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第六章・御使いの秘密
46・危機
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「コーダ、御使いってお酒飲めるの?知らなかった…」
スリ様は一滴だって飲んでなかったけど?って思うが…
「神殿付きの御使いはね、飲まないかも?御使い長様怖いしね…。でも派遣される側の御使いは割合飲んでるよ?飲まないとやってられない!っていうか…」
私は大神殿の事は良く知ってるつもりだったけど、各国の神殿の事は門外漢だったんだな~って改めて思う。
今、御使いのコーダとラシア王国の神殿で夕飯を共にしている。王宮で食べている料理のような豪華さはないけど、久しぶりに自分で作った料理はとっても美味しく感じる。
アスバルにも作ってあげたいな…なんて思ってしまう私は大概だよね?
「それでさ、コーダにちょっと聞いてみたいのは、御使い長様の事なんだ」
ちょっとお酒が進んで口も軽くなっているだろうと聞いてみる。本題はここからなんだよね!
「御使い長様は、御使いから見ても尊敬出来る人かな?」
…凄くぶっちゃけたよ?
それにコーダはちょっと悩んだ様子だったが、そうだなぁ~って口を濁しながらも…
「もうほとんど癒やしの力は残ってないんだと思うあの方は」
──癒やしの力が…ないだって!?
「でもさ、癒やしの力っていうのは御使いのシンボルみたいなものじゃない?そんな力を無くした人がずっと続けられるの?御使いを…」
通常は考えられないよね…ってコーダが呟く。
グラン聖国の神殿で一体何が起こっているんだろう…?
私とて、御使いではなかったけれど十五年もの間過ごしたいわば古参だ。
その間に知り合った御使いも十人や二十人じゃない!沢山の御使いが、その人生を神殿と人々に捧げてきた…
──スリ様、これは危機です!神殿存続の危機ですよ…
もしかしてこれは、私だけでもグラン聖国に帰って王に報告した方がいいのかも知れない!
私達だけでどうこう出来る事態はとっくに過ぎているんだろうと思う。
そう思った私は、取り敢えずスリ様とロイ様、ラシア王に報告して裁断を仰ごうと決める。
そう決心したら、なんだか眠くなってきた…
明日はアスバルと合流して、王城までひとっ走りしないといけない。酔ってうつらうつらしているコーダに、もう寝るよ!と声を掛けて片付けは明日するからとベッドに潜り込む。
あぁ…疲れた、眠い…
アルジェはあっという間に眠りに落ちていった──
◇◇◇◇
「アルジェ~おはよう!早く起きて。早く起きてここを発たないとアスバルさんが心配するよ~」
コーダの元気なその声に、そうだった!と飛び起きる。
「ごめんね~あれから直ぐ寝ちゃった…。あまり話出来なかったね?これからもずっとこの国に居るんだし、また遊びにくるからね」と謝って、早速ここを発つ準備をする。
馬上で食べて!とパンや果物を持たせてくれたコーダは、少し寂しそうだったが、また会う約束に嬉しそうな顔をして神殿の外まで見送ってくれる。
「じゃあアルジェ、道中気を付けてよ。あっ、ちょっと待ってて!グランから送って貰った果物あるんだ!是非スリジャ様と食べて欲しい」と再び神殿の中へと入って行く。
だが…待てど暮らせど戻って来ない。途端に心配になり神殿の中へと自分も戻って行った。
「コーダ!どうかした?大丈夫なのかな…」
直ぐ先に倒れているコーダを発見してハッとする!それに急いで駆け寄った。
──気を…失っている?
揺すっても微動だにしないコーダの様子に何やら嫌な予感がして…その瞬間──
アルジェは自分の頭から何かが流れ落ちるのをどこか遠くで感じていた…
自分の身体なのに痛みも何も感じない!まるで自分が自分でないような感覚で…
そのうち目の前が真っ赤に染まり、流れ落ちているものが自分の血なのだと分かる。
…スリ様…スリ様がこんな目に合わなくて良かった!
その真っ赤な目に涙が溢れてきて…
──アスバル、ゴメンね。プロポーズ嬉しかったよ!でも…叶いそうにないな…
そう覚悟してアルジェは真っ暗な闇に堕ちていった…
スリ様は一滴だって飲んでなかったけど?って思うが…
「神殿付きの御使いはね、飲まないかも?御使い長様怖いしね…。でも派遣される側の御使いは割合飲んでるよ?飲まないとやってられない!っていうか…」
私は大神殿の事は良く知ってるつもりだったけど、各国の神殿の事は門外漢だったんだな~って改めて思う。
今、御使いのコーダとラシア王国の神殿で夕飯を共にしている。王宮で食べている料理のような豪華さはないけど、久しぶりに自分で作った料理はとっても美味しく感じる。
アスバルにも作ってあげたいな…なんて思ってしまう私は大概だよね?
「それでさ、コーダにちょっと聞いてみたいのは、御使い長様の事なんだ」
ちょっとお酒が進んで口も軽くなっているだろうと聞いてみる。本題はここからなんだよね!
「御使い長様は、御使いから見ても尊敬出来る人かな?」
…凄くぶっちゃけたよ?
それにコーダはちょっと悩んだ様子だったが、そうだなぁ~って口を濁しながらも…
「もうほとんど癒やしの力は残ってないんだと思うあの方は」
──癒やしの力が…ないだって!?
「でもさ、癒やしの力っていうのは御使いのシンボルみたいなものじゃない?そんな力を無くした人がずっと続けられるの?御使いを…」
通常は考えられないよね…ってコーダが呟く。
グラン聖国の神殿で一体何が起こっているんだろう…?
私とて、御使いではなかったけれど十五年もの間過ごしたいわば古参だ。
その間に知り合った御使いも十人や二十人じゃない!沢山の御使いが、その人生を神殿と人々に捧げてきた…
──スリ様、これは危機です!神殿存続の危機ですよ…
もしかしてこれは、私だけでもグラン聖国に帰って王に報告した方がいいのかも知れない!
私達だけでどうこう出来る事態はとっくに過ぎているんだろうと思う。
そう思った私は、取り敢えずスリ様とロイ様、ラシア王に報告して裁断を仰ごうと決める。
そう決心したら、なんだか眠くなってきた…
明日はアスバルと合流して、王城までひとっ走りしないといけない。酔ってうつらうつらしているコーダに、もう寝るよ!と声を掛けて片付けは明日するからとベッドに潜り込む。
あぁ…疲れた、眠い…
アルジェはあっという間に眠りに落ちていった──
◇◇◇◇
「アルジェ~おはよう!早く起きて。早く起きてここを発たないとアスバルさんが心配するよ~」
コーダの元気なその声に、そうだった!と飛び起きる。
「ごめんね~あれから直ぐ寝ちゃった…。あまり話出来なかったね?これからもずっとこの国に居るんだし、また遊びにくるからね」と謝って、早速ここを発つ準備をする。
馬上で食べて!とパンや果物を持たせてくれたコーダは、少し寂しそうだったが、また会う約束に嬉しそうな顔をして神殿の外まで見送ってくれる。
「じゃあアルジェ、道中気を付けてよ。あっ、ちょっと待ってて!グランから送って貰った果物あるんだ!是非スリジャ様と食べて欲しい」と再び神殿の中へと入って行く。
だが…待てど暮らせど戻って来ない。途端に心配になり神殿の中へと自分も戻って行った。
「コーダ!どうかした?大丈夫なのかな…」
直ぐ先に倒れているコーダを発見してハッとする!それに急いで駆け寄った。
──気を…失っている?
揺すっても微動だにしないコーダの様子に何やら嫌な予感がして…その瞬間──
アルジェは自分の頭から何かが流れ落ちるのをどこか遠くで感じていた…
自分の身体なのに痛みも何も感じない!まるで自分が自分でないような感覚で…
そのうち目の前が真っ赤に染まり、流れ落ちているものが自分の血なのだと分かる。
…スリ様…スリ様がこんな目に合わなくて良かった!
その真っ赤な目に涙が溢れてきて…
──アスバル、ゴメンね。プロポーズ嬉しかったよ!でも…叶いそうにないな…
そう覚悟してアルジェは真っ暗な闇に堕ちていった…
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