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第六章・御使いの秘密
40・贈り物
あれから一週間、私達は近くの街に立ち寄ったり湖を散策したりしてゆっくりと過ごした後、王城に戻って来ていた。
王の計らいで、取り敢えずは誰の婚約者なのかは明言されず、王子達のうちの一人との結婚という立場になっている。
スリジャとアルジェはアラン宮を出て、王や王子達の宮とは別の客人用の一室に居を移した。
「スリ様、ここ凄く落ち着きますよね~」
──うん何だか落ち着く!
新しく与えられた部屋はアラン宮とは違い、ちょっとだけ故郷であるグラン聖国の雰囲気と似ている。
インテリアがそう感じさせるのだろうか?全く同じではないのかもしれないが、このカーテンやマットなどもグランで織られた物を使っているのではないか?と思わせる。
華美ではないが表面の刺繍の製法など、私が嫁入道具として持って来た物と酷似している。
テーブルや鏡台などの調度品も手に馴じむ物になっている気がするけど…
もしかして父上が贈ってくれた?真相はわからないが、とても住み心地が良くて嬉しい。
「アラン様の宮はやはりお若い方に合わせて造られているので明る過ぎるって言うか…まあ、爽かでしたけどね~」
確かにそうだなと思ったが、四の五の言ってないで片付けを先に!となり、口より手を動かした。
「フーッ…やっと終わったね。これで大丈夫!」
さぁ疲れたしお茶でも…と思っていたところに、どなたかの訪れの知らせがあった。
すると──王太子殿下!?
カイン様とは挨拶程度で、今まで特に親しくしてはいなかった…それなのに何故?という気持ちが先立つが、慌てて礼をとった。
「カイン王太子殿下、このような所までおいでいただいて…」
そう恐縮すると殿下は首を振って…
「いいんだ!堅苦しい挨拶は抜きにしよう。いずれスリジャ様は我が弟のどちらかの妃になられるお方。兄弟同然ではないか」
そして私の事はカインと呼んで良いんだよ…とおっしゃった。
我が弟…ロイかアランと仰っしゃりたいのだろう。
「ごめんね、変な言い方になってしまったかな?他意はなかったんだ。もちろん私もスリジャ様とロイの事は知っている。そしてアランの気持ちも…」
──アラン様…
私が告白してから直ぐ、ロイ様はアラン様と二人でじっくりと話されたと聞いている。
そして知らなかったであろう寿命の事も伝え、私達二人の覚悟も話されたと聞いた。
諦めずに延命の方法を探り、無理ならば潔く二人で逝く──
けれど私は、一人で逝くつもりだ…。愛するあの人を道連れになど出来はしない!その気持ちだけで私は幸せに逝ける…
アラン様はその後再度体調を崩され、西の離宮に一人残られた。私の件が心にご負担を掛けてしまったのかも知れないな…
「ところでこの部屋は気に入ったかい?」とカイン様が…
──えっ!カイン様がこの部屋を!?と、ビックリしていると…
「いやいや!私ではないよ。正確にはスリジャ様の故郷の品物を是非にと贈られた方がいて…。それに合わせて家具などは合うものをこちらで用意させたんだが…」
──えっ、私に贈り物だって?一体どなたが…
「ああ、そうそう!私がこちらまで来たのは手紙をお渡ししようと」
そしてカイン様は、上着の内ポケットから手紙を出されて渡してくれた。
──こ、これは!
そこには忘れもしない見覚えのある封筒が。
「グランからの贈り物とこの手紙を送って来られたのは、神殿の御使い長様だよ」
──やはり!御使い長様…
王の計らいで、取り敢えずは誰の婚約者なのかは明言されず、王子達のうちの一人との結婚という立場になっている。
スリジャとアルジェはアラン宮を出て、王や王子達の宮とは別の客人用の一室に居を移した。
「スリ様、ここ凄く落ち着きますよね~」
──うん何だか落ち着く!
新しく与えられた部屋はアラン宮とは違い、ちょっとだけ故郷であるグラン聖国の雰囲気と似ている。
インテリアがそう感じさせるのだろうか?全く同じではないのかもしれないが、このカーテンやマットなどもグランで織られた物を使っているのではないか?と思わせる。
華美ではないが表面の刺繍の製法など、私が嫁入道具として持って来た物と酷似している。
テーブルや鏡台などの調度品も手に馴じむ物になっている気がするけど…
もしかして父上が贈ってくれた?真相はわからないが、とても住み心地が良くて嬉しい。
「アラン様の宮はやはりお若い方に合わせて造られているので明る過ぎるって言うか…まあ、爽かでしたけどね~」
確かにそうだなと思ったが、四の五の言ってないで片付けを先に!となり、口より手を動かした。
「フーッ…やっと終わったね。これで大丈夫!」
さぁ疲れたしお茶でも…と思っていたところに、どなたかの訪れの知らせがあった。
すると──王太子殿下!?
カイン様とは挨拶程度で、今まで特に親しくしてはいなかった…それなのに何故?という気持ちが先立つが、慌てて礼をとった。
「カイン王太子殿下、このような所までおいでいただいて…」
そう恐縮すると殿下は首を振って…
「いいんだ!堅苦しい挨拶は抜きにしよう。いずれスリジャ様は我が弟のどちらかの妃になられるお方。兄弟同然ではないか」
そして私の事はカインと呼んで良いんだよ…とおっしゃった。
我が弟…ロイかアランと仰っしゃりたいのだろう。
「ごめんね、変な言い方になってしまったかな?他意はなかったんだ。もちろん私もスリジャ様とロイの事は知っている。そしてアランの気持ちも…」
──アラン様…
私が告白してから直ぐ、ロイ様はアラン様と二人でじっくりと話されたと聞いている。
そして知らなかったであろう寿命の事も伝え、私達二人の覚悟も話されたと聞いた。
諦めずに延命の方法を探り、無理ならば潔く二人で逝く──
けれど私は、一人で逝くつもりだ…。愛するあの人を道連れになど出来はしない!その気持ちだけで私は幸せに逝ける…
アラン様はその後再度体調を崩され、西の離宮に一人残られた。私の件が心にご負担を掛けてしまったのかも知れないな…
「ところでこの部屋は気に入ったかい?」とカイン様が…
──えっ!カイン様がこの部屋を!?と、ビックリしていると…
「いやいや!私ではないよ。正確にはスリジャ様の故郷の品物を是非にと贈られた方がいて…。それに合わせて家具などは合うものをこちらで用意させたんだが…」
──えっ、私に贈り物だって?一体どなたが…
「ああ、そうそう!私がこちらまで来たのは手紙をお渡ししようと」
そしてカイン様は、上着の内ポケットから手紙を出されて渡してくれた。
──こ、これは!
そこには忘れもしない見覚えのある封筒が。
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──やはり!御使い長様…
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