【完結】私が一人で死んだ夜。だからあなたを、捨てることにしますね?

MEIKO

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番外編

番外編2・二度目のプロポーズ

 「エズラあなた、相当鍛錬を積んだのね?ちょっとビックリしちゃったわ」

 あれから警備隊の入団テストに挑んだエズラ。それをすんなりパスして、まずは国境の警備隊の任に就いた。それから一年の間に副隊長にまで登り詰め、それから本邸の警備に就く為の厳しい試験を突破したエズラは、史上最速でここまでやって来た。それで任命式のために本邸にやって来たエズラを、話をしたいと執務室に呼び出した私。エズラが来るなり使用人達は、気を利かせようとか直ぐに誰も居なくなってしまった。もしかして……私の気持ちって、バレバレなのかしら?
 
 そう思いながらも目の前のエズラを見つめると、ひと回り以上大きくなった身体に浅黒く日焼けした顔。いつか見た時のように騎士らしく精悍な顔つきになっている。
 それにしても昇進が早くない?って思うけど、確かに前の生では帝国騎士団の副団長を務めていたから、強いのは不思議ではないのかもね。だけどこの人生では子供の頃から研究所にいて、剣術の鍛錬なんて皆無だった筈。なのに?って、その変わりように驚きで……

 「アハハ、結局剣の腕ってセンスなんだ。まるでやってなかったとしても、記憶と染み付いた技は身体の中に生きているもんだな。直ぐに勘を取り戻せて良かったよ」

 そう言って明るく笑うエズラ。それを呆気にとられながら見ていた私は、確かにそうねぇ……とも思ったりする。私の今があるのも、昔の私があってこそなんだと思う。冷静で公正な判断で人を束ねる……あんな経験がなかったとしたら、尻込みしていたかも知れないわ。自分にどこまても自信がなくて、勇気を出すことも出来ずに……そんな自分が嫌になっていたかもね?

 「そうね、取り敢えずおめでとう!本邸の警備隊の任務といえば、私やお母様の護衛になるけど……どうして志願したのか聞いていい?」

 そう尋ねると、エズラはキョトンといった顔をする。それからサッと真剣な顔に変えて……

 「そんなの決まってるだろ?俺がそもそもここに来たのは、フレデリカを守ろうって決めたからだ。それだけは疑わないで欲しい」

 そう力強く宣言するエズラに胸がドキリとする。疑ってはないけど……と思いながらも、頬がポッと熱くなって思わず手のひらで押さえる。

 「あ、ありがとう!私もエズラが側に居てくれたら安心だから」

 どうしてか照れてしまって、少しぶっきらぼうな言い方になってしまう。そんな気持ちが分かっているエズラは、私を見ながら微笑んでいる。そんな表情を見ていたら、ある想いが溢れてきて……

 「私と同じ気持ちだって思っていいの?そんな言い方されると、自分の都合の良いようにとってしまうわよ」

 一時は関わらない選択をした私達。だけど……どうにも無理な気がしている。間違いなくお互いに気持ちがあり、おまけにこんなに遠いところにまで来てくれた。それはどうして?もう一度私と、やり直そうと思ってくれているのかしら。そう思っていいのかな……

 「俺は君を愛してる!だけど無理強いはしたくない。君には俺に関わらなくとも輝かしい未来があり、なにも俺なんかを選ばなくてもいいんだ。だが、それでも騎士としては側にいさせて欲しい……これだけは譲れないよ?」

 いつになく真剣で、真っ直ぐに私を見つめているエズラ。それならと私も、心をさらけ出す決心をする。そして……

 「私はあなたが、運命を変えてでも守ろうとしてくれたことを聞いた時から、既に心は決まっていたんだと思う。自信がなくてどうにかそれを誤魔化そうとしたけど全然駄目だったわ。だから……もう我慢しないことにする!」

 「そ、それって?」

 碧い瞳を揺らしながら、私の目を覗き込むエズラ。まだ私の決断を信じられないよう。それで……こうした方が伝わるかもと逞しい胸に飛び込んだ!それから広い背中に腕を回し、離れないようにと抱き締める。

 「お、おい!どうした?」

 ブルルと大きく震えた身体が、その驚きを物語っている。私は想いを伝えようと腕の力を強める。ギューッと……

 「いいのか?また命を脅かされることになるかも知れない。それに短命になるって噂もあるし……」

 やはりエズラが恐れているのは私の命なのね。だけど私の意思はそんなことでは変わらない。変わるくらいなら、またこの人を愛したりなんかしないわ!

 「大丈夫よ……私は生き残ってみせるわ!そしてその時になったら、あなたや子供達に囲まれながら幸せだったと言って旅立つの。だから迷わない!」

 「だったらフレデリカ、結婚してくれ!」

 私達は見つめ合って、そのまま熱く口付ける。これまでの自分の想いをぶつけるように、貪るように何度もキスをして!
 不安がないと言うのは嘘になるけど、それでも二度目の命は後悔したくない。だからこの先早く旅立つことがあったとしても、この人の隣に居ようと思う。私が生涯たった一人、愛する人だから……
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