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第一章・クリスティーヌの逃亡
8・再びの絶望
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街まで来るのは久しぶりだわ…元々私は、外出するのも最低限。結婚するまでほぼ社交にも顔を出さなかったし、それを許される状況にもなかった。唯一許されたのは学校に通うことくらいで…
そして卒業して直ぐ結婚することになったから、結局デビュタントすらしていない。だからそういう場に出る時間さえなかったっていうのが本当のところ。
「奥様、街に到着致しました。どうされますか?昼食を先に…それとも宝石店に行かれますか?」
そう聞かれ私は、そうねぇと考える。今はちょうど昼時。そんな時間に着いてしまったら、昼食を先にするのが普通なんだろう。なのに病み上がりの私は、まだお腹が空いていなかった。ロリーのことを考えるとどうしよう…だけど先に宝石店に行ってしまおう!それが今日の目的なんだし、それ程時間もかからないように思う。
「昼食はもう少し後に…先に用事を済ませてしまいましょう。それから食事に行くことにするわ」
そう伝えるとロリーは、「かしこまりました」と頭を下げる。それから護衛の騎士達にそれを伝え、それから近くにいた子供に声を掛けている。それに、うん?と不思議に思って見ていると、ロリーはその子に何かを握らせて、笑顔で子供は向こうに駆けて行く。それからこちらに戻ってくると…
「ではこれより、クレランス宝石店に向かいます。そしてあの子供に駄賃をやって、奥様お気に入りのレストランを予約しておくように頼みました。それでよろしいでしょうか?」
それには納得し、笑顔で頷いた。この街には私お気に入りのレストランがある…そこが唯一の母との思い出の場所だから。三歳で母が亡くなるまでの間、何度も家族で訪れていた場所。あの時はまだ父との関係も良好で、こんなふうになるなんて思いも寄らなかった。そのレストランは高級店ではないけれど、食べると温かくなるような家庭的な料理が自慢の店…今でも時折足を運んでいる。公爵家の嫡男で舌の肥えたロベルトとは、決して行けないような店だけど…
「ありがとう、ロリー。それにあの子にしてみれば駄賃稼ぎになるわね。楽しみは後に取っておいて、取り敢えずは宝石店に行きましょうか?」
馬車止のところから、クレランス宝石店はもう目の前。やはりこの帝国では一番の人気店…街の一等地にある。ロリーと護衛騎士を二人連れて店まで歩いていると、通りの向こうにいるご婦人方が、こちらを見ながら何やら囁いている。それに、何だろう?と気になって…
その婦人達は、チラチラと私を見てはいるが声を掛けてくる様子はない。服装から下級貴族家の夫人?記憶にはないから会ったことはないように思う。だけど向こうはそうではなさそう。嫌だわ…
きっと皇居でのことの噂が広がっているのだと思う。あれからもう三週間ほど経っているけど、まだ噂の的なのかしら?
家令のノートンからは、あれが誤解だったと皇家から発表があったと聞いた。私はあのブローチを拾っただけだったのだと…
そしてその誤解が解けたことでホッとして、当然ロベルトからは謝罪があるかと思っていた。今のところ、それは一切ない。私の頬をぶったこと…あのことはロベルトにとって、どうでもいいことなの?既に済んだことで、無視してしまってもよいと?
そんなことを思い出しながら溜め息を吐き、それから気を取り直して歩き出した。相変わらずその婦人方はこちらを見ていて、言いたいことがあるのなら直接言いなさいよ!と、心の中で悪態をつく。だけどそれは結局、全くの誤解だった。それが分かるのは直ぐ後のこと…
「ここであなた達は待っていてくれる?店の中にはロリーと二人で入ります。この店は防犯の面から出入り口は正面だけ…だから大丈夫よね?」
まずはそう騎士達に声を掛ける。私達の他にも、店の前には屈強な男達が立っている。店で雇っている用心棒の者達だ…
高級店ということで、セキュリティ面はかなりしっかりとしている。だから我が家の護衛達も大丈夫だろうと、素直に従ってくれる。それに店の中にはそもそも、一定以上の基準に叶った者しか入れない。たまたま立ち寄った者や初めての者など…入店出来ない決まりになっているそう。いわゆる、一見さんお断り!ってやつね?だから公爵夫人の私だとしても、店側には事前に知らせてから来ている。そうなると伯爵家の令嬢だった時には、絶対入れなかったわね…
ロリーと二人で店に入ろうとすると、係の者らしい人がサッと扉を開けてくれる。それに「ありがとう」とにこやかに会釈して、店内に入ろうとすると…ええっ、危ない!
店からたまたま出ようとしていた人達とぶつかりそうになる。既のところで避け、当たることはなかった。だけど危なかったと心臓はドキドキ!そして礼儀として謝ろうとすると…
「うん?お前か…」
その聞き覚えのある声…それに心臓が止まりそうになる!そして…
「まあ、イェガー夫人ではありませんか!偶然ですわね?この前は大変失礼いたしました…もう体調はよろしいんですの?」
そしてもう一人…聞き覚えのある声が響く。それには俯いてしまう私が…どうして会ってしまうのかしら?
待ち合わせした訳でもない。私はたまたま、この日この時間にやって来ただけ。そしてあろうことかこの店に…
おまけにこんな時間…なんなの?もしかしてロベルトは今日は休み…そんなこと私には、一切知らされてなかった。
そして今やっと気付いた…あの婦人達のこと。あれは、私達が鉢合わせしそうだと噂していたのね?先にロベルトがカレンと連れ立って店に入るのを見ていて、それから次に私が…
夫が恋人と一緒にいるところに妻が鉢合わせする…誰だって面白可笑しく噂するに違いない。だけど…
「ええ、お陰様で体調は戻りましたの。ですからそのような心配をしていただく必要は…」
私は俯き加減のままそう答えた。二人の顔を出来るだけ見ないように…そのことが私なりの意地とも言える。幸せそうな二人など、見たくもないもの!
二人の顎先をチラッと見て、このまま視線をキープする。これで顔を見なくともそれ程違和感を感じないでしょう?この前のことで少々顔を合わせにくい…それだけのことだと放っておいて欲しい。それなのに…
「まあ、クリスティーヌ様!」
突然カレンに手を握られる!右手を両の手で挟むようにしっかりと。そして…
「この前のことを怒っておいでなのですね?私の誤解からとんだことを…申し訳ありません!赦していただけるまで何度でも謝りますから」
──えっ…な、何を…
唖然とする私。この人は一体、何をしたいのだろう?そしてそんな行動のせいで、今私はカレンを見つめてしまっている。ピンク色に頬を染め、潤んだ緋色の瞳が美しい…この人は、どこまで私を惨めにするの?今日は顔も見たくなかったのに!
「何だ?お前のその態度は。さてはまだ怒っているのか?優しさの欠片もない女だな…」
──ああ、我慢ならない…あなた達はどこまで私を馬鹿にするの!
そしてこれはもしかしたら小説の強制力…何をやっても、何を言っても、こうやって悪い方に取られてしまう!もう、嫌っ。
「分かりました…謝罪を受け入れます」
表情を変えず、そう冷たく言い放った。どうでも好きなようにその意味を受け取ったらいい。本当に謝罪を受け入れたと思うか、そうではないと思うのか…心底どっちでもいいわ。
「お、おい!クリスティーヌ」
そんな二人の横を、スッと通って店内に入った…もうそれ以上は二人のことなど見ようともせずに。焦ったロベルトはロリーに向かって、一度だけ小さく頷いたのが目の端に見える。あれはきっと、後で報告するようにという合図なのでしょう。いいわよ?どうでも…
「お、奥様…よろしいので?」
いつもは冷静沈着なロリーでさえこのことに動揺している。こうやって無視したように行動したから?だけどもう私は、そんなことはどうでも良かった。そして思う…
──あと一回。その時が早々にやって来ただけ…
そして卒業して直ぐ結婚することになったから、結局デビュタントすらしていない。だからそういう場に出る時間さえなかったっていうのが本当のところ。
「奥様、街に到着致しました。どうされますか?昼食を先に…それとも宝石店に行かれますか?」
そう聞かれ私は、そうねぇと考える。今はちょうど昼時。そんな時間に着いてしまったら、昼食を先にするのが普通なんだろう。なのに病み上がりの私は、まだお腹が空いていなかった。ロリーのことを考えるとどうしよう…だけど先に宝石店に行ってしまおう!それが今日の目的なんだし、それ程時間もかからないように思う。
「昼食はもう少し後に…先に用事を済ませてしまいましょう。それから食事に行くことにするわ」
そう伝えるとロリーは、「かしこまりました」と頭を下げる。それから護衛の騎士達にそれを伝え、それから近くにいた子供に声を掛けている。それに、うん?と不思議に思って見ていると、ロリーはその子に何かを握らせて、笑顔で子供は向こうに駆けて行く。それからこちらに戻ってくると…
「ではこれより、クレランス宝石店に向かいます。そしてあの子供に駄賃をやって、奥様お気に入りのレストランを予約しておくように頼みました。それでよろしいでしょうか?」
それには納得し、笑顔で頷いた。この街には私お気に入りのレストランがある…そこが唯一の母との思い出の場所だから。三歳で母が亡くなるまでの間、何度も家族で訪れていた場所。あの時はまだ父との関係も良好で、こんなふうになるなんて思いも寄らなかった。そのレストランは高級店ではないけれど、食べると温かくなるような家庭的な料理が自慢の店…今でも時折足を運んでいる。公爵家の嫡男で舌の肥えたロベルトとは、決して行けないような店だけど…
「ありがとう、ロリー。それにあの子にしてみれば駄賃稼ぎになるわね。楽しみは後に取っておいて、取り敢えずは宝石店に行きましょうか?」
馬車止のところから、クレランス宝石店はもう目の前。やはりこの帝国では一番の人気店…街の一等地にある。ロリーと護衛騎士を二人連れて店まで歩いていると、通りの向こうにいるご婦人方が、こちらを見ながら何やら囁いている。それに、何だろう?と気になって…
その婦人達は、チラチラと私を見てはいるが声を掛けてくる様子はない。服装から下級貴族家の夫人?記憶にはないから会ったことはないように思う。だけど向こうはそうではなさそう。嫌だわ…
きっと皇居でのことの噂が広がっているのだと思う。あれからもう三週間ほど経っているけど、まだ噂の的なのかしら?
家令のノートンからは、あれが誤解だったと皇家から発表があったと聞いた。私はあのブローチを拾っただけだったのだと…
そしてその誤解が解けたことでホッとして、当然ロベルトからは謝罪があるかと思っていた。今のところ、それは一切ない。私の頬をぶったこと…あのことはロベルトにとって、どうでもいいことなの?既に済んだことで、無視してしまってもよいと?
そんなことを思い出しながら溜め息を吐き、それから気を取り直して歩き出した。相変わらずその婦人方はこちらを見ていて、言いたいことがあるのなら直接言いなさいよ!と、心の中で悪態をつく。だけどそれは結局、全くの誤解だった。それが分かるのは直ぐ後のこと…
「ここであなた達は待っていてくれる?店の中にはロリーと二人で入ります。この店は防犯の面から出入り口は正面だけ…だから大丈夫よね?」
まずはそう騎士達に声を掛ける。私達の他にも、店の前には屈強な男達が立っている。店で雇っている用心棒の者達だ…
高級店ということで、セキュリティ面はかなりしっかりとしている。だから我が家の護衛達も大丈夫だろうと、素直に従ってくれる。それに店の中にはそもそも、一定以上の基準に叶った者しか入れない。たまたま立ち寄った者や初めての者など…入店出来ない決まりになっているそう。いわゆる、一見さんお断り!ってやつね?だから公爵夫人の私だとしても、店側には事前に知らせてから来ている。そうなると伯爵家の令嬢だった時には、絶対入れなかったわね…
ロリーと二人で店に入ろうとすると、係の者らしい人がサッと扉を開けてくれる。それに「ありがとう」とにこやかに会釈して、店内に入ろうとすると…ええっ、危ない!
店からたまたま出ようとしていた人達とぶつかりそうになる。既のところで避け、当たることはなかった。だけど危なかったと心臓はドキドキ!そして礼儀として謝ろうとすると…
「うん?お前か…」
その聞き覚えのある声…それに心臓が止まりそうになる!そして…
「まあ、イェガー夫人ではありませんか!偶然ですわね?この前は大変失礼いたしました…もう体調はよろしいんですの?」
そしてもう一人…聞き覚えのある声が響く。それには俯いてしまう私が…どうして会ってしまうのかしら?
待ち合わせした訳でもない。私はたまたま、この日この時間にやって来ただけ。そしてあろうことかこの店に…
おまけにこんな時間…なんなの?もしかしてロベルトは今日は休み…そんなこと私には、一切知らされてなかった。
そして今やっと気付いた…あの婦人達のこと。あれは、私達が鉢合わせしそうだと噂していたのね?先にロベルトがカレンと連れ立って店に入るのを見ていて、それから次に私が…
夫が恋人と一緒にいるところに妻が鉢合わせする…誰だって面白可笑しく噂するに違いない。だけど…
「ええ、お陰様で体調は戻りましたの。ですからそのような心配をしていただく必要は…」
私は俯き加減のままそう答えた。二人の顔を出来るだけ見ないように…そのことが私なりの意地とも言える。幸せそうな二人など、見たくもないもの!
二人の顎先をチラッと見て、このまま視線をキープする。これで顔を見なくともそれ程違和感を感じないでしょう?この前のことで少々顔を合わせにくい…それだけのことだと放っておいて欲しい。それなのに…
「まあ、クリスティーヌ様!」
突然カレンに手を握られる!右手を両の手で挟むようにしっかりと。そして…
「この前のことを怒っておいでなのですね?私の誤解からとんだことを…申し訳ありません!赦していただけるまで何度でも謝りますから」
──えっ…な、何を…
唖然とする私。この人は一体、何をしたいのだろう?そしてそんな行動のせいで、今私はカレンを見つめてしまっている。ピンク色に頬を染め、潤んだ緋色の瞳が美しい…この人は、どこまで私を惨めにするの?今日は顔も見たくなかったのに!
「何だ?お前のその態度は。さてはまだ怒っているのか?優しさの欠片もない女だな…」
──ああ、我慢ならない…あなた達はどこまで私を馬鹿にするの!
そしてこれはもしかしたら小説の強制力…何をやっても、何を言っても、こうやって悪い方に取られてしまう!もう、嫌っ。
「分かりました…謝罪を受け入れます」
表情を変えず、そう冷たく言い放った。どうでも好きなようにその意味を受け取ったらいい。本当に謝罪を受け入れたと思うか、そうではないと思うのか…心底どっちでもいいわ。
「お、おい!クリスティーヌ」
そんな二人の横を、スッと通って店内に入った…もうそれ以上は二人のことなど見ようともせずに。焦ったロベルトはロリーに向かって、一度だけ小さく頷いたのが目の端に見える。あれはきっと、後で報告するようにという合図なのでしょう。いいわよ?どうでも…
「お、奥様…よろしいので?」
いつもは冷静沈着なロリーでさえこのことに動揺している。こうやって無視したように行動したから?だけどもう私は、そんなことはどうでも良かった。そして思う…
──あと一回。その時が早々にやって来ただけ…
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