた。そしてほぼ身動きさえもなくて…
 
 それから人々に担架に乗せられたロリーは、急いで運ばれて行く。その傍らでは、呆然と立ち尽くす私が…

 分からなくなっていた…お父様は全て知っていて、かつ騙されているという言葉。そしてロリーの言うところによる『シンシアは悪魔』という言葉。何かを企んでいるってことなの?おまけにロリーが最後に言ったのは、シンシアの母親の名前…エリカ。

 「おい、フレデリカ!大丈夫か?あの馬やっぱりおかしいぜ、薬か何かを盛られたんじゃないかな…」

 「俺もそう思います。明らかに正気じゃなかった!ここは危険です…一旦領主城に戻りましょう」

 馬をやっとのことで捕獲し、これ以上の騒動を防いだ二人。そしてその馬の様子がおかしいと言う…それって、誰かがワザとってこと?何が何だか分からなくなる。

 「皆様、もう行きましょう。ロリーさんには申し訳ないですが、恐ろしくてこんなところにはいられません!」

 そういえば姿を見せなかったオリアナは、カフェの隅でブルブルと震えいた。まだ年若いメイドだもの…怖くて当然だわ。そんな状態のオリアナを放っておく訳にもいかず、私達はその混乱の場を後にした。ロリーの無事だけを祈りながら…

 ──その翌日。

 「フレデリカ、悪い報せだ…ロリーが亡くなったよ」

 そんなスチワートの報せに絶句する!ロ、ロリーが…亡くなった?

 「どうしよう…私が訪ねて行ったから?そんなのって!」

 わあぁと叫び泣き出した私。それに驚いたスチワートは、優しく身体を抱き締めてくれる。その温かな胸で泣きじゃくりながら、己の行動を後悔する私が…

 「フレデリカのせいなんかじゃない!あの馬をあんなにした奴のせいだ。そして元々はあのロリーの発言から始まったこと…自分のせいだなんて思っちゃいけないよ?」

 それに泣きながらコックリと頷く。だけど…

 いろんな偶然が重なって起きた今回の不幸。やはり責任を感じてしまう…ひとしきり泣いて、スチワートの逞しい胸に包まれていると、落ち着いてくる私が。それからロリーの最期の言葉をスチワートにも伝える。すると…

 「それって、どういう意味だ?やっぱり全てがノートン伯爵とシンシアに繋がっている。フレデリカ、一度父親と会ってみてはどうだろう。君の気持ちも分かるけど、このままでいいとは思えない…そうだろ?」

 私もあれから、そのことが頭の中をグルグル回っている。どう考えてもお父様に聞く必要がある!その上でシンシアがどう動くのか…

 「そうね、そうする!お母様にロリー…関わって亡くなった人までいるのに、黙ってなんていられないわ」

 そう決意する私に、スチワートは大きく頷いている。そして…

 「うん!その時は俺も同席するから大丈夫だよ。それとさ、今回の騒動って…どう思う?」

 「どう思う…とは?」

 スチワートの言いたいことって何だろうと考える。暴走する馬に、そして亡くなったロリー。もしかしてその二つが、同じ理由から起きたことだっていうの?

 「どう考えても、偶然とは思えないんだ!俺達が偶然訪ねた日に、本来起こるはずのない馬の暴走…それに被害者はロリー。そんな偶然は普通有り得ない。何か裏に隠されている気が…だから被害者は俺達だった可能性もある」

 「ええっ、私達が狙われていたのかも知れないってこと?そんな馬鹿な…」

 そう言ってしまって思い出すのは、あの時タイミングよく走って来る馬。もしも私達が来ないロリーに痺れを切らして、店を訪ねてみようと通りを渡った可能性もある。ほんの少しの差だけで、私が死ぬことだって…

 「そうよ!きっと裏がある…だから私も一緒に行くことにする。帝国の首都なんて何十年かぶりだけれど、それでも大事な姪と妹も関わっていること…黙っていられないわ!」

 そんな声に驚き振り返ると…伯母様!その目には一切の迷いはないように見える。それなら…

 「ええ、是非伯母様にも一緒に行って欲しいです。そして私は、何を聞いたとしても挫けることはありません。私には伯母様やスチワート…大事な人達が付いていますから!」

 こうして私達は、早速領主城を出発した。約半年ぶりのノートン家の家族達…少し会うのは怖いけど、きっと大丈夫…皆がいてくれるから!

 
 

 
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