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第五章・西の離宮
27・甘い誘惑(ちょっとだけ*)
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晩餐を済ませた後、旅の疲れからか眠くなってきてしまった私は、まだ比較的に早い時間だという事もあってアルジェにはこのまま食事を続けてと言い残し、自分は部屋に戻る事にした。
──アスバル様と隣同士で食事をしているアルジェが嬉しそうだったな~
二人ってどんな関係?と思うが、ここは大人同士だ詮索はしないでおく。アルジェの事だから、そのうち自ら話してくれるだろうと思っている。
ダイニングルームを後にしてホールに出ると、その広さゆえに少し薄暗いが外に篝火が焚かれていて、その火が幻想的に揺らめいている。それに照らされた木々が、また昼間見るのとは違って凄く綺麗だ。それらを眺めながらゆっくりと歩いて部屋までたどり着いた。
「湯浴みでもしようかな?汗を沢山かいたし…」
この離宮には共用の大きな浴場もあるようだが、一人でゆっくり入りたいと備え付けの浴場に入っていく。
天然の温泉がまるで川のようにたっぷりと流れ込んでいる為、何時でも入る事が出来るのが本当に嬉しい。
衣を脱いで薄い湯浴み用の布を纏って浸かる。
「ハァァ…気持ちが良い」
意外にも特有の香りは少ない。少しヌメリ感のある湯が肌に染み込み、そしてすべすべとした感触に笑みが溢れた。
──ふぅーっ…熱くなってきたなぁ
温まり過ぎた身体を少し冷まそうと湯から出た。
そして部屋にお水が有ったのを思い出し、熱を冷ます為に飲まなくちゃ!…と向かう。
──ゴクゴク。ハァ美味しい!
火照った身体に冷たさが染み渡った。
そして水差しを戻そうとした時、載せられていた盆を誤って落としてしまった…
──カラーーン!金属音が響いた。
「まったく…アルジェが居ないとこんな事も満足に出来ないのか?私は」
そう思って自分に呆れながら盆を戻し、再び浴場に戻ろうとすると…
「スリジャ、どうかしたのか?」
そこに扉の向こうからロイの声が響いた。
ロ、ロイ様…?どうして…
何故?という驚きと裸同然の格好をしている自分の現状でドギマギしてしまって…
「スリジャ?さっき部屋から大きな音がしたが…大丈夫なのか?心配で来てみたのだけど」
──あっ、盆を落としたから?
そう思い当たって納得した。
「水を飲んでいた時、うっかり盆を落としてしまって…大丈夫ですから。わざわざ様子を見に来てくださってありがとうございます。」
その音の理由と心配して来てくれた事へのお礼を言って戻ってもらおうとした。だけど…
「ここを開けて、ひとめ顔を見せて貰っていいか?無事な姿を見ない事には安心できない!」
それには…困ったなって思う。湯浴み用の薄衣を一枚かけているだけだ。どうしよう…
「あの…私、今湯浴みをしていたんです。…ですから今はちょっと困る…」
ガチャリ!言い終わらないうちに扉が開かれた。えっ…?
咄嗟に、その役には立ちそうもない僅ばかりの布で何とか身体を隠そうとする。
──これ、隠れているんだろうか…?こんな薄い湯浴みの布で…
「湯浴み中…だったのか?」
目の前のロイは、そんな状態だとは思っていなかったようで驚いて目を見開いている。それから視線を移すと…
じっと私の身体を見つめるロイがいる。
湯で濡れている布は私の身体にぴったりと張り付いて、所々くっきりと浮かび上がっている。ロイは目を逸す訳でもなくて、それに囚われて離せなくなっているようだった。
その瞳の奥には青炎が宿り揺らめいている。ロイの目は情欲を感じた時のみそれが現れる。
その事を以前の行為によって知っているスリジャは得も言われぬ幸せを感じて…
ロイの頬を愛しげに両手で包み…そっと自ら唇を押し当てた。
まるでそれを合図のように激しく絡み合う二人。
「んっ、…ふ…ぁッ」
ロイのシャツの胸元は大きく開けられていて、お互いの身体をぴったりと合わせると肌が触れる…
自分とは全く違うその分厚い胸の筋肉の流線にスリジャは驚きそしてウットリとした表情を浮かべる。
その恍惚とした表情に満足したロイは…自らシャツを脱ぎ捨てた!
──アスバル様と隣同士で食事をしているアルジェが嬉しそうだったな~
二人ってどんな関係?と思うが、ここは大人同士だ詮索はしないでおく。アルジェの事だから、そのうち自ら話してくれるだろうと思っている。
ダイニングルームを後にしてホールに出ると、その広さゆえに少し薄暗いが外に篝火が焚かれていて、その火が幻想的に揺らめいている。それに照らされた木々が、また昼間見るのとは違って凄く綺麗だ。それらを眺めながらゆっくりと歩いて部屋までたどり着いた。
「湯浴みでもしようかな?汗を沢山かいたし…」
この離宮には共用の大きな浴場もあるようだが、一人でゆっくり入りたいと備え付けの浴場に入っていく。
天然の温泉がまるで川のようにたっぷりと流れ込んでいる為、何時でも入る事が出来るのが本当に嬉しい。
衣を脱いで薄い湯浴み用の布を纏って浸かる。
「ハァァ…気持ちが良い」
意外にも特有の香りは少ない。少しヌメリ感のある湯が肌に染み込み、そしてすべすべとした感触に笑みが溢れた。
──ふぅーっ…熱くなってきたなぁ
温まり過ぎた身体を少し冷まそうと湯から出た。
そして部屋にお水が有ったのを思い出し、熱を冷ます為に飲まなくちゃ!…と向かう。
──ゴクゴク。ハァ美味しい!
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そこに扉の向こうからロイの声が響いた。
ロ、ロイ様…?どうして…
何故?という驚きと裸同然の格好をしている自分の現状でドギマギしてしまって…
「スリジャ?さっき部屋から大きな音がしたが…大丈夫なのか?心配で来てみたのだけど」
──あっ、盆を落としたから?
そう思い当たって納得した。
「水を飲んでいた時、うっかり盆を落としてしまって…大丈夫ですから。わざわざ様子を見に来てくださってありがとうございます。」
その音の理由と心配して来てくれた事へのお礼を言って戻ってもらおうとした。だけど…
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それには…困ったなって思う。湯浴み用の薄衣を一枚かけているだけだ。どうしよう…
「あの…私、今湯浴みをしていたんです。…ですから今はちょっと困る…」
ガチャリ!言い終わらないうちに扉が開かれた。えっ…?
咄嗟に、その役には立ちそうもない僅ばかりの布で何とか身体を隠そうとする。
──これ、隠れているんだろうか…?こんな薄い湯浴みの布で…
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自分とは全く違うその分厚い胸の筋肉の流線にスリジャは驚きそしてウットリとした表情を浮かべる。
その恍惚とした表情に満足したロイは…自らシャツを脱ぎ捨てた!
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