【完結】私が一人で死んだ夜。だからあなたを、捨てることにしますね?

MEIKO

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第四章・予期せぬ告白

25・恐ろしい体験

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 「フレデリカ様…ど、どうなさったのです?どうしてここ、に…いらっしゃるのですか」

 目の前のロリーは、無理矢理笑おうとしているのか、口元が引き攣り顔を歪ませている。そしていつになく、歯切れの悪い喋り方をしている…まさか私がここに来るなんて思いも寄らないことだったんでしょうね。それもロリーの家に…

 「あなたを訪ねて来たのよ。前にあなたの言ったことの真意を聞きたくて。そして恐らくだけど、あなたはそれを話したがっていた…違う?」

 私は敢えて直球で尋ねる。ここまで来たら、もう誤魔化すことは出来ない…いえ、誤魔化しちゃいけない気がする。これはノートン家だけでなく、フラウ家までも巻き込んでいる重大なこと。それなら私は、きちんと真相を知らなければと…

 「真意?ああ、私があの時言っていたことですね。ですが…本当に聞きたいですか?知らなくてもいいことかも知れませんよ」

 ロリーは少し落ち着いたのか、先程までの怯えは消え去り、挑むような視線を向ける。それでこそロリー…この人はやはり、ひと筋縄ではいかない気がする。それ程シンシアを慕っているから?そう単純な感情ではないのかしら…

 「いいえ、ここまで来たのだから真相を知りたいの。あなたは元々、シンシアの最側近だった人。だからそんな気遣いは無用だわ!それに知らなければならない…自分の為にも」

 そう真剣に返す私。するとロリーは、諦めたようにフッと息を吐く。すると…

 「申し訳ないですが私は、今から仕事に行かなければならないんです。お昼の手伝いだけですから…二時間ほど待っていただけませんか?事前に誓います!必ず真相をお話すると…」

 挑むような視線は影を潜め、本当にそう思っているのが分かる。ロリーにしてみればきっと乗りかかった船…話してしまいたいのだろう。それから私達とロリーは移動して、働いているという食堂の前にやって来た。すると…

 「今はここで働いています。どうかそれまで時間を潰していただけないでしょうか?こちらの店だと正直気が散りますし…。向こうに小洒落たカフェがございます。そちらで二時間後に待ち合わせということでお願いします」

 そう言って素直に頭を下げるロリーは、通りの向こう側にあるカフェを指差している。それに私達はコックリと頷いて、一旦別れることにした。

 「まあ、急に来たから仕方がないか。でも間違いなくあれは、真実を話そうとしている。きっと自分の心の中だけで、留めることの限界を感じているんじゃないかな…」

 そのスチワートの言葉に同意する私。ロリーはきっと、正直に話そうとしている…そんなふうに思う。

 「それまでの間、どこかで食事をしましょうか?お昼ですし…」

 オリアナのその提案で我に返った私達は、二時間後に待ち合わせなんだと慌てて移動することにした。近くには前に立ち寄った食堂もあり、また同じ店に入ることにする。それはとっても美味しいから!
 それで四人で席に着いた私達はまた同じ物を注文し、やっと一息つくことに。

 「この場をお借り…じゃなかった!前から聞いてみたかったんだけど、錬金術での移動って危なくないか?あの時二人が急に現れて、騒然としたんだ!本当に切るところだったよ…」

 イーゴリはそう言って、思い出したように天を仰ぐ。そうだったわ…薔薇園に出る筈が、どうして伯母様の執務室に行ってしまったのかが謎のまま。それで…

 「本当は薔薇園に出る予定だったのよ?あの庭園にね、お母様の名前がつけられた薔薇があるの。それを思い出して飛んでみたんだけど」

 「そうそう、あれは本当に肝が冷えたよ。出たら全然違ってて!」

 今となっては笑い話になるけど、本当に危なかったと思う。今度私が主導して飛ぶ機会があれば、気を付けなきゃと思うくらいに。するとオリアナが…

 「私は分かりました!その理由は、実はあの執務室にはいつも薔薇が飾られているんです。確かクリスティーヌという個体名のピンクの薔薇が!」
 
 「ええっ…お母様の薔薇を?」

 オリアナは微笑みながらウンウン頷いている。そうなのね…伯母様がお母様を懐かしんで、今でも飾ってくださっているんだ。本当に仲の良い姉妹だったのね…
 それにはジンと感動しちゃうけど、そういえばと急に思い出したのはシンシアのこと。

 姉妹同然で育ったと言ってたわよね?あの二人は。そしてその相手であるロリーは、シンシアに纏わる真実を話そうとしている。それはどういう気持ちで?
 そしてシンシアは何故、それをあの時止めたのかしら?それが明らかになろうとしている。それを考えたら少しドキドキしてきた…

 そんなことを考えていると、私達のテーブルに大鍋がドカンと置かれて、またまた漂ういい匂い!そんな疑問はあるものの、目の前の美味しい料理をまずば平らげることにした。そして…

 「少し遅いな?もう二時間が過ぎているけど…」

 スチワートはそう言い、時間を気にしている。すると隣のイーゴリが…

 「間違いなくあの店にはいる!もしも逃げたら…と思って、さっきチラッと見てきたんだ。店が結構混んでいたから、時間通り終わらないのかも知れない」

 「そうなの?それじゃあ、もう少し待ってみましょう」

 私達がいるのは、窓際のテラス席。ここからロリーがいる食堂は真正面に見える。それでお茶を飲みながら他愛もない話をしながら待つことにした。そして三十分ほど経った後…

 「あっ、皆さん見て!出て来ましたよ」

 オリアナの声に振り向くと、慌てた様子のロリーが店から出て来たところで。そしてこちらの視線に気付いて、軽く会釈している。それから左右をキョロキョロしながら、通りを渡ろうとすると…

 「おい!あの馬…危なくないか?」

 イーゴリが大声を出し、ロリーに気を取られていた私達は、イーゴリが見ている方を向き直す。すると…

 遠くから猛スピードでこちらに駆けてくる馬。ここから見ても分かるくらいに涎を撒き散らし、顔を激しく振りながら視線が定まっていない。ええっ!

 ──な、何…暴れ馬?どうしてこんなところに!

 だけど焦りながら道を渡ろうとしているロリーは気付いてもいない。そのまま歩き出して…

 ──バンッ!

 跳ね飛ばされる身体…それからドシンと地面に叩き付けられる。そして暫くすると、その場に広がる赤い染みが…

 「キ、キャーッ!」

 オリアナが悲鳴を上げ、騒然とするこの場。私は急いで店を出て、ふらつく足取りで近付いて行く。怖いけど、行かない訳にはいかない。すると…頭から血を流しているロリーが!

 ど、どうなったの?こんなことになるなんて…どうして!
 
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