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第五章・西の離宮
36・愛するが故
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アラン様の言った事が頭から離れない!
ロイが耐えられない?私がいつ死ぬかもしれない身であることを…
これは神の御使いとしての運命なのだと、今までは受け入れていた。それは、私一人の問題だと思っていたからだ…
だけど今は二人のこと…そう捉えなければならない。私は恋に浮かれていたのか?そんな大事な事実をまだ伝えていないなんて…
言われるまで気にもしていなかった。いや、考えないようにしていたのだろう…あの人との触れ合いがただ楽しくて、嬉しくて…愛おしくて!
隣に居るロイの瞳を覗き込めば、私が見える…そんな事がいつの間にか当たり前になり永遠に続くと思っていた。
永遠なんて言葉、私には一番似つかわしくないと思わないか?
そんな事を呟きながらも、あの人を求めてしまう己のあまりの浅ましさにフッと笑って、そして涙を流した…
◇◇◇◇
『光』とは何だろう?と、アランは考えていた。
あの時、スリジャ様が言った光のことだ。
ただでさえ食が細いあの方が、更に食べられなくなるなど尋常ではないのではないか?
思わず…といった感じで言ってしまわれた後、私に誤魔化すように違う話題を振られたようだが…
──何か秘密があるのだろうか…?
いずれ突き止めなければならない!他でもないスリジャ様のことなのだから。
それにしても腹立だしいのは、ロイ兄上の事だ。
私はあの方を心から欲っしているのに!
その苛立ちからスリジャ様には酷い事を言ってしまった…かなり動揺なさっていたように見えた。あんな様子を見てしまったら心が痛んだ…
私の行動は、やはり子供じみているのかも知れないな…
好きな相手を苛めてしまうなんて…だけどスリジャ様だって悪いんだよ?
あの方は純粋過ぎるのだ…純粋すぎて、直ぐに違う色に染まってしまう。ロイ兄上の色に…
そんな無垢なスリジャ様を、自分だけのものにしようとする兄上。経緯を聞けば、確かに知り合ったのは兄が先かもしれないが、そんな事は関係ない!
兄上はスリジャ様の『印』を見た事がないだろう?私はある…あの神殿で。
あの神々しいお姿を思い出すだけで堪らなくなる。
また会おうと言って別れたけれど、きっともう会えないだろうと思っていた。
そういう雲の上の存在であったスリジャ様が…私の世界に降りて来てくれたのだ!
そんな奇跡のような幸せであったのに、他の男の元へ行かせると思うかい?
私はあの方の心をワザと揺さぶったのだ。
──さあ、スリジャ様、私の所に堕ちて来て…
ロイが耐えられない?私がいつ死ぬかもしれない身であることを…
これは神の御使いとしての運命なのだと、今までは受け入れていた。それは、私一人の問題だと思っていたからだ…
だけど今は二人のこと…そう捉えなければならない。私は恋に浮かれていたのか?そんな大事な事実をまだ伝えていないなんて…
言われるまで気にもしていなかった。いや、考えないようにしていたのだろう…あの人との触れ合いがただ楽しくて、嬉しくて…愛おしくて!
隣に居るロイの瞳を覗き込めば、私が見える…そんな事がいつの間にか当たり前になり永遠に続くと思っていた。
永遠なんて言葉、私には一番似つかわしくないと思わないか?
そんな事を呟きながらも、あの人を求めてしまう己のあまりの浅ましさにフッと笑って、そして涙を流した…
◇◇◇◇
『光』とは何だろう?と、アランは考えていた。
あの時、スリジャ様が言った光のことだ。
ただでさえ食が細いあの方が、更に食べられなくなるなど尋常ではないのではないか?
思わず…といった感じで言ってしまわれた後、私に誤魔化すように違う話題を振られたようだが…
──何か秘密があるのだろうか…?
いずれ突き止めなければならない!他でもないスリジャ様のことなのだから。
それにしても腹立だしいのは、ロイ兄上の事だ。
私はあの方を心から欲っしているのに!
その苛立ちからスリジャ様には酷い事を言ってしまった…かなり動揺なさっていたように見えた。あんな様子を見てしまったら心が痛んだ…
私の行動は、やはり子供じみているのかも知れないな…
好きな相手を苛めてしまうなんて…だけどスリジャ様だって悪いんだよ?
あの方は純粋過ぎるのだ…純粋すぎて、直ぐに違う色に染まってしまう。ロイ兄上の色に…
そんな無垢なスリジャ様を、自分だけのものにしようとする兄上。経緯を聞けば、確かに知り合ったのは兄が先かもしれないが、そんな事は関係ない!
兄上はスリジャ様の『印』を見た事がないだろう?私はある…あの神殿で。
あの神々しいお姿を思い出すだけで堪らなくなる。
また会おうと言って別れたけれど、きっともう会えないだろうと思っていた。
そういう雲の上の存在であったスリジャ様が…私の世界に降りて来てくれたのだ!
そんな奇跡のような幸せであったのに、他の男の元へ行かせると思うかい?
私はあの方の心をワザと揺さぶったのだ。
──さあ、スリジャ様、私の所に堕ちて来て…
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