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番外編
番外編3・ハッピーウエディング
「なあ、フレデリカ。式には父上や兄上も呼んだら……って思うんだけど。どうかな?」
あれからプロポーズを受けて結婚を決めたけど、身分詐称の件でエズラはお母様と皇帝陛下をも騙していたという事実がある。だからどれだけ反対されるかもと戦々恐々だったけど、蓋を開けてみればすんなり了承される。ちょっと拍子抜け……
もちろん死に戻りのことは話せないけど、スチワートとして接していた時に私への愛情を強く感じていたそう。それから私を守ろうとルードアまで来たことも良かったみたいで、結婚を許して下さった。それでホッとした私達は、早速挙式の準備に取り掛かる。
決めないといけないことが多過ぎて、それでも少しずつ二人で進めてきた。そしてやっと形になってきてホッとしていた時、突如エズラはそう尋ねてくる。
実は私だって、そう思わないでもなかったこと。もう既にノートン伯爵家の者ではなくなったとはいえ、それでも実の父と兄。だけど会わなくなって既に四年という月日が経ち、向こうがどう思っているのかさえ想像も付かないから……
「無理にって言ってる訳じゃない。フレデリカがどうしても嫌だって言うなら、その気持ちを優先するよ?だけど……ほんの少しでも迷っているなら、招待だけしておいたらって思うんだ。言葉を交わす必要だってないし、何なら遠くの席にしておくから!」
そう鼻息荒く言ってくるエズラに、プハッと吹き出した。分かってる……エズラがそう言っているのは私を思ってのこと。きっと後で、後悔しないようにという気持ちからだと思う。というのは、父の体調が思わしくないらしい。寝たきりになるまでではないみたいだけど、この先はどうなるか分からないから。だからエズラは、きっとそうなってからでは遅いと言いたいのでしょう……その気持ちは痛いほど分かる。
「そうねぇ。私だって、絶対に会いたくないとまでは言わない。だけど本当に二人は来るの?もう四年も会っていないし、今更会ったところで何を話せばいいのか……」
どう接していいのか分からないのが正直な気持ち。元々口数が少ないお父様と、口を開けば文句ばかりだったお兄様。二人は反省していると人伝に聞いたけど、もうどっちだっていいという気持ちになっている。悲しいけど、それが現実だもの……
「今では辺境伯となった君の家族だ……その事実は無視出来ないし、一応招待状だけは送っておく。だから出席するかは二人の判断に任せよう。それにここには瞬間移動装置があるから、身体の負担だって少ない筈だからね?スチワートが更に改良を重ねて、副作用もぐんと少なくなったから。それにお義母様と……お義父様も来るんだろ?緊張するなぁ~」
「そうそう!フフフッ」
打ってかわり緊張した様子を見せるエズラ。お義母様というのは前辺境伯であるお母様だけど、お義父様は……何と皇帝陛下!
先月二人は結婚し、お母様はこの帝国の皇后陛下となった。籍を入れずにこのままでいいと言ったそうだけど、陛下はどうしてもお母様に皇后になって欲しかったとか。私にしてみれば少し寂しい気持ちもあったけど、お二人の新しい門出を祝福した。
なんでも、前皇后陛下の忘れ形見である皇太子殿下が成人し、皇帝の座を譲ってから二人でのんびりと暮らしたいと望んでいらっしゃるよう。お二人らしいわね!
だから恐れ多いことだけど、皇帝陛下は私達の義理の父親でもあることになる。それによって私が跡を継いで、辺境伯となることもあって……
「さあ、もうひと頑張りするか。新しい辺境伯様のお披露目を兼ねた俺達の結婚式。フレデリカに恥をかかせる訳にはいかないし、入念に準備をしよう!」
「うん。辺境伯伴侶のエズラのお披露目でもあるしね!」
私達は笑い合いながら準備を再開した。どんなことでも二人ならきっと大丈夫!そう確信しながら……
──結婚式当日。
挙式は本当は二度目だけど、こんなに穏やかな気持ちで晴れの日を迎えられるなんてと感動ひとしお。
輝くばかりの真っ白なドレスを身に纏った私は、静々と赤い絨毯の上を進んでいる。
隣には私よりもずっと緊張している皇帝陛下が!父親の役目で腕を組んで共に歩いていただいている。こんなことってこの帝国始まって以来なんじゃない?ってちょっと心配になるけど、目が合った途端に優しく微笑んでくださり温かい感動に包まれて……
この先には挙式を執り行う神官と、同じく真っ白なタキシードを着たエズラが待っている。その姿を見た途端、うるっと涙が滲んでしまう。まだ泣いちゃ駄目!と自分に言い聞かせながら目の前までやって来た。すると……
「エズラ、フレデリカを頼むぞ。幸せにしてやってくれ」
「はい、もちろんです。全身全霊をかけて愛すると誓います!」
それには思わずポロリと涙が溢れたけど、「私に誓ってどうするんだ?」という陛下の言葉でこの場は笑いに包まれ、和やかな雰囲気になる。それで緊張が解けた私達は笑顔で神官の前に立った。
それから神官によって祝福の言葉を述べられ、私達はそれに応えることで愛を誓い合う。これで今世も晴れて夫婦になった私達。こうやって誓うのは、お互いだけ……
「おめでとう!」
参列者の歓声に振り向くと、そこには愛する人がいた。お母様にお義父様にスチワートも来てくれている。そしてこんな私達に関わってくれている感謝すべき人達の笑顔。泣きながら一人一人に顔を向けると、ある人のところでドキリとする。最前列の端には、懐かしい二人が座っていたから……
「お、お父様にお兄様?来てくれたのね」
二人は前よりずっと痩せていたけど、思ったよりも顔色が良くてホッとする。おまけに見たこともないような明るい笑顔を浮かべていて……心にジンとくる。
遠くの席だって言ってなかった?と、隣のエズラを見上げるとそこには満面の笑顔が!ワザとなのね?とそれにはまたまたジンとしてしまう。泣き笑いの私達は、お互いに顔を寄せ愛を伝え合った。愛するのはあなただけだと……
あれからプロポーズを受けて結婚を決めたけど、身分詐称の件でエズラはお母様と皇帝陛下をも騙していたという事実がある。だからどれだけ反対されるかもと戦々恐々だったけど、蓋を開けてみればすんなり了承される。ちょっと拍子抜け……
もちろん死に戻りのことは話せないけど、スチワートとして接していた時に私への愛情を強く感じていたそう。それから私を守ろうとルードアまで来たことも良かったみたいで、結婚を許して下さった。それでホッとした私達は、早速挙式の準備に取り掛かる。
決めないといけないことが多過ぎて、それでも少しずつ二人で進めてきた。そしてやっと形になってきてホッとしていた時、突如エズラはそう尋ねてくる。
実は私だって、そう思わないでもなかったこと。もう既にノートン伯爵家の者ではなくなったとはいえ、それでも実の父と兄。だけど会わなくなって既に四年という月日が経ち、向こうがどう思っているのかさえ想像も付かないから……
「無理にって言ってる訳じゃない。フレデリカがどうしても嫌だって言うなら、その気持ちを優先するよ?だけど……ほんの少しでも迷っているなら、招待だけしておいたらって思うんだ。言葉を交わす必要だってないし、何なら遠くの席にしておくから!」
そう鼻息荒く言ってくるエズラに、プハッと吹き出した。分かってる……エズラがそう言っているのは私を思ってのこと。きっと後で、後悔しないようにという気持ちからだと思う。というのは、父の体調が思わしくないらしい。寝たきりになるまでではないみたいだけど、この先はどうなるか分からないから。だからエズラは、きっとそうなってからでは遅いと言いたいのでしょう……その気持ちは痛いほど分かる。
「そうねぇ。私だって、絶対に会いたくないとまでは言わない。だけど本当に二人は来るの?もう四年も会っていないし、今更会ったところで何を話せばいいのか……」
どう接していいのか分からないのが正直な気持ち。元々口数が少ないお父様と、口を開けば文句ばかりだったお兄様。二人は反省していると人伝に聞いたけど、もうどっちだっていいという気持ちになっている。悲しいけど、それが現実だもの……
「今では辺境伯となった君の家族だ……その事実は無視出来ないし、一応招待状だけは送っておく。だから出席するかは二人の判断に任せよう。それにここには瞬間移動装置があるから、身体の負担だって少ない筈だからね?スチワートが更に改良を重ねて、副作用もぐんと少なくなったから。それにお義母様と……お義父様も来るんだろ?緊張するなぁ~」
「そうそう!フフフッ」
打ってかわり緊張した様子を見せるエズラ。お義母様というのは前辺境伯であるお母様だけど、お義父様は……何と皇帝陛下!
先月二人は結婚し、お母様はこの帝国の皇后陛下となった。籍を入れずにこのままでいいと言ったそうだけど、陛下はどうしてもお母様に皇后になって欲しかったとか。私にしてみれば少し寂しい気持ちもあったけど、お二人の新しい門出を祝福した。
なんでも、前皇后陛下の忘れ形見である皇太子殿下が成人し、皇帝の座を譲ってから二人でのんびりと暮らしたいと望んでいらっしゃるよう。お二人らしいわね!
だから恐れ多いことだけど、皇帝陛下は私達の義理の父親でもあることになる。それによって私が跡を継いで、辺境伯となることもあって……
「さあ、もうひと頑張りするか。新しい辺境伯様のお披露目を兼ねた俺達の結婚式。フレデリカに恥をかかせる訳にはいかないし、入念に準備をしよう!」
「うん。辺境伯伴侶のエズラのお披露目でもあるしね!」
私達は笑い合いながら準備を再開した。どんなことでも二人ならきっと大丈夫!そう確信しながら……
──結婚式当日。
挙式は本当は二度目だけど、こんなに穏やかな気持ちで晴れの日を迎えられるなんてと感動ひとしお。
輝くばかりの真っ白なドレスを身に纏った私は、静々と赤い絨毯の上を進んでいる。
隣には私よりもずっと緊張している皇帝陛下が!父親の役目で腕を組んで共に歩いていただいている。こんなことってこの帝国始まって以来なんじゃない?ってちょっと心配になるけど、目が合った途端に優しく微笑んでくださり温かい感動に包まれて……
この先には挙式を執り行う神官と、同じく真っ白なタキシードを着たエズラが待っている。その姿を見た途端、うるっと涙が滲んでしまう。まだ泣いちゃ駄目!と自分に言い聞かせながら目の前までやって来た。すると……
「エズラ、フレデリカを頼むぞ。幸せにしてやってくれ」
「はい、もちろんです。全身全霊をかけて愛すると誓います!」
それには思わずポロリと涙が溢れたけど、「私に誓ってどうするんだ?」という陛下の言葉でこの場は笑いに包まれ、和やかな雰囲気になる。それで緊張が解けた私達は笑顔で神官の前に立った。
それから神官によって祝福の言葉を述べられ、私達はそれに応えることで愛を誓い合う。これで今世も晴れて夫婦になった私達。こうやって誓うのは、お互いだけ……
「おめでとう!」
参列者の歓声に振り向くと、そこには愛する人がいた。お母様にお義父様にスチワートも来てくれている。そしてこんな私達に関わってくれている感謝すべき人達の笑顔。泣きながら一人一人に顔を向けると、ある人のところでドキリとする。最前列の端には、懐かしい二人が座っていたから……
「お、お父様にお兄様?来てくれたのね」
二人は前よりずっと痩せていたけど、思ったよりも顔色が良くてホッとする。おまけに見たこともないような明るい笑顔を浮かべていて……心にジンとくる。
遠くの席だって言ってなかった?と、隣のエズラを見上げるとそこには満面の笑顔が!ワザとなのね?とそれにはまたまたジンとしてしまう。泣き笑いの私達は、お互いに顔を寄せ愛を伝え合った。愛するのはあなただけだと……
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